35 / 73
ライアン達の子
愚か者の結末
しおりを挟む
【 マキシア伯爵令嬢 セロンの視点 】
演習場には静寂が維持されている。
次々と人が増えていく。
騎士団の上層部だろうか。何人かいる。一般騎士は数人準備をして立ち去った。
マキシア伯爵家からは父と母と兄が来ている。後は代理の騎士ベクトル。
バトラーズ家は公爵夫妻と長男アンベール。
何故か夫妻は帯剣している。
あれ?一人だけ一般兵が残ってる。大柄ね。
あ、ビクトリア様と侯爵がいらしたわ。
国王陛下に王妃殿下、ゼイン殿下が姿を現した後、仮面を付けた男達がゾロゾロと姿を現した。丸腰だ。
なのに団長以外の上層部の顔が強張った。
仮面のうち、二人が悪女に近寄った。
「今日も可愛いな」
そんなことを言いながら悪女の頭を撫でた。
その後二人はバトラーズ公爵夫妻と親しげに挨拶を交わす。
「ライアン、真剣を使うと聞いたが本当か?」
「ええ。令嬢がリリアンの顔に投げ付けたので」
「意味を知らなかったんじゃないか?」
「でしょうね。でも顔に当てられたらリリアンも少し腹が立ったようですよ」
「まあ、いい機会だろう。一部他国や辺境に散ってるから、戻ってきたら悔しがるだろうな」
「それでもかなりいらしてくださったのですね」
「非番も見に来てるからな」
仮面の男達はバトラーズ家と懇意で、任務を持つ者?
「一戦目!マキシア伯爵家より私兵ベクトル!
バトラーズ公爵家よりリリアン嬢!
真剣を使った決闘の為、降参するか剣が握れなくなるか死ぬまで続行する。
降参したければ剣を手放すように。
反則は剣以外を使って攻撃すること、降参した者に攻撃をすること。反則行為が認められれば審判である私が違反者を斬る。
構え!」
悪女はそれぞれの手で剣を握った。
「始め!!」
キィーン
信じられない。
剣をクロスさせて受けたかと思ったらどうしてかベクトルの剣の軌道が変わっていた。
「降参!!」
そう言ってベクトルは両手を上げて、剣は落ちて地面に突き刺さった。
ベクトルの首元には悪女の剣が添えられていて、少し血が出ていた。
「勝者リリアン嬢!」
何で? 何で何で何で!!!
ベクトルが戻ってきてお父様に叱られていた。
「何故降参など!」
「伯爵はこんなことで私に命を落とせと?
あの双剣使いは一般的な剣術ではなく、暗殺術です。力で押し切れるかと思いましたが、双剣で受けながら滑るようにずらして軌道を変えます。
まともに相手の剣を受けてしまうと力負けするので受け流しているのです。
その後の攻撃がまた早い。
伯爵家の私兵で彼女に勝てる者はおりません。
一般兵が居ないのは、見たら自信を無くすからでしょう。唯一の一般兵は令嬢が手を振っていたので知り合いです。
お嬢様はこの後、対戦なさるのなら直ぐに降参した方がいいですよ。
では、私は先に戻って荷物を纏めます」
「セロン嬢! 無闇に待たせるな!」
信じられない!信じられない!
私の番が来るとは思っていなかった!
ビクトリア様が、悪女の剣はお遊び程度みたいに仰ったから…
「ニ戦目!マキシア伯爵家よりセロン嬢!
バトラーズ公爵家よりリリアン嬢!
両者構え!」
重い!重すぎて振れない!
そうだ!突こう!馬鹿みたいに振らなくていいのよ!
「始め!」
ザシュッ
え?
「勝者!リリアン嬢!
セロン嬢は剣が持てないため、棄権とする!」
目線を下すと手首から先が無く、血が吹き出していた。
「イヤァァァァァ!!!!」
「セロン!セロン!」
「こんなのは犯罪だ!誰かこの女を捕えろ!!」
「いい加減にしろ、マキシア伯爵。決闘とはこういうものだ」
「そんなわけないだろう!貴族令嬢の両手首を切り落とすなんて!!」
お父様が怒鳴ってる。
「宮廷医です。止血をしますよ」
「早く!早くお願いします!」
お兄様の声がする。
「貴方の娘は自ら私の娘の顔に手袋を投げ付けた。
顔に当てるのは“殺す”という意味を持つ。
殺すと決闘を挑まれたのだから、こうなるのは当然だろう。首を斬り落とすこともできたんだ。感謝して欲しいな」
「娘は!娘は嫁入り前の大事な体なんですぞ!」
「それはうちのリリアンも同じだろう。
そもそも決闘など何故させた。
貴方か子息が言い出したのだろう?
自分のせいなのにリリアンのせいにしないでもらいたい。
私兵は賢かったな。
忠告を受けていたんじゃないのか?」
「決闘に水を差すな伯爵。自分で申し込んだ決闘なのだから結果を潔く受け入れろ」
「だ、団長」
「応急処置は済みました」
「ほら、早く連れて帰って本格的な治療をしてやれ。早くしないと死ぬぞ」
「っ!!」
あの後、お母様は私が手首を斬り落とされたときに気を失っていたことを知った。
「お嬢様、痛み止めです」
ゴクン
「お嬢様、私は本日でお暇をいただきました。
かなりの数の使用人が辞めておりますので、何か必要でございましたら早めにお申し付けください」
「分かったわ」
手を切り落とされてから一週間が経った。
学園は退学になった。婚約も破棄された。
お義姉様は実家に帰ってしまった。
私兵もほとんど辞めてしまったらしい。
今、この王都の屋敷を売るかどうかで三人が揉めているらしい。
お父様は売って領地へ下がりたい。お母様とお兄様は維持したい。
ただ、私の傷が落ち着くまで領地になど行けないので、このままでいるか入院するか。
夜中に喉が渇いて目が覚めた。
悲鳴が聞こえる気がする………気のせいじゃない!
強盗?何?
キィッ
「誰!」
ドアが開いて誰かが入ってきた。
「君の父親と母親は死んだ」
「!!」
「君の兄は脚の腱を切っておいた。這いつくばっているぞ」
「お、お金なら、」
「決闘はお前の兄の発案だと聞いた。だからお前と一緒にゆっくり殺してやる」
「誰か!!侵入者よ!!」
「いくら叫んでも来ないぞ。使用人は眠らせて外に出した。と言っても4人しかいなかったがな。
私兵は逃げていいぞと言ったら皆逃げた。
だから建物内にはお前の両親の死体と、兄とお前と私しかいない」
「な、何故!何故こんな酷いことを!」
「私の娘を殺そうとして無事で済ませるわけがない」
「あ、あなた、バトラーズ公爵!?
あれは知らなかったんです!顔に投げるのは命をかけた決闘を意味するだなんて!」
「リリアンがお前に何をした?何故執拗に攻撃した」
「私は、ビクトリア様のために、」
「ビクトリアに命じられたのか?」
「違います」
「これからこの屋敷は炎に包まれる。
奉仕活動で済ませれば良かったものを」
公爵は窓に鍵がかかってるか確認して去った。
しばらくすると煙と焦げた臭いが充満してきた。
手首から先がない私は一人では逃げられない。
「どうせ生きていても仕方ないわね」
そのまま目を閉じた。
演習場には静寂が維持されている。
次々と人が増えていく。
騎士団の上層部だろうか。何人かいる。一般騎士は数人準備をして立ち去った。
マキシア伯爵家からは父と母と兄が来ている。後は代理の騎士ベクトル。
バトラーズ家は公爵夫妻と長男アンベール。
何故か夫妻は帯剣している。
あれ?一人だけ一般兵が残ってる。大柄ね。
あ、ビクトリア様と侯爵がいらしたわ。
国王陛下に王妃殿下、ゼイン殿下が姿を現した後、仮面を付けた男達がゾロゾロと姿を現した。丸腰だ。
なのに団長以外の上層部の顔が強張った。
仮面のうち、二人が悪女に近寄った。
「今日も可愛いな」
そんなことを言いながら悪女の頭を撫でた。
その後二人はバトラーズ公爵夫妻と親しげに挨拶を交わす。
「ライアン、真剣を使うと聞いたが本当か?」
「ええ。令嬢がリリアンの顔に投げ付けたので」
「意味を知らなかったんじゃないか?」
「でしょうね。でも顔に当てられたらリリアンも少し腹が立ったようですよ」
「まあ、いい機会だろう。一部他国や辺境に散ってるから、戻ってきたら悔しがるだろうな」
「それでもかなりいらしてくださったのですね」
「非番も見に来てるからな」
仮面の男達はバトラーズ家と懇意で、任務を持つ者?
「一戦目!マキシア伯爵家より私兵ベクトル!
バトラーズ公爵家よりリリアン嬢!
真剣を使った決闘の為、降参するか剣が握れなくなるか死ぬまで続行する。
降参したければ剣を手放すように。
反則は剣以外を使って攻撃すること、降参した者に攻撃をすること。反則行為が認められれば審判である私が違反者を斬る。
構え!」
悪女はそれぞれの手で剣を握った。
「始め!!」
キィーン
信じられない。
剣をクロスさせて受けたかと思ったらどうしてかベクトルの剣の軌道が変わっていた。
「降参!!」
そう言ってベクトルは両手を上げて、剣は落ちて地面に突き刺さった。
ベクトルの首元には悪女の剣が添えられていて、少し血が出ていた。
「勝者リリアン嬢!」
何で? 何で何で何で!!!
ベクトルが戻ってきてお父様に叱られていた。
「何故降参など!」
「伯爵はこんなことで私に命を落とせと?
あの双剣使いは一般的な剣術ではなく、暗殺術です。力で押し切れるかと思いましたが、双剣で受けながら滑るようにずらして軌道を変えます。
まともに相手の剣を受けてしまうと力負けするので受け流しているのです。
その後の攻撃がまた早い。
伯爵家の私兵で彼女に勝てる者はおりません。
一般兵が居ないのは、見たら自信を無くすからでしょう。唯一の一般兵は令嬢が手を振っていたので知り合いです。
お嬢様はこの後、対戦なさるのなら直ぐに降参した方がいいですよ。
では、私は先に戻って荷物を纏めます」
「セロン嬢! 無闇に待たせるな!」
信じられない!信じられない!
私の番が来るとは思っていなかった!
ビクトリア様が、悪女の剣はお遊び程度みたいに仰ったから…
「ニ戦目!マキシア伯爵家よりセロン嬢!
バトラーズ公爵家よりリリアン嬢!
両者構え!」
重い!重すぎて振れない!
そうだ!突こう!馬鹿みたいに振らなくていいのよ!
「始め!」
ザシュッ
え?
「勝者!リリアン嬢!
セロン嬢は剣が持てないため、棄権とする!」
目線を下すと手首から先が無く、血が吹き出していた。
「イヤァァァァァ!!!!」
「セロン!セロン!」
「こんなのは犯罪だ!誰かこの女を捕えろ!!」
「いい加減にしろ、マキシア伯爵。決闘とはこういうものだ」
「そんなわけないだろう!貴族令嬢の両手首を切り落とすなんて!!」
お父様が怒鳴ってる。
「宮廷医です。止血をしますよ」
「早く!早くお願いします!」
お兄様の声がする。
「貴方の娘は自ら私の娘の顔に手袋を投げ付けた。
顔に当てるのは“殺す”という意味を持つ。
殺すと決闘を挑まれたのだから、こうなるのは当然だろう。首を斬り落とすこともできたんだ。感謝して欲しいな」
「娘は!娘は嫁入り前の大事な体なんですぞ!」
「それはうちのリリアンも同じだろう。
そもそも決闘など何故させた。
貴方か子息が言い出したのだろう?
自分のせいなのにリリアンのせいにしないでもらいたい。
私兵は賢かったな。
忠告を受けていたんじゃないのか?」
「決闘に水を差すな伯爵。自分で申し込んだ決闘なのだから結果を潔く受け入れろ」
「だ、団長」
「応急処置は済みました」
「ほら、早く連れて帰って本格的な治療をしてやれ。早くしないと死ぬぞ」
「っ!!」
あの後、お母様は私が手首を斬り落とされたときに気を失っていたことを知った。
「お嬢様、痛み止めです」
ゴクン
「お嬢様、私は本日でお暇をいただきました。
かなりの数の使用人が辞めておりますので、何か必要でございましたら早めにお申し付けください」
「分かったわ」
手を切り落とされてから一週間が経った。
学園は退学になった。婚約も破棄された。
お義姉様は実家に帰ってしまった。
私兵もほとんど辞めてしまったらしい。
今、この王都の屋敷を売るかどうかで三人が揉めているらしい。
お父様は売って領地へ下がりたい。お母様とお兄様は維持したい。
ただ、私の傷が落ち着くまで領地になど行けないので、このままでいるか入院するか。
夜中に喉が渇いて目が覚めた。
悲鳴が聞こえる気がする………気のせいじゃない!
強盗?何?
キィッ
「誰!」
ドアが開いて誰かが入ってきた。
「君の父親と母親は死んだ」
「!!」
「君の兄は脚の腱を切っておいた。這いつくばっているぞ」
「お、お金なら、」
「決闘はお前の兄の発案だと聞いた。だからお前と一緒にゆっくり殺してやる」
「誰か!!侵入者よ!!」
「いくら叫んでも来ないぞ。使用人は眠らせて外に出した。と言っても4人しかいなかったがな。
私兵は逃げていいぞと言ったら皆逃げた。
だから建物内にはお前の両親の死体と、兄とお前と私しかいない」
「な、何故!何故こんな酷いことを!」
「私の娘を殺そうとして無事で済ませるわけがない」
「あ、あなた、バトラーズ公爵!?
あれは知らなかったんです!顔に投げるのは命をかけた決闘を意味するだなんて!」
「リリアンがお前に何をした?何故執拗に攻撃した」
「私は、ビクトリア様のために、」
「ビクトリアに命じられたのか?」
「違います」
「これからこの屋敷は炎に包まれる。
奉仕活動で済ませれば良かったものを」
公爵は窓に鍵がかかってるか確認して去った。
しばらくすると煙と焦げた臭いが充満してきた。
手首から先がない私は一人では逃げられない。
「どうせ生きていても仕方ないわね」
そのまま目を閉じた。
134
お気に入りに追加
703
あなたにおすすめの小説
今更ですか?結構です。
みん
恋愛
完結後に、“置き場”に後日談を投稿しています。
エルダイン辺境伯の長女フェリシティは、自国であるコルネリア王国の第一王子メルヴィルの5人居る婚約者候補の1人である。その婚約者候補5人の中でも幼い頃から仲が良かった為、フェリシティが婚約者になると思われていたが──。
え?今更ですか?誰もがそれを望んでいるとは思わないで下さい──と、フェリシティはニッコリ微笑んだ。
相変わらずのゆるふわ設定なので、優しく見てもらえると助かります。
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵令嬢リリアーヌは、10歳で母が他界し、その後義母と義妹に虐げられ、
屋敷ではメイド仕事をして過ごす日々。
そんな中で、このままでは一生虐げられたままだと思い、一念発起。
母の遺言を受け、自分で自分を幸せにするために行動を起こすことに。
そんな中、偶然訳ありの男性を拾ってしまう。
しかし、その男性がリリアーヌの未来を作る救世主でーーーー。
メイド仕事の傍らで隠れて淑女教育を完璧に終了させ、語学、経営、経済を学び、
財産を築くために屋敷のメイド姿で見聞きした貴族社会のことを小説に書いて出版し、それが大ヒット御礼!
学んだことを生かし、商会を設立。
孤児院から人材を引き取り育成もスタート。
出版部門、観劇部門、版権部門、商品部門など次々と商いを展開。
そこに隣国の王子も参戦してきて?!
本作品は虐げられた環境の中でも懸命に前を向いて頑張る
とある侯爵令嬢が幸せを掴むまでの溺愛×サクセスストーリーです♡
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
私を運命の相手とプロポーズしておきながら、可哀そうな幼馴染の方が大切なのですね! 幼馴染と幸せにお過ごしください
迷い人
恋愛
王国の特殊爵位『フラワーズ』を頂いたその日。
アシャール王国でも美貌と名高いディディエ・オラール様から婚姻の申し込みを受けた。
断るに断れない状況での婚姻の申し込み。
仕事の邪魔はしないと言う約束のもと、私はその婚姻の申し出を承諾する。
優しい人。
貞節と名高い人。
一目惚れだと、運命の相手だと、彼は言った。
細やかな気遣いと、距離を保った愛情表現。
私も愛しております。
そう告げようとした日、彼は私にこうつげたのです。
「子を事故で亡くした幼馴染が、心をすり減らして戻ってきたんだ。 私はしばらく彼女についていてあげたい」
そう言って私の物を、つぎつぎ幼馴染に与えていく。
優しかったアナタは幻ですか?
どうぞ、幼馴染とお幸せに、請求書はそちらに回しておきます。
【完結】新婚生活初日から、旦那の幼馴染も同居するってどういうことですか?
よどら文鳥
恋愛
デザイナーのシェリル=アルブライデと、婚約相手のガルカ=デーギスの結婚式が無事に終わった。
予め購入していた新居に向かうと、そこにはガルカの幼馴染レムが待っていた。
「シェリル、レムと仲良くしてやってくれ。今日からこの家に一緒に住むんだから」
「え!? どういうことです!? 使用人としてレムさんを雇うということですか?」
シェリルは何も事情を聞かされていなかった。
「いや、特にそう堅苦しく縛らなくても良いだろう。自主的な行動ができるし俺の幼馴染だし」
どちらにしても、新居に使用人を雇う予定でいた。シェリルは旦那の知り合いなら仕方ないかと諦めるしかなかった。
「……わかりました。よろしくお願いしますね、レムさん」
「はーい」
同居生活が始まって割とすぐに、ガルカとレムの関係はただの幼馴染というわけではないことに気がつく。
シェリルは離婚も視野に入れたいが、できない理由があった。
だが、周りの協力があって状況が大きく変わっていくのだった。
婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした
アルト
ファンタジー
今から七年前。
婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。
そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。
そして現在。
『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。
彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる