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顔合わせ
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兄がカルヴァロス邸まで送ってくれた。
話をつけてくれたようで叱られなかった。
そして明日は決勝戦を観に行っていいらしい。招待券を5枚貰えた。
夕食に呼ばれて出向いたら場違い感が強烈だ。
公爵、公爵夫人、ウィリアム様?
そして馬鹿みたいに着飾った令嬢2人。
私はあの店で高級な部類のワンピース。
公爵家の3人は固まってるし、令嬢達の目は冷たい。
「当主のニコラス・カルヴァロスだ」
「妻のマリア・カルヴァロスと申します」
「嫡男のウィリアム・カルヴァロスと申します。学園は昨年卒業しました。今夜から平等に交流をさせていただきます」
「コナー公爵家の長女エリザベスと申します。
私も学園は昨年卒業いたしました。
特技はヴァイオリンと刺繍でございます」
「モンティ侯爵家の次女ミランダと申します。
私も昨年卒業いたしました。
特技はダンスと刺繍でございます」
「プルシア侯爵家の長女ララと申します。
16歳です。自宅就学です。特技はありません」
全「……」
「さあ、食事をいただこう」
そしてジャブが繰り広げられる。
エ「プルシア侯爵令嬢は特技は無いと仰っておられましたが、好きなことはございませんの?」
私「昼寝です。寝ることが好きです」
ミ「学園へは通われなかったのですね?ご事情でも?」
私「行きたくないだけです」
ウ「何故行きたくないのかな?」
私「寮暮らしが決め手です。王都に屋敷を構えておりませんし、親戚も頼れませんでした」
エ「まあ、仰ってくださればコナー家でお預かりしましたのに」
私「図々しいことはできませんわ」
エ「助け合いではありませんか。コナー家は余裕がありますので遠慮など要りませんわ」
もしかして、ビンボー認定してマウント取り出したの?
ふ~ん。
私「まあ!コナー公爵家は慈愛に満ち溢れておられるのですね!カルヴァロス家の婚約者に相応しい心の美しさはとても私ではコナー公爵令嬢の足元にも及びませんわ」
エ「まあ、率直にありがとうございます」
私「明日からコナー公爵家の素晴らしさを広めますね。
何名まで受け入れ可能ですか?」
エ「え?」
私「受け入れです。
もう既に過去の話となった見ず知らずの私の境遇に手を差し伸べてくださるということは、他にもお困りの入学生をコナー家で受け入れてくださるのですよね?
寮に入るしか選択肢の無い入学生の受け入れをなさるのですよね?」
エ「何故コナー家が…」
私「何が違うのでしょう。
私と同じように、寮にしか入れない方は少なくありません。助け合いで遠慮は要らないと仰ったではありませんか」
エ「それは…貴女だけに」
私「他の困っている方に手を差し伸べる気はない。
私は既に入学を辞退しているから誘ってもお世話になることがないから仰ったことでしたか?
私ったら、気が付かずに申し訳ございません」
エ「っ!」
公「ララ嬢、明日の午後は剣術大会の決勝戦の観戦と聞いたが」
私「はい。みんなで行かせていただきます」
ミ「まあ!素敵!楽しみですわ!何を着ていこうかしら」
私「モンティ侯爵令嬢もチケットをお持ちなのですね」
ミ「えっ?」
私「私達とは別行動になると思いますが、広がるドレスは避けた方がよろしいかと思いますわ」
ミ「先程、みんなで行くと…」
私「私と私のメイドと護衛2人と、公爵家のメイドで行きますの。当日チケットは入手困難かと思いますわ」
ミ「使用人にチケットを?
私に譲ってくださらない?」
私「無理です」
ミ「使用人の分はあって私達の分は無いだなんて!」
私「何故私が面識の無いモンティ侯爵令嬢の分を用意しなくてはならないのですか?
このチケットはお会いする前に手に入れたチケットですのよ?
私と違って王都に滞在なさっているわけですから行きたければモンティ家で入手できたのでは?
譲る?
モンティ侯爵令嬢が平民からチケットを強請るのは外聞が悪過ぎますわ。
それに、私達のチケットは招待チケットで、個人名が記されております。モンティ侯爵令嬢が使うことはできません」
ミ「っ!」
夫人「明日のチケットはプルシア侯爵令息の伝手なのですよ」
私「用意すると仰っておられたのは別の方で、兄の上司かもしれません」
公「上司?」
私「名乗りあってはおりませんので、お会いしたこともなく、どなたかは存じませんが、兄に命令していたので」
公「ヒントはないかな?」
私「兄がリュシアン様と呼んでいました」
公「もしかして黒髪に黒い瞳の?」
私「はい」
公「リュシアン第二王子じゃないか!」
私「もしかして面白いもの見たさに現れたのね」
ウ「面白いもの見たさ?」
私「オホホッ」
“手違いで待たせたまま放置することになって帰りが遅くなってしまった”と謝ってくれたのだ。
だから牢屋観光のことは知られていない。
話をつけてくれたようで叱られなかった。
そして明日は決勝戦を観に行っていいらしい。招待券を5枚貰えた。
夕食に呼ばれて出向いたら場違い感が強烈だ。
公爵、公爵夫人、ウィリアム様?
そして馬鹿みたいに着飾った令嬢2人。
私はあの店で高級な部類のワンピース。
公爵家の3人は固まってるし、令嬢達の目は冷たい。
「当主のニコラス・カルヴァロスだ」
「妻のマリア・カルヴァロスと申します」
「嫡男のウィリアム・カルヴァロスと申します。学園は昨年卒業しました。今夜から平等に交流をさせていただきます」
「コナー公爵家の長女エリザベスと申します。
私も学園は昨年卒業いたしました。
特技はヴァイオリンと刺繍でございます」
「モンティ侯爵家の次女ミランダと申します。
私も昨年卒業いたしました。
特技はダンスと刺繍でございます」
「プルシア侯爵家の長女ララと申します。
16歳です。自宅就学です。特技はありません」
全「……」
「さあ、食事をいただこう」
そしてジャブが繰り広げられる。
エ「プルシア侯爵令嬢は特技は無いと仰っておられましたが、好きなことはございませんの?」
私「昼寝です。寝ることが好きです」
ミ「学園へは通われなかったのですね?ご事情でも?」
私「行きたくないだけです」
ウ「何故行きたくないのかな?」
私「寮暮らしが決め手です。王都に屋敷を構えておりませんし、親戚も頼れませんでした」
エ「まあ、仰ってくださればコナー家でお預かりしましたのに」
私「図々しいことはできませんわ」
エ「助け合いではありませんか。コナー家は余裕がありますので遠慮など要りませんわ」
もしかして、ビンボー認定してマウント取り出したの?
ふ~ん。
私「まあ!コナー公爵家は慈愛に満ち溢れておられるのですね!カルヴァロス家の婚約者に相応しい心の美しさはとても私ではコナー公爵令嬢の足元にも及びませんわ」
エ「まあ、率直にありがとうございます」
私「明日からコナー公爵家の素晴らしさを広めますね。
何名まで受け入れ可能ですか?」
エ「え?」
私「受け入れです。
もう既に過去の話となった見ず知らずの私の境遇に手を差し伸べてくださるということは、他にもお困りの入学生をコナー家で受け入れてくださるのですよね?
寮に入るしか選択肢の無い入学生の受け入れをなさるのですよね?」
エ「何故コナー家が…」
私「何が違うのでしょう。
私と同じように、寮にしか入れない方は少なくありません。助け合いで遠慮は要らないと仰ったではありませんか」
エ「それは…貴女だけに」
私「他の困っている方に手を差し伸べる気はない。
私は既に入学を辞退しているから誘ってもお世話になることがないから仰ったことでしたか?
私ったら、気が付かずに申し訳ございません」
エ「っ!」
公「ララ嬢、明日の午後は剣術大会の決勝戦の観戦と聞いたが」
私「はい。みんなで行かせていただきます」
ミ「まあ!素敵!楽しみですわ!何を着ていこうかしら」
私「モンティ侯爵令嬢もチケットをお持ちなのですね」
ミ「えっ?」
私「私達とは別行動になると思いますが、広がるドレスは避けた方がよろしいかと思いますわ」
ミ「先程、みんなで行くと…」
私「私と私のメイドと護衛2人と、公爵家のメイドで行きますの。当日チケットは入手困難かと思いますわ」
ミ「使用人にチケットを?
私に譲ってくださらない?」
私「無理です」
ミ「使用人の分はあって私達の分は無いだなんて!」
私「何故私が面識の無いモンティ侯爵令嬢の分を用意しなくてはならないのですか?
このチケットはお会いする前に手に入れたチケットですのよ?
私と違って王都に滞在なさっているわけですから行きたければモンティ家で入手できたのでは?
譲る?
モンティ侯爵令嬢が平民からチケットを強請るのは外聞が悪過ぎますわ。
それに、私達のチケットは招待チケットで、個人名が記されております。モンティ侯爵令嬢が使うことはできません」
ミ「っ!」
夫人「明日のチケットはプルシア侯爵令息の伝手なのですよ」
私「用意すると仰っておられたのは別の方で、兄の上司かもしれません」
公「上司?」
私「名乗りあってはおりませんので、お会いしたこともなく、どなたかは存じませんが、兄に命令していたので」
公「ヒントはないかな?」
私「兄がリュシアン様と呼んでいました」
公「もしかして黒髪に黒い瞳の?」
私「はい」
公「リュシアン第二王子じゃないか!」
私「もしかして面白いもの見たさに現れたのね」
ウ「面白いもの見たさ?」
私「オホホッ」
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