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え? 呪われてないの?
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ガタゴト ガタゴト
「城に着いたら正直に話して欲しい」
「……はい」
「心配は要らない。アルティメヌ男爵家は救出されて実行犯も主犯も捕まった。後は君の証言だけだ」
「……はい」
ナイフでの襲撃に失敗すること6回。
結局バレて捕まって、アレン様に連行されている。
もうアレン様などと呼んではいけない。
きっと私の手を握っているのは逃げないようにするため。
この手の温もりもこれで最後。
仲良くなった白蛇様とのお別れも出来なかった。
王城の控室で待つこと数十分。
連れてこられたのは謁見の間とかいうところらしい。
まだ侯爵様は私の手を握っている。
直ぐに陛下達が入室し質問が始まった。
私はありのままに答えた。
出来ればギロチンでスパッと処刑して欲しい。
多分あれが一番楽な死に方だと思う。
王「令嬢の証言は他の証言と一致する。
よく分かった。
侯爵、意見はあるかな」
侯「クレアは必死だったと思いますが、彼女が私のことを殺そうとしたとはとても思えません。私は彼女にずっと誘惑されていたのです」
私「はあ!?」
王「殺人未遂ではなく誘惑だというのか」
侯「はい、陛下。
彼女は素直過ぎて、最初から全て顔に出ておりました。メイドとして潜入しなくてはならないのに、直ぐに何の経験もないと自白し、その後は一生懸命に勉強をしてきました。
毒薬を持っていたことも知っています。
毒薬を使えなくしておいたのでカトラリーのナイフを使うことにしたようですが、隠すところがなくて太腿に布で括り付けていました。
大胆にも裾を上まで捲り上げてナイフを取ろうとしていたのです。下着も脚も丸見えでした。
ドレスのような制服が邪魔で太腿のナイフが非常に取り難かったのでそうなりました。
結局“暑かったから下着が見えるほど裾を捲った”という言い訳を4回もしました。
それでは駄目だと悟ると、今度は胸元に隠しましたがうっかり引っ掛けてボタンが弾けて胸元が大胆に開きました。それは2回です。
後ろ襟に隠したときは、すぐにずれ落ち、背中に入りました。怖かったのか、“取って”と言って後ろを向きました。私はドレスをはだけさせ、手を突っ込んで背中を弄りナイフを掴んだのです。
足首に括り付けたときは、片足を上げて取ろうとしてバランスを崩して後ろに倒れました。
制服の裾は全て上半身の方に捲り上がり、下半身が丸見えでした。
その次は袖に隠してみたものの、重くて袖から床に落ちてしまい、慌てて拾うものだから顔が私の股間に埋まったのです。
これは私にとっては誘惑ですよ。陛下もそう思いませんか?
そもそもカトラリーのナイフなんかで小柄な彼女が致命傷など負わせられません。持ち手も何もしていないので滑りますし」
王「……」
陛下付きの近衛兵や扉を守る警備兵が唇を噛み締めて肩を振るわせていた。
侯「すっかり彼女の虜になってしまったので、責任を取ってもらって妻にすることにしました」
私「はい?」
侯爵様は跪いた。
侯「クレア・アルティメヌ。
私は君に心も身体も囚われた。
あんなに誘惑されたら これ以上は耐えられない。
責任をとって婚姻してくれ」
私「ゆ、誘惑などしておりません」
侯「俺の白蛇様と仲良くしただろう」
私「あれは…」
王「白蛇様とは何だ」
その後、私が閨教育を受けておらず、両親の誤魔化しを信じていて、更に初めて見た男性器の仕組みに理解ができず、呪われた白蛇様との格闘の日々を事細かに説明をした。
王「……プッ……ククッ…」
私「酷い」
近衛の一人は口に手を当てて笑い声を殺し、もう一人は天を仰ぎながら震えていた。
扉を守る警備兵の一人は腹を押さえて壁に手を付き、もう一人は涙を流して歯を食いしばっていた。
侯「私の白蛇様はクレアに散々遊ばれて話しかけられて懐いてしまいました。もう他の女を嫁になどできません。
男爵からは婚約の許可をいただいております」
王「アルティメヌ嬢。其方の処罰はルセール侯爵との婚姻だ。白蛇様は呪われていない。祓魔師も医師も必要ない。其方が生涯可愛がってやれ」
侯「クレア」
私「お受けいたします」
「城に着いたら正直に話して欲しい」
「……はい」
「心配は要らない。アルティメヌ男爵家は救出されて実行犯も主犯も捕まった。後は君の証言だけだ」
「……はい」
ナイフでの襲撃に失敗すること6回。
結局バレて捕まって、アレン様に連行されている。
もうアレン様などと呼んではいけない。
きっと私の手を握っているのは逃げないようにするため。
この手の温もりもこれで最後。
仲良くなった白蛇様とのお別れも出来なかった。
王城の控室で待つこと数十分。
連れてこられたのは謁見の間とかいうところらしい。
まだ侯爵様は私の手を握っている。
直ぐに陛下達が入室し質問が始まった。
私はありのままに答えた。
出来ればギロチンでスパッと処刑して欲しい。
多分あれが一番楽な死に方だと思う。
王「令嬢の証言は他の証言と一致する。
よく分かった。
侯爵、意見はあるかな」
侯「クレアは必死だったと思いますが、彼女が私のことを殺そうとしたとはとても思えません。私は彼女にずっと誘惑されていたのです」
私「はあ!?」
王「殺人未遂ではなく誘惑だというのか」
侯「はい、陛下。
彼女は素直過ぎて、最初から全て顔に出ておりました。メイドとして潜入しなくてはならないのに、直ぐに何の経験もないと自白し、その後は一生懸命に勉強をしてきました。
毒薬を持っていたことも知っています。
毒薬を使えなくしておいたのでカトラリーのナイフを使うことにしたようですが、隠すところがなくて太腿に布で括り付けていました。
大胆にも裾を上まで捲り上げてナイフを取ろうとしていたのです。下着も脚も丸見えでした。
ドレスのような制服が邪魔で太腿のナイフが非常に取り難かったのでそうなりました。
結局“暑かったから下着が見えるほど裾を捲った”という言い訳を4回もしました。
それでは駄目だと悟ると、今度は胸元に隠しましたがうっかり引っ掛けてボタンが弾けて胸元が大胆に開きました。それは2回です。
後ろ襟に隠したときは、すぐにずれ落ち、背中に入りました。怖かったのか、“取って”と言って後ろを向きました。私はドレスをはだけさせ、手を突っ込んで背中を弄りナイフを掴んだのです。
足首に括り付けたときは、片足を上げて取ろうとしてバランスを崩して後ろに倒れました。
制服の裾は全て上半身の方に捲り上がり、下半身が丸見えでした。
その次は袖に隠してみたものの、重くて袖から床に落ちてしまい、慌てて拾うものだから顔が私の股間に埋まったのです。
これは私にとっては誘惑ですよ。陛下もそう思いませんか?
そもそもカトラリーのナイフなんかで小柄な彼女が致命傷など負わせられません。持ち手も何もしていないので滑りますし」
王「……」
陛下付きの近衛兵や扉を守る警備兵が唇を噛み締めて肩を振るわせていた。
侯「すっかり彼女の虜になってしまったので、責任を取ってもらって妻にすることにしました」
私「はい?」
侯爵様は跪いた。
侯「クレア・アルティメヌ。
私は君に心も身体も囚われた。
あんなに誘惑されたら これ以上は耐えられない。
責任をとって婚姻してくれ」
私「ゆ、誘惑などしておりません」
侯「俺の白蛇様と仲良くしただろう」
私「あれは…」
王「白蛇様とは何だ」
その後、私が閨教育を受けておらず、両親の誤魔化しを信じていて、更に初めて見た男性器の仕組みに理解ができず、呪われた白蛇様との格闘の日々を事細かに説明をした。
王「……プッ……ククッ…」
私「酷い」
近衛の一人は口に手を当てて笑い声を殺し、もう一人は天を仰ぎながら震えていた。
扉を守る警備兵の一人は腹を押さえて壁に手を付き、もう一人は涙を流して歯を食いしばっていた。
侯「私の白蛇様はクレアに散々遊ばれて話しかけられて懐いてしまいました。もう他の女を嫁になどできません。
男爵からは婚約の許可をいただいております」
王「アルティメヌ嬢。其方の処罰はルセール侯爵との婚姻だ。白蛇様は呪われていない。祓魔師も医師も必要ない。其方が生涯可愛がってやれ」
侯「クレア」
私「お受けいたします」
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