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王太子妃 ローズの里帰り
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【 王太子妃ローズの視点 】
あれから予定通りアイザック王太子殿下と婚姻した。
私と殿下が白い結婚だということは一部の者しか知らない。
「ローズ様!海!海ですよ!キラキラしてます!」
「乗り出したら危ないわよ」
この馬車は私の実家の領地へ向かっている。
馬車の中には私と私の侍女と…シルビア様。
里帰りに側妃を連れて行く正妃は私くらいだろう。
婚姻後、アイザック様が私の父にシルビア様を紹介した。“彼女を側妃に迎えたい” と言うと父はシルビア様をゴミでも見るかのような目を向けた。
「ペッシュナー家の圧力ですか」
「私が惚れて口説いている最中だ」
「……」
その後、食事をしたのだけど、そのときに実家の領地が海に面していることを知ったシルビア様が目を輝かせた。
シ「素敵!海ですよ海!羨ましいですわ!」
ア「シルビアは海が好きなのか」
シ「波を見ていたら時間を忘れてしまいますわ。
色もそれぞれ。砂浜を山羊と走りたいですわ」
全員「(山羊!?)」
私「とても美しい海ですのよ」
シ「ローズ様、一緒に里帰りしましょう!」
私「え?」
シ「お刺身が食べたいです」
私「刺身?」
シ「生魚です。醤油は無いですよね」
父「な、生で食べるのか!?」
シ「新鮮なら生で食べます。美味しいですよ。
アニサキスだけは気を付けないといけませんけど」
父「アニ…何だそれは」
シ「魚に住む寄生虫です。
人の胃に噛みついて激痛を引き起こします。
対処法は、ちゃんと火を通すか、一度凍らせるか、取り除くかです」
父「時々 激しい腹痛を訴える者が現れるのはソレか」
シ「生で食べていないなら、焼き方が甘かったのかもしれませんね」
そこからは父とシルビア様の魚介類の話で盛り上がり、ついには、
父「ローズ。シルビア嬢を連れて帰って来い。
いいですな?王太子殿下」
とは言っても、夜中に殿下が来てしまいますけどね。
ということで連れて来た。
到着した日の夜は、魚介尽くしのメニューだったけとシルビア様は大喜びだった。
それを見たお父様は嬉しそうだった。
翌日はお父様が領地観光に連れて行った。
美しい海に大喜びで“泳ぎたい” と漏らしていた。
「あの山は何ですか」
「貝殻だ。中身は美味いが殻はどうにもならん」
「え?手間をかければ優秀なものに生まれ変わりますよ」
そこからは大騒ぎだった。
「詳しくは知りませんが高温で焼いて粉末にします。衛生面で役立ちます。
パウダーの取り扱いには手袋とマスクが必要です。あるならゴーグルもいるかもしれません。
これ、コーデュロウ家が興味を示しそうですね」
「どういうことだ!詳しく話しなさい!」
「お父様、そんなにシルビア様を揺らしては頭が取れてしまいますわ」
「あ、すまん」
どうやら、大流行したコーデュロウ家の商品が、元はシルビア様の依頼で伯爵令息が作った物に 少し香料を足して商品化した物だと分かった他にも海産物で廃棄していた物の利用法を教えてくれた。
魚介類の料理も教えてもらった。
特に父が気に入ったのは生のイカを、細長く切ってバジルソースで食べる方法。塩だけでも甘味があって美味しかった。
シルビア様は入念に寄生虫の確認をしていた。
トマトや野菜の魚介の煮込みや魚介のグラタン、美味しかったわ。
お父様は今では 美味しそうに沢山食べるシルビア様を微笑ましく見ている。
エビの頭をカラッと揚げて塩をまぶしたおつまみでお酒をのみ、ご機嫌だった。
滞在最終日には“また連れて来なさい” と耳打ちされた。
滞在中、食べ過ぎて膨らんだお腹を見た王太子殿下は嬉しそうに撫でていたみたい。
「ローズ」
「ギル」
彼は私の専属護衛騎士。男爵家の三男で私が13歳の時に就いた。
密かにお慕いしていたけど、私を未来の王妃にしたい父には言い出せなかった。
跡継ぎの弟がいるから私は嫁に出る。
ギルは爵位が無いから 私が嫁ぐと二人で平民になってしまう。
お父様は絶対に許さない。
王家と契約をしたからギルは特例で王太子妃になった私の専属護衛騎士のまま。
私と王太子殿下の婚姻後、初夜の午前0時。殿下が消えると私とギルの初夜を始めた。
夜明け前、身なりを整えて殿下を待つ。
戻ってきた殿下がシーツに着いた破瓜の証の確認させて、初夜が済んだと主張すると私達はそれぞれの部屋へ戻った。
あれから予定通りアイザック王太子殿下と婚姻した。
私と殿下が白い結婚だということは一部の者しか知らない。
「ローズ様!海!海ですよ!キラキラしてます!」
「乗り出したら危ないわよ」
この馬車は私の実家の領地へ向かっている。
馬車の中には私と私の侍女と…シルビア様。
里帰りに側妃を連れて行く正妃は私くらいだろう。
婚姻後、アイザック様が私の父にシルビア様を紹介した。“彼女を側妃に迎えたい” と言うと父はシルビア様をゴミでも見るかのような目を向けた。
「ペッシュナー家の圧力ですか」
「私が惚れて口説いている最中だ」
「……」
その後、食事をしたのだけど、そのときに実家の領地が海に面していることを知ったシルビア様が目を輝かせた。
シ「素敵!海ですよ海!羨ましいですわ!」
ア「シルビアは海が好きなのか」
シ「波を見ていたら時間を忘れてしまいますわ。
色もそれぞれ。砂浜を山羊と走りたいですわ」
全員「(山羊!?)」
私「とても美しい海ですのよ」
シ「ローズ様、一緒に里帰りしましょう!」
私「え?」
シ「お刺身が食べたいです」
私「刺身?」
シ「生魚です。醤油は無いですよね」
父「な、生で食べるのか!?」
シ「新鮮なら生で食べます。美味しいですよ。
アニサキスだけは気を付けないといけませんけど」
父「アニ…何だそれは」
シ「魚に住む寄生虫です。
人の胃に噛みついて激痛を引き起こします。
対処法は、ちゃんと火を通すか、一度凍らせるか、取り除くかです」
父「時々 激しい腹痛を訴える者が現れるのはソレか」
シ「生で食べていないなら、焼き方が甘かったのかもしれませんね」
そこからは父とシルビア様の魚介類の話で盛り上がり、ついには、
父「ローズ。シルビア嬢を連れて帰って来い。
いいですな?王太子殿下」
とは言っても、夜中に殿下が来てしまいますけどね。
ということで連れて来た。
到着した日の夜は、魚介尽くしのメニューだったけとシルビア様は大喜びだった。
それを見たお父様は嬉しそうだった。
翌日はお父様が領地観光に連れて行った。
美しい海に大喜びで“泳ぎたい” と漏らしていた。
「あの山は何ですか」
「貝殻だ。中身は美味いが殻はどうにもならん」
「え?手間をかければ優秀なものに生まれ変わりますよ」
そこからは大騒ぎだった。
「詳しくは知りませんが高温で焼いて粉末にします。衛生面で役立ちます。
パウダーの取り扱いには手袋とマスクが必要です。あるならゴーグルもいるかもしれません。
これ、コーデュロウ家が興味を示しそうですね」
「どういうことだ!詳しく話しなさい!」
「お父様、そんなにシルビア様を揺らしては頭が取れてしまいますわ」
「あ、すまん」
どうやら、大流行したコーデュロウ家の商品が、元はシルビア様の依頼で伯爵令息が作った物に 少し香料を足して商品化した物だと分かった他にも海産物で廃棄していた物の利用法を教えてくれた。
魚介類の料理も教えてもらった。
特に父が気に入ったのは生のイカを、細長く切ってバジルソースで食べる方法。塩だけでも甘味があって美味しかった。
シルビア様は入念に寄生虫の確認をしていた。
トマトや野菜の魚介の煮込みや魚介のグラタン、美味しかったわ。
お父様は今では 美味しそうに沢山食べるシルビア様を微笑ましく見ている。
エビの頭をカラッと揚げて塩をまぶしたおつまみでお酒をのみ、ご機嫌だった。
滞在最終日には“また連れて来なさい” と耳打ちされた。
滞在中、食べ過ぎて膨らんだお腹を見た王太子殿下は嬉しそうに撫でていたみたい。
「ローズ」
「ギル」
彼は私の専属護衛騎士。男爵家の三男で私が13歳の時に就いた。
密かにお慕いしていたけど、私を未来の王妃にしたい父には言い出せなかった。
跡継ぎの弟がいるから私は嫁に出る。
ギルは爵位が無いから 私が嫁ぐと二人で平民になってしまう。
お父様は絶対に許さない。
王家と契約をしたからギルは特例で王太子妃になった私の専属護衛騎士のまま。
私と王太子殿下の婚姻後、初夜の午前0時。殿下が消えると私とギルの初夜を始めた。
夜明け前、身なりを整えて殿下を待つ。
戻ってきた殿下がシーツに着いた破瓜の証の確認させて、初夜が済んだと主張すると私達はそれぞれの部屋へ戻った。
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