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早く解放して
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すぐに牢屋から出され別室に移された。
待つこと30分。揉めた男と上司らしき人がやってきた。
そして立ち会いは私の連れと兄と兄と連れ。
「偽物扱いされて侮辱され、牢屋に入れられたララ・プルシアと申します。お名前と部署と役職を教えてください」
「彼はビクター。王宮兵士です。持ち場は城門です。
私は王宮騎士団の警備部門、副部長イアン・ヒックスと申します」
「ビクターさんにはどのように説明を受けましたか?」
「侯爵令嬢が身分確認のための質問を拒絶したために偽物と判断して捕らえたと聞きました」
「私は持ち物検査を受け、身体検査を受け、身分証を提示しました。他の皆さんと同じように。
なのにビクターさんは私にだけ、兄の名前を尋ねました。私は何故、私にだけその質問をするのか聞きましたが、押し問答をした結果、私の格好が見窄らしいからだそうです。
ヒックス副部長。問題点はなんですか」
「ビクターから説明が無かったからです。そして侯爵令嬢も返事をしなかったからです」
「副部長。私は差別を指摘したのです。
そもそも、フルネームで偽の身分証を作るくらいの相手に家族の名前で確認なんて、それで安全が守れますか?
家族の名前くらい覚えると思いますよ?
それに私は清潔な服を着ています。昨日買ったばかりです。高級なドレスを着ていなくては認めてもらえないのですか?
夜会や何かのパーティーに来ているのではありません。
剣術大会の敗者復活戦です。そんな場に着飾る方が非常識だと思います。狭い観戦席に場所を取るドレスが適してると思いますか?迷惑でしかありませんわ」
「仰る…通りです」
「今後、適した確認法を用いて下さい。
そして部下に平民に見えたとしても差別することなく、説明ができるように教育してください。
平民なくして貴族も城の運営も成り立つことは無いのです。よく言い聞かせてください」
「かしこまりました」
「ララ……その辺で」
「敗者復活戦の観戦に来たのに牢屋観光になったのですよ?兄様」
「ララ嬢。明日の午前中に決勝戦がある。特別に其方達を招待しよう」
誰だろう。めちゃくちゃ好みなんだけど。
黒髪黒瞳じゃないの。
「もしかしたら自由は今日の夕刻迄だったので、残念ですが」
「ララ、説明してくれ」
「婚約者候補になってしまったので。多分他の候補が今日揃うはずなのです。今夜から食事を共にして、明日から花嫁修行みたいなことをするんじゃないですか」
「嫌なのか?」
「血迷って受けた縁談みたいで、今更辞退できないとお父様達に叱られて」
「何処との縁談だ?他にもいるなんて」
「カルヴァロス公爵家です」
「カルヴァロス!? 嫡男だよな」
「らしいです」
「嫌なのか」
「はい」
「何故嫌なんだ」
「見た目もタイプではありませんし、公爵夫人なんて務まりません……というか嫌です。きっと他にも娶るのでしょう?出来れば王都でも暮らしたくありませんし」
「カルヴァロス公爵家を嫌がるなんて…しかも嫡男のウィリアムは美男子で有名だ」
「好きな男でもいるわけでは無いのだな?」
「はい兄様」
「ララ嬢はどんな男が好みなんだ?」
「貴方です」
「は?」
「どなたかは存じ上げませんので身分や性格も分かりませんから、外見だけで申し上げるとするならば貴方です」
「確かにララ様が仰っていたままの男性ですね」
「そうなのよ、カーラ……あ、ジェシカさんこれは悪口じゃないのよ?貴女の主人なのにごめんなさいね。
ご令息も私なんか選ばないわ。他の令嬢お二人がいらっしゃるから大丈夫よ」
「其方の女性はカルヴァロス家の?」
「カルヴァロス公爵家のメイドで、この度ララ様の担当をさせて頂いております」
「カルヴァロス家の者まで牢屋に入れたのか」
「詫びを入れないといけないな。謝罪のついでに皆を送ろう。ディオス。予定をキャンセルしてくれ」
「リュシアン様、私が送りますから」
「兄様、もう、解放してくだされば帰りますので。
謝罪は私がしますから。お兄様のお連れの方も気になさらないでください」
「……私が誰だか本当に分からないのか?」
「初対面ですよね?」
「……そうだが」
「兄様、帰らせてください。もう拘束する理由はありませんよね?何時か分かりませんがお腹もすきましたし。夕刻迄には戻らないとジェシカさんが咎めを受けてしまいます」
「よし、ディオス。先触れを出せ。詫びに行く」
「リュシアン様」
「早く手配しろ」
「かしこまりました」
兄様の上司なのかしら。
兄様はお城で何の仕事をしているんだろう。
「ごめんなさい、ジェシカさん。巻き込んでしまって」
「ララ様、謝らないでください」
「とりあえず、ここから出よう。彼女達を出してくれ」
「かしこまりました」
軽食を出してくれると言われたので私以外の分をお願いした。
私は他の人達と食べなくてはならないし、4人は城の食事の方がいいだろう。
ポーチから飴を取り出して口に入れた。
「何を口に入れたのだ」
「飴です。どうぞ」
3つ渡した。
待つこと30分。揉めた男と上司らしき人がやってきた。
そして立ち会いは私の連れと兄と兄と連れ。
「偽物扱いされて侮辱され、牢屋に入れられたララ・プルシアと申します。お名前と部署と役職を教えてください」
「彼はビクター。王宮兵士です。持ち場は城門です。
私は王宮騎士団の警備部門、副部長イアン・ヒックスと申します」
「ビクターさんにはどのように説明を受けましたか?」
「侯爵令嬢が身分確認のための質問を拒絶したために偽物と判断して捕らえたと聞きました」
「私は持ち物検査を受け、身体検査を受け、身分証を提示しました。他の皆さんと同じように。
なのにビクターさんは私にだけ、兄の名前を尋ねました。私は何故、私にだけその質問をするのか聞きましたが、押し問答をした結果、私の格好が見窄らしいからだそうです。
ヒックス副部長。問題点はなんですか」
「ビクターから説明が無かったからです。そして侯爵令嬢も返事をしなかったからです」
「副部長。私は差別を指摘したのです。
そもそも、フルネームで偽の身分証を作るくらいの相手に家族の名前で確認なんて、それで安全が守れますか?
家族の名前くらい覚えると思いますよ?
それに私は清潔な服を着ています。昨日買ったばかりです。高級なドレスを着ていなくては認めてもらえないのですか?
夜会や何かのパーティーに来ているのではありません。
剣術大会の敗者復活戦です。そんな場に着飾る方が非常識だと思います。狭い観戦席に場所を取るドレスが適してると思いますか?迷惑でしかありませんわ」
「仰る…通りです」
「今後、適した確認法を用いて下さい。
そして部下に平民に見えたとしても差別することなく、説明ができるように教育してください。
平民なくして貴族も城の運営も成り立つことは無いのです。よく言い聞かせてください」
「かしこまりました」
「ララ……その辺で」
「敗者復活戦の観戦に来たのに牢屋観光になったのですよ?兄様」
「ララ嬢。明日の午前中に決勝戦がある。特別に其方達を招待しよう」
誰だろう。めちゃくちゃ好みなんだけど。
黒髪黒瞳じゃないの。
「もしかしたら自由は今日の夕刻迄だったので、残念ですが」
「ララ、説明してくれ」
「婚約者候補になってしまったので。多分他の候補が今日揃うはずなのです。今夜から食事を共にして、明日から花嫁修行みたいなことをするんじゃないですか」
「嫌なのか?」
「血迷って受けた縁談みたいで、今更辞退できないとお父様達に叱られて」
「何処との縁談だ?他にもいるなんて」
「カルヴァロス公爵家です」
「カルヴァロス!? 嫡男だよな」
「らしいです」
「嫌なのか」
「はい」
「何故嫌なんだ」
「見た目もタイプではありませんし、公爵夫人なんて務まりません……というか嫌です。きっと他にも娶るのでしょう?出来れば王都でも暮らしたくありませんし」
「カルヴァロス公爵家を嫌がるなんて…しかも嫡男のウィリアムは美男子で有名だ」
「好きな男でもいるわけでは無いのだな?」
「はい兄様」
「ララ嬢はどんな男が好みなんだ?」
「貴方です」
「は?」
「どなたかは存じ上げませんので身分や性格も分かりませんから、外見だけで申し上げるとするならば貴方です」
「確かにララ様が仰っていたままの男性ですね」
「そうなのよ、カーラ……あ、ジェシカさんこれは悪口じゃないのよ?貴女の主人なのにごめんなさいね。
ご令息も私なんか選ばないわ。他の令嬢お二人がいらっしゃるから大丈夫よ」
「其方の女性はカルヴァロス家の?」
「カルヴァロス公爵家のメイドで、この度ララ様の担当をさせて頂いております」
「カルヴァロス家の者まで牢屋に入れたのか」
「詫びを入れないといけないな。謝罪のついでに皆を送ろう。ディオス。予定をキャンセルしてくれ」
「リュシアン様、私が送りますから」
「兄様、もう、解放してくだされば帰りますので。
謝罪は私がしますから。お兄様のお連れの方も気になさらないでください」
「……私が誰だか本当に分からないのか?」
「初対面ですよね?」
「……そうだが」
「兄様、帰らせてください。もう拘束する理由はありませんよね?何時か分かりませんがお腹もすきましたし。夕刻迄には戻らないとジェシカさんが咎めを受けてしまいます」
「よし、ディオス。先触れを出せ。詫びに行く」
「リュシアン様」
「早く手配しろ」
「かしこまりました」
兄様の上司なのかしら。
兄様はお城で何の仕事をしているんだろう。
「ごめんなさい、ジェシカさん。巻き込んでしまって」
「ララ様、謝らないでください」
「とりあえず、ここから出よう。彼女達を出してくれ」
「かしこまりました」
軽食を出してくれると言われたので私以外の分をお願いした。
私は他の人達と食べなくてはならないし、4人は城の食事の方がいいだろう。
ポーチから飴を取り出して口に入れた。
「何を口に入れたのだ」
「飴です。どうぞ」
3つ渡した。
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