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契約
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昼休みは王宮料理人の作ってくださった昼食を食べた。
文句を言おうと口を開くと食べ物を入れられた。
放課後、教室を出るとランドルフ様が待っていた。
「リリアーナ、話をしよう」
「私の気持ちは変わりません。ヘンダーソン侯爵令嬢様とでも縁談を結び直せばよろしいのでは?」
「えっ」
「リリアーナ!迎えに来た」
「…リリアーナ、どういうことだ」
「リリアーナは国王陛下との謁見の約束がある。
リリ、早く行こう」
「えっ、はい」
王家の馬車に乗り込んだ。
「あいつに不貞の事は言わないのではなかったのか」
「名前が増えていましたので。つい」
「……好きなのか」
「え?」
「まだあいつのことが好きなのか」
「私が?ランドルフ様を?」
「だから頭にきてあいつの不貞のことを仄めかしたのでは?」
「どうしたらそんな言葉が出るんですかね」
気まずい空気のまま王宮に着いた。
そのまま執務室へ連行された。
「それで?
どう言うことなのかちゃんと説明しろ。偽りは述べるなよ」
「では黙秘します」
「エリアス!」
「私はリリアーナと約束をしたのです。他言しないと。契約書で交わしましたので違えれば惨事となるでしょう」
「王族が簡単に署名など!」
「私はリリアーナとの約束を絶対に破りません!
毒杯を飲めと言われたら飲んで沈黙を貫きます!」
「リリアーナ」
「…話が長くなりますがいいですか」
「茶を用意させている」
「陛下も署名してください」
「…何故だ」
「その方が丸く収まります。皆が秘密を守ると誓い合えば契約違反にはなりません。そして陛下の秘密も守ります」
「ほお、私の秘密を握っているのか」
「去年、1月9日、マナ…
「待て!!」
「…父上、最悪です」
「よし、契約しよう」
陛下は契約書を作らせて人払いをすると署名をした。
3人の署名となった。
「では父上、父上の秘密をお願いします」
「さっきのでいいだろう」
「あれはリリの秘密です」
「…エリアスは何を話した」
「王子教育で習った王家の秘密です」
「馬鹿者!!あれを教えたら…」
「だから教えました」
「…そういうことか」
「? では、私から。
ある日、父が婚約者を決めました。
両親同士が、学園からの親しい友人でした。
卒業後も交流があったのでオヌール公爵令息様とは幼馴染でした。
私は彼のことが好きでもなく嫌いでもなく、言い直せば興味のない存在でした。
ですが貴族教育、淑女教育を重ねて、婚約者として慎ましくしていたつもりです。
悪く言えば無気力で何も考えておりませんでした。
婚約直後から他の令嬢達からは嫌がらせを受け続けていました。
婚約の詳しい理由を聞きたくなった時には父は亡くなっていました。母も兄も婚約の経緯を知りませんでした。
となると事情を知るのは公爵家になりますが、ランドルフ様からの社交の誘いが多く公爵家でゆっくり話をという気にはなれないまま、嫌がらせに耐えていました。
学園が始まると益々酷くなり、ある日、外の倉庫に閉じ込められました。その日はまだ寒い季節で特に寒くなった日でした。
どうでもよくなって、このまま凍死したら父に会って話が出来るかもなどと思ったのですが助け出されました。
犯人も判明して罰を受けさせ、慰謝料の支払いまで公爵家で話をつけてくださいました。
その後も、公爵家のお茶会で2階から突き落とされました。2日間昏睡したようですが打身だけで済みました。
でも、打ちどころが悪ければ死んでいたかもしれません。不自由な体になったのかも。
彼と婚約して痣がついていない日は無い程でしたし、2度も危険な目にあうと、我慢ができませんでした。
辞退を告げましたか、ランドルフ様が絶対に嫌だと申されました。
結局突き落とした令嬢も閉じ込めた令嬢もランドルフ様の婚約者の座を狙ったものでした。
転落してから私には日付けと名前が見えるのです。
唯一相談した兄の婚約者は、それは閨の相手と日付けだと。神様からのギフトだと言いました。
ただ、同じ方との2回目以降の名前や日付けは出てきません。
証拠にもなりません」
「ギフトか。神話の世界かと思っていたが」
「私もそう思っていました。
しかも能力は更新中で、ランドルフ様の閨の相手が増えました」
「……なるほど。
何故秘密にしようと思った」
「職業としてお金を儲けることもできますが、今度はプロから命を狙われることになります。例えばリュカ様の婚約者から」
「で、6人はジョアンナの不貞相手の数なのだな」
「はい。父上。
最初、リリはその手の調査を得意とする組織を知っているのだと思いました。ジョアンナの素行調査に使いたくて聞き出そうと」
「相手が絞れれば尋問も楽だからな」
「はい」
「よく分かった」
「じゃあ、父上の秘密をお願いします」
文句を言おうと口を開くと食べ物を入れられた。
放課後、教室を出るとランドルフ様が待っていた。
「リリアーナ、話をしよう」
「私の気持ちは変わりません。ヘンダーソン侯爵令嬢様とでも縁談を結び直せばよろしいのでは?」
「えっ」
「リリアーナ!迎えに来た」
「…リリアーナ、どういうことだ」
「リリアーナは国王陛下との謁見の約束がある。
リリ、早く行こう」
「えっ、はい」
王家の馬車に乗り込んだ。
「あいつに不貞の事は言わないのではなかったのか」
「名前が増えていましたので。つい」
「……好きなのか」
「え?」
「まだあいつのことが好きなのか」
「私が?ランドルフ様を?」
「だから頭にきてあいつの不貞のことを仄めかしたのでは?」
「どうしたらそんな言葉が出るんですかね」
気まずい空気のまま王宮に着いた。
そのまま執務室へ連行された。
「それで?
どう言うことなのかちゃんと説明しろ。偽りは述べるなよ」
「では黙秘します」
「エリアス!」
「私はリリアーナと約束をしたのです。他言しないと。契約書で交わしましたので違えれば惨事となるでしょう」
「王族が簡単に署名など!」
「私はリリアーナとの約束を絶対に破りません!
毒杯を飲めと言われたら飲んで沈黙を貫きます!」
「リリアーナ」
「…話が長くなりますがいいですか」
「茶を用意させている」
「陛下も署名してください」
「…何故だ」
「その方が丸く収まります。皆が秘密を守ると誓い合えば契約違反にはなりません。そして陛下の秘密も守ります」
「ほお、私の秘密を握っているのか」
「去年、1月9日、マナ…
「待て!!」
「…父上、最悪です」
「よし、契約しよう」
陛下は契約書を作らせて人払いをすると署名をした。
3人の署名となった。
「では父上、父上の秘密をお願いします」
「さっきのでいいだろう」
「あれはリリの秘密です」
「…エリアスは何を話した」
「王子教育で習った王家の秘密です」
「馬鹿者!!あれを教えたら…」
「だから教えました」
「…そういうことか」
「? では、私から。
ある日、父が婚約者を決めました。
両親同士が、学園からの親しい友人でした。
卒業後も交流があったのでオヌール公爵令息様とは幼馴染でした。
私は彼のことが好きでもなく嫌いでもなく、言い直せば興味のない存在でした。
ですが貴族教育、淑女教育を重ねて、婚約者として慎ましくしていたつもりです。
悪く言えば無気力で何も考えておりませんでした。
婚約直後から他の令嬢達からは嫌がらせを受け続けていました。
婚約の詳しい理由を聞きたくなった時には父は亡くなっていました。母も兄も婚約の経緯を知りませんでした。
となると事情を知るのは公爵家になりますが、ランドルフ様からの社交の誘いが多く公爵家でゆっくり話をという気にはなれないまま、嫌がらせに耐えていました。
学園が始まると益々酷くなり、ある日、外の倉庫に閉じ込められました。その日はまだ寒い季節で特に寒くなった日でした。
どうでもよくなって、このまま凍死したら父に会って話が出来るかもなどと思ったのですが助け出されました。
犯人も判明して罰を受けさせ、慰謝料の支払いまで公爵家で話をつけてくださいました。
その後も、公爵家のお茶会で2階から突き落とされました。2日間昏睡したようですが打身だけで済みました。
でも、打ちどころが悪ければ死んでいたかもしれません。不自由な体になったのかも。
彼と婚約して痣がついていない日は無い程でしたし、2度も危険な目にあうと、我慢ができませんでした。
辞退を告げましたか、ランドルフ様が絶対に嫌だと申されました。
結局突き落とした令嬢も閉じ込めた令嬢もランドルフ様の婚約者の座を狙ったものでした。
転落してから私には日付けと名前が見えるのです。
唯一相談した兄の婚約者は、それは閨の相手と日付けだと。神様からのギフトだと言いました。
ただ、同じ方との2回目以降の名前や日付けは出てきません。
証拠にもなりません」
「ギフトか。神話の世界かと思っていたが」
「私もそう思っていました。
しかも能力は更新中で、ランドルフ様の閨の相手が増えました」
「……なるほど。
何故秘密にしようと思った」
「職業としてお金を儲けることもできますが、今度はプロから命を狙われることになります。例えばリュカ様の婚約者から」
「で、6人はジョアンナの不貞相手の数なのだな」
「はい。父上。
最初、リリはその手の調査を得意とする組織を知っているのだと思いました。ジョアンナの素行調査に使いたくて聞き出そうと」
「相手が絞れれば尋問も楽だからな」
「はい」
「よく分かった」
「じゃあ、父上の秘密をお願いします」
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