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サットン伯爵家 集合
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学園主催の剣闘会は2日目を迎えた。
私達は午後から来たがリオもバルチノ公子もユリス殿下も勝ち進んでいた。
リ「これ久しぶりだ」
私「やっぱり分かっちゃった?」
ぺ「流石仲のいい姉弟だわ」
バ「何が?」
バルチノ公子も一緒にサットン家から持ってきた料理を昼休憩に食べていた。
リ「これ、姉が作った野菜料理だよ。
いや、肉料理か?
昔、野菜を避けていたときに出てきて、手を付けなかったら姉が泣くから、どうしたのか聞いたら“一生懸命作ったのに!”って」
バ「で、食べたわけだ」
リ「野菜をくり抜いて肉を詰めているんだ。巻いて出てきたこともある。
それを繰り返していたら普通に野菜を食べられるようになったから、数年見かけてなかったな」
将「美味いな。今度儂にも作ってくれるか?」
私「はい、お祖父様」
バ「あ~、嫁に行ったうちの姉様は人使いが荒かったなぁ~。料理のできる女の隠し子が父上にいないかな~」
ゴンっ
バ「いっ!」
公「馬鹿なことを言うな」
バ「げっ」
公子の頭に拳を落としたのはバルチノ公爵だった。
公「サットン将軍、愚息がお世話になっております」
将「若い子の育成はやり甲斐があります。実に楽しい二週間でした」
公「息子は優勝を狙えそうですか」
将「ガードナー侯爵と当たらなければ」
公「ガードナー侯爵が?」
バ「こいつ、汚いんだよ。苦手なところにばっかり攻撃してくるし、騙すし、イテッ」
公「侯爵に失礼なことを言うな。
ガードナー侯爵、申し訳ない。もしかして愚息はずっとこの調子で?」
リ「このままの彼が好きなので叱らないであげてください」
バ「リオ~!いいやつだなぁ~。何で女いないんだ?紹介するぞ?」
リ「遠慮する」
バ「もしかして、リオの好きってそっち!?」
リ「ドレス着るか?」
バ「変わった趣味だなぁ」
リ「そういう意味では言ったんじゃない!」
ぺ「あらぁ。ドレスをお召しになるのね?
バルチノ公爵令嬢をお茶会に招待しないと」
私「刺繍の会か詩歌の会でも、」
バ「招待すんな」
公「すっかり気を許して言葉遣いが戻ってしまったようだな。
はぁ…レディにその様な言葉遣いは止めろ」
公爵は公子の頭をグリグリと強めに撫でた。
午後の部も順調に勝ち進み、最後にリオとバルチノ公子が当たってしまった。
お祖父様の予想通り、勝ったのはリオだった。
「クッソー!何でリオと当たるんだよ!
明日にしてくれたらベスト4でいられたのに!」
と騒いで帰って行った。
ケイン様は二日目の試合は観戦しなかった。
夜勤明けということもあるけどサットン伯爵夫妻と長男夫妻が王都に来るため 屋敷に残った。
順調なら到着しているはずだ。
「サラ。お義姉様はちょっと性格に難ありだけど気にしないでね」
「何か言ってくるようなら儂が間に入るから遠慮なく言うのだぞ」
「はい」
いったいどんな人なの……
「あ、不安になっちゃったかしら。
長男シメオンが12歳のときに婚約したのだけど、決まってから家族が顔合わせしたのよ。
会って直ぐ分かったわ。性格悪いって。
解消しようにも理由もないし政略結婚だから、そのまま婚姻を迎えてしまったの。
ケイン兄様のときは必ず会ったわよ。
“素敵なお嬢さんですよ”なんて言って知人や親類や城務めの人から話が来て、会うと全然駄目なのよ。
跡継ぎじゃなくても、伯爵家の次男で王族専属の騎士で、体格もいいし顔も良い方だから需要があるの」
「恋人とは結婚の話にならなかったのですか?」
「恋人? いたのかなぁ。聞いたことはないなぁ」
「いやぁ…ケイン様がいなかったなんてことは無いかと」
「そうなんだ。ふうん」
「な、なんですか」
「うふふっ」
サットン邸に着くと早速紹介された。
「父で伯爵のピエリック・サットン。
母のメリーナ、長男シメオン、義姉のエロイズ。
彼女がサラ・ガードナー。学園生で今年卒業です」
「サラ・ガードナーと申します。
ペーズリー様、ケイン様、将軍、使用人の皆様のご厚意に甘えてお世話になっております」
メ「ガードナー夫人にはお預かりしますとお返事を出しているのだから自由に過ごしてね」
ピ「困ったことはないか?」
私「休みの日にはケイン様に観光に連れて行っていただいたり、お祖父様にも遊んでもらったり、ペーズリー様には妹のように可愛がっていただいております」
エ「ケイン様が!?」
私「はい」
シ「こんなに可愛い末妹ができたのだね」
エ「あなた!?」
ぺ「サラは私のお気に入りなの」
シ「そうか、そうか。サラ嬢、引き続きペーズリーと仲良くしてやってくれ」
私「はい。こちらこそよろしくお願いします。
皆様、サラとお呼びください。お祖父様もケイン様もペーズリー様もそう呼んでいただいております」
メ「分かったわ。
今、ガードナー侯爵は剣闘会に出ているのよね?」
私「はい。お祖父様のおかげで弟は明日準決勝に進みます」
将「優勝するだろうな。今日、優勝候補を倒したからな」
ピ「それは凄い」
シ「ユリス王子殿下も出場していましたよね?お祖父様」
将「殿下は物を振ってるだけ。リオの場合は闘志と戦術で剣を操っているといった感じだな。まるで違う。
もう一人は闘志しかなかった」
シ「闘志だけでは駄目ですか」
将「剣で戦っている最中に、“ちょっと待ってくれ、次の手を考えているから”とは言えまい。
瞬時もしくは無意識に体が動かねば負ける」
ぺ「リオは優秀よ。味方でいれば頼もしい子ね」
ピ「ペーズリー。相手は侯爵だぞ」
ぺ「可愛い弟みたいなものですわ。
それに本人がリオでいいと言ったのだから大丈夫ですよ」
私「ええ。確かにリオはそう言いました」
メ「でも、侯爵には違いないのよ。ほどほどにね」
ぺ「は~い」
私達は午後から来たがリオもバルチノ公子もユリス殿下も勝ち進んでいた。
リ「これ久しぶりだ」
私「やっぱり分かっちゃった?」
ぺ「流石仲のいい姉弟だわ」
バ「何が?」
バルチノ公子も一緒にサットン家から持ってきた料理を昼休憩に食べていた。
リ「これ、姉が作った野菜料理だよ。
いや、肉料理か?
昔、野菜を避けていたときに出てきて、手を付けなかったら姉が泣くから、どうしたのか聞いたら“一生懸命作ったのに!”って」
バ「で、食べたわけだ」
リ「野菜をくり抜いて肉を詰めているんだ。巻いて出てきたこともある。
それを繰り返していたら普通に野菜を食べられるようになったから、数年見かけてなかったな」
将「美味いな。今度儂にも作ってくれるか?」
私「はい、お祖父様」
バ「あ~、嫁に行ったうちの姉様は人使いが荒かったなぁ~。料理のできる女の隠し子が父上にいないかな~」
ゴンっ
バ「いっ!」
公「馬鹿なことを言うな」
バ「げっ」
公子の頭に拳を落としたのはバルチノ公爵だった。
公「サットン将軍、愚息がお世話になっております」
将「若い子の育成はやり甲斐があります。実に楽しい二週間でした」
公「息子は優勝を狙えそうですか」
将「ガードナー侯爵と当たらなければ」
公「ガードナー侯爵が?」
バ「こいつ、汚いんだよ。苦手なところにばっかり攻撃してくるし、騙すし、イテッ」
公「侯爵に失礼なことを言うな。
ガードナー侯爵、申し訳ない。もしかして愚息はずっとこの調子で?」
リ「このままの彼が好きなので叱らないであげてください」
バ「リオ~!いいやつだなぁ~。何で女いないんだ?紹介するぞ?」
リ「遠慮する」
バ「もしかして、リオの好きってそっち!?」
リ「ドレス着るか?」
バ「変わった趣味だなぁ」
リ「そういう意味では言ったんじゃない!」
ぺ「あらぁ。ドレスをお召しになるのね?
バルチノ公爵令嬢をお茶会に招待しないと」
私「刺繍の会か詩歌の会でも、」
バ「招待すんな」
公「すっかり気を許して言葉遣いが戻ってしまったようだな。
はぁ…レディにその様な言葉遣いは止めろ」
公爵は公子の頭をグリグリと強めに撫でた。
午後の部も順調に勝ち進み、最後にリオとバルチノ公子が当たってしまった。
お祖父様の予想通り、勝ったのはリオだった。
「クッソー!何でリオと当たるんだよ!
明日にしてくれたらベスト4でいられたのに!」
と騒いで帰って行った。
ケイン様は二日目の試合は観戦しなかった。
夜勤明けということもあるけどサットン伯爵夫妻と長男夫妻が王都に来るため 屋敷に残った。
順調なら到着しているはずだ。
「サラ。お義姉様はちょっと性格に難ありだけど気にしないでね」
「何か言ってくるようなら儂が間に入るから遠慮なく言うのだぞ」
「はい」
いったいどんな人なの……
「あ、不安になっちゃったかしら。
長男シメオンが12歳のときに婚約したのだけど、決まってから家族が顔合わせしたのよ。
会って直ぐ分かったわ。性格悪いって。
解消しようにも理由もないし政略結婚だから、そのまま婚姻を迎えてしまったの。
ケイン兄様のときは必ず会ったわよ。
“素敵なお嬢さんですよ”なんて言って知人や親類や城務めの人から話が来て、会うと全然駄目なのよ。
跡継ぎじゃなくても、伯爵家の次男で王族専属の騎士で、体格もいいし顔も良い方だから需要があるの」
「恋人とは結婚の話にならなかったのですか?」
「恋人? いたのかなぁ。聞いたことはないなぁ」
「いやぁ…ケイン様がいなかったなんてことは無いかと」
「そうなんだ。ふうん」
「な、なんですか」
「うふふっ」
サットン邸に着くと早速紹介された。
「父で伯爵のピエリック・サットン。
母のメリーナ、長男シメオン、義姉のエロイズ。
彼女がサラ・ガードナー。学園生で今年卒業です」
「サラ・ガードナーと申します。
ペーズリー様、ケイン様、将軍、使用人の皆様のご厚意に甘えてお世話になっております」
メ「ガードナー夫人にはお預かりしますとお返事を出しているのだから自由に過ごしてね」
ピ「困ったことはないか?」
私「休みの日にはケイン様に観光に連れて行っていただいたり、お祖父様にも遊んでもらったり、ペーズリー様には妹のように可愛がっていただいております」
エ「ケイン様が!?」
私「はい」
シ「こんなに可愛い末妹ができたのだね」
エ「あなた!?」
ぺ「サラは私のお気に入りなの」
シ「そうか、そうか。サラ嬢、引き続きペーズリーと仲良くしてやってくれ」
私「はい。こちらこそよろしくお願いします。
皆様、サラとお呼びください。お祖父様もケイン様もペーズリー様もそう呼んでいただいております」
メ「分かったわ。
今、ガードナー侯爵は剣闘会に出ているのよね?」
私「はい。お祖父様のおかげで弟は明日準決勝に進みます」
将「優勝するだろうな。今日、優勝候補を倒したからな」
ピ「それは凄い」
シ「ユリス王子殿下も出場していましたよね?お祖父様」
将「殿下は物を振ってるだけ。リオの場合は闘志と戦術で剣を操っているといった感じだな。まるで違う。
もう一人は闘志しかなかった」
シ「闘志だけでは駄目ですか」
将「剣で戦っている最中に、“ちょっと待ってくれ、次の手を考えているから”とは言えまい。
瞬時もしくは無意識に体が動かねば負ける」
ぺ「リオは優秀よ。味方でいれば頼もしい子ね」
ピ「ペーズリー。相手は侯爵だぞ」
ぺ「可愛い弟みたいなものですわ。
それに本人がリオでいいと言ったのだから大丈夫ですよ」
私「ええ。確かにリオはそう言いました」
メ「でも、侯爵には違いないのよ。ほどほどにね」
ぺ「は~い」
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