【完結】騙された? 貴方の仰る通りにしただけですが

ユユ

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夜の女神の妹

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 様々な視線が私に降り注ぐ。

 憐れむ視線
 嘲る視線
 安堵の視線

 何の視線も吸収することなく王太子妃殿下のもとへ向かった。



「王太子殿下の誕生日を祝うパーティで水を差すようなことになり、心よりお詫び申し上げます」

「其方が謝る必要はない。
 破棄か。婚約は…いいのか?」

「はい。望んだ婚約ではございませんので」

「コゼット、いいの?  式は1ヶ月後じゃない」

「王太子妃殿下、前日や当日ではなかっただけ良かったですわ」

「コゼット、そんな呼び方をしないで」

「お姉様」

「フォリー公爵家のダニエルか。
 ここまで愚かだったとは」

「王太子殿下。明日一番に書類を提出いたしますので、何卒宜しくお願いいたします」

「急ぐのか」

「フォリー公爵に気付かれないうちに済ませたいのです」

「公爵が知れば息子を説得して継続しそうだものね」

「はい、お姉様」

「分かった。私を訪ねてこい。私から最優先の案件として迅速に受理させよう」

「感謝いたします。王太子殿下」

「なに。可愛い義妹の小さな望みなど容易いことだ」

「コゼット、あいつに思い知らせてやることもできるのよ」

「破棄だけで十分です。お姉様」

「愛してるわ。私の可愛いコゼット」

「私も愛してますわ、お姉様」




コゼットの婚約者 ダニエル・フォリーが退場した後の王太子夫妻とコゼットの会話は静まり返った会場にいた皆が耳にした。

忘れていた者も多かったが改めて思い出す。
このポッチャリした田舎臭さ溢れる令嬢は王太子妃殿下の妹だと。

よく見ると 夜の女神と呼ばれていた王太子妃殿下に似ている。
痩せて装いを変えればかなりの美女だろうことは容易く想像できたのに、何故かそのまま受け入れていた。

「あっ…」

近くにいた者がようやく気付く。髪と睫毛の色が違うと。
錆色の髪をしているが、睫毛は王太子妃殿下と同じプラチナブロンド。
よく見ると、長い前髪から覗く瞳の色は王太子妃殿下と同じアクアマリンの瞳。

「ようやく解放されたのですね、コゼット様」

「サヴァン子爵」

「ダンスを踊ってもらえませんか」

「喜んで」


今迄の彼女のダンスは何だったのであろうか。
よく婚約者の足を踏んでいたコゼットは何処にもいない。

夜会を制した姉と同じ、妖精のように舞う。

「明日、求婚しに伺います」

「お待ちしておりますわ」



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