【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない

ユユ

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頼もしい味方

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何故か後宮の先輩から招待を受けた。

一階の談話室と書かれた部屋へ行くと、美女が揃っていた。人数は5人。先日、一度全員に挨拶だけしたけど全く覚えていない。

「招待してくださったヴィヴィアン様はどなたですか」

「まあ、覚えていないなんて」

「失礼だわ」

一通り文句を言い終えた5人は改めて自己紹介をしてくれた。

1「私はララザフ王国の王女ヴィヴィアンよ」

2「私はフロレア王国の王女ビアナです」

3「私はヴァテロク王国の公爵令嬢フィリアです」

4「私はゼルマクルム王国の公爵令嬢ロリです」

5「私はカラザ王国の侯爵令嬢アイリスです」

私「私は、」

モ「あら~何の集まり?」

シ「混ぜてもらうわね」

挨拶をしようとしたら、帝国の貴族令嬢モアナ様とシャンティ様が入室した。ここには扉は無い。

モ「ユピルピア様、座りましょう」

シ「大丈夫ですか?」

私「大丈夫ですわ。
私はプロプル王国の王女ユピルピアと申します。お招きありがとうございます」

モ「ずるいわ。私達を誘わないなんて酷い」

シ「ユピルピア様、座りましょう」

モアナ様とシャンティ様の間に挟まれてソファに座った。

モ「で、このメンバーは何? これから何が始まるのかしら」

1「どんな方がいらしたのか気になりましたの」

2「一番最後にいらしたでしょう?気になりまして」

3「王女様ということですが、プロプル王国の流行りですか?随分と庶民的なお召し物で」

2「王女様といってもいろいろございますものね」

4「下女が産んだとか」

4人はクスクスと笑い、1人は一番敵意を宿した目でじっと私を見ていた。

私「正妃の産んだ娘で父王にそっくりですが、何か?
王族の血筋に対してありもしない事を口にするなんて、ゼルマクルム王国の王族は皆様寛大ですのね。
でも他所の国はそうではないはずですわ。プロプルでは良くて下級平民、最悪極刑ですから。
後宮に入っていなければ、是非招待したいくらいですわ」

4「っ!!」

シ「下級平民って何ですの?」

私「貴族籍から抜いた後、実験台に使う者のことです。新薬の開発に役立ってもらいますわ」

モ「まあ、本当だとしても王族の血筋のことを口にする貴族は不敬として処罰されますわね。しかも根拠のない侮辱なら極刑も致し方ありませんわ。
ここは後宮てす。誰が妃に格上げされるか分からない中でロリ様とビアナ様は勇気がおありですのね。
私が妃になったとしたら、そのような事を申した者は平兵士にでも下げ渡しますわ」

2「モアナ様のことを言ったわけでは、」

モ「ユピルピア様は私達の友人ですわ」

シ「すっかり仲良くなりましたの」

2「ほ、本当ですか?」

モ「ええ。ユピルピア様のお部屋にお泊りする予定ですわ」

シ「ユピルピア様のお部屋で 皇帝陛下と4人でお茶を飲みましたのよ」

1「陛下が!?」

シ「待遇に問題がないか確認のために態々いらっしゃったのです」

モ「お茶もお気に召されておいででしたわ」

2「そんな…」

1「で、でも、アイリス様の元へお渡りに、」

モ「どのくらい滞在なさったのかしら。贈り物でもあったのかしら、特別な会話でも?もしかして避妊薬は免除されたのかしら」

5「…いえ」

モ「それでは単なるお務めなだけで、寵愛とは別物ですわ。寧ろ閨事無しに陛下がユピルピア様の元を訪ねてお茶を飲んで会話をなさった事の方を重視すべきではございませんこと?」

シ「装いを馬鹿になさっていましたわね。
ユピルピア様は帝国民のために 着る物も食事も慎ましくなさったのです。逆に持参なさった宝石類を寄付なさろうとしたのですよ。私は感動しましたわ」

モ「プロプル王国の王族の自己犠牲心はとても尊いですわ。例え何の権利も持たない状態でも帝国のために尽くそうとなさるなんて。私、自分が恥ずかしくなりましたわ。ユピルピア様が帝国に来てくださって嬉しいです」

本当は私を吊し上げたかったのに、モアナ様とシャンティ様の登場で一気に逆転してしまったわ。

あの小柄なアイリス様が直近の皇帝の閨の相手をしたのね。だけど私は出迎えはもちろん 挨拶も無く後宮の女としての役割も求められなかった。そんな私のことなんて捨て置けばいいのに。

それにモアナ様とシャンティ様はかなり私を美化してしまったわ。恥ずかしい。

お茶会はそのまま終わってしまった。



助けてくれたモアナ様とシャンティ様を招待してお泊まりしてもらうことになった。

「やりましたわ!私の勝ちです!」

3人でカードゲームをして、ずっと負けていたシャンティ様がやっと勝ったので大喜びしていた。

「お嬢様方、湯浴みの準備が整いました」

「お先にどうぞ」

自分が最後に入ろうと勧めたが、

「3人で一緒に入りましょう?」

「3人は狭いです。おふたりでどうぞ」

「3人がいいです」

「狭いです」

「「3人がいいです」」

結局、3人で入り、それぞれのメイドが身体や髪を洗った。
狭くて洗い難くて時間がかかってしまった。



【 後宮使用人管理者エルダの視点 】

渡り廊下の側にある部屋で日誌を書いていた。

リリーン リリーン リリーン 

三回ベルの音が聞こえた。
渡り廊下の先の扉を開けると皇帝陛下とサイモン後宮長達が通過なさった。

「エルダ、陛下はユピルピア様の部屋に行く」

「お渡りですね、直ぐに連絡いたします」

「いや、直接行く」

「本日はモアナ様とシャンティ様がユピルピア様のお部屋でお泊りですので、直ぐに部屋に戻らせます」

「構わない」

陛下はツカツカと先へ進む。

ユピルピア様の部屋のドアをノックすると、モアナ様のメイドがドアを開けた。

「!! 陛下っ…よ、ようこそユピルピア様のお部屋へ」

「…シャンティのメイドか?」

「モアナ様のメイドです、陛下」

サイモンが答えていると、

「誰か来たの?」

薄布地の白いナイトドレスを着たユピルピア様が通りかかった。
長湯でもしたのか白い肌は薄桃色に染まり、いい香りが立ち上る。
髪を無防備に拭いていたために左肩紐がずれて薄布地が下がり、乳房と小さなピンクの頂が片方見えてしまっていた。

サイモン後宮長はパッと後ろを向くと、陛下の護衛も目線を少し逸らした。

「…皇帝陛下?」

陛下の登場を不思議に思いながら髪を拭き続ける。
その間も露わになった左胸は動きに合わせてプルプルと揺れていた。

「ユピルピア様!」

慌ててペルペナが肩紐を上げてナイトガウンを着せた。そして耳打ちをするとユピルピア様の顔は真っ赤になり、顔を手で覆ってしゃがみ込んでしまった。

…しゃがみ込んでしまったから、今度は太腿や下着が見えてしまった。

陛下はユピルピア様の側まで歩くとユピルピア様を抱き上げてベッドの上に下ろした。
ペルペナから布を取り上げるとユピルピア様の髪を乾かし始めた。
ユピルピア様は顔を隠したままだ。

乾かし終わると頭を撫でてから 無言で部屋を出た。

「陛下…」

「ヴィヴィアンを」

「かしこまりました」


突然の訪問にヴィヴィアン様は喜んだが、また陛下は10分も経たずに済ませて出て来てしまった。

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