【完結】王子妃になりたくないと願ったら純潔を散らされました

ユユ

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叱られるサラ

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ケインとサラのいなくなったリビングでは。


「なあ、ペーズリー。アレでも進展無しか?」

「そ~なの。無自覚な男と 恋をしようとしない女の平行線なの」

「ケインはサラが好きなんだよな?」

「私はそう思っているけど…お兄様は自分がサラに相応しくないと思ってるから。そのクセに隠しきれてないのよねぇ。

馬車だって、ちょっと揺れるとサラを見るのよ。
“眩しいか”とか、“痛くないか”とか、“休憩は大丈夫か”とか。私には聞かないのによ?
一度疲れて寝てしまったときも甲斐甲斐しくさっきみたいに起こさないようにそっと抱き上げて運んでいたわ」

「今回の剣の指南もケインの頼みだからな。
多分、ユリス殿下は優勝して サラに公の場で求婚をして断れなくしたかったのだろう。
ケインはそれを耳にして、理由は言わずに儂に頼んできたのだろう」

「つまり、ケインはサラが王子妃になるのを防いだわけだ。やるなぁ」

「でしょ! なのにただの騎士だからと引くのよ」

「あ~、身分差か。
今 ケインは王族専属でも、いつ外されるか分からない。王族の気分次第で降ろされる不安定な職だ。
怪我や病気は致命的だし、お祖父様のように長く携われる方が稀だ」

「そんなの、サットン家のことをしてもらえばいいじゃない。貧乏貴族じゃないんだから。2人は贅沢を好むわけじゃないし、今みたいに暮らせるわ」

「ケインはそれで良しとしないんだよ。脛かじりじゃなくて自分の力で妻を養いたいんだ」

「サットン家の仕事だって立派な仕事じゃない。
分担すればいいのよ。弟が補佐するなんて珍しくもないわ」

「ブランパーン大公閣下はどうかな。娘はサラだけだからな。しかも愛する人との一人娘だ。どうなるか分からない。
もしかしたら閣下の方でセンティアの貴族から嫁ぎ先を探している最中かもしれないな」

「お兄様はどっちの味方なの!」

「どっちにも傷付いて欲しくないだけだよ。
結局は2人が恋に落ちて離れたくないと思わないと婚姻までは進まないだろうな」



そして翌早朝のサラは。


あ~怠い。

胃もスッキリしないし、頭も重い。

あれ?誰かが手を握ってる?

「おはよう、サラ」

「!!」

目を開けるとケイン様がベッドに座っていた。
手を見ると握っているのもケイン様だった。

ケイン様は私の背中に手を差し込み上半身を起こすと水を飲ませてくれた。

「頭が痛いとか気分が悪いとかは?」

「重い感じはありますが……大丈夫です」

メイドが着替えさせてくれて、その後、私が手を握ったらしい。
つまり六時間このままだったということになる。
私の握力なんてたいしたことないのだから、ほどいてくれたら良かったのに…とも言えず。

「ご迷惑をおかけしました」

保護者兄上が一緒にいながらかなり飲ませたみたいだね。サラは飲み慣れているのか」

「いえ。お祝いでグラス半分くらい」

「普段飲む量よりも多くするときは少しずつ増やして様子を見るものだ。いきなりジェームズ殿の様な かなりの酒豪にあわせて飲むなど危険な行為だ。たまたま何ともなかったから良かったが、彼に合わせられる程大量に飲んだら普通は死ぬ。
王都内だけでも許容量を超えた酒のせいで年間何人も死んでいるんだ。騎士団でも毎年ではないがいる。
サラ。お願いだから二度としないでくれないか」

「申し訳ございません」

「もしかして急変するかもしれないと思ったら一人にできなかった」

「本当にご迷惑をおかけしました」

「朝食は消化に良くて優しいものにするから無理せずゆっくり食べなさい」

「ありがとうございます」

ケイン様が部屋を出ていった。


「はぁ…初めてケイン様に怒られちゃったな」

確かに無謀だったわね。
挙句、一晩中付き添わせるなんて。

しかも、部屋食を食べて着替えて居間に行ったら、ケイン様は出勤していた。

そしてシメオン様に謝られた。

「ごめん。考えてみればサラはまだ学生だから普通は酒なんてそんなに飲む訳ないのに、飲めるものだと思い込んでいた。
保護者としてあるまじき行為だった」

「いえ、私がいけないのです。ケイン様にもご迷惑をかけてしまいました」

「怖かったぁ。
ケイン兄様、さっきシメオン兄様にめちゃくちゃ怒ってからお仕事に出たわ。
あんなに怒ったお兄様は初めてだわ」

「いやぁ、マジギレしてたな」

「私が悪いのにごめんなさい」

「一番悪いのは私だから。体は大丈夫?」

「はい、大丈夫です」


困ったな。
一晩中付き添わせ、そのまま出勤させ、ものすごく怒らせて…
どうやってお詫びしよう。

ハンカチに刺繍でもしてみる?でもああいうことにお詫びの品というのもしっくりこないわ。

そうだわ。すごく疲れて帰ってくるだろうから…


夜、ケイン様が帰ってきて、食事をして、ケイン様の湯浴みが終わったらメイドと一緒にケイン様のお部屋に入った。
メイドはお湯と桶、私はタオルと香油を持っていた。

「ケイン様、今夜はマッサージをいたします」

「頼んでないが?」

「私が頼みました」

頭からタオルを被って拭いていたケイン様は私の声に驚いて目を合わせた。

「サラ!?」

「ご主人様。今夜はメイドのサラとカエラにマッサージをさせてくださいませ」

メイド服を着て拝む私を見て固まっている。
 
「ベッドにうつ伏せになってくださいませ」

カエラが促すと、腰にタオルを巻いていただけのケイン様は衝立の向こうで下穿きを履きベッドにうつ伏せになった。

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