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死にかけました
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控え室からでて、廊下の突き当たりの奥の影に隠れてポケットから取り出した物を口に入れた。
「何してるんだ」
「!!」
突然声を掛けられて、驚きの余り喉に入ってしまった。
「!!!」
「何をしているのかと聞いてるんだ」
「!!!!!」
「……殿下。もしや呼吸ができていないのでは?
ん? 喉?」
もう一つの飴が足元に落ちて転がり、声を掛けた男の靴に当たった。
「何だ? 飴?」
「殿下!まずいです!驚いて飴を喉に詰まらせたんです!」
「わ、私のせいか!?」
「ご令嬢、失礼」
もう一人の男が後ろに周り、背中の上の部分を何度も叩いた。
《痛い!苦しい!死ぬ!!》
「駄目だ。ご令嬢、圧迫しますよ」
後ろから抱きつく様にして腹部をグッと上に押す様に何度も繰り返した。
グッ グッ グッ グッ
「ゲホッ!ゲホッ!ゲホ!」
詰まっていた飴が飛び出て廊下を跳ね、最終的には転がっていった。
「こんな所で紛らわしい」
「大丈夫ですか、ご令嬢」
「こ、ちらの…方は助けてく……れてありがとう… ゲホッ……ございます。
そちらの人、もう…近寄らないで。
失礼」
私はハンカチで飴を拾って化粧室に向かった。
今度から小さな飴にしようと心に誓った。
落ち着いたので控え室に戻った。
「アイリーン様、さっき第三王子が挨拶にいらしたのよ。残念だわ」
「私は先程 殺されかけました」
「「 は!? 」」
さっきの出来事を話した。
「次からは目の前で食べなさい」
「飴じゃなくて粒チョコがいいわ」
“お父様、お母様”と言いたくなってきた。
「涙の跡があるじゃない。可哀想に」
「しかも物言いが高圧的で感じ悪かったんですよ」
「そうか。次からは付き添いが必要だな」
「そうね。心配だわ。飴で死にかけるとは思わなかったわ」
成人した私がそうなるとは思いませんものね。
何だか視線を感じて振り向くと、遠くに公爵とトリシア様がいた。
見なかったことにして向き直った。
「そう言えば侯爵はどちらに?」
「隣の控え室で知人と話しているわ。
あ、戻ってきたわ。
つまり下位貴族の挨拶が始まったのね」
暫くして、こちらの控室の貴族達も順に会場へ向かっていく。
そして最後の方になり、
「ウィンター公爵、トリシア様」
呼ばれて二人は控室を出た。
ナディア様達はもういない。
「私達も行こうか」
「はい」
「ジャレッド公爵、ウィンター公爵夫人?」
間違えたかという顔をする人に“あってます”と言って会場に向かった。
順番が来て、ルイ様と私は王太子殿下の前に立ち挨拶をした。
「ルイ・ジャレッドが王太子殿下にお祝いを申し上げます」
「お初にお目にかかります。アイリーン・ウィンターが王太子殿下にお祝いを申し上げます」
「……え?」
王太子殿下は 挨拶を先に終えたウィンター公爵と目の前の私を目で往復させた。
「(公爵とは白い結婚で、あの女性を愛してるから彼女に跡継ぎを産ませるそうです)」
小声で王太子殿下に事情を話した。
「ジャレッド公爵とは?」
「(恋人を探している最中なのです)」
「ハハッ なるほどな。
ジャレッド公爵は良いぞ。
其方、旧姓は?」
「アイリーン・ベロノワと申します」
「ベロノワ……隣国の?」
「はい。伯爵家の長女でございます」
「(ウィンター公爵は馬鹿だったのだな)」
「お褒めいただき感謝します。スッといたしました」
「アイリーン。今度遊びに来てくれ」
「はい?」
「兄上、彼女は私の玩具ですから手出し無用ですよ」
現れたのはさっきの殺人未遂犯だった。
「ローランド?」
「私は第三王子のローランドと申します、レディ。
残念ながら近寄らせてもらうよ」
ニコッ
「是非、ご遠慮願います。
命が一つしかないもので。
その一つさえ少し減った気がします。
もう充分ですので、他の独身のご令嬢にお声がけくださいませ」
「遠慮深いな。
助けてやっただろう」
「それは間違いですわ。
私の命を減らしたのは殿下で、助けてくださったのはそちらの優しくて知的な殿方ですわ」
「なるほど。これは話し合いが必要だ」
「どうしてもと仰るのなら後日狼煙で連絡をお願いします。
気が付かなかったら、その時はご縁がなかったということに」
「アイリーン。水臭いな。
私と君の仲じゃないか。
先触れ無しに押しかけるよ」
「王太子殿下、罠の仕掛け方の書籍をお持ちでしたら貸していただけますか?
踏むと足首にロープが巻き付いて宙吊りになるやつとか、挟まるやつとか、落ちるやつとか」
「お前…俺は害獣か!」
「あら、殿下のお言葉が乱れ始めましたわ。お気を付けて。
では、王太子殿下。失礼いたします」
「アイリーン」
チッ!
「ウィンター夫人とお呼びください」
「嫌だ。
腹が減ってるんだろう?何か食べるか」
「え? いいの?」
「アイリーン様、下がろう。食べ物なら通常向こうに用意してあるから」
「ククッ」
こいつ!
「絶対に話しかけないでください!
ルイ様、行きましょう」
さらにジロジロチラチラ 他の貴族に見られてしまった。
「もしかして」
「彼のせいで飴で死にかけましたの」
「それは…大変だったな」
「横にいた黒髪の方はどなたですか?」
「キース・シュヴァイク。伯爵家の次男でローランド殿下の側近に内定している。
彼等はクリストファーと同い歳だ」
「嫌な予感。
でも普段学園ですね。来るわけないですわ」
「私も嫌な予感がするよ。
ローランド殿下のあんな砕けた姿を見たことがない」
「罠の仕掛け方をお父様に習っておけば良かったです。なんか可哀想だからと避けてしまいました。
今なら積極的に習えそうですわ」
「止めてくれ。相手は王子だからな」
王太子殿下夫妻の後にルイ様とダンスを踊った。
「アイリーン様、君の夫が次に申し込みに来るだろう。嫌なら他の申し込みをすぐ受けるといい」
「来ますか?」
「ずっとチラチラみてるからな」
ダンスが終わると、ルイ様の想定通り公爵が向かってきた。
だけどその前に、私の手を取りダンスを申し込む者がいた。
「ダンスを踊っていただけま、」
「喜んで」
喰い気味に返事をして声の主を見たらローランド殿下だった。
ニコッ
「撤回いたします」
「それは無理だ。ジャレッド公爵、借りますよ」
「ルイ様、貸さないで」
「夫よりいいだろう」
「ぐっ」
ローランド殿下は私の腰に手を回した。
「何してるんだ」
「!!」
突然声を掛けられて、驚きの余り喉に入ってしまった。
「!!!」
「何をしているのかと聞いてるんだ」
「!!!!!」
「……殿下。もしや呼吸ができていないのでは?
ん? 喉?」
もう一つの飴が足元に落ちて転がり、声を掛けた男の靴に当たった。
「何だ? 飴?」
「殿下!まずいです!驚いて飴を喉に詰まらせたんです!」
「わ、私のせいか!?」
「ご令嬢、失礼」
もう一人の男が後ろに周り、背中の上の部分を何度も叩いた。
《痛い!苦しい!死ぬ!!》
「駄目だ。ご令嬢、圧迫しますよ」
後ろから抱きつく様にして腹部をグッと上に押す様に何度も繰り返した。
グッ グッ グッ グッ
「ゲホッ!ゲホッ!ゲホ!」
詰まっていた飴が飛び出て廊下を跳ね、最終的には転がっていった。
「こんな所で紛らわしい」
「大丈夫ですか、ご令嬢」
「こ、ちらの…方は助けてく……れてありがとう… ゲホッ……ございます。
そちらの人、もう…近寄らないで。
失礼」
私はハンカチで飴を拾って化粧室に向かった。
今度から小さな飴にしようと心に誓った。
落ち着いたので控え室に戻った。
「アイリーン様、さっき第三王子が挨拶にいらしたのよ。残念だわ」
「私は先程 殺されかけました」
「「 は!? 」」
さっきの出来事を話した。
「次からは目の前で食べなさい」
「飴じゃなくて粒チョコがいいわ」
“お父様、お母様”と言いたくなってきた。
「涙の跡があるじゃない。可哀想に」
「しかも物言いが高圧的で感じ悪かったんですよ」
「そうか。次からは付き添いが必要だな」
「そうね。心配だわ。飴で死にかけるとは思わなかったわ」
成人した私がそうなるとは思いませんものね。
何だか視線を感じて振り向くと、遠くに公爵とトリシア様がいた。
見なかったことにして向き直った。
「そう言えば侯爵はどちらに?」
「隣の控え室で知人と話しているわ。
あ、戻ってきたわ。
つまり下位貴族の挨拶が始まったのね」
暫くして、こちらの控室の貴族達も順に会場へ向かっていく。
そして最後の方になり、
「ウィンター公爵、トリシア様」
呼ばれて二人は控室を出た。
ナディア様達はもういない。
「私達も行こうか」
「はい」
「ジャレッド公爵、ウィンター公爵夫人?」
間違えたかという顔をする人に“あってます”と言って会場に向かった。
順番が来て、ルイ様と私は王太子殿下の前に立ち挨拶をした。
「ルイ・ジャレッドが王太子殿下にお祝いを申し上げます」
「お初にお目にかかります。アイリーン・ウィンターが王太子殿下にお祝いを申し上げます」
「……え?」
王太子殿下は 挨拶を先に終えたウィンター公爵と目の前の私を目で往復させた。
「(公爵とは白い結婚で、あの女性を愛してるから彼女に跡継ぎを産ませるそうです)」
小声で王太子殿下に事情を話した。
「ジャレッド公爵とは?」
「(恋人を探している最中なのです)」
「ハハッ なるほどな。
ジャレッド公爵は良いぞ。
其方、旧姓は?」
「アイリーン・ベロノワと申します」
「ベロノワ……隣国の?」
「はい。伯爵家の長女でございます」
「(ウィンター公爵は馬鹿だったのだな)」
「お褒めいただき感謝します。スッといたしました」
「アイリーン。今度遊びに来てくれ」
「はい?」
「兄上、彼女は私の玩具ですから手出し無用ですよ」
現れたのはさっきの殺人未遂犯だった。
「ローランド?」
「私は第三王子のローランドと申します、レディ。
残念ながら近寄らせてもらうよ」
ニコッ
「是非、ご遠慮願います。
命が一つしかないもので。
その一つさえ少し減った気がします。
もう充分ですので、他の独身のご令嬢にお声がけくださいませ」
「遠慮深いな。
助けてやっただろう」
「それは間違いですわ。
私の命を減らしたのは殿下で、助けてくださったのはそちらの優しくて知的な殿方ですわ」
「なるほど。これは話し合いが必要だ」
「どうしてもと仰るのなら後日狼煙で連絡をお願いします。
気が付かなかったら、その時はご縁がなかったということに」
「アイリーン。水臭いな。
私と君の仲じゃないか。
先触れ無しに押しかけるよ」
「王太子殿下、罠の仕掛け方の書籍をお持ちでしたら貸していただけますか?
踏むと足首にロープが巻き付いて宙吊りになるやつとか、挟まるやつとか、落ちるやつとか」
「お前…俺は害獣か!」
「あら、殿下のお言葉が乱れ始めましたわ。お気を付けて。
では、王太子殿下。失礼いたします」
「アイリーン」
チッ!
「ウィンター夫人とお呼びください」
「嫌だ。
腹が減ってるんだろう?何か食べるか」
「え? いいの?」
「アイリーン様、下がろう。食べ物なら通常向こうに用意してあるから」
「ククッ」
こいつ!
「絶対に話しかけないでください!
ルイ様、行きましょう」
さらにジロジロチラチラ 他の貴族に見られてしまった。
「もしかして」
「彼のせいで飴で死にかけましたの」
「それは…大変だったな」
「横にいた黒髪の方はどなたですか?」
「キース・シュヴァイク。伯爵家の次男でローランド殿下の側近に内定している。
彼等はクリストファーと同い歳だ」
「嫌な予感。
でも普段学園ですね。来るわけないですわ」
「私も嫌な予感がするよ。
ローランド殿下のあんな砕けた姿を見たことがない」
「罠の仕掛け方をお父様に習っておけば良かったです。なんか可哀想だからと避けてしまいました。
今なら積極的に習えそうですわ」
「止めてくれ。相手は王子だからな」
王太子殿下夫妻の後にルイ様とダンスを踊った。
「アイリーン様、君の夫が次に申し込みに来るだろう。嫌なら他の申し込みをすぐ受けるといい」
「来ますか?」
「ずっとチラチラみてるからな」
ダンスが終わると、ルイ様の想定通り公爵が向かってきた。
だけどその前に、私の手を取りダンスを申し込む者がいた。
「ダンスを踊っていただけま、」
「喜んで」
喰い気味に返事をして声の主を見たらローランド殿下だった。
ニコッ
「撤回いたします」
「それは無理だ。ジャレッド公爵、借りますよ」
「ルイ様、貸さないで」
「夫よりいいだろう」
「ぐっ」
ローランド殿下は私の腰に手を回した。
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