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冷たくされる令息
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【 ウィリアムの視点 】
香水を禁止させるように命じた2日後の昼、ロザリーナがやってきた。
『ぼっちゃま、公爵令嬢と侯爵令嬢がドレスをご所望です。仕立て屋を呼んで欲しいと』
『荷馬車2台分の荷物があっただろう』
『ぼっちゃま、香水を禁止なさったからです』
『香水?』
『はい。ご令嬢方のドレスはどれも豪華なものですので……臭いがあるのでしょう』
『洗濯しているのだろう?』
『あのようなドレスは都度洗うわけではありませんし、物によっては洗えません。
部分的に汚れが目立つ所を当て布をして叩いたりして薄くさせる程度です。
洗えても、乾かすのが非常に難しく、上手く乾かせなくて、酷いと臭い雑巾のような臭いがします』
『香水で悪臭を誤魔化していると言うのか』
そう言えば夕食でララが臭うと言っていた。
今朝のダンスでは臭いが気になったが部屋か外からだと思っていた。あの二人から!?
『ララは香水など付けないし、いつも良い香りだ』
『あのワンピースなら毎回洗えます』
『着られるものがあるのに仕立てるのか』
『呼び付けて滞在させているのはこちらですので必要となれば対応しませんと』
『洗えてちゃんと乾くドレスなら許可しよう。臭くなるだけのドレスは自分達で買わせてくれ。
ララの分は私が選ぶから採寸だけ済ませてくれ』
『……かしこまりました』
しかし、朝食後、
『ぼっちゃま、ララ様は要らないから採寸はなさらないと仰って、』
『私が話しに行こう』
部屋を訪ねると、廊下に出てきた。
部屋に入れてくれないのか?
『話しがある』
『廊下でお願いします』
『ドレスを遠慮しているそうだな』
『不要なものですので』
『1着も持って来ていないのだろう?』
『必要ありませんから』
『私と出かける時に必要だ。何着かプレゼントするから、』
『でかけませんよ?』
『出かける。二人とはもう出かけた』
『私は城で作業がありますし。
カルヴァロス公爵令息にドレスのお気遣いをいただく必要はありませんわ。
お出かけはお二人を誘ってください』
『それでは公平ではない。
ウィリアムと呼べと言ったじゃないか』
『元々公平ではありませんし、公平である必要もございません。
逆に、ララと呼ばないでください。適切ではございません』
『ララ!』
『夫人との時間に遅れてしまいます。支度が御座いますので失礼します』
そう言ってララは部屋に戻り扉を閉めてしまった。
何でだ!何でララは私の施しを受け入れないんだ!
『ぼっちゃま、令嬢方は質素なドレスは嫌だと仰って、午前中の講義が終われば一旦タウンハウスに戻られるそうです。夕食には戻ると、』
『折角だから戻りは二、三日後でもでいいと伝えてくれ』
『かしこまりました』
『ロザリーナ、どうしたらララはドレスを作らせてくれるのだ』
『……では、こうしましょう。
ジェシカが良くしてもらっているお礼に、皆様の服をプレゼントしたいと言うのです。
カーラ殿や騎士達の分も。
主人のララ様が断ればお連れ様も断ることになりますので、受け入れてくださるかと。
ドレスではなく、ララ様がお召しになっているようなワンピースになさればよろしいのでは?
一緒にララ様達と買い物に出かければ良いのです。
例え既製服を選んだとしても口を出してはなりません。褒めながら、他の物も選んであげれば良いのです。
カーラ殿の分も先に選べば断り難くなります。
もし、一緒にいるジェシカの分もと言い出したら否定せず、一緒に買って差し上げてください。
段階を踏んでいずれはドレスを贈れるところまで持っていきましょう。
明後日はお城はお休みのようですから、私から時間を確保してくださるようお願いしますので』
『よろしく頼む。ありがとう』
『……ここで失敗したら二度と出掛けてはもらえません。しっかり心の準備をなさってください』
『ロザリーナ、君はどう思う?
私の妻に誰が相応しいと思う?』
『次期カルヴァロス公爵夫人としては選ぶのは難しいですね。
単なる使用人の気持ちで願うなら、私共使用人は全員と言っても良いほどララ様がカルヴァロス家に嫁いでくださったらと願っております』
『何故難しいと?』
『ララ様が望んでおられないからです』
『望んでない!?』
『はい。次期公爵夫人の座に興味を示されておりません。今のままでは今回の選定期間が過ぎれば、もうカルヴァロス家とは縁の無い方となるでしょう。
他の殿方のお嫁さんに、』
『ララは私のものだ!他の男になどやるものか!』
『でしたら挽回なさいませ』
そして明後日、令嬢二人を帰し、その隙にララ達と出かけることになった。
流石ロザリーナ。
香水を禁止させるように命じた2日後の昼、ロザリーナがやってきた。
『ぼっちゃま、公爵令嬢と侯爵令嬢がドレスをご所望です。仕立て屋を呼んで欲しいと』
『荷馬車2台分の荷物があっただろう』
『ぼっちゃま、香水を禁止なさったからです』
『香水?』
『はい。ご令嬢方のドレスはどれも豪華なものですので……臭いがあるのでしょう』
『洗濯しているのだろう?』
『あのようなドレスは都度洗うわけではありませんし、物によっては洗えません。
部分的に汚れが目立つ所を当て布をして叩いたりして薄くさせる程度です。
洗えても、乾かすのが非常に難しく、上手く乾かせなくて、酷いと臭い雑巾のような臭いがします』
『香水で悪臭を誤魔化していると言うのか』
そう言えば夕食でララが臭うと言っていた。
今朝のダンスでは臭いが気になったが部屋か外からだと思っていた。あの二人から!?
『ララは香水など付けないし、いつも良い香りだ』
『あのワンピースなら毎回洗えます』
『着られるものがあるのに仕立てるのか』
『呼び付けて滞在させているのはこちらですので必要となれば対応しませんと』
『洗えてちゃんと乾くドレスなら許可しよう。臭くなるだけのドレスは自分達で買わせてくれ。
ララの分は私が選ぶから採寸だけ済ませてくれ』
『……かしこまりました』
しかし、朝食後、
『ぼっちゃま、ララ様は要らないから採寸はなさらないと仰って、』
『私が話しに行こう』
部屋を訪ねると、廊下に出てきた。
部屋に入れてくれないのか?
『話しがある』
『廊下でお願いします』
『ドレスを遠慮しているそうだな』
『不要なものですので』
『1着も持って来ていないのだろう?』
『必要ありませんから』
『私と出かける時に必要だ。何着かプレゼントするから、』
『でかけませんよ?』
『出かける。二人とはもう出かけた』
『私は城で作業がありますし。
カルヴァロス公爵令息にドレスのお気遣いをいただく必要はありませんわ。
お出かけはお二人を誘ってください』
『それでは公平ではない。
ウィリアムと呼べと言ったじゃないか』
『元々公平ではありませんし、公平である必要もございません。
逆に、ララと呼ばないでください。適切ではございません』
『ララ!』
『夫人との時間に遅れてしまいます。支度が御座いますので失礼します』
そう言ってララは部屋に戻り扉を閉めてしまった。
何でだ!何でララは私の施しを受け入れないんだ!
『ぼっちゃま、令嬢方は質素なドレスは嫌だと仰って、午前中の講義が終われば一旦タウンハウスに戻られるそうです。夕食には戻ると、』
『折角だから戻りは二、三日後でもでいいと伝えてくれ』
『かしこまりました』
『ロザリーナ、どうしたらララはドレスを作らせてくれるのだ』
『……では、こうしましょう。
ジェシカが良くしてもらっているお礼に、皆様の服をプレゼントしたいと言うのです。
カーラ殿や騎士達の分も。
主人のララ様が断ればお連れ様も断ることになりますので、受け入れてくださるかと。
ドレスではなく、ララ様がお召しになっているようなワンピースになさればよろしいのでは?
一緒にララ様達と買い物に出かければ良いのです。
例え既製服を選んだとしても口を出してはなりません。褒めながら、他の物も選んであげれば良いのです。
カーラ殿の分も先に選べば断り難くなります。
もし、一緒にいるジェシカの分もと言い出したら否定せず、一緒に買って差し上げてください。
段階を踏んでいずれはドレスを贈れるところまで持っていきましょう。
明後日はお城はお休みのようですから、私から時間を確保してくださるようお願いしますので』
『よろしく頼む。ありがとう』
『……ここで失敗したら二度と出掛けてはもらえません。しっかり心の準備をなさってください』
『ロザリーナ、君はどう思う?
私の妻に誰が相応しいと思う?』
『次期カルヴァロス公爵夫人としては選ぶのは難しいですね。
単なる使用人の気持ちで願うなら、私共使用人は全員と言っても良いほどララ様がカルヴァロス家に嫁いでくださったらと願っております』
『何故難しいと?』
『ララ様が望んでおられないからです』
『望んでない!?』
『はい。次期公爵夫人の座に興味を示されておりません。今のままでは今回の選定期間が過ぎれば、もうカルヴァロス家とは縁の無い方となるでしょう。
他の殿方のお嫁さんに、』
『ララは私のものだ!他の男になどやるものか!』
『でしたら挽回なさいませ』
そして明後日、令嬢二人を帰し、その隙にララ達と出かけることになった。
流石ロザリーナ。
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