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ダニエル/公爵籍から男爵籍へ

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【 ダニエルの視点 】



馬車で到着した男爵邸は小さな屋敷で古かった。

王太子殿下の手紙と父からの手紙を読んだ男爵は大きな溜息を吐いた。

「ミリア。お前はダニエル殿と婚姻してトゥローペル男爵家を継なさい」

「え!? 私は公爵夫人になるのだから無理よ」

「ダニエル殿は勘当された。籍も抜かれて平民だ」

「は? 平民!?」

ミリアが驚愕の顔を向けた。

「そしてこっちの手紙は王太子殿下からの手紙だ。
ダニエル殿とミリアを婚姻させて男爵家を継がせるようにと書いてある。
陛下の署名の入った王命書まで同封してある」

「なんで…」

「そりゃ、王太子殿下の寵妃である妃殿下の妹の婚約者を奪ったからだ。

何故 愛人か妾で満足しなかったんだ」

「だって…」

「ダニエル殿、直ぐに入籍して届けを出さねば。
半年後の国王陛下の誕生を祝うパーティの招待状も入っている。

これに出席して、夫婦となったことの報告をした後は、王都に二度と足を踏み入れるなとのことだ」

「社交は!?」

「許されてもそんな余裕など無いだろう。
フォリー家からの援助は無い。
登城命令がない限り王都には入れない」



直ぐにミリアと入籍した。式は無し。指輪も粗末なものだった。

初夜を拒否されたが、男爵が叱り嫌々ベッドに横たわった。

あれ? 胸の谷間は消えていた。幻だったと諦めた。
可愛い顔も不貞腐れた態度でまるで魅力がない。

だが子は作らなきゃいけないし、女には変わりない。

初めてだろうと丁寧に解し始めたが、……使用済みだった。

“夫でもない方に体を許すなんて”
“私は純潔を捧げても妻にはなれません”

段々と怒りが込み上げてきた。

使用済みなら愛人で十分だった。あのままコゼットを妻にしていれば良かったと、騙された怒りで満ちていた。

解すのを止めて潤滑油を垂らし、気遣い無く突き入れて、自慰のように自分だけ高めて排泄した。

1分もかからなかった。

股間を拭い、ガウンを羽織ると、

「え? もう終わり?」

やっぱりな。

「どうした」

「具合が悪いの?」

「つまり?」

「もっと色々とするのかと」

「処女なんだろう?」

「そ、そうだけど」

「おやすみ」



その後も溜まるとメイドに閨事の支度をさせ、ミリアを雑に解し、挿入すると乱暴に打ち付け さっさと排泄した。
私にはもう この女が、溜まった便や尿を排泄するように 溜まった精液を排泄するための壺だとしか思えなくなっていた。


そして半年ぶりに王都に戻った。
ミリアは妊娠初期だったが、王命なので日数をかけて移動した。

王城に着くと下級貴族専用の控室に通された。屈辱的だった。
一番下の男爵家だから、知り合いの殆どが格上になる。

呼ばれるのも早かった。

「おめでとう。良くお似合いよ」

「そのままそこの端に立っているといい」

「っ! かしこまりました」

「あの…妊娠初期で立ちっぱなしだと…」

「まあ!おめでとう!夫人には椅子を用意させるわね」

次に子爵家の番が来て陛下に挨拶をしていく。

そして見知らぬ美女が現れた。

「おお、コゼット」

「陛下、おめでとうございます」

「贈り物をありがとう」

「お気に召していただけると嬉しいですわ」

「今日は何処に泊まるんだ?」

「伯爵家に戻ります」

「そうか。また遊びにおいで」

「ありがとうございます」

「私の可愛いコゼット」

「お姉様」

「結婚しても泊まりに来るのよ」

「はい」

「遊びにもいらっしゃい」

「はい」

「ちょっとした事でも直ぐに報告するのよ」

「大丈夫ですわ」

「サヴァン子爵、妹を泣かせないようにね」

「承知しております」


プラチナブロンド…
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