【完結】王子妃に指名された令嬢は幼馴染に身を委ねる【R18】

ユユ

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シリウス・エストレーヤ(運命の人)

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それを繰り返したら父と母は諦めた。
私も諦めた。職について独身で生涯を終えよう、そう思ったら気が楽になった。



24歳になった。
暗い場所や物陰に潜んだりして気配を消すのが得意になっていた。

王宮でパーティが開かれた。いつものように物陰に潜んでいたら令嬢がひとり此方へ向かってきた。

見つかった。
どうしようか考えている間に令嬢は側に来たが、私に気付いたわけではなかった。

外を見ている?
そっと令嬢の顔を盗み見た。彼女だ!
無数の星が煌めく夜空の様な瞳を持つ令嬢。

会えた。あの閨教育から毎日夜空を見ては思い出していたあの瞳がここにある。

顔が熱い。彼女の全身を観察した。
控えめで品の良いドレス。腰回りを見るとだいぶ細い。
ダンスの時に優しく添えてやらないと。

女性の腰に手を添えなくてはならない時、ただの肉と思っていたのに。

細く小さな手だな、爪が可愛い。
優しく握らないとダメだな。

不潔な手が伸びてくるのが嫌で仕方なかったのに。

柔らかそうなカーブを描く胸は大き過ぎることなく実っている。私の手に収まるだろう。
そっと撫でて優しく寄せてキスをおとし、頂を口に含み優しく優しく舌で撫でたい。どんな味がするのだろう。

見たくもなくて押し付けられると吐き気が込み上げるものだったのに、手に収まる乳房が可愛いと思える。

鎖骨から細く白い首筋が頼りない。
舐めて味を確かめたい。

香水臭くて仕方なかったのに。

すべすべしてそうな髪の毛だ。
巻いているのか癖毛なのかわからない緩いウェーブがかかっている。
ミルクココア色の髪が艶めいている。
指に絡ませ、顔を埋めて感触を確かめたい。

わずかに触れるだけでも鳥肌が立ったのに。

長い睫毛だ。
眠っている彼女の睫毛にキスをおとしたい。

睫毛なんて気にしたこともなかったのに。

柔らかそうな頬だ。
隣に座って突いたり摘んだりしてみたい。加減がわからないな。兄の子で試すかな。

化粧臭い頬なんて近寄れなかったのに。

前髪で額が見えない。髪を避けて額を見たい。
朝起きた時、出かける時、帰った時、寝る時には必ず口付けを落としたい。

気にしたこともなかったのに。

可愛い鼻だ。
私の鼻をくっつけて照れる彼女を見たい。

鼻なんて触れる気がしなかったのに。

小さな柔らかい唇。ゆっくりゆっくり近付けて優しく口付けたい。指を唇に付けたら、唇で挟んで小さな舌で舐めてくれるだろうか。

口角が上がるのを見るのも口紅も、見るとあの女を思い出して気持ち悪かった。口内なんてとんでもない。女の粘膜なんか触れたくない。そう思っていたのに。
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