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つい…

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リップクリームのようなものをミランダから渡されて嬉しいそうに塗るのは夫の子爵クリスだ。

「小さな唇だな」

「……」

「これでよし」

甘い微笑みに目を逸らすと、彼は笑う。

「ハハッ」

「何ですかっ」

「可愛い女の子だと思って。唇、ごめんね?」

キスのし過ぎで荒れてしまった。

「……」

「そんな顔をするから止まらないのだが」

「私のせいですか!?」

「そういうことだ。
ところで、この大きな四角い箱とあの上から繋がっている管はなんだ?」

「その箱はカバーです」

使用人に合図を送り、木製のカバーを外してもらった。マツ○がゆったり入ることができるくらいの大きめのバスタブが姿を現した。

「…バスタブ?」

「はい。上から伸びている管は、井戸に繋がっています。上から流すと大鍋に貯まるようになっています。そのまま沸かして熱湯をバスタブに移します。バスタブいっぱいには当然なりませんが、もう一度井戸水を流して今度は沸かさずにバスタブへ入れます。程よい温度になったら水を加えるのを止めます。そしてここで湯浴みができるのです」

「丸見えじゃないか!」

「屋敷の方角に衝立を置いて目隠しをします。海の方は必要ありませんから、景色を楽しみます。

栓の役目をしている鉄の板を引けば、鍋からバスタブに流れ込みますので、屋敷内の入浴より使用人の負担が軽減します。汲んで持ち上げるという作業がありませんから。
バスタブも栓を抜けはお湯は排水されます」

実際にお湯を張ってクリス様に入ってもらった。

「なんか凄く開放感があるな」

「はい。早朝は鳥の囀りとピンと張った空気、昼は明るさ、夜は星空と静けさが楽しめます」

「エリーズが一緒に入ってくれたらもっといいな」

「…クリス様は極端ですね」

「自分に正直になってエリーズへの気持ちを確信したから口説いているだけだ」

「口説かなくても、」

「政略結婚の夫婦ではなく エリーズに恋人になって欲しいからな。なにせ、隅々まで見られたしな」

「なっ!隅々なんてっ!」

「ん? 何処を見てないんだ? ああ、背面か。じゃあ、今から…」

「ちょっと!きゃあ!」

バスタブに引き摺り込まれて彼の上に乗ったけど、

「危ないじゃないですか!踏んじゃったらどうするんですか!ヒラメみたいになっちゃいますよ!」

「何が?」

「っ!!」

「教えてくれ」

「…踏んで教えますか?」

「それは…エリーズが踏みたいというなら耐えるよ」

「プフッ 変態」

「お墨付きなら思う存分 変態でいてもいいんだな?」

「やっ!止めてっ!くすぐったい!」

私の向きを変えると足首を持って上げて足の裏を舐め始めた。

ゴン!

「痛っ」

フチに後頭部をぶつけてしまった。

「大丈夫か!」

「大丈夫です」

「……エリーズ」

「はい」

「少しだけ」

「え?」

脇の下に手を差し込み、私をフチに座らせた。

「チュッ」

「えっ!?」

クリス様が私の胸に直にキスをした。

暴れて紐が解けて胸が丸見えになっていたことに気が付いていなかった。

「ダメっ」

「少しだけ」

味なんてしないだろうに 夢中で舐めたり吸ったり舌を押し付けたり…

「んっ」

腰に腕を回して左手で右胸を包み、右の頂を口に含み舌で撫でる。

衝立の向こうにはメイドと護衛騎士がいるのに!

暴れると、胸の谷間に顔を付けて深呼吸したクリス様は悲しそうに私を見上げた。

「嫌か?」

「(みんなにバレます!)」

「夫婦だから気にしないさ。護衛は閨事を目の当たりにすることもあるし、メイドは最中でも呼ばれたら寝所に入ってくる。後始末もメイドがするんだ。恥ずかしがることはない。もしてもらうんだぞ?…そうか、それは私が担当しよう」

「っ!!」

「今日はここまでだが、こっちはおさまるまで少し時間がかかりそうだ」

「大きめの扇子を特注しましょうか?」

「扇子でコレを隠すのか?それこそ変態っぽいだろう」

「帽子?」

「帽子掛けじゃないぞ」

「掛けるんじゃなくて、隠すためですよ」

「そもそも、水着の注意をしたのに大丈夫だと言ったのはエリーズだろう。なのに露出させるからこうなるんだ」

「それはクリス様がくすぐるからです!」

「早く愛しいエリーズと繋がりたい」

「っ!」

私の脚の間に入り、勃ち上がったアレを私の下腹部に押し付けながら、耳元で囁いた。

「大事にする。時間をかけてドロドロにして、出来るだけ痛くないように優しく破って、一滴残らすエリーズの奥深くに染み込ませる。
だから初夜には今みたいに肌を見せて可愛い声を聴かせて欲しい。身を任せて脚を開いて力を抜いて欲しい。君に快楽を与えるのは私だけであって欲しいから、気持ち良くなるためのリクエストは恥ずかしがらずに教えて欲しい。分かったか?」

…… コクン

一度だけ小さく頷いた。

「凄く嬉しいよ」

この人の色気にあてられると調子が狂う。
何故 頷いてしまったのだろう。
つまり性交渉の承諾をしたことになる。

クリス様は機嫌良くブラージェル邸に戻っていった。



その後、セイラさんの部屋を用意させた。
翌日には荷物を持ったセイラさんが到着し、下宿教育が始まった。
お父様から 淑女教育の凄腕を送ってくれると返事が来ていたので、到着まで私が教える。

同時にセイラさんのドレスも作ることにした。
一般的なドレスにするからとクリス様許可を取った。成人の儀は、白かオフホワイトのドレス、アクセサリーは銀色で宝石を付けるなら透明かそれに近い淡いピンクか水色か黄色、もしくはパールに限られる。

ドレスは上半身にだけ花びら模様の刺繍をしっかり入れることにした。スカート部分には軽くて柔らかい素材を選んだ。ダンスでフワリと広がってもらいたいから。イメージは花の妖精。

真珠をベースにしたネックレスとイヤリングには大きなティアドロップダイヤが付いている。エリーズの成人の儀のためにお父様が作らせたものだ。あげるわけじゃないからお父様も許してくれると思う。
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