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キス
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港町のアドバイザーを一通り終えたし。
王家からの慰謝料と男爵家からも一部届いたし。
外の渡り廊下や砂浜のテラスも完成して、服や水着も納品されて、裏庭のテラスも完成したし。
そしてやっと、エリーズビーチの海開き!
ビキニを着て砂浜から海に入った。
水温も低くないから寒くない。
ジメジメ湿気も無いし、程よい海風。
遠浅で、透明から段々と色が付き、水色の美しい海が広がっている。
まだ膝上辺りの深さまでしか歩いていない。
ゆっくり海に慣らすつもりだった。
浮き輪フロートがあればなぁ。
「何をやっているんだ!」
「え?」
突然包まれて何事かと振り向くと夫の子爵だった。
着ていた上着を脱いで私を包んでいた。
「何て格好をしているんだ!ほぼ裸じゃないか!」
「いえ。ちょっと違います。確かに裸に近いかもしれませんが、海で泳ぐためです。コレは水着です」
「こんな布面積の少ない水着があるか!」
「ここにあります、きゃあっ」
子爵は私を抱っこして砂浜のテラスに入った。
「全く…」
「わざわざ作った水着です。それにプライベートビーチなんですから いいじゃありませんか」
「兵士は男だろう」
「ちゃんと隠すべき場所は隠れています」
「君は人妻だろう」
「この国には、人妻になると水着を着て泳いではいけないという法律はありませんし、全裸で泳いではいけないという法律さえありませんよ」
「エリーズ」
「……嫌です」
「なら、女兵を雇え」
「肌が焼けちゃうから可哀想です」
男の護衛は、男用海水パンツを履かせて日陰から護らせていた。
「もう少し 何とかならないのか」
「子爵様も脱いでください。私だけ水着だからそう思うのですよ」
「なるほど…そうか」
そう言うと、シャツを脱ぎ 既に濡れて脱ぎ辛そうなズボンを脱ぎ パンツまで脱いだ。
「えっ!?下着は脱がなくてもいいじゃないですか!」
「エリーズより布面積が多いとダメだからな」
っていうか、何なのよ!
ソレ、通常でその大きさなの!?
日本人の臨戦態勢よりも既に大きいんじゃない?
「……」
「男の全裸を見るのは初めてか」
「それはそうですよ」
エリーズはある意味箱入りだったからね。
「海に入るぞ」
子爵は私の手を握って海に入った。
肩までの深さまで連れてくると 子爵が抱っこした。歩き出すので首に腕を回して抱きついた。
「エリーズ、ありがとう」
「何をですか」
「私はエリーズにきちんと伝えるべきことを今から伝える。
先ずは港だ。町が生まれ変わったよ。みんなも感謝しているし、私も感謝している。ありがとう」
「どういたしまして」
「…申し訳なかった。君を誤解していた。
辛い思いをしていた被害者だったのに、最初によくない態度をとった」
「まあ そうですね」
「変な噂を耳にしていても、ちゃんと迎えるべきだった。本当かどうかより、私の妻になるべく遠くから足を運んでくれたレディにする応対ではなかった。
それでも君は 港町を助けてくれた。反省している」
「頼まれてやりましたが、自分のためでもあったのです。私の住む領地の港が素敵であって欲しいと思っただけなので気になさらないでください…というか、降ろしてください」
「深いから駄目だ。よし、私が遊んでやろう」
「えっ!ちょっと!」
時々日焼け止めモドキを塗り直しながら海を満喫した。
37歳でも鍛えた格闘家のように引き締まり筋肉が付いていて厚みもある。そして私を抱っこしてからはアレが半勃ちと全勃ちを繰り返しているのに 恥ずかしくないのだろうか。
「子爵様は変態の素質があります」
「無い。それに私の名はクリストファーだ。
クリスと呼んでくれ」
「クリ…んっ」
唇を塞がれ貪るように舌を絡め取られた。
外からはチャプチャプと波の音だけしか聞こえないのに 中からはクチュクチュと音がする。
彼の胸を押して離れようとしてもびくともしない。
「エリーズ…」
「何でキスなんか、」
「私は君に良くない感情を持ってしまった」
「…どんな?」
「君は自由でいたいようだが、私はそうじゃない。
あの時、君が抱き合っているのが兄君とは分からず、恋人だと思った。お互い恋人を持ってもいいという条件があるにも関わらず嫌だった。
あのドレスを着て、美しい君を他の男に不躾に見られるのも嫌だった。
寝具の話になったとき、また君と一緒に寝たいと遠回しに言ったつもりだったが、君が寝具を贈るというので、拒絶された気がして胸が痛んだ。
図々しくもエリーズに恋をしてしまった。
倍近く歳上で、婚歴があって子供もいて、天使のような公女様に釣り合わない貧乏子爵のくせに、身の程知らずなんだ」
「……」
「セイラの件もありがとう。初めてセイラの本心を聞いたよ。君を褒めちぎって、私は罵られた。
駄目夫に、駄目子爵に、駄目親父だ。
だけどエリーズに振り向いて欲しい。君は面倒見がいいから、私のような駄目な男でもつい世話を焼いてしまうだろうと付け込むことにした」
「……」
「ちゃんと歯を磨くから、キスして欲しい」
「プフッ」
「勘では、私とのキスは嫌じゃないはずだ」
「どこからそんな自信を?」
「身体の力が抜けて、頬を染めて、瞳がトロンとしているから分かる」
「っ!!」
「試してみるか?」
「んっ!」
長い長いキスが始まった。
王家からの慰謝料と男爵家からも一部届いたし。
外の渡り廊下や砂浜のテラスも完成して、服や水着も納品されて、裏庭のテラスも完成したし。
そしてやっと、エリーズビーチの海開き!
ビキニを着て砂浜から海に入った。
水温も低くないから寒くない。
ジメジメ湿気も無いし、程よい海風。
遠浅で、透明から段々と色が付き、水色の美しい海が広がっている。
まだ膝上辺りの深さまでしか歩いていない。
ゆっくり海に慣らすつもりだった。
浮き輪フロートがあればなぁ。
「何をやっているんだ!」
「え?」
突然包まれて何事かと振り向くと夫の子爵だった。
着ていた上着を脱いで私を包んでいた。
「何て格好をしているんだ!ほぼ裸じゃないか!」
「いえ。ちょっと違います。確かに裸に近いかもしれませんが、海で泳ぐためです。コレは水着です」
「こんな布面積の少ない水着があるか!」
「ここにあります、きゃあっ」
子爵は私を抱っこして砂浜のテラスに入った。
「全く…」
「わざわざ作った水着です。それにプライベートビーチなんですから いいじゃありませんか」
「兵士は男だろう」
「ちゃんと隠すべき場所は隠れています」
「君は人妻だろう」
「この国には、人妻になると水着を着て泳いではいけないという法律はありませんし、全裸で泳いではいけないという法律さえありませんよ」
「エリーズ」
「……嫌です」
「なら、女兵を雇え」
「肌が焼けちゃうから可哀想です」
男の護衛は、男用海水パンツを履かせて日陰から護らせていた。
「もう少し 何とかならないのか」
「子爵様も脱いでください。私だけ水着だからそう思うのですよ」
「なるほど…そうか」
そう言うと、シャツを脱ぎ 既に濡れて脱ぎ辛そうなズボンを脱ぎ パンツまで脱いだ。
「えっ!?下着は脱がなくてもいいじゃないですか!」
「エリーズより布面積が多いとダメだからな」
っていうか、何なのよ!
ソレ、通常でその大きさなの!?
日本人の臨戦態勢よりも既に大きいんじゃない?
「……」
「男の全裸を見るのは初めてか」
「それはそうですよ」
エリーズはある意味箱入りだったからね。
「海に入るぞ」
子爵は私の手を握って海に入った。
肩までの深さまで連れてくると 子爵が抱っこした。歩き出すので首に腕を回して抱きついた。
「エリーズ、ありがとう」
「何をですか」
「私はエリーズにきちんと伝えるべきことを今から伝える。
先ずは港だ。町が生まれ変わったよ。みんなも感謝しているし、私も感謝している。ありがとう」
「どういたしまして」
「…申し訳なかった。君を誤解していた。
辛い思いをしていた被害者だったのに、最初によくない態度をとった」
「まあ そうですね」
「変な噂を耳にしていても、ちゃんと迎えるべきだった。本当かどうかより、私の妻になるべく遠くから足を運んでくれたレディにする応対ではなかった。
それでも君は 港町を助けてくれた。反省している」
「頼まれてやりましたが、自分のためでもあったのです。私の住む領地の港が素敵であって欲しいと思っただけなので気になさらないでください…というか、降ろしてください」
「深いから駄目だ。よし、私が遊んでやろう」
「えっ!ちょっと!」
時々日焼け止めモドキを塗り直しながら海を満喫した。
37歳でも鍛えた格闘家のように引き締まり筋肉が付いていて厚みもある。そして私を抱っこしてからはアレが半勃ちと全勃ちを繰り返しているのに 恥ずかしくないのだろうか。
「子爵様は変態の素質があります」
「無い。それに私の名はクリストファーだ。
クリスと呼んでくれ」
「クリ…んっ」
唇を塞がれ貪るように舌を絡め取られた。
外からはチャプチャプと波の音だけしか聞こえないのに 中からはクチュクチュと音がする。
彼の胸を押して離れようとしてもびくともしない。
「エリーズ…」
「何でキスなんか、」
「私は君に良くない感情を持ってしまった」
「…どんな?」
「君は自由でいたいようだが、私はそうじゃない。
あの時、君が抱き合っているのが兄君とは分からず、恋人だと思った。お互い恋人を持ってもいいという条件があるにも関わらず嫌だった。
あのドレスを着て、美しい君を他の男に不躾に見られるのも嫌だった。
寝具の話になったとき、また君と一緒に寝たいと遠回しに言ったつもりだったが、君が寝具を贈るというので、拒絶された気がして胸が痛んだ。
図々しくもエリーズに恋をしてしまった。
倍近く歳上で、婚歴があって子供もいて、天使のような公女様に釣り合わない貧乏子爵のくせに、身の程知らずなんだ」
「……」
「セイラの件もありがとう。初めてセイラの本心を聞いたよ。君を褒めちぎって、私は罵られた。
駄目夫に、駄目子爵に、駄目親父だ。
だけどエリーズに振り向いて欲しい。君は面倒見がいいから、私のような駄目な男でもつい世話を焼いてしまうだろうと付け込むことにした」
「……」
「ちゃんと歯を磨くから、キスして欲しい」
「プフッ」
「勘では、私とのキスは嫌じゃないはずだ」
「どこからそんな自信を?」
「身体の力が抜けて、頬を染めて、瞳がトロンとしているから分かる」
「っ!!」
「試してみるか?」
「んっ!」
長い長いキスが始まった。
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