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冤罪をかけられたルーナ
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【 ルーナの視点 】
バン!
王太子の婚約者候補として残った2人の令嬢が授業を受ける最中に乱入したのは 王太子のサリフィスだった。
「ルーナ・ヘイゼル!
お前の悪事は明らかになったぞ!」
「……」
大きな音と大声に萎縮して声が出ない。
「お前の使っている客室の鞄の中から私の指輪が見つかった!」
指輪?
次期国王に指名された証の指輪を王太子が手にしていた。
「ぞ、存じ上げません」
「カトリーナ、其方のいう通りだった」
もう一人の婚約者候補のカトリーナは王太子に満面の笑みを向けた後、私に向き直った。
「ルーナ様。最近挙動がおかしくて もしやと思っておりましたの。出来心ですわよね」
「ち、違っ」
「サリフィス様、どうか極刑だけは。
間違いを犯しましたが 彼女は宰相様のご息女。
貴族としての務めを果たさせることでどうか収めてくださいませんか」
カトリーナが跪き懇願した。
「カトリーナ様!?」
「流石はカトリーナ。私の妃に相応しい。
おい。カトリーナの慈悲深さに感謝するんだな。
極刑は止めてやる。
そうだな。お前にはオルポンス・ヴォルカンに嫁ぐことを命じる」
オルポンス・ヴォルカンって…狂乱の戦士と呼ばれて顔の4分の1以上に火傷の跡があり、醜さも合わさって誰も嫁に行きたがらず、政略結婚として婚約が決まりかけた令嬢達がことごとく失踪したり自殺未遂をしたりするという噂の!?
「国王陛下のご意見は、」
「父上の不在中は私が国王代理だ。
父上の帰りを待つ必要はない。
証拠がお前の部屋から出てきたのだから逃れられないだろう。
極刑を止めてやったんだ。ありがたいと思え。
先方に王命書を早馬で届けておいてやるからな。
おい、此奴の荷物を纏めて旅支度をしろ!ヴォルカン将軍の領地へ確実に送り届けろ!」
「違っ、私は、」
「聡明で愛らしいカトリーナ。
やっと其方を婚約者にできる」
「私の様な者がサリフィス様の妻だなんて。
とても次期王妃は務まりませんわ」
「お高くとまった可愛げのない女と比べなくていい。
飾り気のない垢抜けない女より カトリーナの様な誰よりも愛らしくて愛嬌のある女の方がいい。
妃は私を癒すことを優先し 公務などは臣下にやらせておけばいいんだ」
王太子はそう言いながら、カトリーナの腰を引き寄せて耳に唇を付けた。
手は くびれをなぞりながら臀部へと忍ばせた。
王太子とカトリーナは既に閨を共にしているのだとルーナは気付いた。
2人は共謀して、私を陥れたのだと悟った。
だって、いつも王太子殿下が指にはめている指輪を私が盗めるはずがないのだもの。
チャンスがあるのは王太子殿下の専属メイドか専属護衛、本人と寝所で王太子殿下と過ごしたカトリーナ様だけ。
王妃様ということはないと思う。私に優しく声をかけてくださっていたから。
翌早朝、馬車に乗せられて外から鍵を掛けられた。
誰の見送りもなく出発した。
ヴォルカン領は南の隣国と隣接した国境のある地だ。北の辺境よりは近い。
宿にも宿泊させてもらえず、川の水で布を濡らして体を拭くしかなかった。
一行の中に女性は一人もいなかった。
ニヤニヤと不躾な目線を送る兵士達に見張らせて水浴びなど出来なかった。
2日後、森を通り抜けている最中に巨大な熊と出会した。
「熊だ!」
ヒヒィーン!!
騎士達が熊と対峙している間に馬車が暴走してしまった。
《お父様!助けて!》
大きな衝撃を受けて意識を失った。
バン!
王太子の婚約者候補として残った2人の令嬢が授業を受ける最中に乱入したのは 王太子のサリフィスだった。
「ルーナ・ヘイゼル!
お前の悪事は明らかになったぞ!」
「……」
大きな音と大声に萎縮して声が出ない。
「お前の使っている客室の鞄の中から私の指輪が見つかった!」
指輪?
次期国王に指名された証の指輪を王太子が手にしていた。
「ぞ、存じ上げません」
「カトリーナ、其方のいう通りだった」
もう一人の婚約者候補のカトリーナは王太子に満面の笑みを向けた後、私に向き直った。
「ルーナ様。最近挙動がおかしくて もしやと思っておりましたの。出来心ですわよね」
「ち、違っ」
「サリフィス様、どうか極刑だけは。
間違いを犯しましたが 彼女は宰相様のご息女。
貴族としての務めを果たさせることでどうか収めてくださいませんか」
カトリーナが跪き懇願した。
「カトリーナ様!?」
「流石はカトリーナ。私の妃に相応しい。
おい。カトリーナの慈悲深さに感謝するんだな。
極刑は止めてやる。
そうだな。お前にはオルポンス・ヴォルカンに嫁ぐことを命じる」
オルポンス・ヴォルカンって…狂乱の戦士と呼ばれて顔の4分の1以上に火傷の跡があり、醜さも合わさって誰も嫁に行きたがらず、政略結婚として婚約が決まりかけた令嬢達がことごとく失踪したり自殺未遂をしたりするという噂の!?
「国王陛下のご意見は、」
「父上の不在中は私が国王代理だ。
父上の帰りを待つ必要はない。
証拠がお前の部屋から出てきたのだから逃れられないだろう。
極刑を止めてやったんだ。ありがたいと思え。
先方に王命書を早馬で届けておいてやるからな。
おい、此奴の荷物を纏めて旅支度をしろ!ヴォルカン将軍の領地へ確実に送り届けろ!」
「違っ、私は、」
「聡明で愛らしいカトリーナ。
やっと其方を婚約者にできる」
「私の様な者がサリフィス様の妻だなんて。
とても次期王妃は務まりませんわ」
「お高くとまった可愛げのない女と比べなくていい。
飾り気のない垢抜けない女より カトリーナの様な誰よりも愛らしくて愛嬌のある女の方がいい。
妃は私を癒すことを優先し 公務などは臣下にやらせておけばいいんだ」
王太子はそう言いながら、カトリーナの腰を引き寄せて耳に唇を付けた。
手は くびれをなぞりながら臀部へと忍ばせた。
王太子とカトリーナは既に閨を共にしているのだとルーナは気付いた。
2人は共謀して、私を陥れたのだと悟った。
だって、いつも王太子殿下が指にはめている指輪を私が盗めるはずがないのだもの。
チャンスがあるのは王太子殿下の専属メイドか専属護衛、本人と寝所で王太子殿下と過ごしたカトリーナ様だけ。
王妃様ということはないと思う。私に優しく声をかけてくださっていたから。
翌早朝、馬車に乗せられて外から鍵を掛けられた。
誰の見送りもなく出発した。
ヴォルカン領は南の隣国と隣接した国境のある地だ。北の辺境よりは近い。
宿にも宿泊させてもらえず、川の水で布を濡らして体を拭くしかなかった。
一行の中に女性は一人もいなかった。
ニヤニヤと不躾な目線を送る兵士達に見張らせて水浴びなど出来なかった。
2日後、森を通り抜けている最中に巨大な熊と出会した。
「熊だ!」
ヒヒィーン!!
騎士達が熊と対峙している間に馬車が暴走してしまった。
《お父様!助けて!》
大きな衝撃を受けて意識を失った。
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