【完結】王子妃になりたくないと願ったら純潔を散らされました

ユユ

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エロイズの痴態

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***念のため 食前 食中 食後を
避けて読んでください***


【 エロイズ・サットンの視点 】


剣闘会の会場へ到着すると小娘の弟がいた。

若き侯爵。婚約者不在。天使の様な美貌。
そして準決勝に進めるほどの実力者。
とんでもない優良物件じゃないの!

リ「サットン伯爵、サットン夫人、シメオン様。姉がお世話になっている上に今日も差し入れていただきありがとうございます」

ピ「娘に素敵な友人ができて良かったですよ」

マ「まるで姉妹の様に過ごしていますわ」

シ「妹は何人いても可愛いものですよ。
弟はおっかなくて」

リ「ペーズリー嬢。どうか姉をよろしくお願いします」

ぺ「もちろん!」

話が盛り上がっている隙に料理を取り分けた。
強烈な下剤入りのパイをペーズリーと小娘の皿に置いた。

ふふっ
会場は広い。間に合わずに漏らして大恥をかくといいわ。もう社交にも出られない。

嫁に行かせて厄介払いはできないけど、王都にはいられなくなるわ。そうしたら私が王都の屋敷の管理者として戻って来られる!

2人がパイを手に取った。

はぁ。漏らすところも見届けたいわぁ。

リ「サラ、ペーズリー。食べるな」

全員がガードナー侯爵を見た。

サ「リオ?」

リ「エロイズ殿。貴女が取り分けたこのパイは貴女が食べてください」

私「は?」

侯爵は小娘とペーズリーの皿からパイを回収すると私の前に置いた。

リ「さあ、食べてください」

私「私、パイは苦手で」

リ「ひと口 食べているではありませんか」

私「もうお腹がいっぱいで」

リ「サラダとパイひと口で?
このパイはふた口で食べ切れる大きさですよ?」

将「食べろ」

圧が強くて食べるしかなかった。

一つパイを食べ終わると

リ「もう一つ残っていますよ」

っ!!

シ「侯爵。どういうことですか」

リ「僅かな時間でも分かります。
夫人は甲斐甲斐しく邪魔な2人に世話をするタイプではなく、こき使いたいタイプの人間です。

食事となった途端に夫人の挙動がおかしくなった。
そしてパイを2人に取り分けると顔が醜く歪んだのです。

食べたということは死ぬような物を混入したのではないのでしょう。

虫…睡眠薬…媚薬…下剤…。
下剤だそうです。下剤という言葉に反応しましたから」

将「エロイズ!」

リ「将軍。もう一つ食べ終わるのを待ちましょう」

何で!何でバレるの!まるで人の心を読んでいるみたいに!

リ「夫人。貴女は分かりやすく行動するし 顔にも出ていますよ。私に読心術といった才はありません。夫人が教えてくれるのです。
全て食べ終わればガードナー家としては不問にしましょう。もし私の勘違いなら正式に謝罪をして代償を支払いましょう」

仕方なく 二つ目を食べ終えた。
強力な下剤入りの小さなパイを二つ…どうなってしまうの。早く吐き戻さないと!

席を立とうとするも、

リ「吐き戻されては意味がない。
30分はここに居てもらいましょう」

天使だと思ったのに悪魔に見える…

サ「リオ…」

リ「心配いらない。姉様はゆっくり食事をして。他の事は大丈夫だから」

侯爵は愛おしそうに小娘の頬を撫でた。

ケイン様だけじゃなくて若い侯爵まで小娘がいいの!?

私「姉弟なのに雰囲気がおかしいわ。
まさか侯爵は禁忌を犯しているのかしら?」

ピ「エロイズ!」

リ「はぁ…世の中に疎いようだな。
私と姉に血の繋がりは一切無い。それぞれ連子だ。

ん?青い顔をしてどうしたのかな?」

お腹が…痛い

私「あ、あのお花摘みに」

将「着いた時に行っただろう。
マナー違反だぞ。食事が終わるまで我慢しろ」

お腹がギュルギュルと音を鳴り響かせている。
痛い!痛い!

ぺ「あらぁ。お義姉様ぁ。大丈夫ですかぁ?
お顔が真っ青…というより白ですわぁ」

話しかけるな!!

将「しかたな。行ってきなさい」

私「失礼しますわ」


たった1ヶ所に精神集中をした。緩めては駄目!耐えるの!耐えるのよ!!

ぶつからないよう、最短で小さく足を動かす。大股は絶対に禁物よ!

一番近いトイレに来たのに列がすごい!

ふとみると殿方用のトイレは空いているようだった。仕方ない。漏らすよりマシだ!

すれ違う殿方は変な目で見てきたが かまっていられない。

あ、個室!奥の個室のドアが開いてるわ。

「え?」

開いていたのは用具入れのドアだった。

なんで閉めておかないのよ!

もう私は気が緩んでいた。空いている個室があると全身で判断してしまっていたから。

ドン!

「あ、悪い……ここは紳士用…うわぁ!!」

隣の個室のドアが開き、私の背中にぶつかった。
そして衝撃で一気に解放した。


悪夢だ。

出し切っても腸は活発で、便器から離れられず激痛と格闘し、最後には気を失った。

幸い、婚姻後、社交に出ていないためにトイレにいた2人の殿方には私が誰だか分からなかったようだけど、もう社交には出られない。

もし、パーティ会場で会ってしまえば、殿方用トイレに入った痴女で、盛大に漏らした女だと嘲笑われる。

目を覚ましてから医師が体調を尋ねた後、制服を着た男達がやってきた。

女性が寝ているのに失礼ね!

「エロイズ・サットン。
貴女はサラ・ガードナー侯爵令嬢とペーズリー・サットン伯爵令嬢に下剤を盛ろうとした。
薬は王都のサットン邸の薬棚から持ち出し、2人分のパイにだけ混入。それがバレて自分で食べることになった。
間違いないな?」

「はい?…下剤なんて」

「私は王城で働く医師のボフォックです。
治療中、貴女は下剤について自白なさいました」

「え!?」

「何を用いたか分かったために緩和剤を投与できたのです。そうでなければ貴女の腸は壊死して死んでいたかもしれません。
あれはコップ一杯の水に一滴垂らし、ひと口飲むだけで十分効果があります。それをパイ一つに五滴入れたものを二つ食べたらそうなります」

「……」

知らなかったわよ!何でそんな薬を置いておくのよ!

「ガードナー侯爵は不問と仰っておられました。
サットン家も訴えはしないと」

じゃあ、解放ね。
帰るまでに言い訳を考えなくちゃ。

「しかし、国王陛下はかなりご立腹です。
ガードナー侯爵令嬢はセンティア国王の姪でおられますからね。
明日、陛下とサットン伯爵と将軍で貴女の処遇を話し合われます。
現在は深夜です。このままおやすみください。
見張りの兵が立っていますので、部屋から出ると命を落とします。
では」

どうして!どうしてこんなことに!




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