【完結】王子妃になりたくないと願ったら純潔を散らされました

ユユ

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ガードナー邸を出る

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ペーズリー様が付き添ってガードナー邸に来た。
丁度リオを迎えに行く馬車の準備中だった。

「え?お嬢様!?」

「先に帰ったの。リオをよろしくね」

「かしこまりました」


荷物を纏めて馬車に積み込み、リオを待った。
使用人達が緊張しているのが伝わる。
リオの反応が怖いのね。


リオが戻ってくると早々に何か言いたそうにしたが、ペーズリー様の姿を見て堪えたように見えた。

「私、友人のペーズリー・サットンと申します。
以前学園でお会いしておりますが、改めてご挨拶いたします。
ガードナー侯爵、お久しぶりです」

「サットン伯爵令嬢。ようこそ」

「早速、帰らなければなりませんの。
後、当面サラ様をうちで預かりますわ」

「は?」

「リオ。気持ちを落ち着かせる時間が必要なの」

「駄目だ」

「リオが何と言おうと行くわ」

「駄目だ!」

リオが私の手首を掴んだ。

「一生掴み続けるの?」

「何でだよ!駄目だ!絶対駄目だ!!」

「ガードナー侯爵。こういうことは言いたくありませんが、サラ様はブランパーン大公家のご令嬢。貴方は侯爵。強制する権利もありませんし、ソレは不敬になってしまいますわ。お離しください」

「っ!」

「保護者のガードナー夫人には手紙を出しました。
学園へは責任を持って通わせますのでご安心を。
それでは失礼しますわね」

あんなフワフワしたペーズリー様が、すごい。
流石サットン伯爵家のご令嬢!

「リオ。王都内だし、学園でも顔を合わそうと思えば会えるのだからそんな顔しないで」

「サラっ」

「使用人のみんなに優しくね」

馬車に乗り、手を振って出発した。



サットン伯爵家に着くと改めて挨拶をした。

「サラ・ガードナーと申します。
家族と少し揉めていたところをケイン様とペーズリー様に手を差し伸べていただきました。

こちらから学園にも通わねばなりませんので皆様に頼らざるを得ません。
どうかよろしくお願いいたします」

「皆、よく聞いてくれ。
サラ嬢は名前の通り、ガードナー侯爵家の長女だが、お父上はセンティア国王の王弟殿下で、ブランパーン大公閣下だ。

普段通りでかまわないが、もしもがあれば大変だ。
サラはセンティアの王族の血が流れていて、国王陛下の姪だということを忘れないでくれ。
分かったな」

そんなに言わなくたって。

「サラ様は私のお友達なの。よろしくね」



一室、私の部屋として与えてくださったので、有り難く使わせてもらった。

ドレスの見せ合いっこをしていたら夕食の時間になり、3人で食事をした。

楽しくお喋りで花を咲かせたが、ケイン様はそろそろ眠らなくては。

「ケイン様、そろそろ就寝のお時間でしたよね」

「そっか。お兄様、夜勤明けだったものね」

「じゃあ、お先に。
ペーズリー。サラ嬢は明日学園だから後一時間で解放しろよ」

「分かってるわ」



チュンチュン ビチチチチッ


ん~ 朝?


ガバッ!

飛び起きると急いでガウンを羽織って部屋を出た。
一階へ行くと執事のアンソニーがいた。

「アンソニーさん、ケイン様は?」

「もう出発ですので直ぐにいらっしゃいます。どうなさいましたか」

「お見送りをしようと」

そう説明していたところにケイン様が降りていらした。

「サラ嬢?」

「あ、おはようございます。こんな姿で申し訳ありません」

「どうしたんだ?」

「いってらっしゃいませ」

「…行ってくる。ちゃんと勉強してくるんだぞ」

「はい」

「アンソニー、この子を頼む」

「かしこまりました」

私の頭を撫でてお仕事に出ていかれた。


「ケイン様、喜んでいらっしゃいましたね」

「だと良いのですけど」

「もちろんでございます。
さあ、お茶をご用意いたしますのでお部屋にお戻りください」


まだ少し早いからお部屋でお茶を飲み、その後ペーズリー様と朝食を食べて学園へ登校した。

馬車を降りるとリオが待っていた。

「おはよう、姉様」

「おはよう」

「昼食、一緒に食べよう」

「分かったわ」


教室に入るとエレノアが教室の隅に引き寄せた。

「(ちょっと!何でグランパーン大公の娘なの!)」

「(私も知らなかったの!)」

「(で、何で別々に登校してるの。弟君が捨て犬みたいに乗降場で待っていたじゃない)」

「(今、別の屋敷に居候してるの)」

「(え!?)」

「(今日、リオと食べるから)」

「(サラ!)」

予鈴がなったので着席した。
今度はユリス殿下がこちらをチラチラみている。
気が付かないフリをしよう。


お昼休みになり、ユリス殿下が話しかけてきたが先約があると教室を出た。

リオの教室に向かう途中でリオに会えたので一緒に食堂へ行った。

静かな席を選んで食べ始めた。

「サットン邸はどう」

「みんな親切よ。ペーズリー様といると和むわ」

「…そう」

「そういえば、記憶がある限り、リオと別の屋敷で寝るのは初めてね」

「そうだね。領地とタウンハウスで別れることはあったけどね」

「お友達のお屋敷にお泊まりとか誘われなかったの?」

「姉様がいるから断っていたよ。姉様と一緒にいたかったから」

「そうだったのね」

「いつも俺の中心には姉様がいるよ」

「この機会に他のことにも目を向けてみて」

「ずっと帰ってこないつもり?」

「まだ一晩じゃない」

「どれだけ長い一晩だったか」

「まさか寝てないの?」

「寝れるわけないよ」

「今日も眠れなさそうなら早めにお薬飲んで」

「帰ってきてくれたらぐっすり眠れるよ」


私達は変わらないと。
不幸中の幸いと言っていいのか分からないけど近親相姦じゃなかった。
でも初めていいことではなかったの。





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