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告白
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二週間ほど城で治療を受けた後、ガルザック邸に移った。
まだベッドに留まるよう言われているが、1日に一度散歩を許されている。
ユベール様にはたくさん謝罪をしてもらった。
ユベール様が私を好きなのだと言うことも分かった。
だからこそ、欲が出てしまう。
ビビオナード嬢と何度も身体を合わせて子を作るべく子種を授けていたことに嫉妬してしまう。嫉妬などする余裕は無かったのに。
する権利もないと思っていたのに、愛されているならと気を緩めてしまったようだ。
だからギクシャクしている。
療養が盾になっているけど、この気持ちをどうおさめたらいいのか。
素っ気なくするつもりはないのに、そうなってしまう。ユベール様は悲しそうな顔をした。
その夜、ラザール様が夢に出てきた。
《何をやっているの?せっかく初恋の人の妻になったんでしょ?》
《ラザール様…》
《彼は私が君にしてあげたかったことをしてくれるよ》
《……》
《君だって、私を愛してくれたじゃないか。純潔を捧げようとしてくれた。
私が発作を起こさなければ、リゼットはどうなっていた?避妊薬なんか与えないから孕んでいただろう。
私は君の心を奪ったんだ。ユベール殿からしたら君以上に嫉妬しているはずだ。
心はいつでも飛んで行って浮気をするからね。
今、君が私と夢で密会しているように。
紫色の花を見ては、私に想いを寄せていただろう?
ユベール殿がクッキーを食べさせられた時に、私がクッキーを食べさせたことを思い出しただろう?
とんでもない浮気者だ。
そしてこれからも その浮気者は治らない》
《だって》
《ほら、早く起きてユベール殿にご飯を食べさせろと我儘を言って、昼には散歩に連れて行けと我儘を言って、夜は添い寝をしろと我儘を言うんだ》
《ラザール様》
《私がしたかったことを彼にさせてよ》
《また会いに出てきてくださる?》
《ほらね。リゼットの方が重傷の浮気者だ》
ラザール様が私の額に口付けた。
目を開けると、私の顔を覗き込みながら髪に触れるユベール様がいた。
「ごめん、起こしたな」
そう言って立ち去ろうとするユベール様に我儘を言った。
「朝食を、食べさせて」
「リゼット?」
「まだ痛いからユベール様が食べさせて」
「分かった!」
ユベール様は私を観察しながらひと口ひと口食べさせてくれた。
「お昼前にお散歩に連れて行って」
「わ、分かった!」
昼食後は、
「ティータイムはここでクッキーを食べさせて」
「分かった!」
夕食後は、
「私が眠るまで本を読み聞かせて」
「分かった!」
「寒い気がするから一緒に寝て」
「っ!!」
ユベール様がボロボロと涙を溢した。
「嫌われたかと…」
「私以外の女性を抱いて子作りしていたと聞いてムカムカしました」
「ごめん」
「私は子供の頃からユベール様をお慕いしていたのです」
「え!?」
「でも次期侯爵のユベール様に私は相応しくないと思っていました」
「求婚を躊躇ってごめん」
「もう他の女性に手を付けないでください」
「約束する。破ったら鞭打ち刑を受ける」
「じゃあ練習しないと」
「早く元気になって練習してくれ」
「まさか、浮気するつもりですか」
「違うよ」
それから順調に回復して、普通の動きなら痛くなくなった。
まだベッドに留まるよう言われているが、1日に一度散歩を許されている。
ユベール様にはたくさん謝罪をしてもらった。
ユベール様が私を好きなのだと言うことも分かった。
だからこそ、欲が出てしまう。
ビビオナード嬢と何度も身体を合わせて子を作るべく子種を授けていたことに嫉妬してしまう。嫉妬などする余裕は無かったのに。
する権利もないと思っていたのに、愛されているならと気を緩めてしまったようだ。
だからギクシャクしている。
療養が盾になっているけど、この気持ちをどうおさめたらいいのか。
素っ気なくするつもりはないのに、そうなってしまう。ユベール様は悲しそうな顔をした。
その夜、ラザール様が夢に出てきた。
《何をやっているの?せっかく初恋の人の妻になったんでしょ?》
《ラザール様…》
《彼は私が君にしてあげたかったことをしてくれるよ》
《……》
《君だって、私を愛してくれたじゃないか。純潔を捧げようとしてくれた。
私が発作を起こさなければ、リゼットはどうなっていた?避妊薬なんか与えないから孕んでいただろう。
私は君の心を奪ったんだ。ユベール殿からしたら君以上に嫉妬しているはずだ。
心はいつでも飛んで行って浮気をするからね。
今、君が私と夢で密会しているように。
紫色の花を見ては、私に想いを寄せていただろう?
ユベール殿がクッキーを食べさせられた時に、私がクッキーを食べさせたことを思い出しただろう?
とんでもない浮気者だ。
そしてこれからも その浮気者は治らない》
《だって》
《ほら、早く起きてユベール殿にご飯を食べさせろと我儘を言って、昼には散歩に連れて行けと我儘を言って、夜は添い寝をしろと我儘を言うんだ》
《ラザール様》
《私がしたかったことを彼にさせてよ》
《また会いに出てきてくださる?》
《ほらね。リゼットの方が重傷の浮気者だ》
ラザール様が私の額に口付けた。
目を開けると、私の顔を覗き込みながら髪に触れるユベール様がいた。
「ごめん、起こしたな」
そう言って立ち去ろうとするユベール様に我儘を言った。
「朝食を、食べさせて」
「リゼット?」
「まだ痛いからユベール様が食べさせて」
「分かった!」
ユベール様は私を観察しながらひと口ひと口食べさせてくれた。
「お昼前にお散歩に連れて行って」
「わ、分かった!」
昼食後は、
「ティータイムはここでクッキーを食べさせて」
「分かった!」
夕食後は、
「私が眠るまで本を読み聞かせて」
「分かった!」
「寒い気がするから一緒に寝て」
「っ!!」
ユベール様がボロボロと涙を溢した。
「嫌われたかと…」
「私以外の女性を抱いて子作りしていたと聞いてムカムカしました」
「ごめん」
「私は子供の頃からユベール様をお慕いしていたのです」
「え!?」
「でも次期侯爵のユベール様に私は相応しくないと思っていました」
「求婚を躊躇ってごめん」
「もう他の女性に手を付けないでください」
「約束する。破ったら鞭打ち刑を受ける」
「じゃあ練習しないと」
「早く元気になって練習してくれ」
「まさか、浮気するつもりですか」
「違うよ」
それから順調に回復して、普通の動きなら痛くなくなった。
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