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予定外の妊娠
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遠いプロプル王国からお父様とお母様が会いに来てくださった。
自分も行きたいと騒ぐお兄様に全て任せて、こっそり明け方に出発したらしい。
「帰ったら大変だな」
「自分も行くと言ってきかなくて、旅支度もしていたのよ。慰めのお手紙を書いてあげて。プレゼント付きだと機嫌がなおるかもしれないわ」
「ふふっ、何がいいでしょうか……っ!!」
「ユピルピア?」
「ペルペナ…」
「はい、」
「う、産まれるかも…すごく痛いっ」
「ピピ!!」
「「ユピルピア!」」
「宮廷医を呼びます!」
そのままお産に突入。
ペルペナとお母様とモアナ様が立ちあい、何故か皇帝陛下も立ちあった。
「ん~!! 痛い~!!」
「ピピ!痛い思いをさせてごめん!」
「痛い~!!」
「よし、俺が代わってやる!」
「何言ってるんですか。代われませんよ。“嘘つき!代わってくれるって言ったのに!”なんて言われますよ 陛下。邪魔なので皇妃様の頭の方に行ってください」
この皇帝に邪魔と言ったのは、この宮廷医くらいだろう。
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
1日半かけて産んだのは皇子だった。
「陛下、皇子ですよ。何でこんな時にへたばっているのですか。疲れているのは皇妃様の方ですよ。役に立たない夫は嫌われますよ」
「お前…」
「ほら、抱っこしてあげてください」
「持ってきてくれ」
「連れてきてくれが正しいです。まったく…」
脱力しながら、この宮廷医は強いなと感心した。
皇帝陛下は1日半付きっきりで一緒にいきんでいたのでフラフラになり床に倒れ込んでいた。
床に寝転んだ胸の上に皇子を乗せると、
「うわ、軽い…小さいな。何で俺にそっくりなんだ?」
「そりゃ、陛下の子ですから そっくりでも不思議ではありませんよ。寧ろ喜ぶところでは?」
「俺はピピ似になるよう、胎の中にいるこの子に言い聞かせていたんだ」
「言うことを聞かないところまで陛下似ですね。
さて、プロプルの国王夫妻にも見せに行かなくては」
宮廷医は赤ちゃんを抱っこして内扉の向こうの居間に向かった。
お母様は仮眠をとるために居間にいる。お父様も一緒だ。モアナ様は食事中。
「あいつ、不敬だろう」
「私は彼を支持しますわ」
「私もユピルピア様と同意見です、陛下」
「……ユピルピア、ありがとう」
「はい。無事に産まれて良かったです」
「ユピルピア、国王達に立ち会ってもらいたいから2週間後に立后する。要職だけ呼んでサッと済ます。祝い事は半年後だ。
彼らは何ヶ月も滞在できないだろう?」
「私は皇妃のままでいいのです」
「俺はユピルピアを愛しているんだ。愛してる女性を皇后にしたいと思うのは当然だろう」
そこにモアナが食事から戻って来た。
「おめでとうございます!ユピルピア様」
「ありがとうございます」
「あれ?何故陛下が床で寝ているんですか?
皇后にしたいとか聞こえましたけど、まさかそのお姿のまま口説いているのですか?」
「……」
「エテルネル帝国の皇帝がカッコ悪いことをしないでください。しっかりと正装して跪いてください。
まさかの手ぶらですか?指輪くらい用意したらいかがですか?はぁ」
「モアナまで…」
「陛下、ユピルピア様は疲れていて食事と睡眠が必要です。陛下はご自分の部屋に戻って湯浴みでもして、綺麗になったら戻って来てください」
「俺は汚物か」
「女性は清潔な男が好きです。当然ユピルピア様もです」
「…行ってくる。
誰か、俺を背負ってくれ!」
2週間後、大臣達を集めてお父様とお母様が見守る中、皇后の冠を頂いた。
そして皇帝は、
「皆に宣言する。
ユピルピアを皇后とした今、これ以上は娶らず手も付けないことを誓う。
3人の妻と共に帝国の繁栄に務めることを約束する。
死に別れたとしても俺の生涯を3人の妻に捧げる。
今代限りではあるが、もし この誓いを破る日が来たら強制的に皇帝の座を明け渡す法律を制定した。
永遠の愛をユピルピアに、友愛をモアナとシャンティに捧げる」
良かったわねとお母様達に言われたけど、どうしても警戒してしまう。
半年後。
帝国中の爵位持ちに招待状を出して立后のパーティが開かれ、つつがなく終えた。
当面静かに過ごせるかなと思ったが、ペルペナの父ルノウ卿が皇帝陛下を通して面会を求めてきた。
ペルペナに内緒にして欲しいということで、“イチャイチャしたいから席を外せ”と皇帝が追い払った。
ペルペナを食事に向かわせている間にルノウ卿と会った。
「え?ペルペナの誕生日、1週間後なのですか!?」
「はい。ルノウ邸でお祝いをしようと思います。
当日、驚かせたいので皇后陛下に気を逸らしていただきたいのです」
「否応無しに連れて行って、私がケーキを食べたいと言えば会場にとどまりますわ」
「あと、ドレスを作ったので着替えさせたいのです」
「ペルペナのドレス姿が見たいと駄々をこねてみせます」
「感謝いたします!」
ペルペナの誕生日は私と出会った日にしていて、毎年祝っていた。今年も既に祝い終えていた。
本当の誕生日があることを失念していた。
部屋に戻る途中にギリグスに相談した。
「1週間後かぁ。う~ん何がいいかしら」
「でも今年 既に誕生日プレゼントを渡してますよね」
「ペルペナにね。1週間後はエリザベスによ」
「そういえば うちの親も招待されているんです。僕の名前もありますから、正装して護衛します」
「そうなのね。だったらその日は護衛任務から外すわ」
「外れません」
「でも、」
「嫌です」
そういうところはペルペナに似てきたわね。
「何か?」
「何でもないわ」
自分も行きたいと騒ぐお兄様に全て任せて、こっそり明け方に出発したらしい。
「帰ったら大変だな」
「自分も行くと言ってきかなくて、旅支度もしていたのよ。慰めのお手紙を書いてあげて。プレゼント付きだと機嫌がなおるかもしれないわ」
「ふふっ、何がいいでしょうか……っ!!」
「ユピルピア?」
「ペルペナ…」
「はい、」
「う、産まれるかも…すごく痛いっ」
「ピピ!!」
「「ユピルピア!」」
「宮廷医を呼びます!」
そのままお産に突入。
ペルペナとお母様とモアナ様が立ちあい、何故か皇帝陛下も立ちあった。
「ん~!! 痛い~!!」
「ピピ!痛い思いをさせてごめん!」
「痛い~!!」
「よし、俺が代わってやる!」
「何言ってるんですか。代われませんよ。“嘘つき!代わってくれるって言ったのに!”なんて言われますよ 陛下。邪魔なので皇妃様の頭の方に行ってください」
この皇帝に邪魔と言ったのは、この宮廷医くらいだろう。
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
1日半かけて産んだのは皇子だった。
「陛下、皇子ですよ。何でこんな時にへたばっているのですか。疲れているのは皇妃様の方ですよ。役に立たない夫は嫌われますよ」
「お前…」
「ほら、抱っこしてあげてください」
「持ってきてくれ」
「連れてきてくれが正しいです。まったく…」
脱力しながら、この宮廷医は強いなと感心した。
皇帝陛下は1日半付きっきりで一緒にいきんでいたのでフラフラになり床に倒れ込んでいた。
床に寝転んだ胸の上に皇子を乗せると、
「うわ、軽い…小さいな。何で俺にそっくりなんだ?」
「そりゃ、陛下の子ですから そっくりでも不思議ではありませんよ。寧ろ喜ぶところでは?」
「俺はピピ似になるよう、胎の中にいるこの子に言い聞かせていたんだ」
「言うことを聞かないところまで陛下似ですね。
さて、プロプルの国王夫妻にも見せに行かなくては」
宮廷医は赤ちゃんを抱っこして内扉の向こうの居間に向かった。
お母様は仮眠をとるために居間にいる。お父様も一緒だ。モアナ様は食事中。
「あいつ、不敬だろう」
「私は彼を支持しますわ」
「私もユピルピア様と同意見です、陛下」
「……ユピルピア、ありがとう」
「はい。無事に産まれて良かったです」
「ユピルピア、国王達に立ち会ってもらいたいから2週間後に立后する。要職だけ呼んでサッと済ます。祝い事は半年後だ。
彼らは何ヶ月も滞在できないだろう?」
「私は皇妃のままでいいのです」
「俺はユピルピアを愛しているんだ。愛してる女性を皇后にしたいと思うのは当然だろう」
そこにモアナが食事から戻って来た。
「おめでとうございます!ユピルピア様」
「ありがとうございます」
「あれ?何故陛下が床で寝ているんですか?
皇后にしたいとか聞こえましたけど、まさかそのお姿のまま口説いているのですか?」
「……」
「エテルネル帝国の皇帝がカッコ悪いことをしないでください。しっかりと正装して跪いてください。
まさかの手ぶらですか?指輪くらい用意したらいかがですか?はぁ」
「モアナまで…」
「陛下、ユピルピア様は疲れていて食事と睡眠が必要です。陛下はご自分の部屋に戻って湯浴みでもして、綺麗になったら戻って来てください」
「俺は汚物か」
「女性は清潔な男が好きです。当然ユピルピア様もです」
「…行ってくる。
誰か、俺を背負ってくれ!」
2週間後、大臣達を集めてお父様とお母様が見守る中、皇后の冠を頂いた。
そして皇帝は、
「皆に宣言する。
ユピルピアを皇后とした今、これ以上は娶らず手も付けないことを誓う。
3人の妻と共に帝国の繁栄に務めることを約束する。
死に別れたとしても俺の生涯を3人の妻に捧げる。
今代限りではあるが、もし この誓いを破る日が来たら強制的に皇帝の座を明け渡す法律を制定した。
永遠の愛をユピルピアに、友愛をモアナとシャンティに捧げる」
良かったわねとお母様達に言われたけど、どうしても警戒してしまう。
半年後。
帝国中の爵位持ちに招待状を出して立后のパーティが開かれ、つつがなく終えた。
当面静かに過ごせるかなと思ったが、ペルペナの父ルノウ卿が皇帝陛下を通して面会を求めてきた。
ペルペナに内緒にして欲しいということで、“イチャイチャしたいから席を外せ”と皇帝が追い払った。
ペルペナを食事に向かわせている間にルノウ卿と会った。
「え?ペルペナの誕生日、1週間後なのですか!?」
「はい。ルノウ邸でお祝いをしようと思います。
当日、驚かせたいので皇后陛下に気を逸らしていただきたいのです」
「否応無しに連れて行って、私がケーキを食べたいと言えば会場にとどまりますわ」
「あと、ドレスを作ったので着替えさせたいのです」
「ペルペナのドレス姿が見たいと駄々をこねてみせます」
「感謝いたします!」
ペルペナの誕生日は私と出会った日にしていて、毎年祝っていた。今年も既に祝い終えていた。
本当の誕生日があることを失念していた。
部屋に戻る途中にギリグスに相談した。
「1週間後かぁ。う~ん何がいいかしら」
「でも今年 既に誕生日プレゼントを渡してますよね」
「ペルペナにね。1週間後はエリザベスによ」
「そういえば うちの親も招待されているんです。僕の名前もありますから、正装して護衛します」
「そうなのね。だったらその日は護衛任務から外すわ」
「外れません」
「でも、」
「嫌です」
そういうところはペルペナに似てきたわね。
「何か?」
「何でもないわ」
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