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日曜日のノッティング邸
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ああ、来てしまった。
でも来ないと押しかけてきそうだからな~。
ローリーは笑顔でガーネット家に行ってしまった。
「お待たせ」
「お招きありがとうございます」
「ありがたそうではない顔ね」
「緊張しているだけですわ」
「同じ侯爵家じゃないの」
「半分以上崖に身を乗り出している我が家とノッティング家は同じではございません」
「ハハッ、なるほど。エリアーナが気にいる訳だ」
部屋に入って来たのは…誰?
膝を折ってカーテシーをして待つ。
「これは失礼。私はエリアーナの夫でノッティング家の嫡男、ジェイドと申します。
妻が無理矢理お誘いしたようでご迷惑をお掛けしました」
「酷いわ、ジェイド」
あれ? 顔を背けたけどモジモジしてる。
もしかしてエリアーナ様って…
「無理矢理だなんて。
奥様が、旦那様の事が愛し過ぎて胸が張り裂けそうだから お見舞いに来て欲しいと仰いましたので遠慮なく伺いました。確かに看病が必要ですね」
「ちょっ、ちょっと!私はそんなことっ」
ふふっ、顔が真っ赤。
「ああ。確かに看病が必要だ。アリスでいいかな?
日中はアリスが看病をしてくれ。夜は私が看病をしよう」
「ばっ、馬鹿言わないで!」
「お任せください」
「じゃあ、私は席を外すよ。
エリアーナ、爪は引っ込めるんだよ、可愛私の子猫 チュッ」
「⚪︎△×◻︎~!!」
あ~全身真っ赤だわ。
その後、正気を取り戻したエリアーナ様が仁王立ちで私を叱りつけた後、エリアーナ様のドレスの断捨離を手伝い、昼食になった。
そこには侯爵夫妻とジェイド様が同席していた。
侯「エリアーナに友人が…」
夫人「生きているうちに出会えて良かったわ」
ジェ「もっと早く出会っていたら良かったのに」
エ「アリスは私のものですわ」
ジェ「とらないから牙を剥かないでくれ」
エ「……」
夫人「次男のブレイルも紹介したかったのだけど婚約者のお屋敷に行っているのよ」
私「私はエリアーナ様のものですから、ご子息の紹介は結構ですわ。是非私を独り占めしてくださいね、エリアーナ様」
エ「っ! も、勿論よ。会わせないわ」 ポポっ
ふふっ。頬がピンクに染まったわ。
私「約束ですよ」 ニコニコッ
エ「分かったから。ほら、こっちも食べなさい」 真っ赤
他「………」
ジェ「今日の看病はなんだい?」
エ「ドレスのデザインをしてもらおうと」
私「私がですか?」
エ「ア、アリスにデザインして…欲しい…」
私「ウフフっ、頑張りますね」 つんつん
エ「っ!」 真っ赤
ジェ「(まさかライバルが令嬢とは)」
夫人「(すごい子を見つけて来たわね)」
侯「(何でブレイルと会いたくないんだ?)」
昼食後、デザイナーが到着して完成したデザイン画を見せてもらった。
「完璧です。これで作ってください。来週の火曜日はお時間ありますか?」
「はい」
「妹のドレスを作って貰いたいのでお店に伺います」
「お待ちしております」
「妹がいるの?」
「後妻の子で同級生になる予定です」
「まあ。酷いわね」
「もう追い出して領地に送りつけたので大丈夫です」
「え?誰を?」
「父と後妻です」
「そ、そうなのね。妹さんは?」
「ダメ子狐を忠犬にしようとしているところです。
単純なので後妻と離して躾ければマシになると思います。昨日は王子妃教育で泣いていましたわ」
「あ~、第二王子の!」
「そうです」
「ダメ子狐」
「“猫”はジェイド様に取られてしまったので」
「っ!」 真っ赤
「さあ、次はエリアーナ様のドレスですね」
エリアーナ様とメイドだけ残ってもらい、いくつかイメージ画を描いてみた。
「なんかシンプルね」
「シャンデリアの下で美しく煌めきますから大丈夫です。作る方は大変ですけど」
「頑張ります」
「これは背中が空きすぎじゃない?」
「これもレースのキャミソールでカバーします。
首の結び目を解くと、ウエストまで布が落ちます」
「丸見えじゃないの!」
「ドレスから出ないように一回り小さめにレースのキャミソールを着るので大事です。これもホルターネックです。
後ろで結んだ腰のリボンを解くと、ドレスはストンと足元へ落ちます」
「痴女じゃないの!」
「これはジェイド様とのふたりっきりの夜に着るのです。殿方が二ヶ所結び目を解くだけ。グフっ」
「本当に15歳!?」真っ赤
「間違いありません。
さて、髪を結ってメイクをしましょう。
髪はゆるふわに巻いてもいいですね」
一部を二つ結びにして、小ぶりの髪留めを付けた。
「これ、若い子向けじゃ」
「エリアーナ様は十分若いです。19歳なんてまだまだ娘ですわ」
ちょっとキツめに見える目元を垂れ目メイクにして、持って来た柔らかい色味の口紅や頬紅をつけた。
「目を開けてください」
「!!」
「エリアーナ様、ドレスを着替えましょう」
店で選んだ手直し前のドレスを着させた。少し緩いけどイメージは掴めるはず。
姿見で確認するとエリアーナ様が自分の頬に触れてつぶやいた。
「別人だわ」
「別人じゃありませんよ。これもエリアーナ様ですわ。
すみません、ジェイド様を呼んでくださるかしら」
「かしこまりました」
「な、何で呼ぶのよ」
「エリアーナ様が気にする視線はジェイド様おひとりです。ならばこの先の方向性を決めるためにも今見てもらわねばなりません。
好みでなければ意味がありませんわ」
「確かに」
「その間に、後から応急処置をしましょう」
余る布をクリップで止めた。
コンコンコンコン
「お連れしました」
「入ってちょうだい」
ガチャッ
「っ!!」
「……」
「エ、エリアーナ!?」
「…はい」
「ちょっとおいで」
「あ、ちょっと、」
後ろにクリップを付けたまま隣室に篭った二人を待つこと5分。
「アリス、君にエリアーナを任せた」
「え? あ、はい」
「……お姉様と呼びなさい」
「は? あ、はい」
エリアーナ様から移った口紅を付けたジェイド様は部屋を去り、エリアーナ様は目を潤ませて口紅が滲んでいた。
デザイナーと顔を見合わせたあと、
「ジェイド様はお気に召されたということでよろしいのですよね」
「そ、そうね」
「では、使い分けましょう。今まで通りの高貴な感じと、花の妖精のようなエリアーナ様と二本立てでいきましょう」
「言い過ぎよ。それに“お姉様”でしょう」
「言い過ぎではありません。羨ましい美しさですわ、お姉様」
でも来ないと押しかけてきそうだからな~。
ローリーは笑顔でガーネット家に行ってしまった。
「お待たせ」
「お招きありがとうございます」
「ありがたそうではない顔ね」
「緊張しているだけですわ」
「同じ侯爵家じゃないの」
「半分以上崖に身を乗り出している我が家とノッティング家は同じではございません」
「ハハッ、なるほど。エリアーナが気にいる訳だ」
部屋に入って来たのは…誰?
膝を折ってカーテシーをして待つ。
「これは失礼。私はエリアーナの夫でノッティング家の嫡男、ジェイドと申します。
妻が無理矢理お誘いしたようでご迷惑をお掛けしました」
「酷いわ、ジェイド」
あれ? 顔を背けたけどモジモジしてる。
もしかしてエリアーナ様って…
「無理矢理だなんて。
奥様が、旦那様の事が愛し過ぎて胸が張り裂けそうだから お見舞いに来て欲しいと仰いましたので遠慮なく伺いました。確かに看病が必要ですね」
「ちょっ、ちょっと!私はそんなことっ」
ふふっ、顔が真っ赤。
「ああ。確かに看病が必要だ。アリスでいいかな?
日中はアリスが看病をしてくれ。夜は私が看病をしよう」
「ばっ、馬鹿言わないで!」
「お任せください」
「じゃあ、私は席を外すよ。
エリアーナ、爪は引っ込めるんだよ、可愛私の子猫 チュッ」
「⚪︎△×◻︎~!!」
あ~全身真っ赤だわ。
その後、正気を取り戻したエリアーナ様が仁王立ちで私を叱りつけた後、エリアーナ様のドレスの断捨離を手伝い、昼食になった。
そこには侯爵夫妻とジェイド様が同席していた。
侯「エリアーナに友人が…」
夫人「生きているうちに出会えて良かったわ」
ジェ「もっと早く出会っていたら良かったのに」
エ「アリスは私のものですわ」
ジェ「とらないから牙を剥かないでくれ」
エ「……」
夫人「次男のブレイルも紹介したかったのだけど婚約者のお屋敷に行っているのよ」
私「私はエリアーナ様のものですから、ご子息の紹介は結構ですわ。是非私を独り占めしてくださいね、エリアーナ様」
エ「っ! も、勿論よ。会わせないわ」 ポポっ
ふふっ。頬がピンクに染まったわ。
私「約束ですよ」 ニコニコッ
エ「分かったから。ほら、こっちも食べなさい」 真っ赤
他「………」
ジェ「今日の看病はなんだい?」
エ「ドレスのデザインをしてもらおうと」
私「私がですか?」
エ「ア、アリスにデザインして…欲しい…」
私「ウフフっ、頑張りますね」 つんつん
エ「っ!」 真っ赤
ジェ「(まさかライバルが令嬢とは)」
夫人「(すごい子を見つけて来たわね)」
侯「(何でブレイルと会いたくないんだ?)」
昼食後、デザイナーが到着して完成したデザイン画を見せてもらった。
「完璧です。これで作ってください。来週の火曜日はお時間ありますか?」
「はい」
「妹のドレスを作って貰いたいのでお店に伺います」
「お待ちしております」
「妹がいるの?」
「後妻の子で同級生になる予定です」
「まあ。酷いわね」
「もう追い出して領地に送りつけたので大丈夫です」
「え?誰を?」
「父と後妻です」
「そ、そうなのね。妹さんは?」
「ダメ子狐を忠犬にしようとしているところです。
単純なので後妻と離して躾ければマシになると思います。昨日は王子妃教育で泣いていましたわ」
「あ~、第二王子の!」
「そうです」
「ダメ子狐」
「“猫”はジェイド様に取られてしまったので」
「っ!」 真っ赤
「さあ、次はエリアーナ様のドレスですね」
エリアーナ様とメイドだけ残ってもらい、いくつかイメージ画を描いてみた。
「なんかシンプルね」
「シャンデリアの下で美しく煌めきますから大丈夫です。作る方は大変ですけど」
「頑張ります」
「これは背中が空きすぎじゃない?」
「これもレースのキャミソールでカバーします。
首の結び目を解くと、ウエストまで布が落ちます」
「丸見えじゃないの!」
「ドレスから出ないように一回り小さめにレースのキャミソールを着るので大事です。これもホルターネックです。
後ろで結んだ腰のリボンを解くと、ドレスはストンと足元へ落ちます」
「痴女じゃないの!」
「これはジェイド様とのふたりっきりの夜に着るのです。殿方が二ヶ所結び目を解くだけ。グフっ」
「本当に15歳!?」真っ赤
「間違いありません。
さて、髪を結ってメイクをしましょう。
髪はゆるふわに巻いてもいいですね」
一部を二つ結びにして、小ぶりの髪留めを付けた。
「これ、若い子向けじゃ」
「エリアーナ様は十分若いです。19歳なんてまだまだ娘ですわ」
ちょっとキツめに見える目元を垂れ目メイクにして、持って来た柔らかい色味の口紅や頬紅をつけた。
「目を開けてください」
「!!」
「エリアーナ様、ドレスを着替えましょう」
店で選んだ手直し前のドレスを着させた。少し緩いけどイメージは掴めるはず。
姿見で確認するとエリアーナ様が自分の頬に触れてつぶやいた。
「別人だわ」
「別人じゃありませんよ。これもエリアーナ様ですわ。
すみません、ジェイド様を呼んでくださるかしら」
「かしこまりました」
「な、何で呼ぶのよ」
「エリアーナ様が気にする視線はジェイド様おひとりです。ならばこの先の方向性を決めるためにも今見てもらわねばなりません。
好みでなければ意味がありませんわ」
「確かに」
「その間に、後から応急処置をしましょう」
余る布をクリップで止めた。
コンコンコンコン
「お連れしました」
「入ってちょうだい」
ガチャッ
「っ!!」
「……」
「エ、エリアーナ!?」
「…はい」
「ちょっとおいで」
「あ、ちょっと、」
後ろにクリップを付けたまま隣室に篭った二人を待つこと5分。
「アリス、君にエリアーナを任せた」
「え? あ、はい」
「……お姉様と呼びなさい」
「は? あ、はい」
エリアーナ様から移った口紅を付けたジェイド様は部屋を去り、エリアーナ様は目を潤ませて口紅が滲んでいた。
デザイナーと顔を見合わせたあと、
「ジェイド様はお気に召されたということでよろしいのですよね」
「そ、そうね」
「では、使い分けましょう。今まで通りの高貴な感じと、花の妖精のようなエリアーナ様と二本立てでいきましょう」
「言い過ぎよ。それに“お姉様”でしょう」
「言い過ぎではありません。羨ましい美しさですわ、お姉様」
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