【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない

ユユ

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最終話

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1週間後。

ルノウ邸でエリザベスの誕生日パーティが行われた。皇帝陛下は参加できないので私の安全のために王宮から騎士達を派遣した。少し屋敷が物々しい。

少し不満そうなペルペナは、ドレスを着てエリザベスとして招待客にお礼を述べて父親のルノウ卿とダンスを踊った。ダンスはペルペナを引き取った時から教育の一つとして習わせていた。

ダンスが終わるとギリグスが“ちょっと行ってきます”と言って、ペルペナにダンスを申し込んだ。
少し狼狽するペルペナが可愛い。
私を見るから“やれ”と合図を送る。
2人はダンスを始めた。

見た目は三十代半ばのギリグスがちゃんとリードしていた。

見直したわ。


ダンスが終わるとギリグスが跪いた。

「エリザベス・ルノウ嬢!僕の女神ペルペナ様!
僕の妻になってください!!愛しています!!」

ギリグスは手に小さなジュエリーボックスを持ていて、開けた。
多分指輪なのだろう。

ペルペナが断る気配を見せたので、慌てて近付いてペルペナの腕に絡み付いた。

「おめでとう、エリザベス!
私は大賛成よ!良かったわ!
ギリグス、早く指輪をはめてあげて」

「は、はいっ!」

「(ユピルピア様っ)」

「(ペルペナ、あなたの幸せは私の幸せよ。ギリグスは私が夫にしたいくらい良い子だわ)」

「(歳が離れすぎています)」

「(見た目はギリグスの方が歳上なのよ?大丈夫よ。
あなたのために泣いてくれる優しい人なのよ?)」

「……」

「エリザベス嬢、よく似合っています」

「ありがとうございます」

「もう一度、踊っていただけますか」

「……」

またペルペナは私を見た。

また“やれ”という合図を送った。

「僕が頼りないことは分かっています。僕なんかが貴女を望むのは高望みだと分かっています。
ですが、貴女が他の男に微笑む姿は見たくありません。夫婦でユピルピア皇后陛下に尽くしませんか」

「でも…」

ギリグスは立ち上がり、ペルペナの耳元で何かを囁いた。ペルペナは真っ赤になってしまった。

「エリザベス嬢のお許しが出ましたので、エリザベス・ルノウとギリグス・バンテールは結婚します!」

招待客から拍手が沸き起こる中、バンテール公爵とルノウ卿が握手をしていた。
多分両家で話がまとまっていて、あとはペルペナに求婚して承諾を得るだけだったのね。


後日、ペルペナに、あの時ギリグスに何て言われたのか聞いたけど顔を赤くして答えてくれなかった。

2人は半年の婚約期間を経て婚姻した。

実は挙式前日、ペルペナが準備で休んでいる時にギリグスにお願いされた。

『僕の子を産ませたいので、明日仕込んもでいいですか?』

『え?』

『ペルペナに2人産ませるなら急がないと』

そ、そうよね。
でもこの子からそんな風に話があると思わなかったわ。

『そうね』

『つまり、ユピルピア皇后陛下のお側から離れさせなくてはなりません』

『大丈夫よ。ペルペナの代わりにはならないけど、何人か指名して世話をさせるから』

『ペルペナが戻りたいと言ったら受け入れてくださいますか』

『もちろんよ。無理はさせたくないけど』

『良かったです。蜜月もください』

『休みは一昨日から5日間だったわね』

『僕だけ出勤するので ペルペナに1ヶ月の休みを取らせることを希望したら怒りますか?』

『1ヶ月?』

『実はペルペナの誕生日に約束したんです。
全部ペルペナに敵わないけど、閨事だけは満足させるって』

『!!』

『僕、ヤケになって遊んでいたので、あっちのことは自信あるんです。もちろんペルペナに出会ってからは遊んでいませんよ』

『う、うん』

『ペルペナは初めてだから大事に抱きますから安心してください』

ああ…純粋だと思っていたギリグスが女遊びしていたなんて。
知りたくなかったわ。
っていうか、19歳でどうしたら閨事に自信が持てるようになるのよ。


ショックのあまり、挙式に参列した日の夜 皇帝陛下に抱き付いたら勘違いされて閨事が再開してしまった。

あの流産騒動からずっと閨事を避けていたのに。

そして彼は注ぎたい葛藤になんとか勝って、お腹の上に吐精した。
しかもまだだった。

湯浴みに誘い、初めて口で奉仕した。
私の体内に出すことに満足感を得るのなら、口の中ならどうだろうと、最後の一滴まで吸い取った。
すごく喜んでくれた。


閨事は完全に再開して、週に一度だけ口で奉仕している。

ペルペナはすぐに妊娠した。
ギリグスは誇らしげに報告した。

この 週に一度の口淫を知ったギリグスは、“次の時は跪いてしてみてください。アレが膨らんで少ししたら口を離して陛下を見上げて口を開けて舌を出してください。その後は陛下に自分でさせて。
咽せないように頑張ってくださいね”とアドバイスをくれた。

効果は凄かった。
彼は私の頭を掴み、一生懸命口内に向けて射精をするが、上手く入らない。興奮して脚がふらつき手元も狂うらしい。

3回目でようやく ほとんどを口内に吐精して最後に唇や頬に押し付けた。
だけど、そのまま私をベッドに乗せてうつ伏せにさせると挿入しながら覆い被さった。

「ダメっ」

「ピピっ」

抵抗が彼の支配欲を刺激したのか、頭や肩を押さえつけながら犯すように突き抉られ 3回目の吐精を奥で始めた。

「ダメなのにっ」

「ああ、ピピ…俺の精を全部受け止めてくれ…俺がヨボヨボのジジイになっても…」

「…愛しています、アレクサンドル様」

「ピピ!!」


失敗した。

「ユピルピアはしばらくこの部屋から出ない。
世話だけしてやってくれ」

「かしこまりました」

「ピピ、仕事を終わらせてすぐ戻るからな。
それまで寝ていろ」

皇帝陛下は昼に戻って来て一緒に食べ終えると、ベッドに連れて行き指で散々ナカを掻き回すと仕事に戻り、ティータイムにまた戻って来て胸に吸い付き秘部を舐め、夜には思う存分抱いた。

月のモノが来て解放された。

ギリグスは皇帝陛下からアドバイスのお礼だと言って報奨金を受け取った。
 


エテルネル帝国に来て10年。

私は2男1女を産み、シャンティは2人女児を産んだ。ペルペナは2人男児を産んだ。

そしてモアナは、

「おぎゃあ!おぎゃあ!」

長い不妊の末、第一子の男児を産んだ。
何度もモアナは離縁を願い出たが、皇帝陛下は不妊を理由に家族を手放す気はないと却下した。
そして、子を産ませるためではなく、夫婦としてモアナとの閨事を続けた。

ようやく妊娠し、モアナは心の荷を下ろした。

「モアナ、ありがとう。よく頑張ったな」

「死ぬかと思いましたわ」

「ゆっくり休め」

「はい」


最後に子を産んだのはシャンティだった。

「残念ですが、お亡くなりになりました」

シャンティは天に召されてしまった。
出血が止まらなかったのだ。
お腹の子は男児で何とか取り出したが既に死んでいた。

シャンティは男児を産めなかったことに悩んでいて、最後にと願い出て子作りをした結果だった。

この日から1年間喪に服し、その間に皇帝は男性用避妊薬の研究に力を入れるよう命じた。成功者に多額の報奨金を出すと発表した。
一応あるにはあるのだが、性欲減退や勃起不全を起こしやすいという副作用があったから使用していなかった。

ショックが大きかった皇帝は、推奨されている避妊法を守り閨事も減らした。

だからユピルピアとモアナとギリグスは時々会議を開いては、皇帝を楽しませる作戦を練った。

いつしかギリグスは私達の間で“夜の補佐官”と呼ばれるようになる。
皇帝陛下もギリグスを気に入り、皇后護衛隊というギリグスとペルペナしかいない部署を作って王宮内に家族で寝泊まりできるような部屋を与えた。
地位はかなり上だ。騎士団長のすぐ下あたり。
だがギリグスもペルペナも、ユピルピアを護る者として側に立つ。

ギリグスとペルペナの子供は5歳になると、子供用の模造剣を腰に下げ、ギリグスと一緒にユピルピアの部屋に立った。
結局、皇子や皇女達が構い倒し、疲れ果ててソファで眠るのが日課になっている。
下の子達は子猫のようにくっつき合いながら仲良く眠る。
上の子達は授業が終わると下の子達を起こして一緒に夕食を食べて、また走り回って、疲れてぐっすり眠る。

後宮にいた頃はこんなに賑やかで幸せな生活が送れるとは思ってはいなかった。

「ピピ、おはよう」

「おはようございます、アレクサンドル様」

「今日も可愛いな」

「アレクサンドル様も素敵です」

「じゃあ、」

ドンドンドンドンドンドン

「あれは次男サリーだな」

「起こしに来てくれたのですね」

ドンドンドンドンドンドン

「はぁ…今開けるよ」




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