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釣書BOX
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真新しいベビーベッドに寝かされた赤ちゃんを覗き見ている。
「爪、ちっちゃい」
「クリスティーナちゃんも後4年もしたら産んでいるかもよ」
「え?」
「だって、3年学園に通ったら次は結婚じゃない」
「そんな早く要らないです」
「そうなの?」
「24くらいから考えます」
「そ、そう」
赤ちゃんの母親はスプラナード公爵家の長男セイル様の妻エリーゼ様だ。
「貴族は乳母がいて楽ですね。メイドもあるからおしめを洗ったりしなくていいですし」
「確かに平民と比べたら楽だけど責任は重大よ」
「結婚かぁ」
「相手を探さないの?」
「今が幸せで」
「そうなの? でも周りはどんどん婚約していっちゃって余りモノは難ありよ?
それにファーズ家に婿を迎えなくちゃいけないでしょう」
「私を知れば嫌になりますよ」
「そうかしら」
「男兄弟が居たらなぁ。
連れ子の居ない継母を探した方が早いかもしれません」
「でも男の子が産まれるとは限らないのよ?」
「確かに」
そこにノエルくんがやってきた。
「ここにいたのか。勉強始めるぞ」
「この子にはまだ早いよ」
「お前だよ、ティナ」
「寝ちゃったらごめんね」
「菓子を用意させたから眠くなったら口に入れろ」
「へい」
「“はい”だろう」
「ノエルくん。おんぶして連れてって」
「……落ちるなよ」
「じゃあエリーゼ様、失礼します」
「頑張ってね……フフッ」
30分後
「条約……」
「こら。寝るな」
口の中にお菓子を押し込まれた。
チュウっ
「それは私の指だっ」
チュウっ
「ティナ」
そして夕食だと起こされた。
公「勉強はできたのかな?」
ノ「すぐに寝ました」
私「なんでバラすの?」
ノ「先生に居残りさせられるぞ」
私「きっとノエルくんの声で眠くなっちゃうんだと思う」
ノ「人のせいにして」
ケ「まだ子供だから眠いんだよな」
私「そうです。だから眠くなるしお婿さんもまだ考えられません」
ケ「多分 ファーズ邸には釣書がいっぱい届いていると思うぞ」
ケイン様の言葉をきっかけに、翌朝 父に聞いてみた。
「そりゃ 届いてるよ」
「どうしてるんですか?」
「まだ検討する時期じゃないから一旦お断りしているよ」
父は箱を持ってきて私の前に置いた。
「この中にある」
「わざわざ箱に入れたのですか……何でもないです」
数件かと思って蓋を開けたらギッシリ入っていた。
「私は仕事だから、ゆっくりしていなさい。
つまらなければスプラナード邸に行くといい」
「は~い」
父はとても忙しいらしく帰りはとても遅い。
陛下が辞めないでと懇願するくらいだから、代わりのいない仕事なのだろうとは思う。
昔聞いてみたけど秘密だよと言われてしまった。
財務と聞いたけど、日本でいう“公安” みたいな感じなのかなと想像している。
一通り目を通すと疲れたので野良猫に会いに庭に出た。
最近ウロウロしているから見かけると餌をやるようになった。
探したけど見つからない。
そろそろ昼食なので戻ることにした。
「ノエルくん、来てたんだ」
「そうだな」
あれ? 機嫌が悪そうだ。
さっさと食事を済ませれば帰るだろうと思っていたけど、食後に居間に連れて来られた。
「コレ何」
「? 釣書」
「知ってるよ」
じゃあ、何で聞くのよ!
書類を箱にしまっていると
「アラン・オッセン…」
「驚いたわ。多分ご両親が送ってきたのね」
「どうしてそう思うんだ」
「オッセンくんが望んで送ったなら、縁談の話をしてきたと思う。でも彼の口から一言も出てないし」
「で、興味が湧いた?」
「何で? 全部お父様が一旦断ったらしいし、私も早いと思っているから。エリーゼ様は早く始めた方がいいって仰っていたけど」
「は?」
「いい物件は早く消えていく的なことを言われたわ。確かにそうだとは思うから、念のために書類に目を通しただけ」
「こんなものは取っておくな。燃やしてしまえ」
「お父様が保管しているのに私がどうこうできないよ」
「……」
「爪、ちっちゃい」
「クリスティーナちゃんも後4年もしたら産んでいるかもよ」
「え?」
「だって、3年学園に通ったら次は結婚じゃない」
「そんな早く要らないです」
「そうなの?」
「24くらいから考えます」
「そ、そう」
赤ちゃんの母親はスプラナード公爵家の長男セイル様の妻エリーゼ様だ。
「貴族は乳母がいて楽ですね。メイドもあるからおしめを洗ったりしなくていいですし」
「確かに平民と比べたら楽だけど責任は重大よ」
「結婚かぁ」
「相手を探さないの?」
「今が幸せで」
「そうなの? でも周りはどんどん婚約していっちゃって余りモノは難ありよ?
それにファーズ家に婿を迎えなくちゃいけないでしょう」
「私を知れば嫌になりますよ」
「そうかしら」
「男兄弟が居たらなぁ。
連れ子の居ない継母を探した方が早いかもしれません」
「でも男の子が産まれるとは限らないのよ?」
「確かに」
そこにノエルくんがやってきた。
「ここにいたのか。勉強始めるぞ」
「この子にはまだ早いよ」
「お前だよ、ティナ」
「寝ちゃったらごめんね」
「菓子を用意させたから眠くなったら口に入れろ」
「へい」
「“はい”だろう」
「ノエルくん。おんぶして連れてって」
「……落ちるなよ」
「じゃあエリーゼ様、失礼します」
「頑張ってね……フフッ」
30分後
「条約……」
「こら。寝るな」
口の中にお菓子を押し込まれた。
チュウっ
「それは私の指だっ」
チュウっ
「ティナ」
そして夕食だと起こされた。
公「勉強はできたのかな?」
ノ「すぐに寝ました」
私「なんでバラすの?」
ノ「先生に居残りさせられるぞ」
私「きっとノエルくんの声で眠くなっちゃうんだと思う」
ノ「人のせいにして」
ケ「まだ子供だから眠いんだよな」
私「そうです。だから眠くなるしお婿さんもまだ考えられません」
ケ「多分 ファーズ邸には釣書がいっぱい届いていると思うぞ」
ケイン様の言葉をきっかけに、翌朝 父に聞いてみた。
「そりゃ 届いてるよ」
「どうしてるんですか?」
「まだ検討する時期じゃないから一旦お断りしているよ」
父は箱を持ってきて私の前に置いた。
「この中にある」
「わざわざ箱に入れたのですか……何でもないです」
数件かと思って蓋を開けたらギッシリ入っていた。
「私は仕事だから、ゆっくりしていなさい。
つまらなければスプラナード邸に行くといい」
「は~い」
父はとても忙しいらしく帰りはとても遅い。
陛下が辞めないでと懇願するくらいだから、代わりのいない仕事なのだろうとは思う。
昔聞いてみたけど秘密だよと言われてしまった。
財務と聞いたけど、日本でいう“公安” みたいな感じなのかなと想像している。
一通り目を通すと疲れたので野良猫に会いに庭に出た。
最近ウロウロしているから見かけると餌をやるようになった。
探したけど見つからない。
そろそろ昼食なので戻ることにした。
「ノエルくん、来てたんだ」
「そうだな」
あれ? 機嫌が悪そうだ。
さっさと食事を済ませれば帰るだろうと思っていたけど、食後に居間に連れて来られた。
「コレ何」
「? 釣書」
「知ってるよ」
じゃあ、何で聞くのよ!
書類を箱にしまっていると
「アラン・オッセン…」
「驚いたわ。多分ご両親が送ってきたのね」
「どうしてそう思うんだ」
「オッセンくんが望んで送ったなら、縁談の話をしてきたと思う。でも彼の口から一言も出てないし」
「で、興味が湧いた?」
「何で? 全部お父様が一旦断ったらしいし、私も早いと思っているから。エリーゼ様は早く始めた方がいいって仰っていたけど」
「は?」
「いい物件は早く消えていく的なことを言われたわ。確かにそうだとは思うから、念のために書類に目を通しただけ」
「こんなものは取っておくな。燃やしてしまえ」
「お父様が保管しているのに私がどうこうできないよ」
「……」
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