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マイリスの再会

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【 マイリス夫人の視点 】


昨年二人目の男児を産んだ。

私も自由に遊びたいと思っていたけど、まだ二人目が小さいせいか茶会以外の招待状は届かなかった。


だけど義父母の婚姻30年のパーティに参加するために現れたのはフェリシアン様だった。

神の思召しだと思った。

昔より筋肉で体に厚みがでて引き締まり どことなく野生味が加わっているが、色気があり眼差しは強い。

既に辺境を治める者としての威厳も感じた。

私の理想の男。
なのに彼の隣にはとても美しく可愛らしい若い令嬢がいた。

フ「最近恋人になったんだ」

私「ちょっと!フェリシアン!」

名前を呼ばせているの!?

彼が名前で呼ばせる女性はいなかった。
呼んでいいのは家族と親類と当時の婚約者だけだった。体だけの関係の女性達は果敢に呼んでも 呼ぶなと言われるだけだったのに…。

しかも恋人!?

フ「シェイナは初心だからそっとしておいてくれないか。口説くのが大変だったんだ」

ずっと手を繋いだまま、彼女を見つめて優しく微笑む。

信じられない。

カ「まあ 大変だろうな。……本当に可愛いな」

カルファン様まで……。



二人を部屋に案内したメイドにフェリシアン様の客室を聞くと、彼女と同室だという。

外から近寄るとバルコニーにフェリシアン様と彼女が立っていた。

ヒソヒソと小声で話し内容は聞き取れない。
だけどフェリシアン様が彼女の唇にキスをした。

体だけの女にしないキスを。
しかも陽が落ちていない時間のバルコニーで。

何か楽しそうに話をしたかと思ったら、再びキスを始めた。

長いキスを。



フェリシアン様に抱いて欲しい。
出来れば彼の子を身籠りたい。

あの二人を引き離せれば……。

カルファン様が彼女を寝所に連れて行けばいいのに。



夜になるとパーティが始まった。

フェリシアン様は片時も彼女から離れず どこから見ても愛する恋人にメロメロの男だった。
パーティにはフェリシアン様と関係を持ったことのある女性達がいる。チラチラと様子を伺うも二人の仲の良さに、皆 諦めて視線を外した。


フェリシアン様は跪いて彼女をダンスに誘い、溶けるような微笑みで彼女と踊る。
グッと腰を引き寄せ密着していた。

間違いなく、体の関係を持っているのが分かる。
時折 楽しそうに笑っていた。


「よし、シェイナ嬢を誘いに行くか」

ダンスが終わる頃にカルファン様は ダンスを誘いに近寄った。
私もと近寄ったのに。

「先ずは侯爵夫妻と踊らないと。シェイナ、誘いに行こう」

フェリシアン様がお義父様達のところへ行ってしまった。

フェリシアン様はお義母様と、彼女はお義父様とダンスを始めた。

お義父様は楽しそうに踊りながら彼女と会話をしていた。


友人夫婦達から声を掛けられて対応している間にダンスは終わり、二人の姿が見えない。

「まさかヴェリテ公爵令嬢と辺境伯がな」

「公女は宰相執務室の補佐官になったばかりだろう。
直ぐに結婚は無さそうだよな。まだ若過ぎるし」

「だけど辺境伯はもういい歳だし、子供を産ませたいんじゃないか?」

「あの方のあのようなお顔を拝見したことがありませんわ。公女のためなら待つのでは?」

「今夜の辺境伯には驚いた。時々嫌がる公女に嬉しそうに付き纏ってる感じだな」

「可愛くて仕方ないんだろう。実際にすごい可愛いからな」

「でも、クリス王太子殿下の溺愛する従妹ひとだろう? ヴェリテ公爵も娘を溺愛していると言われているから、女遊びをする男は無理じゃないか?」

「そういえば、お二人はどちらに?」

「ああ、さっき、ヴェリテ公爵家と取引をしたいっていう当主が別室に連れて行ったよ。
その前に 宰相を紹介して欲しいと声をかけた当主は即断られていたな」

「まだ成人したてだろう。判断が早いな」

「公私の区別を付けて対応しているんだな。

後ろ盾もしっかりしていて王家からも可愛がられていて、職もエリートじゃあ 辺境伯も目を付けるさ」





夜中、専属メイドに頼んでフェリシアン様の泊まっている客室を見張らせた。

戻って来た専属メイドが息を切らしていた。

「バロウ辺境伯様がお一人でお部屋にいらっしゃいます」

「公女は?」

「部屋から出て、辺境伯様の近侍のお部屋に」

「公女の身なりは?」

「寝巻きにナイトガウンを羽織っていました」

あり得ないわね。
夜中に部屋を抜け出して そのような姿で尋ねるなんて。

「ありがとう。近侍の部屋を見張ってくれる?公女が1時間以内に出てくるようなら留めるか他の場所へ理由を付けて案内して欲しいの」

「やってみます」

メイドに金貨を手渡した。

「ありがとう。また後で一枚渡すわね」


ナイトドレスに羽織ものをして、フェリシアン様の客間にそっと入った。
中は真っ暗だったが廊下から漏れる薄明かりでなんとかベッドまで辿り着いた。

ベッドに入るとフェリシアン様の体に触れた。
胸からゆっくり手を滑らせ、腹筋をなぞり下着の上から男のモノを刺激した。

直ぐにソレは大きくなりビクビクと動き始めた。

「抱いてください」

「……」

彼の手が胸に触れ、ナイトドレスをずらして頂に吸い付いた。

「あっ」

もう片方は摘まれてクリクリと捏ねられた。

秘部に触れ指を挿れ、解すと直ぐに張り詰めた楔が私のナカに侵入してきた。

夢にまで見た瞬間だった。

フェリシアン様は私の腕を掴みながら仰向けになった。彼の上に跨ることになった私は一生懸命に腰を振った。

数分で腰を掴まれて下から腰を押し付けられると 奥深くに吐精された。

「くっ…」

気持ち良さそうな声を上げながら注ぎ込む彼の体を撫でる。

吐精が終わると彼は上半身を起こして口付けをした。

子種を注がれ唇を合わせて舌を入れられた。
最高の瞬間だ。


フェリシアン様は一度抜くと、私の体を四つん這いにさせた。

臀部をギュッと掴まれて激しく突かれた。

絶頂を得ても彼の抽送は止まらない。枕に顔を押し付けて声を殺した。

「くっ…」

二度目の吐精を受け止めた後は、少しの間 彼に寄り添い、ナイトドレスを整えて羽織りものをして部屋を出た。

自室に戻り、精液が漏れ出ないようにする蓋代りになる栓を挿入した。
避妊薬も飲まなかった。

膣内にたっぷり注がれて夢心地だ。

彼にそっくりな子を産みたい。





翌朝はフェリシアン様は部屋食だと聞いたので、私も部屋食にした。

昼前にカルファン様が二人を庭園に案内し、昼食を招待客全員揃ってとった。

その後、9割のお客様がユニルドール邸を去った。
ティータイムの頃にフェリシアン様達は町へ向かった。

「リエッタ。今夜もお願いできるかしら」

昨夜見張りをさせたメイドに命じたが、

「辺境伯様と公女様は領内の宿に宿泊なさって、明日の昼食をこちらでご一緒してから王都へ向かうそうです」

「分かったわ」

今夜も抱かれようと思っていたけど、仕方ない。
注がれたモノをそのままに栓を取らなかった。

その夜は、昨夜を思い出しながら自分を慰めた。


翌日の昼前にフェリシアン様達が戻ってきた。

義父「いかがでしたかな」

フ「いい宿でした。バスタブも二人で入れる大きさで食事も美味しかったです」

義父「それは良かったです」

その後はヴェリテに卸している布地の話で盛り上がり、昼食をとってフェリシアン様達を見送ることになった。

カ「またお邪魔させてもらうよ」

フ「ああ。待っている。
だが、王都に行くことが多くなったから、」

カ「分かってるよ。長くいそうなときは教えてくれ。私も王都に向かうよ」

フ「元気でいろよ」

カ「フェリシアンもな」

シ「お世話になりました」

フェリシアン様が行ってしまう。
だけど子種をナカにためているから大丈夫。
必ず懐妊して貴方にそっくりな男児を産むわ。
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