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閑古鳥
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【 元妻イライザの視点 】
ある日、お母様とティールームに行ったら、楽しそうに令嬢や夫人が噂話に花を咲かせていた。これだと思った。
ティールームの店を開き、興味本位で入店してくれた夫人達にオーナーとして挨拶をした後、夫人達の話を聞いていた。自身の領地や婚家の領地の話になったとき、試作の菓子だと言って近付き、それとなくブラージェル領の話をした。何処だとは言わなかった。だけど簡単に分かったはず。
“酷い田舎でお金もなくて酷い生活でしたわ。最低限のドレスも仕立ててもらえず お茶会さえ開けませんでしたの。私の実家から援助をしているにも関わらず惨めな毎日でしたわ。持参していた宝石を売って夫人として身なりを整えましたの。記念のネックレスやお祖母様の形見も全て。
妻の務めだろうって子を2人産みましたの。それで解放されましたわ”
アクセサリーを売ったりはしていなかったけど、その嘘のおかげで興味津々で話を聞いてくれた。続きをせがまれたけど また今度と言って別の席へ試作の菓子を置きに行った。
それはまるで茶会の中心人物になれたかのような錯覚を味わえた。
そこからちょっとずつ、ブラージェル領や屋敷でのことを脚色して話した。
クリストファーの両親、親戚、子供達についても話した。それだけでは続かないからあちらこちらの催しに参加して情報を仕入れた。本当かどうかは分からない。だから“噂”と強調してティールームで話した。ティールームの客の話を別の客に話したりもしたし、遊んでそうな男と寝て話を聞き出して、ティールームで小出しに話す。そんなことを繰り返して繁盛していた。
ある日、クリストファーが再婚したことを知った。第二王子殿下の元婚約者と。
公女は殿下の恋人を虐めていて、最終的に人を雇って誘拐を仕込んだけど失敗。それがバレて卒業パーティで婚約破棄。使えると思った。
だって、その公女が 王都に屋敷を持たない子爵の後妻になったんだもの。しかも国内最南端の田舎なんて、追放と同じだもの。
クリストファーには私との子がいるし、男爵令嬢を虐めた公女なら耐えられないかメチャクチャにするはず。
また新たなネタを少しずつ話して客を寄せていた。
だけど1ヶ月くらい後に少しずつ席が埋まらなくなってきた。
屋敷に戻ると長兄の妻ジャンヌ様が、5日前の王都新聞を私の前に置いた。
『ティールームはいつまで続くかしらね』
新聞を読んで蒼白になった。
公女に非は無く、第二王子殿下有責だと国王陛下が認め、殿下は廃嫡に近い処分を受けた記事が載っていた。
虐めも誘拐も男爵令嬢の嘘で、殿下が調査もしないまま鵜呑みにしてしまったこと、婚約者に使うはずの予算を浮気相手に使っていたこと、交流のすっぽかし、公女に対するとんでもない仕打ちが書かれていた。
虐められていたのは公女だった。しかも殿下は浮気相手を妊娠させていた。
嘘を発信してしまった。脚色までしてしまった。被害者の公女を悪女のように話してしまった…。
それがこの新聞でバレたから客足が減ったのだと知った。
まずい!まずいまずい!!
ティールームを開くにあたってお父様と約束をしていた。潰れたら嫁ぐか独立するか。いずれにしても持たせてもらえるお金は多くはない。本当に宝石などを売らなくてはならなくなる。
お父様は引退したけれど、長兄がお父様の意思を継いでいる。約束は決行されるのは間違いない。
怪しい仮面パーティにも行って新たな情報を得ても、繁盛と言えるほど盛り返せなかった。
性病をうつされても、娼婦のように扱われても、頑張っているのに、また減り始め閑古鳥が鳴いていた。
まだ40歳にもなっていないのに声がかからないし、誘っても断られる。
仮面パーティでさえ駄目だった。
客が来ないから、客の話を盗めない。
どうにもならない状態となった翌月末、長兄とジャンヌ様がティールームに来てしまった。
『終わりだイライザ』
『まだっ、もう少し待ってください!』
『最近人気の劇を知らないのね。
母親に愛されなかった娘の歌劇が涙を誘っているの。こんな話よ、
“婚家に馴染もうとせず、不満ばかり口にするイザベラは第一子セリナを産んだけど、女児だったために愛情を持てなかった。
イザベラは娘セリナを撫でず、抱っこもせず、手を握ることも、ベビールームに足を運ぶこともなかった。たったの一度も。歩くようになっても、近寄ると乳母やメイドを怒鳴り付け離れさせた。
セリナは言葉を理解するようになると、母親の温もりを求めて話しかけるが無視された。ドレスの裾を掴むと振り払われ怒鳴られた。食事も別々だった。
幼いながらに母親の顔色を伺い、部屋に閉じ籠る日々が続いた。
そして男児を産んだ母親は、何も言わずに屋敷を出て帰らなかった。
セリナは一切 イザベラと連絡を取らなかった。
イザベラからは1通の手紙も届かなかった。
15歳になると父親が再婚。最初は誤解からギクシャクしたものの、王都新聞の記事を見て再婚相手が潔白だと分かると謝罪をして仲良くなった。
再婚相手エミーズは自身と4歳しか違わないセリナに絵本を読み聞かせた。セリナが母の愛を知らないとエミーズが知ったから。寝かしつける為の読み聞かせなのに、部屋の端から端を使って絵本通りに全力で演技をするエミーズにセリナは愛を感じた。エミーズは次々とセリナが母親にしてもらえなかったことをしてくれた。
その集大成は成人の儀。セリナはエミーズの教育によって花の妖精のようにファーストダンスを踊った。
会場には嬉しそうに微笑む父親と継母エミーズが見守っていた”…どこかで聞いたことのあるお話しね。
名前までそっくりよね。
あなたがここでブラージェルでのことを脚色して話して回ったことも知っているわ。公女が婚約破棄された後、あなたがここで公女様の話をしたことも
だからこそ、あの歌劇を観に行った この店の客は、あなたの話がほとんど嘘で、寧ろ 我が子に一切の愛情をかけずに捨てたことが知られてしまった。
はい これ。セイラ・ブラージェル子爵令嬢の成人の儀の招待状よ。国王陛下からお義父様宛に届いたの。必ず出席させろって』
動悸が激しくて頭が回らなかった。
ある日、お母様とティールームに行ったら、楽しそうに令嬢や夫人が噂話に花を咲かせていた。これだと思った。
ティールームの店を開き、興味本位で入店してくれた夫人達にオーナーとして挨拶をした後、夫人達の話を聞いていた。自身の領地や婚家の領地の話になったとき、試作の菓子だと言って近付き、それとなくブラージェル領の話をした。何処だとは言わなかった。だけど簡単に分かったはず。
“酷い田舎でお金もなくて酷い生活でしたわ。最低限のドレスも仕立ててもらえず お茶会さえ開けませんでしたの。私の実家から援助をしているにも関わらず惨めな毎日でしたわ。持参していた宝石を売って夫人として身なりを整えましたの。記念のネックレスやお祖母様の形見も全て。
妻の務めだろうって子を2人産みましたの。それで解放されましたわ”
アクセサリーを売ったりはしていなかったけど、その嘘のおかげで興味津々で話を聞いてくれた。続きをせがまれたけど また今度と言って別の席へ試作の菓子を置きに行った。
それはまるで茶会の中心人物になれたかのような錯覚を味わえた。
そこからちょっとずつ、ブラージェル領や屋敷でのことを脚色して話した。
クリストファーの両親、親戚、子供達についても話した。それだけでは続かないからあちらこちらの催しに参加して情報を仕入れた。本当かどうかは分からない。だから“噂”と強調してティールームで話した。ティールームの客の話を別の客に話したりもしたし、遊んでそうな男と寝て話を聞き出して、ティールームで小出しに話す。そんなことを繰り返して繁盛していた。
ある日、クリストファーが再婚したことを知った。第二王子殿下の元婚約者と。
公女は殿下の恋人を虐めていて、最終的に人を雇って誘拐を仕込んだけど失敗。それがバレて卒業パーティで婚約破棄。使えると思った。
だって、その公女が 王都に屋敷を持たない子爵の後妻になったんだもの。しかも国内最南端の田舎なんて、追放と同じだもの。
クリストファーには私との子がいるし、男爵令嬢を虐めた公女なら耐えられないかメチャクチャにするはず。
また新たなネタを少しずつ話して客を寄せていた。
だけど1ヶ月くらい後に少しずつ席が埋まらなくなってきた。
屋敷に戻ると長兄の妻ジャンヌ様が、5日前の王都新聞を私の前に置いた。
『ティールームはいつまで続くかしらね』
新聞を読んで蒼白になった。
公女に非は無く、第二王子殿下有責だと国王陛下が認め、殿下は廃嫡に近い処分を受けた記事が載っていた。
虐めも誘拐も男爵令嬢の嘘で、殿下が調査もしないまま鵜呑みにしてしまったこと、婚約者に使うはずの予算を浮気相手に使っていたこと、交流のすっぽかし、公女に対するとんでもない仕打ちが書かれていた。
虐められていたのは公女だった。しかも殿下は浮気相手を妊娠させていた。
嘘を発信してしまった。脚色までしてしまった。被害者の公女を悪女のように話してしまった…。
それがこの新聞でバレたから客足が減ったのだと知った。
まずい!まずいまずい!!
ティールームを開くにあたってお父様と約束をしていた。潰れたら嫁ぐか独立するか。いずれにしても持たせてもらえるお金は多くはない。本当に宝石などを売らなくてはならなくなる。
お父様は引退したけれど、長兄がお父様の意思を継いでいる。約束は決行されるのは間違いない。
怪しい仮面パーティにも行って新たな情報を得ても、繁盛と言えるほど盛り返せなかった。
性病をうつされても、娼婦のように扱われても、頑張っているのに、また減り始め閑古鳥が鳴いていた。
まだ40歳にもなっていないのに声がかからないし、誘っても断られる。
仮面パーティでさえ駄目だった。
客が来ないから、客の話を盗めない。
どうにもならない状態となった翌月末、長兄とジャンヌ様がティールームに来てしまった。
『終わりだイライザ』
『まだっ、もう少し待ってください!』
『最近人気の劇を知らないのね。
母親に愛されなかった娘の歌劇が涙を誘っているの。こんな話よ、
“婚家に馴染もうとせず、不満ばかり口にするイザベラは第一子セリナを産んだけど、女児だったために愛情を持てなかった。
イザベラは娘セリナを撫でず、抱っこもせず、手を握ることも、ベビールームに足を運ぶこともなかった。たったの一度も。歩くようになっても、近寄ると乳母やメイドを怒鳴り付け離れさせた。
セリナは言葉を理解するようになると、母親の温もりを求めて話しかけるが無視された。ドレスの裾を掴むと振り払われ怒鳴られた。食事も別々だった。
幼いながらに母親の顔色を伺い、部屋に閉じ籠る日々が続いた。
そして男児を産んだ母親は、何も言わずに屋敷を出て帰らなかった。
セリナは一切 イザベラと連絡を取らなかった。
イザベラからは1通の手紙も届かなかった。
15歳になると父親が再婚。最初は誤解からギクシャクしたものの、王都新聞の記事を見て再婚相手が潔白だと分かると謝罪をして仲良くなった。
再婚相手エミーズは自身と4歳しか違わないセリナに絵本を読み聞かせた。セリナが母の愛を知らないとエミーズが知ったから。寝かしつける為の読み聞かせなのに、部屋の端から端を使って絵本通りに全力で演技をするエミーズにセリナは愛を感じた。エミーズは次々とセリナが母親にしてもらえなかったことをしてくれた。
その集大成は成人の儀。セリナはエミーズの教育によって花の妖精のようにファーストダンスを踊った。
会場には嬉しそうに微笑む父親と継母エミーズが見守っていた”…どこかで聞いたことのあるお話しね。
名前までそっくりよね。
あなたがここでブラージェルでのことを脚色して話して回ったことも知っているわ。公女が婚約破棄された後、あなたがここで公女様の話をしたことも
だからこそ、あの歌劇を観に行った この店の客は、あなたの話がほとんど嘘で、寧ろ 我が子に一切の愛情をかけずに捨てたことが知られてしまった。
はい これ。セイラ・ブラージェル子爵令嬢の成人の儀の招待状よ。国王陛下からお義父様宛に届いたの。必ず出席させろって』
動悸が激しくて頭が回らなかった。
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