上 下
42 / 53

お義姉様ぁ!

しおりを挟む
歓談に割りいる人はあの高飛車王女だった。  

ブ「ちょっと貴女!」

名前を呼ばれたわけではない。

キョロキョロと周りを見渡すフリをした。

ブ「貴女よ!一番小さい女よ!」

爪先立ちをしてみたが、それでも一番小さかった。

オ「ククッ」

ノエルくんが私を背に隠した。

ブ「どきなさい!王女の前に立ちはだかるだなんて!何て不敬なの!」

ノ「私の婚約者なので」

そこに救世主が現れた。

エ「あら、ブリジット王女殿下。声を荒げてはしたない。殿下はあの頃とお変わり無くて残念ですわ」

王女が青筋を立てて向いた先は 声の主エリーゼ様だった。

ブ「あ、貴女はっ!」

エ「庭園で、自分のドレスと似たドレスを着ていた令嬢に詰め寄っていたって伺いましたわ。
アドニアは替えのドレスが用意できないほど困窮なさっていたのね。一枚プレゼントして差し上げましょうか?」

ブ「そ、そんなことは」

エ「一々 自分より身分の低い者に牙を剥く王族なんてどんな目で見られるか教わらなかったのかしら」

ブ「エ、エリーゼ様」

エ「貴女はアドニアの顔として参加しているの。
国益を損ねるかどうかは貴女次第なのよ」

ブ「申し訳ございません」

エ「この子は私の義妹なの。手出し無用よ」

ブ「し、失礼いたしました」

サ「ブリジット!何をしているんだ!」

ブ「兄様」

サ「妹が失礼をいたしました。エリーゼ様、お久しぶりでございます」

エ「サミュエル王太子殿下、アドニアの為に王女は表に出さない方がよろしいですわ」

サ「ご忠告、痛み入ります」

エ「クリスティーナちゃん、怖かったわね。もう大丈夫よ」

私「お義姉様ぁ~」

エ「いい子ね」

拳を握りしめていたのがバレていた。


オ「君がクリスティーナ嬢の婚約者?」

ノ「はい」

オ「名前は」

ノ「スプラナード公爵家の三男 ノエルと申します。クリスティーナとは幼馴染でずっと一緒に過ごしてまいりました。
今は婚約となりました」

オ「幸せ者だね」

ノ「仰る通りです」

オ「義姉にも恵まれてるみたいだね」

ノ「はい。素晴らしい方が嫁いてきてくださって感謝しております」

私「(私も)」

エリーゼ様に囁いた。
 
エリーゼ様がニッコリ微笑んだ。

王妃「さあ、クリスティーナ嬢。公子とお散歩していらっしゃい」

私「ありがとうございます。失礼いたします。
ノエルくん、行こう」

ノエルくんと手を繋いで続きを食べに向かった。




クリスティーナとノエルが場を離れ、イリスが王妃と移動した後。

オ「ファーズ侯爵、クリスティーナ嬢はいつ婚約を?」

侯「一昨日です」

オ「取り消してくれないだろうか」

侯「と言いますと?」

オ「第二妃に迎えたい」

侯「クリスティーナはファーズ家の跡継ぎですのでご希望には添えません。例えそうでなくとも国外に出す気はございません」

オ「第二妃では不服か」

侯「愛する妻の忘れ形見なのです。
瓜二つで純粋な娘を手離すなど、考えたくもありません」

オ「一人娘か」

侯「左様でございます」

オ「てっきり男兄弟がいるのかと」

侯「クリスティーナ 一人です」

オ「惜しいな」







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫

紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。 スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。 そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。 捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。

実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います

榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。 なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね? 【ご報告】 書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m 発売日等は現在調整中です。

婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした

アルト
ファンタジー
今から七年前。 婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。 そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。 そして現在。 『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。 彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。

公爵令嬢の立場を捨てたお姫様

羽衣 狐火
恋愛
公爵令嬢は暇なんてないわ 舞踏会 お茶会 正妃になるための勉強 …何もかもうんざりですわ!もう公爵令嬢の立場なんか捨ててやる! 王子なんか知りませんわ! 田舎でのんびり暮らします!

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

【完結】これからはあなたに何も望みません

春風由実
恋愛
理由も分からず母親から厭われてきたリーチェ。 でももうそれはリーチェにとって過去のことだった。 結婚して三年が過ぎ。 このまま母親のことを忘れ生きていくのだと思っていた矢先に、生家から手紙が届く。 リーチェは過去と向き合い、お別れをすることにした。 ※完結まで作成済み。11/22完結。 ※完結後におまけが数話あります。 ※沢山のご感想ありがとうございます。完結しましたのでゆっくりですがお返事しますね。

何も知らない愚かな妻だとでも思っていたのですか?

木山楽斗
恋愛
公爵令息であるラウグスは、妻であるセリネアとは別の女性と関係を持っていた。 彼は、そのことが妻にまったくばれていないと思っていた。それどころか、何も知らない愚かな妻だと嘲笑っていたくらいだ。 しかし、セリネアは夫が浮気をしていた時からそのことに気づいていた。 そして、既にその確固たる証拠を握っていたのである。 突然それを示されたラウグスは、ひどく動揺した。 なんとか言い訳して逃れようとする彼ではあったが、数々の証拠を示されて、その勢いを失うのだった。

それでも、私は幸せです~二番目にすらなれない妖精姫の結婚~

柵空いとま
恋愛
家族のために、婚約者である第二王子のために。政治的な理由で選ばれただけだと、ちゃんとわかっている。 大好きな人達に恥をかかせないために、侯爵令嬢シエラは幼い頃からひたすら努力した。六年間も苦手な妃教育、周りからの心無い言葉に耐えた結果、いよいよ来月、婚約者と結婚する……はずだった。そんな彼女を待ち受けたのは他の女性と仲睦まじく歩いている婚約者の姿と一方的な婚約解消。それだけではなく、シエラの新しい嫁ぎ先が既に決まったという事実も告げられた。その相手は、悪名高い隣国の英雄であるが――。 これは、どんなに頑張っても大好きな人の一番目どころか二番目にすらなれなかった少女が自分の「幸せ」の形を見つめ直す物語。 ※他のサイトにも投稿しています

処理中です...