1 / 30
婚約者の不貞
しおりを挟む
夜のダンスフロアに曲がかかると主役のダンスが始まった。
「ミリアナ様ったら、相変わらず可愛いわ」
「レティシアだって綺麗じゃないか」
「ミリアナ様の誕生日プレゼントはあれで良かったのかしら」
「心配いらないよ。彼女のメイドに聞いたんだから」
そう話すのは私の婚約者クリスチャンだ。ボイズ公爵家の長男で、子供の頃は女の子みたいだったけど、その美貌を損なうことなく大人の男に成長した。
そして誕生日の主役でダンスをしているのはクリスチャンの学友で伯爵令嬢のミリアナ・ボロン。
可愛い顔で甘えるので令息に人気だが、同時に同性からは嫌われている。
ミリアナのダンスの相手は 彼女の婚約者で侯爵令息のディオン・ウィルソン。中性的なクリスチャンとは違い、ガッシリとした身体に男らしさのある端正な顔立ちだ。ディオンはタウンハウスが隣で私とは幼馴染だ。
「クリスチャン、そろそろ式の日取りを決めて教会の予約をしないと。ウェディングドレスも時間がかかるから半年は先じゃないと困るけど」
「そうだね、父上達に聞いてみるよ」
クリスチャンとの婚約はボイズ公爵家からの申し入れで成立した。理由は知らない。小さな頃の婚約で聞いていなかったし、その後も聞いたことはない。優しいクリスチャンに理由などわざわざ聞かなくてもいいと思っていた。
ディオン達は釣書で選んだと聞いているが、ディオンはミリアナを好きなのは確かだと思っている。
私はクリスチャンのことを どう思っているのだろう。もう家族みたいでよくわからない。
次は私達も踊り、その後 ミリアナが寄って来た。
「クリス様、次の曲で私と踊ってくださる?」
「喜んで。レティシアも踊っておいで」
「気が向いたらそうするわ」
2人を送り出してワインを口にした。
「レティシア」
「カーラ。来ていたの?」
「来たくなかったけど、未来のウィルソン侯爵夫人のパーティを理由なく断るなってお父様達に言われちゃって仕方なく。でも従兄と来たわ」
「ふふっ」
カーラは侯爵家のご令嬢で嫁ぎ先は伯爵家だ。
カーラの婚約者がミリアナに言い寄るようになり、両家で揉めた。カーラは他人の婚約者に馴々しいミリアナに腹を立てていて 嫌っている。
「相変わらずボイズ公子のことを愛称で呼んでいるのね」
「学友だからでしょう」
「でも、」
「ミリアナ様も1ヶ月後には婚姻だから、落ち着くわよ」
「そうかなぁ。箍が外れそうだけど」
「これはキャロン嬢、お久しぶりです」
「ボロン伯爵、ご招待いただきありがとうございます」
「ダンスにお誘いしてもよろしいですか?」
「え?」
「嫌ですか?」
「ぜひお願いします」
ミリアナの父親にダンスを申し込まれてしまった。
戻って来たミリアナに“キャロン嬢をお借りするので、その間 ボイズ公子をもてなすように”と言うと、私の手を取った。
ダンスが終わりクリスチャンを探すも見当たらなかった。
「レティシア、ミリアナを見なかったか?」
「ディオン。私もクリスチャンを探しているの。ボロン伯爵がミリアナ様にクリスチャンの相手を頼んだのだけど」
そこにカーラがやって来た。
「レティシア、ちょっと」
「カーラ。今クリスチャンを探しているの。見なかった?」
「……」
カーラはチラッとディオンを見た。
「ミリアナに関係があるなら教えて欲しい」
「ボイズ公子はボロン嬢と会場を出たわ」
「外に散歩にでも行ったのか」
「探しに行く?」
「違うの……2人は外に出てないの」
「カーラ?」
「おかしいなと思って跡をつけたら部屋に…」
「その部屋に案内できるか」
「メイドが立って見張りをしているわ」
会場を出てその部屋に3人で向かうとメイドが立っていて、私達を止めようとした。
カーラはハンカチでメイドの口を塞いで壁に押しつけた。その隙に私とディオンは部屋の扉を開けた。
ソファの背もたれに腰をかけたクリスチャンの性器を 跪いたミリアナが頬張り頭を動かしていた。
「レ、レティシア!? いっ!!」
驚いたクリスチャンが動き、ミリアナの歯が当たったのだろう。股間を押さえて前屈みになった。
ク「レティシア…これは、」
ミ「ごめんなさい。クリスと私は愛し合ってしまったの」
私「は?」
ク「違うんだ」
デ「いつからだ」
ミ「1年以上前から」
ク「レティシア、聞いてくれ、」
私「先ずは口元を拭いたら」
デ「正気か?俺達の式は1ヶ月後なんだぞ!」
クリスチャンは慌ててハンカチで口元を拭った。
ソファの上に女性ものの下着が置いてあるということは、さっきみたいにクリスチャンがミリアナのアソコを舐めたのだろう。口元が濡れるくらい。
うっ…気持ち悪い。
私「帰るわ」
ク「レティシア、送るよ」
私「近寄らないで!気持ち悪い!」
ク「レティシアだって経験あるんだろう?」
私「は?」
ミ「クリス、もう演技はいいの。彼女を好きなフリなんて もう必要ないわ」
ク「何を言って、」
私「…さようなら」
ク「レティシア!」
そのまま屋敷に帰った。
1年以上…
在学中から始まり、卒業した今も続いていたということだ。
つまり、数ヶ月前の卒業パーティーのファーストキスも それ以降のキスも、ミリアナの身体を舐め回し唾液や体液を含んだことのある口で私とキスをしたということだ。
「うっ オエッ」
「お嬢様!?」
「オエッ」
「誰か!お嬢様が!!」
「ミリアナ様ったら、相変わらず可愛いわ」
「レティシアだって綺麗じゃないか」
「ミリアナ様の誕生日プレゼントはあれで良かったのかしら」
「心配いらないよ。彼女のメイドに聞いたんだから」
そう話すのは私の婚約者クリスチャンだ。ボイズ公爵家の長男で、子供の頃は女の子みたいだったけど、その美貌を損なうことなく大人の男に成長した。
そして誕生日の主役でダンスをしているのはクリスチャンの学友で伯爵令嬢のミリアナ・ボロン。
可愛い顔で甘えるので令息に人気だが、同時に同性からは嫌われている。
ミリアナのダンスの相手は 彼女の婚約者で侯爵令息のディオン・ウィルソン。中性的なクリスチャンとは違い、ガッシリとした身体に男らしさのある端正な顔立ちだ。ディオンはタウンハウスが隣で私とは幼馴染だ。
「クリスチャン、そろそろ式の日取りを決めて教会の予約をしないと。ウェディングドレスも時間がかかるから半年は先じゃないと困るけど」
「そうだね、父上達に聞いてみるよ」
クリスチャンとの婚約はボイズ公爵家からの申し入れで成立した。理由は知らない。小さな頃の婚約で聞いていなかったし、その後も聞いたことはない。優しいクリスチャンに理由などわざわざ聞かなくてもいいと思っていた。
ディオン達は釣書で選んだと聞いているが、ディオンはミリアナを好きなのは確かだと思っている。
私はクリスチャンのことを どう思っているのだろう。もう家族みたいでよくわからない。
次は私達も踊り、その後 ミリアナが寄って来た。
「クリス様、次の曲で私と踊ってくださる?」
「喜んで。レティシアも踊っておいで」
「気が向いたらそうするわ」
2人を送り出してワインを口にした。
「レティシア」
「カーラ。来ていたの?」
「来たくなかったけど、未来のウィルソン侯爵夫人のパーティを理由なく断るなってお父様達に言われちゃって仕方なく。でも従兄と来たわ」
「ふふっ」
カーラは侯爵家のご令嬢で嫁ぎ先は伯爵家だ。
カーラの婚約者がミリアナに言い寄るようになり、両家で揉めた。カーラは他人の婚約者に馴々しいミリアナに腹を立てていて 嫌っている。
「相変わらずボイズ公子のことを愛称で呼んでいるのね」
「学友だからでしょう」
「でも、」
「ミリアナ様も1ヶ月後には婚姻だから、落ち着くわよ」
「そうかなぁ。箍が外れそうだけど」
「これはキャロン嬢、お久しぶりです」
「ボロン伯爵、ご招待いただきありがとうございます」
「ダンスにお誘いしてもよろしいですか?」
「え?」
「嫌ですか?」
「ぜひお願いします」
ミリアナの父親にダンスを申し込まれてしまった。
戻って来たミリアナに“キャロン嬢をお借りするので、その間 ボイズ公子をもてなすように”と言うと、私の手を取った。
ダンスが終わりクリスチャンを探すも見当たらなかった。
「レティシア、ミリアナを見なかったか?」
「ディオン。私もクリスチャンを探しているの。ボロン伯爵がミリアナ様にクリスチャンの相手を頼んだのだけど」
そこにカーラがやって来た。
「レティシア、ちょっと」
「カーラ。今クリスチャンを探しているの。見なかった?」
「……」
カーラはチラッとディオンを見た。
「ミリアナに関係があるなら教えて欲しい」
「ボイズ公子はボロン嬢と会場を出たわ」
「外に散歩にでも行ったのか」
「探しに行く?」
「違うの……2人は外に出てないの」
「カーラ?」
「おかしいなと思って跡をつけたら部屋に…」
「その部屋に案内できるか」
「メイドが立って見張りをしているわ」
会場を出てその部屋に3人で向かうとメイドが立っていて、私達を止めようとした。
カーラはハンカチでメイドの口を塞いで壁に押しつけた。その隙に私とディオンは部屋の扉を開けた。
ソファの背もたれに腰をかけたクリスチャンの性器を 跪いたミリアナが頬張り頭を動かしていた。
「レ、レティシア!? いっ!!」
驚いたクリスチャンが動き、ミリアナの歯が当たったのだろう。股間を押さえて前屈みになった。
ク「レティシア…これは、」
ミ「ごめんなさい。クリスと私は愛し合ってしまったの」
私「は?」
ク「違うんだ」
デ「いつからだ」
ミ「1年以上前から」
ク「レティシア、聞いてくれ、」
私「先ずは口元を拭いたら」
デ「正気か?俺達の式は1ヶ月後なんだぞ!」
クリスチャンは慌ててハンカチで口元を拭った。
ソファの上に女性ものの下着が置いてあるということは、さっきみたいにクリスチャンがミリアナのアソコを舐めたのだろう。口元が濡れるくらい。
うっ…気持ち悪い。
私「帰るわ」
ク「レティシア、送るよ」
私「近寄らないで!気持ち悪い!」
ク「レティシアだって経験あるんだろう?」
私「は?」
ミ「クリス、もう演技はいいの。彼女を好きなフリなんて もう必要ないわ」
ク「何を言って、」
私「…さようなら」
ク「レティシア!」
そのまま屋敷に帰った。
1年以上…
在学中から始まり、卒業した今も続いていたということだ。
つまり、数ヶ月前の卒業パーティーのファーストキスも それ以降のキスも、ミリアナの身体を舐め回し唾液や体液を含んだことのある口で私とキスをしたということだ。
「うっ オエッ」
「お嬢様!?」
「オエッ」
「誰か!お嬢様が!!」
1,749
お気に入りに追加
2,312
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢の立場を捨てたお姫様
羽衣 狐火
恋愛
公爵令嬢は暇なんてないわ
舞踏会
お茶会
正妃になるための勉強
…何もかもうんざりですわ!もう公爵令嬢の立場なんか捨ててやる!
王子なんか知りませんわ!
田舎でのんびり暮らします!
婚約者の隣にいるのは初恋の人でした
四つ葉菫
恋愛
ジャスミン・ティルッコネンは第二王子である婚約者から婚約破棄を言い渡された。なんでも第二王子の想い人であるレヒーナ・エンゲルスをジャスミンが虐めたためらしい。そんな覚えは一切ないものの、元から持てぬ愛情と、婚約者の見限った冷たい眼差しに諦念して、婚約破棄の同意書にサインする。
その途端、王子の隣にいたはずのレヒーナ・エンゲルスが同意書を手にして高笑いを始めた。
楚々とした彼女の姿しか見てこなかったジャスミンと第二王子はぎょっとするが……。
前半のヒロイン視点はちょっと暗めですが、後半のヒーロー視点は明るめにしてあります。
ヒロインは十六歳。
ヒーローは十五歳設定。
ゆるーい設定です。細かいところはあまり突っ込まないでください。
頑張らない政略結婚
ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」
結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。
好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。
ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ!
五話完結、毎日更新
【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫
紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。
スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。
そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。
捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。
うるさい!お前は俺の言う事を聞いてればいいんだよ!と言われましたが
仏白目
恋愛
私達、幼馴染ってだけの関係よね?
私アマーリア.シンクレアには、ケント.モダール伯爵令息という幼馴染がいる
小さな頃から一緒に遊んだり 一緒にいた時間は長いけど あなたにそんな態度を取られるのは変だと思うの・・・
*作者ご都合主義の世界観でのフィクションです
【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」
婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からくなっていました。
婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/01 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過
2022/07/29 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過
2022/02/15 小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位
2022/02/12 完結
2021/11/30 小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位
2021/11/29 アルファポリス HOT2位
2021/12/03 カクヨム 恋愛(週間)6位
[完結]「私が婚約者だったはずなのに」愛する人が別の人と婚約するとしたら〜恋する二人を切り裂く政略結婚の行方は〜
日向はび
恋愛
王子グレンの婚約者候補であったはずのルーラ。互いに想いあう二人だったが、政略結婚によりグレンは隣国の王女と結婚することになる。そしてルーラもまた別の人と婚約することに……。「将来僕のお嫁さんになって」そんな約束を記憶の奥にしまいこんで、二人は国のために自らの心を犠牲にしようとしていた。ある日、隣国の王女に関する重大な秘密を知ってしまったルーラは、一人真実を解明するために動き出す。「国のためと言いながら、本当はグレン様を取られたくなだけなのかもしれないの」「国のためと言いながら、彼女を俺のものにしたくて抗っているみたいだ」
二人は再び手を取り合うことができるのか……。
全23話で完結(すでに完結済みで投稿しています)
私にだって幸せになる権利はあるはずです!
風見ゆうみ
恋愛
「お姉さま! お姉さま! シェールは、お姉さまの事が大好きよ! だから、ずーっとずっと一緒にいてね?」
伯爵家に生まれた私、ミュア・ブギンズは、2つ下の妹になぜか執着されていた。
小さい頃は可愛く思えていた妹の執着は大人になっても続き、やっと決まった婚約者の候爵令息まで妹の虜になってしまう。
私を誰とも結婚させたくないシェールの策略が裏目に出て私は婚約破棄され、仮住まいの家から追い出されてしまう。実家にも拒否され、絶望の淵にいた私に手を差し伸べてくれたのは…。
※小説家になろうさんでも公開しています。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
※話が合わない場合はそっと閉じて下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる