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シリウスの目覚め
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シリウスが無事帰城した。
傷の治りも順調で、穏やかに眠り続けていた。
決闘から7日経って目覚めた。
父王はシリウスとゆっくり話をした。
「父上にもご迷惑をおかけしました。
申し訳ございません」
「お前が順応できていないと知りながら、成長が解決すると悪手を打ってしまった。
父親として息子の苦しみを汲み取れず、お前を傷付けた結果、お前は心を病んでしまった。
申し訳なかった」
「・・・」
「我慢しなくていい、好きなだけ涙を流せ。叫びたければ叫んでいいんだ」
父王は、寄り添い、息子の背中を撫で続けた。
「大丈夫だ。私がついている。
私も、ミラも、お前の兄弟達も、お前を愛しているんだ。
望まぬなら王族籍をぬけて結婚しなくていい。
4人もいるのだから、ひとりくらい自由に生きてもいいとは思わないか?」
「ふぐっ・・・ぐぅっ・・・」
「王族籍を抜けたって、私の息子であることは変わらない。ミラの息子であることも変わらない。お前に3人の兄弟がいることに変わりはない。
いつでも、王宮に来ればいい。
爵位も与えるし、生活維持費も支給する。
領地が欲しければ領地を与える」
「うぐっ・・・、それじゃ怒られます」
「バカ親だと言われようがかまわん!
受けて立つ!!」
「父上・・・うぅ~っ」
「犬でも飼って相棒にしてもいいんだ。
猫だって、鳥だっていい。
少しでも楽しく暮らせるよう考えよう」
「グズっ・・グズっ・・」
「すまなかった。大事な息子を失いかけるほど無理をさせていたなんて。
本当にすまない。
ほら、横になって。体を休めなさい」
「父上、エストールは」
「辺境伯親子はお前を心配して城にいる」
「・・・明日、会えますか?2人に」
「伝えよう」
「母はどうされてますか」
「お前のことを聞いて目眩を起こしたが大丈夫だ。会いたがっていたが、言い辛い話もあるだろうと、まずは男同士2人で話そうと思ったのだ」
「お気遣い感謝します」
「・・・シリウス。
まだ病み上がりなのに聞き辛いのだが・・・」
「レティシアナのことですよね。
斬られて、死を覚悟して毒と思い込んだ物を飲んで、最期のつもりで会話をして、ものすごく沢山眠りました。
心が軽いのです」
「そうか。軽くなったか」
「指名を撤回でお願いします」
「撤回?」
「王族籍を抜けることにしたから撤回すると」
「いいのか?」
「はい。
エストールに負けましたし、レティシアナは私を愛してくれそうにありませんし」
「そのように発表しよう」
「ありがとうございます」
傷の治りも順調で、穏やかに眠り続けていた。
決闘から7日経って目覚めた。
父王はシリウスとゆっくり話をした。
「父上にもご迷惑をおかけしました。
申し訳ございません」
「お前が順応できていないと知りながら、成長が解決すると悪手を打ってしまった。
父親として息子の苦しみを汲み取れず、お前を傷付けた結果、お前は心を病んでしまった。
申し訳なかった」
「・・・」
「我慢しなくていい、好きなだけ涙を流せ。叫びたければ叫んでいいんだ」
父王は、寄り添い、息子の背中を撫で続けた。
「大丈夫だ。私がついている。
私も、ミラも、お前の兄弟達も、お前を愛しているんだ。
望まぬなら王族籍をぬけて結婚しなくていい。
4人もいるのだから、ひとりくらい自由に生きてもいいとは思わないか?」
「ふぐっ・・・ぐぅっ・・・」
「王族籍を抜けたって、私の息子であることは変わらない。ミラの息子であることも変わらない。お前に3人の兄弟がいることに変わりはない。
いつでも、王宮に来ればいい。
爵位も与えるし、生活維持費も支給する。
領地が欲しければ領地を与える」
「うぐっ・・・、それじゃ怒られます」
「バカ親だと言われようがかまわん!
受けて立つ!!」
「父上・・・うぅ~っ」
「犬でも飼って相棒にしてもいいんだ。
猫だって、鳥だっていい。
少しでも楽しく暮らせるよう考えよう」
「グズっ・・グズっ・・」
「すまなかった。大事な息子を失いかけるほど無理をさせていたなんて。
本当にすまない。
ほら、横になって。体を休めなさい」
「父上、エストールは」
「辺境伯親子はお前を心配して城にいる」
「・・・明日、会えますか?2人に」
「伝えよう」
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「お気遣い感謝します」
「・・・シリウス。
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心が軽いのです」
「そうか。軽くなったか」
「指名を撤回でお願いします」
「撤回?」
「王族籍を抜けることにしたから撤回すると」
「いいのか?」
「はい。
エストールに負けましたし、レティシアナは私を愛してくれそうにありませんし」
「そのように発表しよう」
「ありがとうございます」
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