24 / 29
開戦
しおりを挟む
カーン ドスッ
「もう一度」
カン カン カン
「っ!!もう一度」
リタに剣を弾かれ落としたり、読まれて防がれて急所に寸止めされるという状態を繰り返している。
ウィリアム様はシャツ1枚に防具という姿。
初めて薄着の彼を見たが鍛えているのが分かる。
「もしかして、手加減しているか?」
「…はい」
「無しで頼む」
「では、王太子殿下からどうぞ」
「行くぞ」
ウィリアム様の模造剣をスッと避けたリタは背後に周り首元に剣を寸止めさせた。
「っ!!」
「次は私から参ります」
「分かった」
リタが踏み込むとウィリアム様は一瞬では判断ができず、動けないまま喉元に模造剣の先を向けて寸止めされた。
リタは大振りで剣を振り被らない。間合いを詰める瞬間に剣を入れる場所を決めて急所に当てる。
相手の大振りの剣に当たれば首や腕は飛ぶだろうし胴に当てれば半分以上斬り込まれるだろう。だがそれにはリスクがある。相手の動きが早ければ振り上げている間に死を感じるほど近くに寄られてしまうのだ。リタは大きな血管を斬り付けて失血死を狙う、額付近を切って血で視界を奪う、眼球自体を刺して視力を奪う、喉を刺して呼吸の邪魔をする若しくは血で窒素させる。足の腱を斬って立てなくする、手の腱を斬って剣を握れなくする。心臓を貫く。
「参った、降参だ」
「お手合わせ、ありがとうございました」
もちろん戦況に応じて手首を斬り落としたり首を切り落としたりもする。
「リタが本気を出すと私では剣を当てることさえ許されないのだな」
「私は一応女です。まともに鍛えた男性と剣を合わせれば、力負けする可能性が高いのです。ですから1秒でも早く決着を付けないと死んでしまいます」
「確かに」
そんな2人をみていた私に後ろから話しかけたのはナディア様だった。
「さすがブクリエの戦士ね。圧巻されるわ」
「はい」
「ブクリエの女性でリタ以上の人はいるの?」
「在ると聞いております」
「ブクリエの男性の戦士はどうなのかしら」
「リタ曰く、絶対に敵にしたくないそうです。
勿論日頃は弱者や女子供に手を出しません。妻や恋人からの平手打ちにも全く動じません。ですが敵だと認識されたら どんな相手にも容赦はしません。もちろん法の遵守の元にですが。
例えば酔って攻撃してきた者がいたら反撃します。拳には拳、武器には武器で応戦します。その場合反撃で相手の命を奪ったとしても咎めはありません。それがお年寄りでも女性相手でも」
「…ブクリエ人の王子が他国へ婿入りしたって聞かないわね」
「ブクリエは法の遵守の元に強者を敬い優先します。王子達は幼い頃からブクリエの英才教育を受けます。平民も貴族も強い王子でないと受け入れません。王子兄弟間で王位争いが起きると決闘で決めます。もちろん馬鹿では次期国王は務まりませんので馬鹿は先に国の上層部が失格にします。
適性無しで失格にされた王子でも、決闘に負けた王子でも他国に渡ることなど考えません」
「他国なら国内最強と称えられるかもしれないのに?」
「小さな頃から恥だと教わるのです。戦力の弱い国へ渡って一番になり天下を取ったつもりになることは恥ずべきことだと教わります。強い者に挑み上り詰めることが本物の戦士と讃えられるのです。
ブクリエ以外の国で頂点に上り詰めても それは弱い者虐めをしただけと捉えられて、軽蔑されます。家族からも縁を切られるでしょう。
今は長男のリアム従兄様が弟達をおさえて王太子になっていると聞きました」
「他国は弱者扱いなのね。だから他国を攻めないのね」
「はい。攻撃されない限りは」
その後、リタはウィリアム様や騎士達に指導をしてくれと懇願されたが断った。
“ブクリエの掟ですので”
ブクリエ国民以外には教えてはならないという決まりがあった。
ビス卿にはブクリエ式ではなく基本を教えて底上げし、少しでも自分達を守る戦力にしようとしていたに過ぎない。
だけどイレーヌはブクリエ国民ではない。なのに何故 教育したのだろうかとリタに尋ねた。
“リアム様がお望みになり、国王陛下がお認めになりました”
それを聞いてリアム従兄様に会いたくて仕方がなかった。
「会いたい」
「どなたにですか?」
「リアム従兄様」
「かしこまりました。ノヴァを明日飛ばします」
「止めて、駄目よ。迷惑だから止めて」
「そんなことはございません。大喜びなさいます」
「でも止めてね。従兄様は王太子なのよ?」
「…善処します」
あれから1週間後、内通者が2人捕まった。
「捕まえた内通者はテオドールの妻キャスリンの侍女マルタでした。彼女はキャスリンが嫁ぐ前のエフォナ辺境伯家から連れてきた侍女です。マルタが日程を流しておりました。このところ遅刻をしたり空白の時間があったので詰問し部屋を操作した結果 証拠が出てました。
そしてもう1人はマルタの恋人で国境を警備している兵士でした。拷問の結果 ゾルディア人だと分かりました。
目的は王太子殿下の拉致。捕虜にする予定で、抵抗が激しければ殺せと聞かされているようです。
どうやらマルタは男に恋をしていますがゾルディア人のトリスタンは利用しただけのようです。彼は採用されて1年でした。
まだ他にも必ずいるはずですので引き続き調べております」
バロス辺境伯が経過報告をした。
「なら私が王城へ戻れば 襲う相手がいないから引くだろうか」
「目的の一つなのか 王太子殿下だけを標的にしているのか分かりませんので」
「王太子を狙ったら、戦争ですよね?」
バロス辺境伯とウィリアム様の話に、私はゾルディアが戦争をしたいのではないかという意味で発言した。
「完全に喧嘩を売っていますものね」
「準備はなさった方がよろしいかと」
ナディア様とリタも続いた。
〈 フォーン フォーン 〉
話の途中で低くて太い警笛の音が外から聞こえた。
「失礼します」
辺境伯は険しい顔をして走り去った。
「リタ、私はどうする方がいい?」
「あれはおそらく開戦の警笛だと思います。
王太子殿下は指揮官でも軍事に携わってもおりませんので、本来なら王城へ戻っていただきたいところです。ですが国境とバロス城と領地を守ることに集中するとなると、王太子殿下の護衛に辺境軍を割り当てることはできません。どこに賊に扮したゾルディア兵が潜んでいるか分かりませんので、地下に王太子妃殿下と避難をなさってください」
「私では戦力外か?」
「捕まって欲しくないだけです」
「なら見窄らしい服に着替えて焦茶色のカツラを被ろう。私だと分からないだろう。
イレーヌ、ナディアと一緒に地下へ行ってくれ」
「私は戦力です」
「分かってる。だが 好きな女を戦場へ向かわせる夫はいない」
ウィリアム様の真剣な顔に少し驚いた。
本当に私を好きなの?
「もう一度」
カン カン カン
「っ!!もう一度」
リタに剣を弾かれ落としたり、読まれて防がれて急所に寸止めされるという状態を繰り返している。
ウィリアム様はシャツ1枚に防具という姿。
初めて薄着の彼を見たが鍛えているのが分かる。
「もしかして、手加減しているか?」
「…はい」
「無しで頼む」
「では、王太子殿下からどうぞ」
「行くぞ」
ウィリアム様の模造剣をスッと避けたリタは背後に周り首元に剣を寸止めさせた。
「っ!!」
「次は私から参ります」
「分かった」
リタが踏み込むとウィリアム様は一瞬では判断ができず、動けないまま喉元に模造剣の先を向けて寸止めされた。
リタは大振りで剣を振り被らない。間合いを詰める瞬間に剣を入れる場所を決めて急所に当てる。
相手の大振りの剣に当たれば首や腕は飛ぶだろうし胴に当てれば半分以上斬り込まれるだろう。だがそれにはリスクがある。相手の動きが早ければ振り上げている間に死を感じるほど近くに寄られてしまうのだ。リタは大きな血管を斬り付けて失血死を狙う、額付近を切って血で視界を奪う、眼球自体を刺して視力を奪う、喉を刺して呼吸の邪魔をする若しくは血で窒素させる。足の腱を斬って立てなくする、手の腱を斬って剣を握れなくする。心臓を貫く。
「参った、降参だ」
「お手合わせ、ありがとうございました」
もちろん戦況に応じて手首を斬り落としたり首を切り落としたりもする。
「リタが本気を出すと私では剣を当てることさえ許されないのだな」
「私は一応女です。まともに鍛えた男性と剣を合わせれば、力負けする可能性が高いのです。ですから1秒でも早く決着を付けないと死んでしまいます」
「確かに」
そんな2人をみていた私に後ろから話しかけたのはナディア様だった。
「さすがブクリエの戦士ね。圧巻されるわ」
「はい」
「ブクリエの女性でリタ以上の人はいるの?」
「在ると聞いております」
「ブクリエの男性の戦士はどうなのかしら」
「リタ曰く、絶対に敵にしたくないそうです。
勿論日頃は弱者や女子供に手を出しません。妻や恋人からの平手打ちにも全く動じません。ですが敵だと認識されたら どんな相手にも容赦はしません。もちろん法の遵守の元にですが。
例えば酔って攻撃してきた者がいたら反撃します。拳には拳、武器には武器で応戦します。その場合反撃で相手の命を奪ったとしても咎めはありません。それがお年寄りでも女性相手でも」
「…ブクリエ人の王子が他国へ婿入りしたって聞かないわね」
「ブクリエは法の遵守の元に強者を敬い優先します。王子達は幼い頃からブクリエの英才教育を受けます。平民も貴族も強い王子でないと受け入れません。王子兄弟間で王位争いが起きると決闘で決めます。もちろん馬鹿では次期国王は務まりませんので馬鹿は先に国の上層部が失格にします。
適性無しで失格にされた王子でも、決闘に負けた王子でも他国に渡ることなど考えません」
「他国なら国内最強と称えられるかもしれないのに?」
「小さな頃から恥だと教わるのです。戦力の弱い国へ渡って一番になり天下を取ったつもりになることは恥ずべきことだと教わります。強い者に挑み上り詰めることが本物の戦士と讃えられるのです。
ブクリエ以外の国で頂点に上り詰めても それは弱い者虐めをしただけと捉えられて、軽蔑されます。家族からも縁を切られるでしょう。
今は長男のリアム従兄様が弟達をおさえて王太子になっていると聞きました」
「他国は弱者扱いなのね。だから他国を攻めないのね」
「はい。攻撃されない限りは」
その後、リタはウィリアム様や騎士達に指導をしてくれと懇願されたが断った。
“ブクリエの掟ですので”
ブクリエ国民以外には教えてはならないという決まりがあった。
ビス卿にはブクリエ式ではなく基本を教えて底上げし、少しでも自分達を守る戦力にしようとしていたに過ぎない。
だけどイレーヌはブクリエ国民ではない。なのに何故 教育したのだろうかとリタに尋ねた。
“リアム様がお望みになり、国王陛下がお認めになりました”
それを聞いてリアム従兄様に会いたくて仕方がなかった。
「会いたい」
「どなたにですか?」
「リアム従兄様」
「かしこまりました。ノヴァを明日飛ばします」
「止めて、駄目よ。迷惑だから止めて」
「そんなことはございません。大喜びなさいます」
「でも止めてね。従兄様は王太子なのよ?」
「…善処します」
あれから1週間後、内通者が2人捕まった。
「捕まえた内通者はテオドールの妻キャスリンの侍女マルタでした。彼女はキャスリンが嫁ぐ前のエフォナ辺境伯家から連れてきた侍女です。マルタが日程を流しておりました。このところ遅刻をしたり空白の時間があったので詰問し部屋を操作した結果 証拠が出てました。
そしてもう1人はマルタの恋人で国境を警備している兵士でした。拷問の結果 ゾルディア人だと分かりました。
目的は王太子殿下の拉致。捕虜にする予定で、抵抗が激しければ殺せと聞かされているようです。
どうやらマルタは男に恋をしていますがゾルディア人のトリスタンは利用しただけのようです。彼は採用されて1年でした。
まだ他にも必ずいるはずですので引き続き調べております」
バロス辺境伯が経過報告をした。
「なら私が王城へ戻れば 襲う相手がいないから引くだろうか」
「目的の一つなのか 王太子殿下だけを標的にしているのか分かりませんので」
「王太子を狙ったら、戦争ですよね?」
バロス辺境伯とウィリアム様の話に、私はゾルディアが戦争をしたいのではないかという意味で発言した。
「完全に喧嘩を売っていますものね」
「準備はなさった方がよろしいかと」
ナディア様とリタも続いた。
〈 フォーン フォーン 〉
話の途中で低くて太い警笛の音が外から聞こえた。
「失礼します」
辺境伯は険しい顔をして走り去った。
「リタ、私はどうする方がいい?」
「あれはおそらく開戦の警笛だと思います。
王太子殿下は指揮官でも軍事に携わってもおりませんので、本来なら王城へ戻っていただきたいところです。ですが国境とバロス城と領地を守ることに集中するとなると、王太子殿下の護衛に辺境軍を割り当てることはできません。どこに賊に扮したゾルディア兵が潜んでいるか分かりませんので、地下に王太子妃殿下と避難をなさってください」
「私では戦力外か?」
「捕まって欲しくないだけです」
「なら見窄らしい服に着替えて焦茶色のカツラを被ろう。私だと分からないだろう。
イレーヌ、ナディアと一緒に地下へ行ってくれ」
「私は戦力です」
「分かってる。だが 好きな女を戦場へ向かわせる夫はいない」
ウィリアム様の真剣な顔に少し驚いた。
本当に私を好きなの?
1,720
お気に入りに追加
2,130
あなたにおすすめの小説

希望通り婚約破棄したのになぜか元婚約者が言い寄って来ます
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢ルーナは、婚約者で公爵令息エヴァンから、一方的に婚約破棄を告げられる。この1年、エヴァンに無視され続けていたルーナは、そんなエヴァンの申し出を素直に受け入れた。
傷つき疲れ果てたルーナだが、家族の支えで何とか気持ちを立て直し、エヴァンへの想いを断ち切り、親友エマの支えを受けながら、少しずつ前へと進もうとしていた。
そんな中、あれほどまでに冷たく一方的に婚約破棄を言い渡したはずのエヴァンが、復縁を迫って来たのだ。聞けばルーナを嫌っている公爵令嬢で王太子の婚約者、ナタリーに騙されたとの事。
自分を嫌い、暴言を吐くナタリーのいう事を鵜呑みにした事、さらに1年ものあいだ冷遇されていた事が、どうしても許せないルーナは、エヴァンを拒み続ける。
絶対にエヴァンとやり直すなんて無理だと思っていたルーナだったが、異常なまでにルーナに憎しみを抱くナタリーの毒牙が彼女を襲う。
次々にルーナに攻撃を仕掛けるナタリーに、エヴァンは…

元婚約者に未練タラタラな旦那様、もういらないんだけど?
しゃーりん
恋愛
結婚して3年、今日も旦那様が離婚してほしいと言い、ロザリアは断る。
いつもそれで終わるのに、今日の旦那様は違いました。
どうやら元婚約者と再会したらしく、彼女と再婚したいらしいそうです。
そうなの?でもそれを義両親が認めてくれると思います?
旦那様が出て行ってくれるのであれば離婚しますよ?というお話です。

幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!
ルイス
恋愛
ダイダロス王国の侯爵令嬢であるエレナは、リグリット公爵令息と婚約をしていた。
同じ18歳ということで話も合い、仲睦まじいカップルだったが……。
そこに現れたリグリットの幼馴染の伯爵令嬢の存在。リグリットは幼馴染を優先し始める。
あまりにも度が過ぎるので、エレナは不満を口にするが……リグリットは今までの優しい彼からは豹変し、権力にものを言わせ、エレナを束縛し始めた。
「婚約破棄なんてしたら、どうなるか分かっているな?」
その時、エレナは分かってしまったのだ。リグリットは自分の侯爵令嬢の地位だけにしか興味がないことを……。
そんな彼女の前に現れたのは、幼馴染のヨハン王子殿下だった。エレナの状況を理解し、ヨハンは動いてくれることを約束してくれる。
正式な婚約破棄の申し出をするエレナに対し、激怒するリグリットだったが……。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」

【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした
miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。
婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。
(ゲーム通りになるとは限らないのかも)
・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。
周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。
馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。
冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。
強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!?
※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)

【完結済】自由に生きたいあなたの愛を期待するのはもうやめました
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
伯爵令嬢クラウディア・マクラウドは長年の婚約者であるダミアン・ウィルコックス伯爵令息のことを大切に想っていた。結婚したら彼と二人で愛のある家庭を築きたいと夢見ていた。
ところが新婚初夜、ダミアンは言った。
「俺たちはまるっきり愛のない政略結婚をしたわけだ。まぁ仕方ない。あとは割り切って互いに自由に生きようじゃないか。」
そう言って愛人らとともに自由に過ごしはじめたダミアン。激しくショックを受けるクラウディアだったが、それでもひたむきにダミアンに尽くし、少しずつでも自分に振り向いて欲しいと願っていた。
しかしそんなクラウディアの思いをことごとく裏切り、鼻で笑うダミアン。
心が折れそうなクラウディアはそんな時、王国騎士団の騎士となった友人アーネスト・グレアム侯爵令息と再会する。
初恋の相手であるクラウディアの不幸せそうな様子を見て、どうにかダミアンから奪ってでも自分の手で幸せにしたいと考えるアーネスト。
そんなアーネストと次第に親密になり自分から心が離れていくクラウディアの様子を見て、急に焦り始めたダミアンは─────
(※※夫が酷い男なので序盤の数話は暗い話ですが、アーネストが出てきてからはわりとラブコメ風です。)(※※この物語の世界は作者独自の設定です。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる