【完結】体目的でもいいですか?

ユユ

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搾りカス王太子

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【 王太子サリフィス視点 】


やっと追い出せた。

生意気な女だった。

ルーナ・ヘイゼル。
栗色の髪にマリーゴールドの瞳。
よく見れば顔立ちは整っていたがパッとしない女だった。  

宰相の娘だというだけで父上が王太子妃候補に入れてしまい、テストを受けていく間にトップに立った。

だが、私には想い人がいた。

愛らしいカトリーナ。
彼女は令息達の憧れの花だった。

学園ではよく一緒に過ごした。
ドレスや宝石も贈った。
彼女も私に唇を許した。


卒業して半年。このままではルーナに決まってしまう!

母上に頼み込んだ。

『母上!カトリーナを候補に入れてください!』

『あの子は卒業時の成績が悪いから書類選考で落とされたじゃないの』

『もう一度だけチャンスをください!』

『最後よ』


母上が直々にカトリーナを候補に入れた。
その時にはルーナとカトリーナの一騎打ちの状態になった。

ルーナは次々と城務めの者達を掌握し、支持を得ていく。それが私には鼻に付いた。

『女は子を産んで美しく微笑んでいればいいんだ』

『……』

私を蔑んだかのように無表情のルーナに腹が立った。

『サリフィス。失言をしたわね』

『母上?』

『“女は子を産んで美しく微笑んでいればいい”?』

『それは、』

『だとしたら、貴方を世話するメイド達もただ美しく微笑んで、子作りしていればいいのかしら』

『……』

『2人を比べてみたけど、ルーナ嬢で決まりね。
カトリーナ嬢は使い物にならないわ』

『母上!』

『退がりなさい』


その夜、カトリーナの部屋に行った。

『このままでは私達は引き裂かれてしまう』

『ルーナ様が罪を犯して追放されるか、先に世継ぎを産むか』

『カトリーナ』

そのままカトリーナを抱いた。
かなり痛がっていた。

『そろそろ注ぐよ』

『え?』

『子胤だよ』

『……』

『うっ……』

吐精してスッキリさせて部屋に戻った。


カトリーナには言わなかったが、子を孕んでも正妃になれるとは限らない。

確実にルーナを追放しないと。


父上が明日出発すると連絡が入った。

そうだった。宰相と一緒に北の国境へ向かう予定だった。

予定では帰ってくるまでに1ヶ月ほどかかる。

北と言えば醜い顔を仮面で隠したヴォルカン将軍だ。彼が暴れて終戦に導いたと聞いている。
ルーナを断罪してヴォルカンに娶らせよう。

メイドにカトリーナ宛の手紙を届けさせた。

“王家の指輪を盗まれたことにするから同調するように”


指輪を小さな布袋に入れてメイドに託した。

『ルーナの鞄に入れてくれ。報酬ははずむ』

『ですが、』

『断ると君が盗んだことにするよ』

『か、かしこまりました』



見事に指輪を盗んだ罪を着せることができたし、ヴォルカン将軍の元に追放できた。

またカトリーナの部屋に行って抱いたが痛がった。
痛いのは最初だけで後は気持ちよくなるだけじゃないか。

まあ、もう出そうだからいいか。

吐精して自室に戻った。



ルーナを追い出してから3日後、母上から呼び出された。

『サリフィス!貴方何をしたの!』

『何って?』

『ルーナ嬢をヴォルカン将軍に嫁がせたって本当?』

『ええ。私の指輪を盗んだので罰として将軍に下げ渡しました』

『なんて事を!宰相閣下がお怒りになるわ!
それにカトリーナでは妃の公務が出来ないのよ!』

『宰相は臣下ですよ?顔色を伺う必要はありません。妃の公務などその辺の臣下に合間にやらせればいいのです。

それにカトリーナの純潔をもらいました。もしかしたらもう命が宿っているかもしれません』

バシッ

『いっ!! 何をなさるのですか!』

母上の投げつけた扇子が顔に当たった。

『この愚か者が!!
この私や歴代の王妃や妃達を愚弄するのか!!』

『そんなつもりは、』

『お前は間違いなくそう言った!
ならば、王太子妃が任される予定の仕事を全てお前がやってみよ!
必ずお前がやりなさい』

『そんな、』

母上は大きな溜息を吐きお茶を飲み干した。

『大した事がないのでしょう?
馬鹿な案や指示を出せば差し戻す。
ノルマを遂げなければ休憩も睡眠も与えない。
食事は仕事をしながら口にできる物だけを用意させるわ』

『横暴です!』

『横暴なのはサリフィスじゃないの。
王命? 誰が代理権を与えたの?

お前は国王陛下の権利を侵害したの。
陛下はお前に不敬罪を問えるのよ!』

親子王族ですよ!?』

『国王とその他王族には それほどに開きがあるの。
早く自分の執務室に戻りなさい。すぐに仕事を渡すわ』



その後は散々だった。
妃の仕事があんなにあるとは。

早速 外国からの来賓の対応に困ってしまった。
西から来た要人は母国語を口にした。
侍従に通訳を連れて来いと耳打ちするが、“西の国の言葉のサポート役は王太子妃殿下の役目となります。つまりは通訳は用意しておりません” と返された。

冷や汗ばかりが出て話が進まない。
相手も私を無視して連れと話し出した。

そこに母上王妃が現れて、西の言葉で会話を始めた。

『お前が下に見た妃の役割よ。西も含め、もう一つ異なる言葉を話す国があるから すぐに習得するように』



カトリーナは閨事を嫌がるようになった。

『連日は困ります』

『だけどもう、こんなになっているから』

カトリーナの手を掴み、勃ち上がった陰茎を服の上から触らせた。

『そろそろ実家に戻りたいです』

『一緒に追い出しただろう。もう君は王太子妃だ。
さあ、子作りをしよう』

こんなに愛してあげているのにカトリーナの顔は曇っていった。


どんどん仕事が溜まり、その内 カトリーナと過ごす時間が無くなってしまった。




ルーナを追い出してから6日後。

『ルーナが死んだ?』

『護送していた兵士が戻って来ました。
化け物級の熊に襲われてヘイゼル侯爵令嬢と数人の兵士が犠牲になりました』

『……』



その後も、

『来期の孤児救済案がこれ?
6歳児じゃあるまいし。
王太子の地位に相応しい案を出しなさい。
全く、恥ずかしい。
ルーナならこんな案をよこさないはず』

様々な書類が却下されて返ってくる。
休憩もせず、ほとんど眠ることも許されず、カトリーナを抱けずに限界だった。



見張りの兵士を振り切り、カトリーナの部屋に入り鍵をかけた。

『カトリーナ』

下着を脱がそうとすると拒否された。

『嫌!』

『カトリーナ?』

『もう したくない!』

『どうしたんだ。寂しかったのか?』

『もう月のモノは来ましたから、望めば家に帰してもらえると言われました。
私には妃は無理です!帰ります!』

『今更 許されないぞ!』

暴れるカトリーナの頬に平手を打ち付けた。


下着をずらして陰茎を唾で濡らして挿入した。

『痛い!』

『いつまでも喚くな!
元々穴が開いているんだから痛くないはずだ!
お前の出来ることは大人しく股を開くことだけだ!』

『貴方が下手くそなんじゃない!
お粗末な前戯だから痛いのよ!
しかも挿入して1分で終わりだなんて、早漏過ぎるわよ!』



その後はよく覚えていない。


部屋の中から尋常じゃない叫び声を聞いた兵士がドアを壊して目撃したのは、私がカトリーナを犯しながら、彼女の顔に何度も拳を振り下ろしていた姿だったと聞かされた。      



予定より早く父上達が帰ってきた。

監禁されていた自室に父上がやって来た。

『とんでもないことをしてくれたな』

『父上』

『冤罪を被せて追い出したいほどルーナ嬢が嫌だったのか?それともカトリーナ嬢に骨を抜かれたか?』

『冤罪ではありません。実際にルーナの鞄から出て来たのです!』

『先ず、何があってもお前に王命は行使出来ない。

そして指輪は冤罪だ。
サリフィス。いつも身に付けているはずの指輪をどう盗まれるのか教えてくれ』

『風呂に入った時に』

『メイドや見張りの兵士を倒して侵入して奪ったと言うのか?』

『寝ている間かも、』

『だから見張りの兵士達は?
お前の部屋の前、廊下、階段と様々な場所にいるぞ。 
当然ルーナ嬢の部屋の前にも女性兵士が立っている。

彼女は一度も王族居住区に足を踏み入れたことはない』

『誰かを使って、』

『その言葉に責任を取れるのか?
王族居住区に一歩でも踏み入れた者を全員尋問しなくてはならない。
お前の側近や侍従も含めてな。
カトリーナ嬢もだぞ』

『っ!!』

『まあ、カトリーナは二度と話すことはできないだろう』

『え?』

『5日前に息を引き取った』

『!!』

『強姦殺人だな』

『父上っ』

『どう冤罪が行われたのか調査しよう』



その日から自室や貴族牢ではなく、一般の独房に入れられた。




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