上 下
46 / 73
ライアン達の子

気持ちの変化

しおりを挟む
翌日の学園の食堂で、いつもの6人に加えてカトリーヌが居た。

カ「ねえ、どうだった? セドリック兄様はなかなか良いと思うけど」

私「家族の評判は良かったわ」

カ「リリアンはどうなの?」

私「どうって、何も言われてもないのに自意識過剰になっちゃうわ」

カ「兄様とリリアンが結ばれてくれたら、私頻繁に遊びに行っちゃうわ」

ゼ「その話、詳しく教えてくれないか」

兄「実は、」

アンベール兄様がシャルール伯爵のことを説明した。

ジャ「リリアンちゃんの旦那さん候補か」

マ「シャルール伯爵家なら代替わりして伯爵になったけど、若い事業家で注目株と言われているよ。
中位の中ではかなりモテているな」

カ「そうなの。縁談の打診とか恋文とか届くらしいわ」

兄「それは心配だな。リリアンには一途な男でないと困る」

カ「兄様はちゃんとお断りしていますわ。縁談は一応顔を合わせて断っているようですけど」

ゼ「会うのか?」

カ「相手にもよりますけど、非もないのに釣書だけ見て断るのは店に影響しかねないから、会って嫌なら嫌われて帰るらしいです」

ジャ「というと?」

カ「結婚したらこうなりますという、いかにも貴族令嬢が嫌がりそうなことを言うのです。
相手によって多少変えるみたいですが」

兄「例えば?」

カ「“帳簿くらいつけられるよね?” とか、“場合によってはトラブルのあった客に頭を下げて謝らないと駄目だ” とか、“忙しいからほとんど相手はできない” とか」

ゼ「リリアンは印象はどう?」

私「いい人だと思います」

ゼ「そうか」

カ「じゃあ、兄様が申し込んだらどうするの?」

私「まだ全然分からないわ。好感は持ってるけど、伯爵からすれば私は子供でしょう」

カ「はぁ~、リリアンお義姉様って呼ぶのね」

兄「リリアンはまだやらない」

ゼ「……」





毎週土曜か日曜には一時間でもシャルール伯爵と会うようになった。
時間が短ければ公爵邸に来て、時間があれば一緒に出かけた。

友人以上恋人未満といった方がいいのかよく分からない関係だったが、信頼していた。
   
情報ギルドに依頼してくれていたみたいで、評価としては“許容範囲だな” とお父様が言っていた。  

お母様を見ると目を逸らした。

「パパ。何が書かれていたら許容範囲になるの?」

「完璧はないってことだ」

「何で教えてくれないの?」

「男には色々あるんだ」

「なにそれ。パパやお兄様にもあるの?」

「ライアン?」

「無いな。グレース、あるわけないだろう」

「ふ~ん」

「ずっと一緒にいるんだから不可能だろう」

「ライアンだもの。やろうと思えばバレずに出来るわ」

「お母様、教えてください」

「……女性関係よ」

「は!?」

「許容範囲だ。交際している女性もいないし、婚約もしていない」

つまり、その場限りの相手とかそういうこと?体だけの関係とか。

「まあ男性だから、年齢的には未経験という方が無理があるわね」

「私はグレースだけだけどな」



かなりもやもやしてその夜はなかなか寝付けなかった。

翌朝、お母様が私の部屋に来て抱きしめてくれた。

「眠れないのは、リリアンが彼を好きになった証拠ね」

「そうでしょうか」

「想像しちゃって嫌なのでしょう?」

「……」

「それは嫉妬というのよ」

お母様に抱きついたまましばらくウジウジして甘えた。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

恋人に捨てられた私のそれから

能登原あめ
恋愛
* R15、シリアスです。センシティブな内容を含みますのでタグにご注意下さい。  伯爵令嬢のカトリオーナは、恋人ジョン・ジョーに子どもを授かったことを伝えた。  婚約はしていなかったけど、もうすぐ女学校も卒業。  恋人は年上で貿易会社の社長をしていて、このまま結婚するものだと思っていたから。 「俺の子のはずはない」  恋人はとても冷たい眼差しを向けてくる。 「ジョン・ジョー、信じて。あなたの子なの」  だけどカトリオーナは捨てられた――。 * およそ8話程度 * Canva様で作成した表紙を使用しております。 * コメント欄のネタバレ配慮してませんので、お気をつけください。 * 別名義で投稿したお話の加筆修正版です。

【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫

紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。 スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。 そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。 捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。

妻のち愛人。

ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。 「ねーねー、ロナぁー」 甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。 そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。

一年で死ぬなら

朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。 理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。 そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。 そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。 一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・

諦めて、もがき続ける。

りつ
恋愛
 婚約者であったアルフォンスが自分ではない他の女性と浮気して、子どもまでできたと知ったユーディットは途方に暮れる。好きな人と結ばれことは叶わず、彼女は二十年上のブラウワー伯爵のもとへと嫁ぐことが決まった。伯爵の思うがままにされ、心をすり減らしていくユーディット。それでも彼女は、ある言葉を胸に、毎日を生きていた。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

【完結】優しくて大好きな夫が私に隠していたこと

恋愛
陽も沈み始めた森の中。 獲物を追っていた寡黙な猟師ローランドは、奥地で偶然見つけた泉で“とんでもない者”と遭遇してしまう。 それは、裸で水浴びをする綺麗な女性だった。 何とかしてその女性を“お嫁さんにしたい”と思い立った彼は、ある行動に出るのだが――。 ※ ・当方気を付けておりますが、誤字脱字を発見されましたらご遠慮なくご指摘願います。 ・★が付く話には性的表現がございます。ご了承下さい。

王妃から夜伽を命じられたメイドのささやかな復讐

当麻月菜
恋愛
没落した貴族令嬢という過去を隠して、ロッタは王宮でメイドとして日々業務に勤しむ毎日。 でもある日、子宝に恵まれない王妃のマルガリータから国王との夜伽を命じられてしまう。 その理由は、ロッタとマルガリータの髪と目の色が同じという至極単純なもの。 ただし、夜伽を務めてもらうが側室として召し上げることは無い。所謂、使い捨ての世継ぎ製造機になれと言われたのだ。 馬鹿馬鹿しい話であるが、これは王命─── 断れば即、極刑。逃げても、極刑。 途方に暮れたロッタだけれど、そこに友人のアサギが現れて、この危機を切り抜けるとんでもない策を教えてくれるのだが……。

何を間違った?【完結済】

maruko
恋愛
私は長年の婚約者に婚約破棄を言い渡す。 彼女とは1年前から連絡が途絶えてしまっていた。 今真実を聞いて⋯⋯。 愚かな私の後悔の話 ※作者の妄想の産物です 他サイトでも投稿しております

処理中です...