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工作員
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様子を見に地下の避難部屋に行った。
「ご無事ですね」
「「イレーヌ!!」」
ウィリアム様とナディア様に抱きつかれた。
「大丈夫ですから落ち着いてください。城壁を登って侵入しようとしたゾルディア兵は対処しました。
もう無いとは言い切れませんので引き続き警戒させます。
リタ、安全確認をしてもらえる?」
「かしこまりました」
「ウィリアム様、ビス卿の弓の腕が上達し、」
「イレーヌ!!」
一瞬何が起きたのか分からなかった。ウィリアム様が私を押し倒して覆い被さったから。
彼の叫びを聞き廊下にいた兵士とリタが入室し応戦しているのが分かる。
「ナディア様」
「ここにいるわ!ウィリアム様が怪我を!」
ナディア様が覆い被さるウィリアムの腕を引っ張ってずらしてくれた。
「隣の部屋に入って鍵をかけてください」
「行かないわ!」
「ナディア様を人質に取られたら 私は逆らえません」
「…生き残りなさい」
涙に滲む声のナディア様は隣の部屋に駆け込んだ。
「ウィリアム様!」
彼の背中には斬り傷があった。出血も多い。
「大丈夫、深くはない。お前も隣の部屋に行け」
「その必要はございません。一先ず片付けました」
リタの声に安堵した。
ウィリアム様の止血をしながら状況を確認した。
「秘密の通路が漏れています。この刺客は壁の隠し扉から出て来ましたから。どこまで侵入し、何人いるか分かりません」
「……ねえ。そういえばキャスリン様は?」
「若奥様はお部屋です。ドアを兵士に守らせております」
「肝の据わった方なのね」
「……」
「違うのね?」
「はい」
「キャスリン様の部屋へ行くわ。案内して」
「かしこまりました」
「イレーヌ様、ここを去りましょう」
私のために怪我をしたウィリアム様も姉のようなナディア様も連れて逃げ切れるとは思えない。
「予想が正しければキャスリン様の部屋は安全なはずよ」
ウィリアム様達を連れてキャスリン様の部屋に行くとドアの外にいた兵士に違和感を覚えた。
「もう結構よ。外のゾルディア兵の遺体の処理を手伝って来て」
彼らの目から敵意が漏れ、帯剣した剣の柄頭に手が触れた瞬間、リタがナイフを投げた。
「彼らはゾルディアの兵士よ。手足の腱を切って縛っておいて」
ウィリアム様達を守っていた近衞騎士に命じた後、ドアを開けて部屋に入った。キャスリン様は優雅に食事をしていた。
顔を出して挨拶しなかったテオドール様の妻は舞踏会に出席するようなドレスと豪華な宝飾品で身を包んでいた。
「……」
ウィリアム様とナディア様にソファに座ってもらい、ナプキンで口を拭うキャスリン様の側へ近寄った。
「キャスリン・バロス様。何故国を裏切ったのですか」
私の言葉にウィリアム様達は驚き、キャスリン様は私を見上げた。
「裏切っていないわ」
「貴女もゾルディアの内通者ですね」
「何のことかしら」
「リタ」
「はい」
「お話しできるように手助けして差し上げて」
「喜んで」
リタが浴室に連れて行ってから10分足らずで戻って来た。
全身ずぶ濡れで髪も化粧もぐちゃぐちゃ。親指の爪は剥がれていた。リタも少し濡れていた。
「辺境での生活が嫌だったようです。
ゾルディアはバロスを自分達の領土にしたら、夫の死んだ妻キャスリンは解放。王都の屋敷で未亡人として暮らすか実家に戻る予定でした。
キャスリンは領地の地図や城の見取図や秘密の通路を教えることで後押ししました。
そして王太子殿下一行の訪問を知り、その情報も侍女を通して渡しました」
「お前の実家だって辺境だろう!」
「実家では大事にされていました!私は貴方と結婚して次期王妃になりたかったのに、国境を守る辺境同士で縁を繋げなんて言われてこんな所に嫁がされたのです!
子も産んだから王都の屋敷で暮らしたいと言ったのに、跡継ぎを産めていないなんて言って!
そんなの知らないわよ!適性がない?教え方が悪いんじゃないの!?息子も娘も産んだのだから十分でしょう!」
ナディア様がキャスリンの前に立った。
「何人死んだと思っているの」
「お城で優雅な暮らしをしている貴女に何が分かるのよ!」
「私も貴女も同じ歳で婚約者候補としてリストに載った。だけど早々に貴女は落ちた。バロス家とのことはその後でしょう」
「水面下でバロスとの縁談が進んでいたから落ちたのよ!」
「ウィリアム様、教えて差し上げてください」
「お前が落ちたのは相応しくなかったからだ。リストに載った令嬢を呼んで最初の茶会を開いたとき、それぞれの控え室には面接官がメイドに扮して潜入していた。
お前は既に王子妃のような振る舞いをして、粗相をしたメイドに平伏させて手を踏んだだろう。あれが面接官だ。彼女はわざと粗相をして反応を試した。
お前のような女が未来で王妃になったらこの世の終わりだ」
「あの時は、…あの時はまだ7歳で、」
「たった7歳で人の手を踏みつけることが出来るなんて恐ろしいわね」
「それに比べてナディアは素晴らしかった。
予備を用意していて、“着替えればいいのよ”と叱りつけたり泣いたりしなかった。その代わり可愛らしい罰を与えた。“手が汚れるからお菓子を食べさせて。私が食べたいんじゃないの。貴女への罰なのよ”と言った。面接官は満点を付けた。他の者たちは半分も点を取れなかった。
その話を聞いて、私はナディアだけ残した。
ナディアは普段は冷たく見える女性だが、自身の専属使用人達や身内には素を見せる。何故か私には見せずにイレーヌに見せているがな」
……。
ナディア様は顔を赤くして、“何で知ってあるの”と小声でぶつぶつ言っていた。
キャスリンを椅子に縛り付けていると壁の隠し扉が開いた。
「イレーヌ」
武装した男が私を抱きしめた。
リタが直ぐに片膝を付いて頭を下げたので抵抗しなかった。
「お前は誰だ!私の妻に触れるな!!」
立ち上がってこちらに来ようとしたウィリアム様をリタが止めた。
「リアム王太子殿下にご挨拶を申し上げます」
「ご無事ですね」
「「イレーヌ!!」」
ウィリアム様とナディア様に抱きつかれた。
「大丈夫ですから落ち着いてください。城壁を登って侵入しようとしたゾルディア兵は対処しました。
もう無いとは言い切れませんので引き続き警戒させます。
リタ、安全確認をしてもらえる?」
「かしこまりました」
「ウィリアム様、ビス卿の弓の腕が上達し、」
「イレーヌ!!」
一瞬何が起きたのか分からなかった。ウィリアム様が私を押し倒して覆い被さったから。
彼の叫びを聞き廊下にいた兵士とリタが入室し応戦しているのが分かる。
「ナディア様」
「ここにいるわ!ウィリアム様が怪我を!」
ナディア様が覆い被さるウィリアムの腕を引っ張ってずらしてくれた。
「隣の部屋に入って鍵をかけてください」
「行かないわ!」
「ナディア様を人質に取られたら 私は逆らえません」
「…生き残りなさい」
涙に滲む声のナディア様は隣の部屋に駆け込んだ。
「ウィリアム様!」
彼の背中には斬り傷があった。出血も多い。
「大丈夫、深くはない。お前も隣の部屋に行け」
「その必要はございません。一先ず片付けました」
リタの声に安堵した。
ウィリアム様の止血をしながら状況を確認した。
「秘密の通路が漏れています。この刺客は壁の隠し扉から出て来ましたから。どこまで侵入し、何人いるか分かりません」
「……ねえ。そういえばキャスリン様は?」
「若奥様はお部屋です。ドアを兵士に守らせております」
「肝の据わった方なのね」
「……」
「違うのね?」
「はい」
「キャスリン様の部屋へ行くわ。案内して」
「かしこまりました」
「イレーヌ様、ここを去りましょう」
私のために怪我をしたウィリアム様も姉のようなナディア様も連れて逃げ切れるとは思えない。
「予想が正しければキャスリン様の部屋は安全なはずよ」
ウィリアム様達を連れてキャスリン様の部屋に行くとドアの外にいた兵士に違和感を覚えた。
「もう結構よ。外のゾルディア兵の遺体の処理を手伝って来て」
彼らの目から敵意が漏れ、帯剣した剣の柄頭に手が触れた瞬間、リタがナイフを投げた。
「彼らはゾルディアの兵士よ。手足の腱を切って縛っておいて」
ウィリアム様達を守っていた近衞騎士に命じた後、ドアを開けて部屋に入った。キャスリン様は優雅に食事をしていた。
顔を出して挨拶しなかったテオドール様の妻は舞踏会に出席するようなドレスと豪華な宝飾品で身を包んでいた。
「……」
ウィリアム様とナディア様にソファに座ってもらい、ナプキンで口を拭うキャスリン様の側へ近寄った。
「キャスリン・バロス様。何故国を裏切ったのですか」
私の言葉にウィリアム様達は驚き、キャスリン様は私を見上げた。
「裏切っていないわ」
「貴女もゾルディアの内通者ですね」
「何のことかしら」
「リタ」
「はい」
「お話しできるように手助けして差し上げて」
「喜んで」
リタが浴室に連れて行ってから10分足らずで戻って来た。
全身ずぶ濡れで髪も化粧もぐちゃぐちゃ。親指の爪は剥がれていた。リタも少し濡れていた。
「辺境での生活が嫌だったようです。
ゾルディアはバロスを自分達の領土にしたら、夫の死んだ妻キャスリンは解放。王都の屋敷で未亡人として暮らすか実家に戻る予定でした。
キャスリンは領地の地図や城の見取図や秘密の通路を教えることで後押ししました。
そして王太子殿下一行の訪問を知り、その情報も侍女を通して渡しました」
「お前の実家だって辺境だろう!」
「実家では大事にされていました!私は貴方と結婚して次期王妃になりたかったのに、国境を守る辺境同士で縁を繋げなんて言われてこんな所に嫁がされたのです!
子も産んだから王都の屋敷で暮らしたいと言ったのに、跡継ぎを産めていないなんて言って!
そんなの知らないわよ!適性がない?教え方が悪いんじゃないの!?息子も娘も産んだのだから十分でしょう!」
ナディア様がキャスリンの前に立った。
「何人死んだと思っているの」
「お城で優雅な暮らしをしている貴女に何が分かるのよ!」
「私も貴女も同じ歳で婚約者候補としてリストに載った。だけど早々に貴女は落ちた。バロス家とのことはその後でしょう」
「水面下でバロスとの縁談が進んでいたから落ちたのよ!」
「ウィリアム様、教えて差し上げてください」
「お前が落ちたのは相応しくなかったからだ。リストに載った令嬢を呼んで最初の茶会を開いたとき、それぞれの控え室には面接官がメイドに扮して潜入していた。
お前は既に王子妃のような振る舞いをして、粗相をしたメイドに平伏させて手を踏んだだろう。あれが面接官だ。彼女はわざと粗相をして反応を試した。
お前のような女が未来で王妃になったらこの世の終わりだ」
「あの時は、…あの時はまだ7歳で、」
「たった7歳で人の手を踏みつけることが出来るなんて恐ろしいわね」
「それに比べてナディアは素晴らしかった。
予備を用意していて、“着替えればいいのよ”と叱りつけたり泣いたりしなかった。その代わり可愛らしい罰を与えた。“手が汚れるからお菓子を食べさせて。私が食べたいんじゃないの。貴女への罰なのよ”と言った。面接官は満点を付けた。他の者たちは半分も点を取れなかった。
その話を聞いて、私はナディアだけ残した。
ナディアは普段は冷たく見える女性だが、自身の専属使用人達や身内には素を見せる。何故か私には見せずにイレーヌに見せているがな」
……。
ナディア様は顔を赤くして、“何で知ってあるの”と小声でぶつぶつ言っていた。
キャスリンを椅子に縛り付けていると壁の隠し扉が開いた。
「イレーヌ」
武装した男が私を抱きしめた。
リタが直ぐに片膝を付いて頭を下げたので抵抗しなかった。
「お前は誰だ!私の妻に触れるな!!」
立ち上がってこちらに来ようとしたウィリアム様をリタが止めた。
「リアム王太子殿下にご挨拶を申し上げます」
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