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それは誰のため?
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【 第二王子 リオネルの視点 】
「どういうことですか」
涙でぐちゃぐちゃになったロー夫人が顔色を悪くした。
「暴言や暴力は王家の指示だと嘘を吐いたじゃないか」
「っ!!」
「この部屋はね、観察部屋なんだよ。
怪しい者をこの部屋に通して言動を見張るんだ。
覗き穴があって、見えるし会話も聞こえる。
観察していたのは僕だけじゃないよ」
ゾロゾロと見学者が部屋に入って来た。
「ひぃっ!王妃様!」
ロー夫人は震えて床に額を付けた。
「侍女長、ジオニトロ侯爵姉妹を私のサロンに案内してくださるかしら」
「はい、王妃様」
姉妹が部屋を出ると、ロー夫人をそのままに皆が話し始めた。
宰「ゾクゾクしましたね」
ジェ「エリアーナが喜びます」
団「スカウトしたい」
ブ「母上に報告しないと」
王妃「シリル、リオネル、行くわよ」
ロー夫人をそのままに、母上と兄上と一緒に母上のサロンへ向かった。
そこにはガチガチになった姉妹が立っていた。さっきまでの姉妹とは大違いだ。
「アリス嬢、ご存知の通り、私は王妃サリー。
ロー夫人の件、謝罪します。
スーザン、辛い目に遭わせたわね。申し訳なかったわ」
「お心遣いありがとうございます」
「アリス・ジオニトロと申します。
王妃殿下、シリル王子殿下、リオネル王子殿下にご挨拶を申し上げます」
「第一王子のシリルと申します。アリス嬢」
「第二王子のリオネルと申します。アリス嬢」
「座ってちょうだい」
「「失礼します」」
お茶が用意されて、一息つくと母上が話を切り出した。
王妃「いくつか質問があるのだけどいいかしら」
姉妹「「はい、王妃殿下」」
王妃「今日の作戦は誰の案かしら」
姉「私です」
王妃「何故リオネルに見せようと?」
姉「誰の為に厳しい妃教育を受けているのかを知っていて欲しかったからです」
王妃「国の為、自分の為ではなくて?」
姉「国の為と本気で答えられる令嬢はそうお目にかかれないと思います。
自分の為と本気で思っているのなら、もっと早くに様々な勉強をしていて、ほとんど王子妃教育は不要でしょう。
考えられるのは三つ。
親に命じられて仕方なく婚約者になった場合。
王子妃という地位が欲しくて婚約者になった場合。
王子殿下が好きで婚約者になった場合です。
両親はスーザンに甘かったので強要はしておりません。スーザンは物欲はあっても地位を得て何かしようという考えは持っていません。単純ですから。
つまり、スーザンが王子妃教育を頑張る理由はリオネル王子殿下をお慕いしているからです。
ご自身の婚約者がどういう環境でどのように教育を受けているのか無関心であっていいはずはありません。たった一人の婚約者を気に掛けないのは好ましいことではありません」
リ「申し訳なかった。スーザン」
妹「いえ……」
王妃「ロー夫人を打った理由は?」
姉「陰湿で人の痛みが分からない方だからです。
きっと以前に鞭で躾けられたことがあるのでしょうが、あの様子ですと掌に軽く程度のものかと思います。今日のような経験があるならあそこまで泣き叫ばないでしょう。
そして場所です。隠すであろう場所を狙っています。
今までスーザンがどれだけ痛みに耐え、屈辱に耐えてきたか、今日ロー夫人は身をもって知ったことと思います」
王妃「何故両親ではなく貴女が?」
姉「私が追い出したからです。
領民の期待や信頼を裏切って詐欺にひっかかったり、回収できない投資に手を出してしまったり。
ずっと繰り返してきました。
先妻にも不誠実でしたし、後妻を迎えた後、長女の私に対して無関心で冷遇されることを黙認していました。
借金を肩代わりしてもらい、援助をしてもらって侯爵家が生き残れるのは、私が婚約という犠牲になったから。つまり私のお陰で衣食住が維持できているのです。
今後は全て私が決めると宣言しました。
そうでなければ、婚約を解消なり破棄なり逃走するなりして援助を絶ってやると脅したのです。
父達は領地に送りました。
父には領地を隅々まで巡り把握してこいと言いました。贅沢三昧していた後妻には王宮行事以外の社交を禁止ししました。予算も決め直しましたので不相応な贅沢はさせません。
現在、侯爵代理は私です。従って、私がスーザンの現状を把握することは義務ですので 本日参りました」
王妃「成果はあったかしら」
姉「そう願います」
「どういうことですか」
涙でぐちゃぐちゃになったロー夫人が顔色を悪くした。
「暴言や暴力は王家の指示だと嘘を吐いたじゃないか」
「っ!!」
「この部屋はね、観察部屋なんだよ。
怪しい者をこの部屋に通して言動を見張るんだ。
覗き穴があって、見えるし会話も聞こえる。
観察していたのは僕だけじゃないよ」
ゾロゾロと見学者が部屋に入って来た。
「ひぃっ!王妃様!」
ロー夫人は震えて床に額を付けた。
「侍女長、ジオニトロ侯爵姉妹を私のサロンに案内してくださるかしら」
「はい、王妃様」
姉妹が部屋を出ると、ロー夫人をそのままに皆が話し始めた。
宰「ゾクゾクしましたね」
ジェ「エリアーナが喜びます」
団「スカウトしたい」
ブ「母上に報告しないと」
王妃「シリル、リオネル、行くわよ」
ロー夫人をそのままに、母上と兄上と一緒に母上のサロンへ向かった。
そこにはガチガチになった姉妹が立っていた。さっきまでの姉妹とは大違いだ。
「アリス嬢、ご存知の通り、私は王妃サリー。
ロー夫人の件、謝罪します。
スーザン、辛い目に遭わせたわね。申し訳なかったわ」
「お心遣いありがとうございます」
「アリス・ジオニトロと申します。
王妃殿下、シリル王子殿下、リオネル王子殿下にご挨拶を申し上げます」
「第一王子のシリルと申します。アリス嬢」
「第二王子のリオネルと申します。アリス嬢」
「座ってちょうだい」
「「失礼します」」
お茶が用意されて、一息つくと母上が話を切り出した。
王妃「いくつか質問があるのだけどいいかしら」
姉妹「「はい、王妃殿下」」
王妃「今日の作戦は誰の案かしら」
姉「私です」
王妃「何故リオネルに見せようと?」
姉「誰の為に厳しい妃教育を受けているのかを知っていて欲しかったからです」
王妃「国の為、自分の為ではなくて?」
姉「国の為と本気で答えられる令嬢はそうお目にかかれないと思います。
自分の為と本気で思っているのなら、もっと早くに様々な勉強をしていて、ほとんど王子妃教育は不要でしょう。
考えられるのは三つ。
親に命じられて仕方なく婚約者になった場合。
王子妃という地位が欲しくて婚約者になった場合。
王子殿下が好きで婚約者になった場合です。
両親はスーザンに甘かったので強要はしておりません。スーザンは物欲はあっても地位を得て何かしようという考えは持っていません。単純ですから。
つまり、スーザンが王子妃教育を頑張る理由はリオネル王子殿下をお慕いしているからです。
ご自身の婚約者がどういう環境でどのように教育を受けているのか無関心であっていいはずはありません。たった一人の婚約者を気に掛けないのは好ましいことではありません」
リ「申し訳なかった。スーザン」
妹「いえ……」
王妃「ロー夫人を打った理由は?」
姉「陰湿で人の痛みが分からない方だからです。
きっと以前に鞭で躾けられたことがあるのでしょうが、あの様子ですと掌に軽く程度のものかと思います。今日のような経験があるならあそこまで泣き叫ばないでしょう。
そして場所です。隠すであろう場所を狙っています。
今までスーザンがどれだけ痛みに耐え、屈辱に耐えてきたか、今日ロー夫人は身をもって知ったことと思います」
王妃「何故両親ではなく貴女が?」
姉「私が追い出したからです。
領民の期待や信頼を裏切って詐欺にひっかかったり、回収できない投資に手を出してしまったり。
ずっと繰り返してきました。
先妻にも不誠実でしたし、後妻を迎えた後、長女の私に対して無関心で冷遇されることを黙認していました。
借金を肩代わりしてもらい、援助をしてもらって侯爵家が生き残れるのは、私が婚約という犠牲になったから。つまり私のお陰で衣食住が維持できているのです。
今後は全て私が決めると宣言しました。
そうでなければ、婚約を解消なり破棄なり逃走するなりして援助を絶ってやると脅したのです。
父達は領地に送りました。
父には領地を隅々まで巡り把握してこいと言いました。贅沢三昧していた後妻には王宮行事以外の社交を禁止ししました。予算も決め直しましたので不相応な贅沢はさせません。
現在、侯爵代理は私です。従って、私がスーザンの現状を把握することは義務ですので 本日参りました」
王妃「成果はあったかしら」
姉「そう願います」
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