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ライアン達の子
制裁を受ける人 ブロース家とベセロナ家
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【 ブロース公爵の次女ベローナの視点 】
私にはお姉様がいた。子供ながらに気高く素敵な女の子だった。
昔、公爵家は大騒ぎになった。
私がお腹を下して欠席した茶会で起きたことのようだった。
父「バトラーズの娘に熱い茶をかけただと!?」
兄「目撃者の証言録まで添えてあるじゃないか!
態々腕を伸ばして令嬢の腿にゆっくり茶を溢し、嫌味を言ったり侮辱し続けたなんて!」
母「ご令嬢に何かされたのよね?叩かれたの?何か取り上げられたの?」
姉「……」
父「黙っていて済む問題じゃない!このまま裁判が始まったら全て公表されるんだぞ!
貴族への傷害罪は取り調べがあるから、お前などでは自白するだろう。
今知っておかないと対抗できない!早く話せ!」
姉「私達がドレスの話やお店の話やご令息の話をしていても聞いていなくて…あの子は他のお茶会でもつまらないという顔を隠さないのです。
演奏を聴きに行ったというお話をしてあげたのに、…皆様が“素敵です” “羨ましいです” と言うのにあの子だけ“興味がないので”と言ったのです。
その後も、私が刺したハンカチの刺繍を見て皆様が“素晴らしいです” と言うのに、あの子はまた“嗜みません”と。
何故かと聞いても“興味が無ければやらなくていいとお父様に言われました” というのです。
ですが、淑女の嗜みでは?と指摘すると、“料理を貴族の女性がするのは仕事を取り上げる行為だと非難するのに、刺繍は違うのですか? 裁縫で生活費を稼いでいる方の仕事を取り上げる行為ですよね。この矛盾をご説明ください” って言って、私に恥をかかせたのです!!」
父「お前は何のために同伴したんだ!」
母「申し訳ございません」
兄「キャスリン。なぜ一々キャスリンに同調したり褒めたりしなければならないんだ?
他のご令嬢方はキャスリンの機嫌取りではないんだよ?」
父「貴族の押し付けに、貴族の矛盾で返されたな。本当に8歳か?
そもそも2つも歳が下の子にムキになる必要はないし、暴力などもっての外だ!」
兄「父上、確か長男のアンベール殿は令嬢のようなイメージはなかったのですが」
父「バトラーズ公爵は政略結婚と思われていたが公爵が夫人を溺愛しているんだ。その夫人が産んだ自分にそっくりの娘だぞ!
貴族令嬢の嗜みなど無視してもいいということは、望まなければ嫁にも行かなくていいという意味だ。
それに兄妹だからと同じではない。
現に、お前ならしないことをキャスリンがやらかしてしまったではないか!
それにあそこは近衛を何度か輩出している家門だ。
弱い者虐めをするような者はゴミと同じ扱いをするだろう」
母「どうすればいいのですか」
父「謝りに行って取り下げてもらうしかない。
有罪になれば新聞に名前と内容が載って晒し者になる。二度と社交にも出られないし、王都を歩くこともできなくなる」
姉は部屋に監禁され、お父様達の帰りを待った。
二時間後。
父「罪を認めて略式にしてもらう」
姉「それでは私は、」
父「諦めるしかない。確定して、判決書が届いたら領地へ送る」
3週間後、判決を聴きに父と兄が登城して戻ってきた。
母「どうでしたか」
父「どうもこうもない。有罪だ」
姉「申し訳ございません」
兄「リリアン嬢がいたが、大人しくて小さくて、公爵に似た美しい少女だった。
カーテシーも素敵だった。
何故キャスリンはあんなことができたんだ?」
父「嫉妬があるのだろう」
その後、お姉様は領地へ送られた。
敷地内に本邸と繋がる別棟があり、そこで軟禁生活を送るらしい。
あれから年月が流れ、成人したし学園にも通っている。あれ以来バトラーズ公爵令嬢は表に姿を表さなかった。
私が二年生になると彼女が入学してきた。
クラスの令息達が噂をしていた。
「バトラーズ公爵家のリリアン嬢、美人だったな」
「大人になればもっと綺麗になるだろうな」
「俺は可愛いタイプが好きだから、ちょっと冷たく感じるな」
「何だろうな。早くも孤高のオーラが出てるよな」
そしてすぐに見かけることができた。
食堂でゼイン殿下といたので目立っていた。
確かに美人だった。
あんなことがなければゼイン殿下の婚約者はキャスリンお姉様だったはずなのに!
王子を誑かしている悪女を懲らしめたいと思った。
一度目はクラスへ忍び込み、教科書を一冊破いて教室のゴミ箱に捨てた。
二度目はカバンの中のポーチにハサミで穴を開けた。
三度目は机の中に砂を入れた。
四度目は鞄ごと窓から裏庭へ投げ捨てた。
鞄を投げた数日後、学校を休んで王城へ行くことになった。登場命令が出たらしい。
まさかと思ったが、誰も見ていなかったはずだと心を落ち着かせた。
通された場所にお父様が驚いていた。
「お父様、このお部屋に何かあるのですか?」
「有罪の決まった者に判決を告げる部屋だ」
一気に血の気が引いてしまった。
もう一組入室した。
ベセロナ伯爵と令嬢のミーナ様だ。この子は悪女と同じクラスの子だった。
陛下と何人か入室して読み上げられたのは、砂を入れた件と、鞄を投げ捨てた件だった。
ミーナ嬢は椅子を汚したり、鞄にゴミを入れたらしい。
否定して、それに父上も加勢してくれたけど、無駄というよりは油に火を投げ入れたかたちになった。
「この報告書は一般でいう影が調査した内容が書かれている。つまり見ていたということだ。二人とも、国王に嘘を述べたな」
私もミーナ嬢も退学になった。
私にはお姉様がいた。子供ながらに気高く素敵な女の子だった。
昔、公爵家は大騒ぎになった。
私がお腹を下して欠席した茶会で起きたことのようだった。
父「バトラーズの娘に熱い茶をかけただと!?」
兄「目撃者の証言録まで添えてあるじゃないか!
態々腕を伸ばして令嬢の腿にゆっくり茶を溢し、嫌味を言ったり侮辱し続けたなんて!」
母「ご令嬢に何かされたのよね?叩かれたの?何か取り上げられたの?」
姉「……」
父「黙っていて済む問題じゃない!このまま裁判が始まったら全て公表されるんだぞ!
貴族への傷害罪は取り調べがあるから、お前などでは自白するだろう。
今知っておかないと対抗できない!早く話せ!」
姉「私達がドレスの話やお店の話やご令息の話をしていても聞いていなくて…あの子は他のお茶会でもつまらないという顔を隠さないのです。
演奏を聴きに行ったというお話をしてあげたのに、…皆様が“素敵です” “羨ましいです” と言うのにあの子だけ“興味がないので”と言ったのです。
その後も、私が刺したハンカチの刺繍を見て皆様が“素晴らしいです” と言うのに、あの子はまた“嗜みません”と。
何故かと聞いても“興味が無ければやらなくていいとお父様に言われました” というのです。
ですが、淑女の嗜みでは?と指摘すると、“料理を貴族の女性がするのは仕事を取り上げる行為だと非難するのに、刺繍は違うのですか? 裁縫で生活費を稼いでいる方の仕事を取り上げる行為ですよね。この矛盾をご説明ください” って言って、私に恥をかかせたのです!!」
父「お前は何のために同伴したんだ!」
母「申し訳ございません」
兄「キャスリン。なぜ一々キャスリンに同調したり褒めたりしなければならないんだ?
他のご令嬢方はキャスリンの機嫌取りではないんだよ?」
父「貴族の押し付けに、貴族の矛盾で返されたな。本当に8歳か?
そもそも2つも歳が下の子にムキになる必要はないし、暴力などもっての外だ!」
兄「父上、確か長男のアンベール殿は令嬢のようなイメージはなかったのですが」
父「バトラーズ公爵は政略結婚と思われていたが公爵が夫人を溺愛しているんだ。その夫人が産んだ自分にそっくりの娘だぞ!
貴族令嬢の嗜みなど無視してもいいということは、望まなければ嫁にも行かなくていいという意味だ。
それに兄妹だからと同じではない。
現に、お前ならしないことをキャスリンがやらかしてしまったではないか!
それにあそこは近衛を何度か輩出している家門だ。
弱い者虐めをするような者はゴミと同じ扱いをするだろう」
母「どうすればいいのですか」
父「謝りに行って取り下げてもらうしかない。
有罪になれば新聞に名前と内容が載って晒し者になる。二度と社交にも出られないし、王都を歩くこともできなくなる」
姉は部屋に監禁され、お父様達の帰りを待った。
二時間後。
父「罪を認めて略式にしてもらう」
姉「それでは私は、」
父「諦めるしかない。確定して、判決書が届いたら領地へ送る」
3週間後、判決を聴きに父と兄が登城して戻ってきた。
母「どうでしたか」
父「どうもこうもない。有罪だ」
姉「申し訳ございません」
兄「リリアン嬢がいたが、大人しくて小さくて、公爵に似た美しい少女だった。
カーテシーも素敵だった。
何故キャスリンはあんなことができたんだ?」
父「嫉妬があるのだろう」
その後、お姉様は領地へ送られた。
敷地内に本邸と繋がる別棟があり、そこで軟禁生活を送るらしい。
あれから年月が流れ、成人したし学園にも通っている。あれ以来バトラーズ公爵令嬢は表に姿を表さなかった。
私が二年生になると彼女が入学してきた。
クラスの令息達が噂をしていた。
「バトラーズ公爵家のリリアン嬢、美人だったな」
「大人になればもっと綺麗になるだろうな」
「俺は可愛いタイプが好きだから、ちょっと冷たく感じるな」
「何だろうな。早くも孤高のオーラが出てるよな」
そしてすぐに見かけることができた。
食堂でゼイン殿下といたので目立っていた。
確かに美人だった。
あんなことがなければゼイン殿下の婚約者はキャスリンお姉様だったはずなのに!
王子を誑かしている悪女を懲らしめたいと思った。
一度目はクラスへ忍び込み、教科書を一冊破いて教室のゴミ箱に捨てた。
二度目はカバンの中のポーチにハサミで穴を開けた。
三度目は机の中に砂を入れた。
四度目は鞄ごと窓から裏庭へ投げ捨てた。
鞄を投げた数日後、学校を休んで王城へ行くことになった。登場命令が出たらしい。
まさかと思ったが、誰も見ていなかったはずだと心を落ち着かせた。
通された場所にお父様が驚いていた。
「お父様、このお部屋に何かあるのですか?」
「有罪の決まった者に判決を告げる部屋だ」
一気に血の気が引いてしまった。
もう一組入室した。
ベセロナ伯爵と令嬢のミーナ様だ。この子は悪女と同じクラスの子だった。
陛下と何人か入室して読み上げられたのは、砂を入れた件と、鞄を投げ捨てた件だった。
ミーナ嬢は椅子を汚したり、鞄にゴミを入れたらしい。
否定して、それに父上も加勢してくれたけど、無駄というよりは油に火を投げ入れたかたちになった。
「この報告書は一般でいう影が調査した内容が書かれている。つまり見ていたということだ。二人とも、国王に嘘を述べたな」
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