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ダニエル/早く破棄すれば良かった
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【 ダニエルの転覆 】
だがミリアは身持ちが固かった。
『夫でもない方に体を許すなんて…』
仕方なく娼館に通い始めたが金を払うセックスが嫌で、また夜会でこっそり女遊びを再開した。
だが、ミリアとのデートで悶々とする。
すぐ隣に女がいるのに何故抱けないのだろうか。
愛しているなら繋がりたいと思うだろうと聞くと、
『ダニエル様は婚約者がいらっしゃいます。
私は純潔を捧げても妻にはなれません』
妾は嫌ということか
『第二夫人だったらいいのか?』
『口約束は嫌ですわ』
つまり婚姻契約書を交わせということだ。
父上に第二夫人の話をしたらペーパーウエイトを投げられた。避けたけど。
『正妻と婚姻して 一人前になって 爵位を継いで 正妻との間に五年以上子が授からないときに初めて第二夫人を娶る話をするものだ!
お前には何一つ成せていないではないか!
半端者のクセに生意気を言うな!
二度とその話はするな!』
そんなに怒らなくたっていいじゃないか。
つまりミリアを第二夫人にするのは何年も先ということだった。
『え? そんなに待っていたら私は何歳になると思っているのですか?
ただでさえ婚約者を決めていないのが遅いと言われているのに。その頃には完全な売れ残りではありませんか』
確かに…。
でもコゼットとの婚約がある限り直ぐに娶れない。
そしてコゼットが学園を卒業して 婚姻まで2ヶ月を切った頃、
『ダニエル様、お別れをしましょう』
『どうして』
『前にも申し上げたではありませんか。
第二夫人として娶る契約も交わせないままお待ちできませんわ。
父が縁談をいくつか用意しましたので会うことにしましたの。ですからお別れを、』
『破棄する』
『ダニエル様?』
『コゼットとの婚約は破棄するから、見合いなど止めてくれ』
『いつですか』
『王太子の誕生パーティに来たコゼットに告げる』
『…わかりましたわ。私を正妻として迎えるということでよろしいのですね』
『もちろんだ』
そして婚約破棄を告げた。
急いで屋敷に戻り、言われた通りに書いて父上の机からフォリー家の印章を取り出し 捺してブラウニー家に向かった。
帰っていたコゼットとブラウニー伯爵に手渡した。
罵られるかと思ったが、二人とも笑顔だった。
『長い間いろいろとあったが、これでブラウニー家とフォリー家は赤の他人だ。まあ頑張ってくれ』
『さようなら』
あっけなかったな。
早く破棄すれば良かった。
きっとあの時は既に熱があって錯乱していたのだろう。そうでなければデブでパッとしない錆色の髪の女と婚約したいと言って首に刃物をあてる訳がない。
屋敷に戻り眠りについた。
だがミリアは身持ちが固かった。
『夫でもない方に体を許すなんて…』
仕方なく娼館に通い始めたが金を払うセックスが嫌で、また夜会でこっそり女遊びを再開した。
だが、ミリアとのデートで悶々とする。
すぐ隣に女がいるのに何故抱けないのだろうか。
愛しているなら繋がりたいと思うだろうと聞くと、
『ダニエル様は婚約者がいらっしゃいます。
私は純潔を捧げても妻にはなれません』
妾は嫌ということか
『第二夫人だったらいいのか?』
『口約束は嫌ですわ』
つまり婚姻契約書を交わせということだ。
父上に第二夫人の話をしたらペーパーウエイトを投げられた。避けたけど。
『正妻と婚姻して 一人前になって 爵位を継いで 正妻との間に五年以上子が授からないときに初めて第二夫人を娶る話をするものだ!
お前には何一つ成せていないではないか!
半端者のクセに生意気を言うな!
二度とその話はするな!』
そんなに怒らなくたっていいじゃないか。
つまりミリアを第二夫人にするのは何年も先ということだった。
『え? そんなに待っていたら私は何歳になると思っているのですか?
ただでさえ婚約者を決めていないのが遅いと言われているのに。その頃には完全な売れ残りではありませんか』
確かに…。
でもコゼットとの婚約がある限り直ぐに娶れない。
そしてコゼットが学園を卒業して 婚姻まで2ヶ月を切った頃、
『ダニエル様、お別れをしましょう』
『どうして』
『前にも申し上げたではありませんか。
第二夫人として娶る契約も交わせないままお待ちできませんわ。
父が縁談をいくつか用意しましたので会うことにしましたの。ですからお別れを、』
『破棄する』
『ダニエル様?』
『コゼットとの婚約は破棄するから、見合いなど止めてくれ』
『いつですか』
『王太子の誕生パーティに来たコゼットに告げる』
『…わかりましたわ。私を正妻として迎えるということでよろしいのですね』
『もちろんだ』
そして婚約破棄を告げた。
急いで屋敷に戻り、言われた通りに書いて父上の机からフォリー家の印章を取り出し 捺してブラウニー家に向かった。
帰っていたコゼットとブラウニー伯爵に手渡した。
罵られるかと思ったが、二人とも笑顔だった。
『長い間いろいろとあったが、これでブラウニー家とフォリー家は赤の他人だ。まあ頑張ってくれ』
『さようなら』
あっけなかったな。
早く破棄すれば良かった。
きっとあの時は既に熱があって錯乱していたのだろう。そうでなければデブでパッとしない錆色の髪の女と婚約したいと言って首に刃物をあてる訳がない。
屋敷に戻り眠りについた。
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