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ロドルフ 2
しおりを挟む私がリディアーヌ以外の女に手を出していると悟った女達が誘いをかけてきた。
口外しないと誓わせて閨の相手をさせた。
身体も個性があるものだ。骨格も違えば胸の大きさや形や色も違う。秘部も同様だ。
脱がせて萎える女もいた。
途中から避妊薬の話をする女が現れた。
しまったと思った。すっかり妊娠の可能性を失念していたのだ。
過去の射精で妊娠させてしまったかもしれない。
生きた心地がしない。
そんな中でリディアーヌが私を批判した。
『王子殿下。ご令嬢との距離が近すぎますわ』
『私の勝手だ』
リディアーヌが僅かに表情を曇らせたが、妊娠させたかもという不安が勝っていた。
リディアーヌと顔を合わせ辛くなりエスコートも疎かになった。侯爵夫妻に挨拶をすればリディアーヌの側から消えた。
王宮の外では他の女をパートナーにした。
一年経っても誰も腹は膨れていなかった。
皆、避妊薬を飲んでいたのだとホッとした。
顔を合わせ辛くなってから避け出して、今では執務もほぼ丸投げだった。
リディアーヌとどう修復していいのかわからない。
今度は護衛騎士に聞いた。
『夫婦間でしたら、些細なことは閨で解決できます』
『閨で?』
『時間をかけてしっかりと奉仕して優しく抱くのです。口にして誉めてあげるのもいいです。二度程達すれば妻も些細なことは気にならなくなっていますし、私もスッキリします。そして共に熟睡して、朝にはおはようとキスをするのです』
『ありがとう。また相談させてくれ』
そうか。やはり婚姻して初夜を迎えることで溝が埋められるのだな。
もう女を抱くのは慣れたし、リディアーヌを満足させてやれるだろう。そう思っていた。
リディアーヌが帰った後、執務室の机を見ると私の署名待ちの書類だけが残されていた。
署名をして眠りについた。
王宮にも女を呼んで欲を発散させていた。
そのうちのひとりの令嬢の家で夜会が開かれた。
休憩室での交わりも刺激になると誘われて出向いたが、そこにはリディアーヌと侯爵夫妻もいた。
いつものように夫妻に挨拶を済ませて立ち去った。
辺りを見渡し誰も見ていないと判断して令嬢と休憩室へ入った。
今日はいつにも増して昂る。
服を脱ぎ、ドレスや下着を脱がせ手早く解すと挿入した。
敏感に膨れ上がった陰茎は膣壁の刺激にすぐに果てたが、萎えないのでそのまま腰を振り続けた。
卑猥な音が部屋中に響き渡る。
すると扉が開いて灯りが差し込んだ。
振り向くとリディアーヌが立っていた。
悲しそうな顔をしているのは分かっていたが昂りは治らない。
無意識に情交を再開させていた。
もうすぐ日の出という時間になってやっと落ち着いてきた。
拭くだけではとても綺麗になりそうにもないのでメイドに湯浴みの準備をさせて身を清めて城に戻った。
学園から帰ると父上に呼び出された。
『昨日の夜会でリディアーヌ嬢に情交現場を見られたそうだな』
『はい』
『執務はリディアーヌ嬢に任せきりにしてお前は女遊びか』
『昂りが抑えられないのです。苛立って仕方がないのです。女を抱けばリディアーヌに手を出さずにすみます』
『…侯爵は婚約を解消しろと迫ってきたぞ』
『は!?』
『リディアーヌ嬢がショックをうけたと言ってな。まぁそうだろうな』
『リディアーヌは私のことが好きなのです。だから解消などと言い出すはずがありません!』
『忘れたのか?
元々はお前の片思いだった。
婚約の打診をしたが断られた。
お前がリディアーヌ嬢じゃなければ嫌だというから王命を使った』
『えっ…政略では』
『政略としてもいい家門だが無理矢理縁を結んで恨まれるつもりは無かった。
お前の願いで婚約を強いたのだ。
侯爵にはチャンスをくれと頼んでおいた。
挽回しろ。次にこんなことがあれば、ロドルフの有責で解消する』
『絶対に嫌です!!婚姻するまでの些細な問題です!!』
『私もこれ以上侯爵家から敵意を向けられたくない。忠告はしたぞ』
そうは言われても、きっかけもなく変わることが出来なくて、せめて執務室に花を飾り食事や菓子を豪華にすることくらいしか浮かばなかった。
そして私財からリディアーヌにプレゼントをしようと宝石商を呼び寄せたが、そこには特別クラスのもうひとりの令嬢がいた。
どうやら彼女の家の店らしい。
同い年だから好みも似ているだろうと相談を重ねるうちに親しくなった。
納品に来たのは彼女ひとりだった。
そして手を出してしまった。
誘ったのは令嬢の方だった。
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