【完結】出て行ってください! 午前0時 なぜか王太子に起こされる

ユユ

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何で構うの!

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両親とカイン兄様と、国王陛下の誕生した日を祝うパーティーの会場へ足を踏み入れた。

“ペッシュナー伯爵家”

私達の名が呼ばれると一斉にこちらを向く。

さっきの控室は伯爵位の家門だけの部屋だった。
今は男爵家と子爵家が先に入っていた。

その後も侯爵家、公爵家と順に会場入りしていく。

“コーデュロウ公爵家”

え!? 公爵家だったの!?

ヘンリー様の隣はお姉様かな。色は違うけど似てる。

ヘンリー様がこっちを見て小さく手を振った。

左右背後を確認し、ヘンリー様を見ると“お前だ” と指し示す。

公爵家の人だからと手を振りかえすのではなく、小さくカーテシーをした。

「本当にコーデュロウ家のヘンリー殿だったな」

「公爵家とは知りませんでした」

「今日のパーティーはレア続きだろうな」

「兄様?」



私達の番になりお祝いを申し上げた。

国王夫妻と王太子アイザックと多分婚約者の令嬢が一緒に挨拶を受けていた。

陛「相変わらずペッシュナー夫人は美しいな」

母「まあ、お世辞でも嬉しいですわ」

陛「シルビアちゃんはドレスがよく似合っていて可愛いな」

私「ありがとうございます、陛下」

ア「黄色か。オレンジの方が、」

私「黄色でいいです」

ア「仕方ない。プレゼントしてやろう」

私「間に合っております」

ア「遠慮するな。ドレスより宝石が良いのか」

私「(チッ)」

ア「ちょっと待てシルビア、舌打ちしたか?」

私「まさか。王太子殿下に向かってそんなことをするはずはございませんわ」

兄「うちのシルビアに免疫がありませんのでこの辺りでお願いします」

父「次の方をお待たせしてしまった。
陛下、失礼いたします。シーちゃん、あっちに行こうね」

私「パパ 好き」



チッ。

隣の婚約者が凄い顔してたじゃない!
絡まれないように逃げ回らないと。

「しかし兄様ったらアイザックを穢れって言いました?相手は一応 王太子ですからね」

「シルは舌打ちが上手だね」

「兄様 この後のダンス、足を踏まないように頑張ります」

「シルは楽しんでくれたらいい。踏んでも気にするな」

「兄様 好き」

「私もだ」



カイン兄様とのダンスは無事に終わった。
二度ほど踏みそうになったけど、いずれも浮いた。
兄様と密着はしたが、ドキドキはしない。
白い肌に金髪碧眼の美しすぎる兄様は 別世界の人のようだ。


「シルビア」

この声に振り向きたくないけど無視はできない。

「はい」

声の主は跪き、手を伸ばした。

「シルビア、
この痛みはどこから来るのか分からなかった。
君の慈悲が俺を癒してくれるだろう。どうか、」

その先を彼は言葉にして発することはできなかった。

シルビアが彼の手を下から添えて、後ろに周り腰に手を回したからだ。

「早く言ってくださいよアイザック。
知り合いがギックリ腰は息をするのも痛いと言っていました。
ドレスだの宝石だの アホっぽいことを言っていたのは 痛みのせいですね?
冷たくしてごめんなさい。立てますか?
ゆっくり立ちましょう。

兄様も手を貸してあげてください」

「アハハハハハっ! シル!だから好きなんだ!

んんっ! 王太子殿下、肩をお貸ししますよ」

「そんな訳ないだろう!ダンスを申し込んだんだ!!」

「王太子殿下、彼女のダンスの相手は私です。
約束なのでご遠慮願います」

「コーデュロウ!?」

「シルビア嬢、心優しい貴女を迎えに参りました」

「ヘンリー様、よろしくお願いしますわ」

「シルビア!!」

「煩い! 何で私に構うの! 貴方の好みは私とは違う女性じゃない! 私は貴方のオモチャじゃない!」

「シルビア」

そんな顔したって……

「アイザックを待っている令嬢達のもとへ行って差し上げてください」

ヘンリー様の手を取って、ホールの中央へ進んだ。












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