【完結】王子妃になりたくないと願ったら純潔を散らされました

ユユ

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ミルドーサ伯爵親子

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朝食の後、リオと執事がヒソヒソと話をしていた。

「どうしたの?」

「ミルドーサ伯爵が娘を連れて訪問したいと言ってきたんだ」

「そうなの。でもうちに来てどうするの?
足を掛けたことを否定してるのに。
やっぱりやりましたって?」

「面白そうだから会ってみようと思って」


遣いの人に今日ならいつでもいいよと伝えたら本当に来た。

挨拶をして座ってもらったがジロジロ値踏みするように伯爵は私を見ていた。
伯爵の横には着飾りすぎた伯爵令嬢がハンカチで目元を拭っている。

涙なんか出てないけど?

「ガードナー侯爵。茶会では誤解があったようだ。娘は何もしていないのに冤罪を掛けられて王子殿下の不興を買ってしまったと嘆いている。
侯爵から姉君に誤解を解くよう促してはもらえないだろうか」

「ミルドーサ伯爵。姉が令嬢に足を掛けられたのは事実だ。王子殿下の護衛騎士が目の前で起きた愚行を報告して、殿下はそれを聞いて不快に思われただけだ。
私も姉も令嬢には迷惑をしている。
いい加減諦めろと諭したらどうだろうか」

「護衛騎士の見間違いではないか?
姉君が事実ではないと否定すればいいだけでは?」

「事実なのだから仕方ない。
我々に王族に嘘を吐けと?」

「誤解があったと言えば」

「しつこいぞ、伯爵」

「っ!」

「私はなにもしていないのに…」

「我らに訴え出ないでユリス殿下に訴え出ればいいだろう、嘘泣きを使って。

足を掛けた程度だが、殿下はミルドーサ家の令嬢は必要ではないと判断したのだろう。
罰を撤回して欲しければ 価値があると示せばよいだけだ。国に利益をもたらす存在だとかな」

「そもそもどうして侯爵はディアナを拒むのだ。
ディアナの愛らしさは学園でも周知の事実。
もう爵位を継いだのだから伴侶を決めないと。
世継ぎを残すのも義務では?」

「心配してくれなくても恋人がいる。
時が来たら娶り孕ませる予定だから大丈夫だ。
娘に身の丈にあった男を探してやるのも親心ではないのか?
どうしても格上に嫁がせたいならご隠居の後妻か妾を狙うといい」

「恋人!?」

「恋人がいると?」

「そうです。初夜も終えている恋人がね」

「だ、だとしてもディアナの方が、」

「少々手荒に純潔を奪ったので、早く安心させたい」

「あ~、メイドに手を付けてしまったのか。
男には我慢が効かぬ時がある。
まだ経験が浅いから知らないかも知れないが、メイドへのお手付きは例え相手が処女であったとしても責任は生じないものなのだ。
たとえ子ができてしまったとしても最悪 子だけ迎えればいい。要らぬのなら養子にだすか金を添えて孤児院に引き取らせればよいのだ。
どうしてもというのなら、ディアナを正妻にしてメイドを愛人か妾とすればいい。

今は女を覚えたてで夢中になるのも仕方ない。
どうせならディアナと婚前交渉をすればいい」

「娘を娼婦のように扱うのだな。
伯爵、私は性根の腐った不良品を引き取るような慈善活動はできない」

「何を吹き込まれたのか分からないがディアナは天使のような子だ!それを娼婦などと!」

「其方が申したのだ。性の抑えの効かない男の衝動を受け止めさせると。
侯爵夫人の座が欲しくて股を開くのは、金が欲しくて股を開く娼婦と同じだろう。

第一、恋人はメイドではない。伯爵家より格上だ。
妾も愛人も要らない。
私が愛しているのは彼女だけ。不変の愛だ。

さあ、帰ってくれ。
サラも体調が優れないんだ。
無駄話に時間を割きたくない」

「なんと失礼な!」

「失礼なのはどっちだ?
格上の当主に向かって口の利き方がなっていない。
礼儀知らずの義父を持つつもりもない」

「リオ様!私はずっとリオ様をお慕いしているのです!」

「何故私が令嬢の思いを汲まなくてはならない?
其方に価値があるのなら王子妃の打診があっただろう。
無いと言うことは価値がない もしくは負債になると思われたのだろう。

いい加減にしないと付き纏い行為として制裁するが?」
 
「リオ様!」

「さあ、帰ってくれ」


伯爵親子を追い出し、私はベッドに戻った。

出血量が増えてきて身体が怠い。

「あんなに可愛い子を振るなんて後悔するわよ?
確かに愚かだけど、しっかり者のリオが教育すればなんとかなるかもよ?」

「あれは侯爵夫人の座を得れば益々つけ上がり傲慢になるタイプだ。そして些細なことで他の者を傷付ける。

見かけも大したことはない」

チュッ



あれ、本気で言っているのかな。


初めてのときから抵抗してきたけど、力では敵わないし、使用人達が皆リオの言うことを聞いてしまうし。
数ヶ月もすれば私は抵抗を止めてしまった。
私を犯すけど他は全て優しかった。

リオの望みのまま抱かれるようになると
“大好きだ” “愛してる” と囁かれ、脳内も体も麻痺してしまった。
だけどいつか近い未来に終わりが来る。
純潔では無くなった私は王族にはもちろん嫁げないし、高位貴族や保守的な家門からは避けられるだろう。
せめて優しい旦那様の元へ嫁ぎ、のんびり生きてもいいと思う。
リオもそのうち美しい令嬢と恋に落ち、私のことなど忘れてしまうか、侯爵家のために政略結婚をする。

邪魔になってはいけない。
卒業したら別の場所で生きてもいいかも知れない。








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