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辺境伯の別荘で②
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「しっかり夜になったね。星がよく見える場所に移ろうか。お茶も用意したから」
抱き上げられて移動した先は広い寝室だった。左右の側面に扉が付いている。夫婦の寝室?
大きな窓の前にソファがあって、エストールの膝の上に座らされた。
「エストール、降りるわ!」
エストールが私の肩に頭を置いた。
「エストール?」
「レティシアナ、今からいくつか質問するけど、正直に答えてくれる?」
「うん」
「レティシアナ、結婚したい人はいるの?、もしくは約束した人はいる?」
「いないわ」
「シリウス殿下に指名されたね。会ったの?」
「先月、辺境伯様の代理で父が王宮のパーティに行くときに、風邪をひいた母の代わりに同伴したわ。
でも王族と挨拶していないし、何人かに父と挨拶をしたけれど、後はケーキを食べて窓から星を眺めていただけよ。ひとりでね」
「そう。・・・レティシアナはシリウス殿下のこと、どう思う?」
「どうも思わないわ。会ったことのない人よ?」
「指名だから、条件をクリアできるから王子妃確定だ。
レティシアナは王子妃になりたい?」
「・・・選択肢はないわ」
「俺は、レティシアナが王子妃になりたいかどうか聞いたんだ」
「・・・なりなくない」
「どうして王子妃になりたくないの?」
「私のような子爵令嬢が王族になるなんて無理だわ。
指名した代わりに有力な高位貴族の令嬢が側妃になるのよ。自分より下の者が、自分より上の正妃になるなんて。
しかも公式の場では膝をおり頭を下げて挨拶をするのよ?私に対して。屈辱でしょう?
仲良くしてくれるはずがないわ。
殿下の興味が薄れたら元子爵令嬢なんて病気という名の幽閉か毒殺よ。
薄れなくても、私や私が産んだ子は常に命を狙われるかもしれない。
それに……」
「それに?」
「それに、この土地でみる景色が好きなの。
この土地で生きてもいいと言ってくれる人をお婿さんに迎えて、この地で一生を終えると思っていたの。
もう、ここの美しい夕焼けや満天の星空を見ることも父や母に会うこともできない。
子爵だから、王宮に呼ばれることは年に3度しかないわ。挨拶をする両親に微笑むだけ。
それも殿下の興味があるうちだけよ」
「レティシアナ、俺には恋人も婚約者もいない。いたこともない。
4歳で君に出会ってからずっと、レティシアナが好きなんだ。ずっとね」
心臓がうるさい、体中が熱い!
「レティシアナ、鼓動がすごい ククッ」
「笑わないで!」
「レナ」
「ひゃっ!!」
首筋に唇を付けてしゃべらないで!
「レナが大好きだ。
体を火照らせて、俺にドキドキしてくれたから嬉しくて笑ったんだ。馬鹿にしたわけじゃないよ?」
「あっ!」
「レナ。 レナを俺にちょうだい」
「あぁっ!止めて!」
「俺のこと嫌い?触られるのイヤ?」
耳の裏から舌を這わせて耳朶を口に含み、吸い上げた。
初めての刺激に対応できない。
「夫婦でもないのに許されないわ」
「まだ繋がってないから問題ない」
「エストール!」
「そんなに俺に触られたくないの?」
「んあっ!嫌いなわけない!触れられたくないんじゃなくて、触れてはいけないのよ!」
ジュッ
「あぁっ!エストール!何してるの!」
「首の後ろに痕をつけているんだよ。ここに俺がキスをしましたって」
「ひゃあ!」
エストールは立ち上がり、レティシアナを正面から抱き上げて座った。
エストールの膝の上に向かい合って跨っている。すごく恥ずかしい!
「エストール!離して!」
ギュッ
「レティシアナ。俺を愛して。俺だけを」
抱き上げられて移動した先は広い寝室だった。左右の側面に扉が付いている。夫婦の寝室?
大きな窓の前にソファがあって、エストールの膝の上に座らされた。
「エストール、降りるわ!」
エストールが私の肩に頭を置いた。
「エストール?」
「レティシアナ、今からいくつか質問するけど、正直に答えてくれる?」
「うん」
「レティシアナ、結婚したい人はいるの?、もしくは約束した人はいる?」
「いないわ」
「シリウス殿下に指名されたね。会ったの?」
「先月、辺境伯様の代理で父が王宮のパーティに行くときに、風邪をひいた母の代わりに同伴したわ。
でも王族と挨拶していないし、何人かに父と挨拶をしたけれど、後はケーキを食べて窓から星を眺めていただけよ。ひとりでね」
「そう。・・・レティシアナはシリウス殿下のこと、どう思う?」
「どうも思わないわ。会ったことのない人よ?」
「指名だから、条件をクリアできるから王子妃確定だ。
レティシアナは王子妃になりたい?」
「・・・選択肢はないわ」
「俺は、レティシアナが王子妃になりたいかどうか聞いたんだ」
「・・・なりなくない」
「どうして王子妃になりたくないの?」
「私のような子爵令嬢が王族になるなんて無理だわ。
指名した代わりに有力な高位貴族の令嬢が側妃になるのよ。自分より下の者が、自分より上の正妃になるなんて。
しかも公式の場では膝をおり頭を下げて挨拶をするのよ?私に対して。屈辱でしょう?
仲良くしてくれるはずがないわ。
殿下の興味が薄れたら元子爵令嬢なんて病気という名の幽閉か毒殺よ。
薄れなくても、私や私が産んだ子は常に命を狙われるかもしれない。
それに……」
「それに?」
「それに、この土地でみる景色が好きなの。
この土地で生きてもいいと言ってくれる人をお婿さんに迎えて、この地で一生を終えると思っていたの。
もう、ここの美しい夕焼けや満天の星空を見ることも父や母に会うこともできない。
子爵だから、王宮に呼ばれることは年に3度しかないわ。挨拶をする両親に微笑むだけ。
それも殿下の興味があるうちだけよ」
「レティシアナ、俺には恋人も婚約者もいない。いたこともない。
4歳で君に出会ってからずっと、レティシアナが好きなんだ。ずっとね」
心臓がうるさい、体中が熱い!
「レティシアナ、鼓動がすごい ククッ」
「笑わないで!」
「レナ」
「ひゃっ!!」
首筋に唇を付けてしゃべらないで!
「レナが大好きだ。
体を火照らせて、俺にドキドキしてくれたから嬉しくて笑ったんだ。馬鹿にしたわけじゃないよ?」
「あっ!」
「レナ。 レナを俺にちょうだい」
「あぁっ!止めて!」
「俺のこと嫌い?触られるのイヤ?」
耳の裏から舌を這わせて耳朶を口に含み、吸い上げた。
初めての刺激に対応できない。
「夫婦でもないのに許されないわ」
「まだ繋がってないから問題ない」
「エストール!」
「そんなに俺に触られたくないの?」
「んあっ!嫌いなわけない!触れられたくないんじゃなくて、触れてはいけないのよ!」
ジュッ
「あぁっ!エストール!何してるの!」
「首の後ろに痕をつけているんだよ。ここに俺がキスをしましたって」
「ひゃあ!」
エストールは立ち上がり、レティシアナを正面から抱き上げて座った。
エストールの膝の上に向かい合って跨っている。すごく恥ずかしい!
「エストール!離して!」
ギュッ
「レティシアナ。俺を愛して。俺だけを」
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