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やっぱり怖い

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「さて、嫌なことは遊んで忘れよう。
海で一緒に泳がないか?」

ノクタル夫人を追い出した後、クリス様は私の手を握った。

「もうすぐ日が暮れます」

「ちょっとだけ。篝火かがりびを焚いて浅瀬で遊ぼう。駄目か?」

「分かりました。クリス様の水着を用意させます」


クリス様と別れ、水着に着替えてバスローブを羽織った。

「ビーチテラスで食事をしてもいいかしら」

「ご用意いたします。湯浴みの準備も整えさせていただきます」

「ありがとう」


あのプロポーズを受けてから初めてこんな風に2人で過ごすことになったけど、ちょっと不安というか…今までは政略結婚で距離をとってきたからどこかで安心していたけど 今はそうじゃない。この世界は大抵 結婚した夜に初夜を迎える。つまりクリスはではないだろうか。

恵莉の時は悪ノリで女友達と 友達のお兄さん所有の無修正AVコレクションを拝借して鑑賞会をしたことがある。初体験を済ませた子の話も聞いたし、保健体育の授業と、エリーズの閨教育と妃教育で詳しいと言える。
つまり怖い。凄く痛くて血が出るなんて聞いているから。

不公平だと思う。
女だけ痛くて男だけ最初から気持ちいいなんて。
女は常に貞操の危機に晒されて、失うと無価値のように扱われることが多い。
男はパーティで女を引っ掛けたり、メイドに手を出したり、娼館に通ったり、愛人を作ったり。何故か女が同じことをすると ふしだらな女と蔑まされる。
夫との閨の頻度がその家での妻の権力に繋がるだとか、跡継ぎの男児とスペアを産めだとか。女は命懸けなのによ?
不妊は全部 女のせい。不名誉な離縁を迫られるか妾を連れて来られるか。

「不公平だわ」

「何が不公平なんだ?」

「……独り言です」

水着に着替えたクリス様に気が付かなかった。

「支度が早いな」

「クリス様は2階のお部屋でお着替えですが、私は砂浜へ繋がる渡り廊下の側にある小部屋を使って着替えますし、脱ぐのは少し手間でも2人がかりで脱がせてもらって、着るのは簡単ですから。髪もサッと結んだので時間はかかりません」

「そうか。それで何が不公平なんだ?」

「さあ、よく分かりません」

「…私に関することで、しかも言いたくない不安があるということか」

「い、いやぁ…どうでしょう」

「君が不安になるようなことは私には何もないはずだが?」

チラッとクリス様を見上げると、うかがうように私を見つめた。

「君の方が金持ちだし、権力も君の方がある。若くて美しくて浮気の心配があるのは君の方だ」

「もう日が沈みますよ」

オレンジ色の強い光を放つ夕陽が地平線に沈もうとしていた。
クリス様の手を引いて波打ち際へ来るとゆっくり海水に足を浸した。

腰辺りまで海に入るとクリス様は両手を握った。

「エリーズに不安があると私はもっと不安だ。
私の足には重りが付いていて、君の背中には大きな翼がある。私を捨てて簡単に飛び立って行ける、そうだろう?
歳もかなり上だし、婚歴もあって子も2人いる。私の力ではアルミュア公爵家のような暮らしはさせてやれない。君を引き止める何かを私は持っていない。
エリーズ、教えてくれないか?」

「……」

「困ったな」

少し泳いだ後、ビーチバスで海水を落として食事をして屋敷に入った。


夜は何もせず、枕でスロープを付けたクリス様の腕枕で就寝。

朝 目覚めると彼はジッと見つめていた。

「おはよう」

「おはようございます」

「ずっと考えていたのだが、」

え?まさか寝ずに考えていた!?

「もしかして私との閨事が嫌なのか?」

「っ!」

「就寝するとき、私が何もしないと悟ったら君の体の力が抜けてホッとした顔をしたからもしやと考えていたのだが…そうか」

「嫌とかじゃなくて、」

「無理に応じなくていい。君を失うくらいなら手を出さないと誓おう」

「そうじゃないんです…怖いんです」

「ん?」

「だって、凄く痛いって聞くし、血が出るかもって…」

「クッ」

「あ!笑った!!」

「ハハッ」

「凄く悩んでいるのに笑うなんて酷いです!!」

「可愛くてつい…そうだよな、怖いよな」

「そうですよ!」

「嫌ではなくて怖いんだよな?」

「怖いんです!」

「痛みの大小の度合いは人それぞれで、最初からあまり痛くない人もいれば何度か痛みを感じる人もいるらしい。二回目以降はよく解せば解決しそうだが、やはり初めての夜は我慢を強いることになる。
もちろん出来る限りのことはするつもりだ」

「クリス様は経験豊富そうですね」

あっ、こんな言い方したらヤキモチ妬いてるみたいじゃない。

「エリーズと婚姻してからは誰も抱いていない」

「…気にしていません」

「エリーズ」

「え!?クリス様!?」

クリス様は状態を起こすと私の足元へ移動し、脚に触れそのまま滑らせて腰あたりまで辿り着くと下着を脱がせ脚を広げさせた。
抵抗はしたけど全く力では敵わない。

そのまま顔を近付けて割れ目を舐め始めた。

「クリス様っ!」

犬のように舌で何度も何度も舐め上げ、時折舌先でクリトリスや膣口に押し付けた。

「あっ、クリス様っ、ああっ!」

強い刺激に悶えながら全身がふわっと浮いた気がした。快楽と明るい濃霧の中にいるような感覚に気を取られている間に指が膣内ナカに収まっていた。

クリス様の指がモゾモゾと優しくナカを確かめるように探ると、再びクリトリスを口に含み舌で押し捏ねながらゆっくり優しく指の抽送を始めた。

「ああっ、いやっ、クリス様」

刺激が強すぎて腰を逃がそうとしても、クリス様がしっかりと掴まえていて逃げられない。

「あっ!ダメっ!ああっ!!」



何度絶頂を繰り返しただろうか。
身体の力が入らなくなるとトイレに運ばれて排尿を促された。彼の見てる前で排尿なんて有り得ないことなのに私は言われるがまま従った。
拭いている間に彼はベッドに何枚も布を敷き、トイレで座ったまま立ち上がれない私を抱き上げて運んだ。

ベッドに降ろすとまた舐め出した。

「ダメ、汚いですっ」

ヂュウッ

おかまいなしだった。

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