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【 イエール・ベルトナーの視点 】
『キャサリン・セベッジ!キャサリン・セベッジ伯爵令嬢を知りませんか~!』
信じられないほどの美人が、平民のオーナー夫人と貴族令嬢の間に入り、身を挺して平民を庇い 大声で令嬢を辱めていた。
列に並ぶ客は驚いていたが、港町の者は大して驚いていない。気が付いた漁師達がゆっくり近付いて様子を見守っていた。
結局 並ぶことに文句を言っていた令嬢は捨て台詞を吐きながら去って行った。同時に漁師達は散って行った。もしかしたらこの領主夫人に危害を加えそうなら守ろうとしていたのだろう。
不思議な女性だ。相席をして観察すると、美しく豪快に食べる。パンは千切って食べないで齧り付いているのに品があるし美味そうに見える。
この漁港は素晴らしい。何より食事が美味い。昨日もレストランやホテルで食事をしたが美味いし口にしたことのないメニューで溢れていた。
子供向けの気配りが素晴らしい。店員は嫌な顔をせず飛んできては手助けをする。
漁港も町も店も清掃が行き届いている。ゴミを拾うなど最下層の者がすることだと思っていたが、この港町ではそれが美徳だ。
貴族と平民が混じっている時は貴族が優先されがちだが、さっきのようなことがあると まるで異物を見るような冷たい目を向けている。他の客までもだ。
国内の新聞の旅行コラムにブラージェルの港町が掲載されたことで興味を持った。うちの港は普通だと思うが新聞に紹介されるほどではない。
繁盛させることはいいことだ。それにアルミュア公爵令嬢が王子と揉めてブラージェルに嫁いだことは新聞で知っていた。てっきり公爵家が娘の嫁ぎ先を良くしようと大金を投じたのだと思っていた。
行ってみるとお手上げだった。発想がまるで違うのが分かった。
少し変えて真似をしても、真似だと分かってしまうほど特徴的だし、繁盛しても所詮真似でしかないから次の案が無い。飽きられたら終わりだ。
聞いて回るとブラージェル夫人の名しか出てこない。
『この港町はアルミュア公爵家が改革を?』
『まさか。まあ、エリーズ様は確かにアルミュア公爵家のご出身ですが、エリーズ様個人が出資してくださっています。改革も全てエリーズ様が直々になさいました』
ホテルの支配人の言葉が信じられなかった。
確かに未来の王妃と言われた女性でも町民や気の荒い漁師の教育からイベントからレシピまで?
こんなこと誰が信じられる。
だが、翌日の朝漁の店で
『いいえ、ブラージェルのオリジナルです。開発して今日が初のお披露目ですわ。もう少し口当たりを改良できるはずですので、その時はレモンなどの風味を外すつもりです』
レシピも夫人が考案しているのは間違い無さそうだ。
屋敷の話に触れると別居をしているようだ。
そうか…。
精一杯下手に出て夫人の屋敷に連れて行ってもらった。
貴族の屋敷の概念を取り払ったような屋敷は殺風景に見えながらも一つのアクセントを加えることで空間を支配していた。
夫人の日常に触れながらプライベートビーチに出た。ビーチにテラスと風呂を作っていた。遮るものは可動式の衝立だけ。
この美しい曲線美を惜しげもなく夫に披露しているのだろうか。
『婚約破棄、おめでとうございます』
この一言で彼女は満面の笑みを浮かべた。
可愛すぎる…
「特別にどちらか一人ビーチバスを使っていいですよ」
「二人は駄目ですか?」
「これもお遊びです」
コイン当てで勝ったのはダニエルだった。
ダニエルは水着を貸してもらい湯に浸かると魂でも口から吐き出すように息を吐いた。
「はあ~っ、気持ちいい~っ」
「打たせ湯をやってみますか?」
「何ですかそれは」
「最近改良したのですが、水が落ちる力で肩に刺激を与えようという主旨のものです」
「お願いします」
メイドがレバーを動かすと頭上から湯が落ちて来た。ピンスポットに肩に当たっている。
「おっ!なるほど」
「どうだ、ダニエル」
「肩叩きみたいな感じです。もうこの後は何もしたくないです」
「ログ様、夜には上のテラスでグリル料理を楽しみますよ」
「いいのですか!」
「準備させています」
…何故 私は右手にコインが入っていると思ったのだろう。先に選んだ私が外れて ダニエルが当ててしまった。
「朝、昼、夜と景色が変わりますし、雲空は同じ日はありませんからね」
「ここに住みたくなりました」
「ふふっ」
日が落ち始めると、庭のテラスで食事が始まった。
グリルテーブルでエビや貝や肉を焼き、塩釜というものを叩き割ると中から魚が出て来た。
窯ではピザというものを焼いてくれて、どれもあり得ないほど美味かった。
ピザを手掴みで食べる夫人を見習って我々も手掴みで食べた。
客室はシンプルだが使っているものは極上品。ダニエルは吸い込まれるようにベッドで眠ってしまった。質問があって一階に降りると少し騒がしかった。
「男を泊めるなんて聞いていない!」
「視察にいらしただけです」
「だったら私を呼べばいいだろう」
「ふん!」
「アレとコレは別問題だ。私は過去のことだが君はもう私の妻だから浮気ととられるぞ」
「別に浮気しているわけではありません」
「危機感が無さすぎる!」
「私の護衛は優秀です」
「エリーズ!」
「……」
「私が屋敷に見知らぬ若い女を2人連れ込んで泊まらせていたら嫌じゃないのか?」
「……ごめんなさい」
「この間は私が悪かった。デリカシーが無かった。
ただ、私にはエリーズだけだということを分かって欲しい」
「もう昔の話は聞きたくないです」
「ごめん」
政略結婚で別居しているのならチャンスがあるかと思ったが、難しそうだな。
「失礼、私はイエール・ベルトナーです。
漁港の町の改革に興味を持って訪れました。子爵に挨拶もなく泊まらせていただくなど不躾でした。申し訳ございません」
「夫のクリストファー・ブラージェルと申します」
「美しい海をお持ちですね。食事も美味しくて素晴しい。うちも港町と湖を持っています。とても比較にならなくてお恥ずかしいのですが、機会があれば是非観光にいらしてください。
明日は子爵はご予定が?」
「特にはありません」
「出来れば子爵に案内していただきたいのです。改革前と後を詳しく教えてください」
「では妻とご案内いたします」
「感謝します」
これで夫人目当てではないと思ってくれただろうか。
『キャサリン・セベッジ!キャサリン・セベッジ伯爵令嬢を知りませんか~!』
信じられないほどの美人が、平民のオーナー夫人と貴族令嬢の間に入り、身を挺して平民を庇い 大声で令嬢を辱めていた。
列に並ぶ客は驚いていたが、港町の者は大して驚いていない。気が付いた漁師達がゆっくり近付いて様子を見守っていた。
結局 並ぶことに文句を言っていた令嬢は捨て台詞を吐きながら去って行った。同時に漁師達は散って行った。もしかしたらこの領主夫人に危害を加えそうなら守ろうとしていたのだろう。
不思議な女性だ。相席をして観察すると、美しく豪快に食べる。パンは千切って食べないで齧り付いているのに品があるし美味そうに見える。
この漁港は素晴らしい。何より食事が美味い。昨日もレストランやホテルで食事をしたが美味いし口にしたことのないメニューで溢れていた。
子供向けの気配りが素晴らしい。店員は嫌な顔をせず飛んできては手助けをする。
漁港も町も店も清掃が行き届いている。ゴミを拾うなど最下層の者がすることだと思っていたが、この港町ではそれが美徳だ。
貴族と平民が混じっている時は貴族が優先されがちだが、さっきのようなことがあると まるで異物を見るような冷たい目を向けている。他の客までもだ。
国内の新聞の旅行コラムにブラージェルの港町が掲載されたことで興味を持った。うちの港は普通だと思うが新聞に紹介されるほどではない。
繁盛させることはいいことだ。それにアルミュア公爵令嬢が王子と揉めてブラージェルに嫁いだことは新聞で知っていた。てっきり公爵家が娘の嫁ぎ先を良くしようと大金を投じたのだと思っていた。
行ってみるとお手上げだった。発想がまるで違うのが分かった。
少し変えて真似をしても、真似だと分かってしまうほど特徴的だし、繁盛しても所詮真似でしかないから次の案が無い。飽きられたら終わりだ。
聞いて回るとブラージェル夫人の名しか出てこない。
『この港町はアルミュア公爵家が改革を?』
『まさか。まあ、エリーズ様は確かにアルミュア公爵家のご出身ですが、エリーズ様個人が出資してくださっています。改革も全てエリーズ様が直々になさいました』
ホテルの支配人の言葉が信じられなかった。
確かに未来の王妃と言われた女性でも町民や気の荒い漁師の教育からイベントからレシピまで?
こんなこと誰が信じられる。
だが、翌日の朝漁の店で
『いいえ、ブラージェルのオリジナルです。開発して今日が初のお披露目ですわ。もう少し口当たりを改良できるはずですので、その時はレモンなどの風味を外すつもりです』
レシピも夫人が考案しているのは間違い無さそうだ。
屋敷の話に触れると別居をしているようだ。
そうか…。
精一杯下手に出て夫人の屋敷に連れて行ってもらった。
貴族の屋敷の概念を取り払ったような屋敷は殺風景に見えながらも一つのアクセントを加えることで空間を支配していた。
夫人の日常に触れながらプライベートビーチに出た。ビーチにテラスと風呂を作っていた。遮るものは可動式の衝立だけ。
この美しい曲線美を惜しげもなく夫に披露しているのだろうか。
『婚約破棄、おめでとうございます』
この一言で彼女は満面の笑みを浮かべた。
可愛すぎる…
「特別にどちらか一人ビーチバスを使っていいですよ」
「二人は駄目ですか?」
「これもお遊びです」
コイン当てで勝ったのはダニエルだった。
ダニエルは水着を貸してもらい湯に浸かると魂でも口から吐き出すように息を吐いた。
「はあ~っ、気持ちいい~っ」
「打たせ湯をやってみますか?」
「何ですかそれは」
「最近改良したのですが、水が落ちる力で肩に刺激を与えようという主旨のものです」
「お願いします」
メイドがレバーを動かすと頭上から湯が落ちて来た。ピンスポットに肩に当たっている。
「おっ!なるほど」
「どうだ、ダニエル」
「肩叩きみたいな感じです。もうこの後は何もしたくないです」
「ログ様、夜には上のテラスでグリル料理を楽しみますよ」
「いいのですか!」
「準備させています」
…何故 私は右手にコインが入っていると思ったのだろう。先に選んだ私が外れて ダニエルが当ててしまった。
「朝、昼、夜と景色が変わりますし、雲空は同じ日はありませんからね」
「ここに住みたくなりました」
「ふふっ」
日が落ち始めると、庭のテラスで食事が始まった。
グリルテーブルでエビや貝や肉を焼き、塩釜というものを叩き割ると中から魚が出て来た。
窯ではピザというものを焼いてくれて、どれもあり得ないほど美味かった。
ピザを手掴みで食べる夫人を見習って我々も手掴みで食べた。
客室はシンプルだが使っているものは極上品。ダニエルは吸い込まれるようにベッドで眠ってしまった。質問があって一階に降りると少し騒がしかった。
「男を泊めるなんて聞いていない!」
「視察にいらしただけです」
「だったら私を呼べばいいだろう」
「ふん!」
「アレとコレは別問題だ。私は過去のことだが君はもう私の妻だから浮気ととられるぞ」
「別に浮気しているわけではありません」
「危機感が無さすぎる!」
「私の護衛は優秀です」
「エリーズ!」
「……」
「私が屋敷に見知らぬ若い女を2人連れ込んで泊まらせていたら嫌じゃないのか?」
「……ごめんなさい」
「この間は私が悪かった。デリカシーが無かった。
ただ、私にはエリーズだけだということを分かって欲しい」
「もう昔の話は聞きたくないです」
「ごめん」
政略結婚で別居しているのならチャンスがあるかと思ったが、難しそうだな。
「失礼、私はイエール・ベルトナーです。
漁港の町の改革に興味を持って訪れました。子爵に挨拶もなく泊まらせていただくなど不躾でした。申し訳ございません」
「夫のクリストファー・ブラージェルと申します」
「美しい海をお持ちですね。食事も美味しくて素晴しい。うちも港町と湖を持っています。とても比較にならなくてお恥ずかしいのですが、機会があれば是非観光にいらしてください。
明日は子爵はご予定が?」
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