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うるさい夫
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朝食を食べに行ったまま子爵は戻って来なかった。
まあ、関係ないけど。
パーティの前になり、やっと戻って来た。
「ソレで行くのか?」
「何か?」
「…ドレスだよな?」
ああ。やたら窮屈で重くて歩き難い高価なドレスじゃないものね。私のドレスは○リー○ントワネットが着ていたようなものではなく、マーメイドドレスで、足元のつま先あたりは少し歩きやすいよう裾を少しだけ短くした。その代わり、見える靴をキラキラにしておいた。
「そうです」
「流石に斬新過ぎやしないか」
「ドレスなんてその時の流行で変わるものです。
国によっては10枚以上重ね着をして裾を引きずって歩くような衣装もあるのです」
「確かにそうだが、刺激が強すぎる」
「隠れていますけど?」
「体のラインが…」
「では、コルセットでウエストを締め付けて胸を底上げする行為は?
馬鹿みたいに締め上げてくびれを作っているのも、寄せ集めて上げた胸を 大きく開けた襟元からはみ出すかのようにプルプル振るわせ見せつけるのも 何故許すのです?」
「エリーズ」
「全く…女は都合のいい生き物じゃないのです」
「エリーズ!」
「っ!」
「そうじゃない。心配しているんだ。
女が非力なのは事実だろう?骨格も筋肉も違うのだから仕方ないんだ。
そんな男達を興奮させても、被害に遭うのは君だ。
他の女達の偽物のくびれや胸を男達は知っていて相手をしている。だが君は作り物じゃない。だから危険なんだ。
経緯はどうあれ、私は君の夫だし、妻を守る義務がある」
「……」
「私がドレスを贈らなかったのだから文句は言えない。確かにこのドレスの方がいいと思うし魅力的だ。だが……せめて側を離れるな」
「分かりました。あなたの許可無しに勝手に動きません」
「他の男とのダンスも控えてくれ」
「ダンスも得意ですけど好きじゃないので大丈夫です」
「好きじゃないのか?」
「はい」
「どうして?」
「好きでもない男性と踊ったって楽しくないです。
体臭とか口臭とか汗とか嫌じゃないですか?」
「そんなに踊ってきたのか」
「ダンスのレッスンと、デビューの時だけです。
お父様とお兄様は大丈夫でした。
他の人はただ話しているだけでも気になるのに、ダンスなんて想像したら…」
「もしかして、私がした誓いのキスは…」
「あ、アレは…不思議と嫌ではありませんでした」
「そうか」
子爵はニヤリと笑うと私の腰を引き寄せた。
「ちょっと!止めてください!」
「何を?」
「口紅を塗った後ですよっ、もう行かないと!」
「誰も唇にするとは言っていない」
「あっ」
耳の近くの首に吸い付かれ舐められた。
「ダメっ」
身体中 ゾクゾクと駆け巡り身体の力が抜けていく。
「チュウッ」
多分キスマークを付けられたのだろう。
「……本当に君は危なっかしいな。力は弱いし、経験もないくせに敏感で、これだけで足腰にきていたら簡単に犯されるぞ」
「じゃあ、お一人でどうぞ」
「いや、私のせいで赤くなった妻を見せびらかすことにした。会場まで抱っこするか?」
自分の歳の半分近い女の子に向かって!
「私と違って子爵様は遊んでいらしたのですね」
「……」
「もう大丈夫ですから参りましょう」
会場入りすると、知らない顔が多かった。
エリーズは忙しくてパーティに参加しなかったし、仕方ないのかな。あの駄目王子との婚約は幼い頃だったからパーティはあったけど エリーズの記憶が曖昧だ。
「まあ、独創的なドレスですわね」
独創的?褒めているの?貶しているの?
「ノクタル子爵夫人の髪型、素敵ですわ」
「髪結の得意なメイドがおりますのよ」
「ノクタル子爵、ご令嬢を紹介していただけますか」
「あ、ああ…」
夫妻には到着した時に挨拶を済ませている。だからそんなにジロジロ見なくてもいいと思うのだけど、ノクタル子爵の目は私の全身を上から下まで何往復もさせていた。
「娘のカトリーヌです」
「カトリーヌと申します。夫人ではなく、エリーズ様とお呼びしてもよろしいかしら」
「では私もカトリーヌ様とお呼びしますわ」
「クリストファー様、先程はありがとうございました、楽しかったですわ」
「楽しかった?」
「庭園のお散歩です」
「鉢合わせしただけだが?」
「ですが、お話ししたではありませんか」
「挨拶程度だがな。
では私達は中で楽しませていただきます。エリーズ、行こうか」
「はい」
確かに可愛い方よね。だけどエリーズが規格外なのが分かる。この顔に見慣れた私にはカトリーヌ様は平凡に感じてしまうけど、この会場の中では私を除いて一番だと思う。
夫の子爵が紹介したい人にだけ 私を紹介して回っているうちにダンスが始まることになった。
ノクタル夫妻が踊るだろうと思ったのに、カトリーヌ様がダンスホールへ。そして
「クリストファー様、ファーストダンスをお願いしますわ」
ツカツカと私達の前に来て、夫に手を差し出した。
「ノクタル嬢、今夜は妻とのファーストダンスになる。だから君と踊るわけにはいかないんだ。
私達は忙しく婚姻してしまったからね。婚約パーティや披露宴が無くて踊れなかった分 今夜は夫婦でしか踊らないと約束したんだ。
この場にはノクタル嬢の従兄や独身の令息もいるのだから彼らの中からお相手を探す方が最善だろう」
「っ!!」
夫婦の初のダンスと言われて 食い下がれなかった令嬢は悔しそうだった。
多分従兄だろうか。気を利かせて彼女にダンスを申し込み、踊り始めた。
「子爵様、世間体ですか?それともカトリーヌ様と踊りたくなくて?」
「しつこい女なんだ。三度程求婚されたが断った」
「可愛らしい方じゃないですか」
「あの女は我儘でお姫様扱いされるのが当たり前だと思っている。それに入り婿を求めているんだ。
子が産まれたら、子の一人にブラージェルを与えればいいと何かのオマケみたいに言われてな」
「でも相当先の話なのに、それまでブラージェル領をどうしろと?」
「補佐達を増やして週に一度往復すればいいと思っているみたいだ」
「いまだに諦めていなさそうですね。もしくは腹いせ?」
「さあな。とにかくこれで君は私としか踊れなくなった」
「今夜は」
「……」
カトリーヌ様のファーストダンスが終わると、子爵が私の前に跪きダンスを申し込んだ。
「(止めてください!みんなが見るではありませんか!)」
「(承諾は?)」
「…喜んで」
エリーズスキルで完璧に踊り終えると会場から拍手が沸いた。
「美しいダンスでしたわ」
「厳しい教育を受けてこられたのですもの」
夫人や令嬢が寄ってきたので子爵は男同士で話をするらしく、離れていった。
「それで、元ブディット男爵令嬢のその後はご存知ですの?」
「お城で針仕事をなさっているとか」
「まあ」
「天罰ですわね」
ありがとう みなさん!と思った矢先、この話の雰囲気をぶった斬ったのはカトリーヌ様だった。
「でも、エリーズ様が殿下のお心を繋ぎ止められなかっただけのことではありませんの?」
は?
まあ、関係ないけど。
パーティの前になり、やっと戻って来た。
「ソレで行くのか?」
「何か?」
「…ドレスだよな?」
ああ。やたら窮屈で重くて歩き難い高価なドレスじゃないものね。私のドレスは○リー○ントワネットが着ていたようなものではなく、マーメイドドレスで、足元のつま先あたりは少し歩きやすいよう裾を少しだけ短くした。その代わり、見える靴をキラキラにしておいた。
「そうです」
「流石に斬新過ぎやしないか」
「ドレスなんてその時の流行で変わるものです。
国によっては10枚以上重ね着をして裾を引きずって歩くような衣装もあるのです」
「確かにそうだが、刺激が強すぎる」
「隠れていますけど?」
「体のラインが…」
「では、コルセットでウエストを締め付けて胸を底上げする行為は?
馬鹿みたいに締め上げてくびれを作っているのも、寄せ集めて上げた胸を 大きく開けた襟元からはみ出すかのようにプルプル振るわせ見せつけるのも 何故許すのです?」
「エリーズ」
「全く…女は都合のいい生き物じゃないのです」
「エリーズ!」
「っ!」
「そうじゃない。心配しているんだ。
女が非力なのは事実だろう?骨格も筋肉も違うのだから仕方ないんだ。
そんな男達を興奮させても、被害に遭うのは君だ。
他の女達の偽物のくびれや胸を男達は知っていて相手をしている。だが君は作り物じゃない。だから危険なんだ。
経緯はどうあれ、私は君の夫だし、妻を守る義務がある」
「……」
「私がドレスを贈らなかったのだから文句は言えない。確かにこのドレスの方がいいと思うし魅力的だ。だが……せめて側を離れるな」
「分かりました。あなたの許可無しに勝手に動きません」
「他の男とのダンスも控えてくれ」
「ダンスも得意ですけど好きじゃないので大丈夫です」
「好きじゃないのか?」
「はい」
「どうして?」
「好きでもない男性と踊ったって楽しくないです。
体臭とか口臭とか汗とか嫌じゃないですか?」
「そんなに踊ってきたのか」
「ダンスのレッスンと、デビューの時だけです。
お父様とお兄様は大丈夫でした。
他の人はただ話しているだけでも気になるのに、ダンスなんて想像したら…」
「もしかして、私がした誓いのキスは…」
「あ、アレは…不思議と嫌ではありませんでした」
「そうか」
子爵はニヤリと笑うと私の腰を引き寄せた。
「ちょっと!止めてください!」
「何を?」
「口紅を塗った後ですよっ、もう行かないと!」
「誰も唇にするとは言っていない」
「あっ」
耳の近くの首に吸い付かれ舐められた。
「ダメっ」
身体中 ゾクゾクと駆け巡り身体の力が抜けていく。
「チュウッ」
多分キスマークを付けられたのだろう。
「……本当に君は危なっかしいな。力は弱いし、経験もないくせに敏感で、これだけで足腰にきていたら簡単に犯されるぞ」
「じゃあ、お一人でどうぞ」
「いや、私のせいで赤くなった妻を見せびらかすことにした。会場まで抱っこするか?」
自分の歳の半分近い女の子に向かって!
「私と違って子爵様は遊んでいらしたのですね」
「……」
「もう大丈夫ですから参りましょう」
会場入りすると、知らない顔が多かった。
エリーズは忙しくてパーティに参加しなかったし、仕方ないのかな。あの駄目王子との婚約は幼い頃だったからパーティはあったけど エリーズの記憶が曖昧だ。
「まあ、独創的なドレスですわね」
独創的?褒めているの?貶しているの?
「ノクタル子爵夫人の髪型、素敵ですわ」
「髪結の得意なメイドがおりますのよ」
「ノクタル子爵、ご令嬢を紹介していただけますか」
「あ、ああ…」
夫妻には到着した時に挨拶を済ませている。だからそんなにジロジロ見なくてもいいと思うのだけど、ノクタル子爵の目は私の全身を上から下まで何往復もさせていた。
「娘のカトリーヌです」
「カトリーヌと申します。夫人ではなく、エリーズ様とお呼びしてもよろしいかしら」
「では私もカトリーヌ様とお呼びしますわ」
「クリストファー様、先程はありがとうございました、楽しかったですわ」
「楽しかった?」
「庭園のお散歩です」
「鉢合わせしただけだが?」
「ですが、お話ししたではありませんか」
「挨拶程度だがな。
では私達は中で楽しませていただきます。エリーズ、行こうか」
「はい」
確かに可愛い方よね。だけどエリーズが規格外なのが分かる。この顔に見慣れた私にはカトリーヌ様は平凡に感じてしまうけど、この会場の中では私を除いて一番だと思う。
夫の子爵が紹介したい人にだけ 私を紹介して回っているうちにダンスが始まることになった。
ノクタル夫妻が踊るだろうと思ったのに、カトリーヌ様がダンスホールへ。そして
「クリストファー様、ファーストダンスをお願いしますわ」
ツカツカと私達の前に来て、夫に手を差し出した。
「ノクタル嬢、今夜は妻とのファーストダンスになる。だから君と踊るわけにはいかないんだ。
私達は忙しく婚姻してしまったからね。婚約パーティや披露宴が無くて踊れなかった分 今夜は夫婦でしか踊らないと約束したんだ。
この場にはノクタル嬢の従兄や独身の令息もいるのだから彼らの中からお相手を探す方が最善だろう」
「っ!!」
夫婦の初のダンスと言われて 食い下がれなかった令嬢は悔しそうだった。
多分従兄だろうか。気を利かせて彼女にダンスを申し込み、踊り始めた。
「子爵様、世間体ですか?それともカトリーヌ様と踊りたくなくて?」
「しつこい女なんだ。三度程求婚されたが断った」
「可愛らしい方じゃないですか」
「あの女は我儘でお姫様扱いされるのが当たり前だと思っている。それに入り婿を求めているんだ。
子が産まれたら、子の一人にブラージェルを与えればいいと何かのオマケみたいに言われてな」
「でも相当先の話なのに、それまでブラージェル領をどうしろと?」
「補佐達を増やして週に一度往復すればいいと思っているみたいだ」
「いまだに諦めていなさそうですね。もしくは腹いせ?」
「さあな。とにかくこれで君は私としか踊れなくなった」
「今夜は」
「……」
カトリーヌ様のファーストダンスが終わると、子爵が私の前に跪きダンスを申し込んだ。
「(止めてください!みんなが見るではありませんか!)」
「(承諾は?)」
「…喜んで」
エリーズスキルで完璧に踊り終えると会場から拍手が沸いた。
「美しいダンスでしたわ」
「厳しい教育を受けてこられたのですもの」
夫人や令嬢が寄ってきたので子爵は男同士で話をするらしく、離れていった。
「それで、元ブディット男爵令嬢のその後はご存知ですの?」
「お城で針仕事をなさっているとか」
「まあ」
「天罰ですわね」
ありがとう みなさん!と思った矢先、この話の雰囲気をぶった斬ったのはカトリーヌ様だった。
「でも、エリーズ様が殿下のお心を繋ぎ止められなかっただけのことではありませんの?」
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