【完結】もう愛しくないです

ユユ

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「巻き戻り?」

「まず、生まれてから16歳迄の人生。そこで私は死んで5歳に巻き戻った。

そしてまた16歳で死んで、また5歳に巻き戻った。今は2度巻き戻った後の人生でどれも記憶があるの」

私は2度の死について話をした。
1度目は化け物になったことに悲観して自殺し、2度目は凌辱中に殺されたことを話した。

途中何度も言葉に詰まり涙を流し、ようやく話し終えた。

「じゃあ、教養も」

「最初は普通に学んで、次は補うようにしたから今回の私は満点だったの」

「レジェール侯爵令嬢は私の婚約者だったというのか」

「過去2回とも。だけど仲は…どうだろう。政略結婚なのか淡白な関係だったようだわ。

彼女は私が入学した時には既に彼と恋人同士だった。アル様との事はよくわからないの」

「エマは伯爵令息が好きだったという事か」

「5歳の顔合わせで王子様が現れたと思ってしまったの。巻き戻っても次は失敗しないと思って…馬鹿だったわ。私がどうしようが、彼の本質は変わらないし彼女に惹かれるのは本能なのでしょう」

「……今は?」

「視界に入ってほしくない」

「こんな酷い話だと知っていたら王立学園への入学は反対したのに」

「でも女学校だと無駄に2年を費やすし、学校に行かないわけにはいかない。平民になるなら構わないけど公爵夫人になるなら通わないと」

「私との婚約が君を悪魔に引き合わせてしまったのか」

「……やはり婚約は解消しましょう。
病気を理由にすれば然程噂もされません。婚約したてなら尚更です」

「解消したいのか」

「今のこの身は純潔でも私は婚約者と彼の友人達に穢されました。それにアレクサンドル様は気になさったでしょう。自分との婚約のせいでって。

だから白紙の方がいいかと思います」

「私との婚約を継続すると学園へは」

「通います」

「通わないでくれ」

「1年我慢すればいいことです。それに昨日は偶然ですから」

「私の結論は婚約解消などしない。
いっそ学園を辞めさせてすぐに結婚したいくらいだ。

双子の報告からすると明らかにエマが目的だ。カリオネ公爵令息がいたから彼は引き下がった。

きっとまた接触してくる。
それに嫌な予感がする。彼の事を調べるよ。

エマは双子とカリオネ公爵令息から離れるな。他の男に頼るのは嫌だが仕方ない」

そう言って夕方に出かけてしまった。


直ぐに戻ってきたアル様は

「カリオネ公爵令息に頼んできた。
伯爵令息からできる限り守ってくれるそうだ」

「アル様……」

「一目惚れなんだろう?確かに容姿に優れていて有名だな」

「……」

「やり直そうなどと思わないよね。言い寄られたとしても」

「彼とは無理です」

「そこは“アル様以外は無理です”と言ってくれ」

「アル様以外とは無理です」

「間違ってまた巻き戻って私とこうならなかった時に困ったら、巻き戻りの前に私が愛していた事を次の私に伝えて欲しい。証拠にこれから話すことを伝えれば信じてもらえるはずだ」

そう言ってアル様しか知らない話を教えてもらった。




次の日から毎朝サースワルド家にカリオネ家の馬車とデスワルド家の馬車が来て、カリオネ家の馬車に乗って4人で登下校をすることになった。馬車乗り場で1人になることもないし、馬車を止められることもない。

彼は伯爵令息、オスカーは公爵令息。
オスカーが盾になれば引き下がらなくてはならない。

「オスカーさん。迷惑をかけてごめんなさい」

「気にするな」

「少しでも負担だと感じたら私に言って」

「わかった」

「食堂利用は止めた方がいいのかしら」

「それは大丈夫。早ければ今日、遅くても数日中に食堂の件だけは解決する」

「そうなの?」

「大丈夫だ」

「オスカーさんの婚約者は」

「政略で結んだ婚約者がいるよ」

「誤解されたりしない?」

「そっちもアレクサンドル様が話をつけた」

「ありがとうございます」





授業が終わり食堂へ行くと入り口に“3年生は利用できません”と書いてあった。

「これ…」

「3年生はネクタイやリボンの色が違うから入って来れないよ。

着用義務があるから外して入って来れないし、他の色をつけて入ってきたら問題になる。

それにあの容姿では目立って仕方ない」

「頼んでくれたの?」

「アレクサンドル様もね。

相手がエマさんだから学園側も動いたんだ。気にすることはない。君が笑顔で通ってくれたら学園側は満足だろう。

大体、3年生の棟には専用の食堂があって提供する食事も同じだから知り合いに会うため以外にこっちを利用する必要はない。

学園側も迷惑行為に発展しないよう手を打っただけだ」

「有難いわ。安心して食事ができるものね」

「1年、乗り切りましょう!」

「みんなありがとう」
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