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【 テオドール・バロスの視点 】
ヒヒーン!
「敵襲だ!矢を放て!」
あちらこちらの岩陰からゾロゾロと賊が出てきた。
違和感を感じながら賊を斬り倒していく。
「うわっ!」
「くうっ!」
ヒュン ヒュンと背後から矢が飛び、次々と賊の目や額を射抜いていく。
「女だ!女を射抜け!」
まさかイレーヌ妃!?
身体を貫いた賊を盾にして後方を振り返ると、素早く次の矢を手に取り放っていく。百発百中の凄腕だ。
リタは向かってくる賊を斬り、イレーヌ妃の身体に向かって飛んで来る矢を剣で落とす。
そして何故か2人の馬に矢が当たっても刺さらなかった。
「リタ、弓持ちは倒したから、ナディア様達を守って!」
「嫌です!」
「お願い!」
リタは渋々主人の側を離れて馬車を襲う賊の首や目を狙って斬り付けていく。賊は剣を落として目を押さえたり、大量の出血に耐えられず次々と倒れていく。
イレーヌ妃は御者台に乗り馬車屋根の上に乗ると、屋根の上から剣を突き刺していた賊の背後から変わった形のナイフで喉を掻き切った。
また自身の馬に乗り、リタと賊を仕留めていく。
一体何者だ!?
最後の1人を倒したところで被害の確認をした。
半分近くの馬を失った。
まだ歩けるが、どこまでもつかわからない馬も数頭。馬車の馬も一頭入れ替えねばならなかった。
「イレーヌ!大丈夫か!」
「怪我しているじゃない!」
「大した傷はありません。これは返り血です」
「馬車に乗って」
「王太子殿下、王太子妃殿下。後ろには下がれませんので前に進みます。馬車に重症者を乗せなければなりません。中と御者台の他に屋根にも括り付けます。馬が足りませんので軽傷者と二人乗りです。とにかくここを抜けないといけません。ご協力をお願いいたします」
リタはウィル達に説明し、怪我の具合を確認して馬車内に酷い重症者6名、御者台に御者と1人の重症者と王太子妃、屋根の上に死者5人を乗せた。本来なら後で引き上げに人を寄越すのだが、陽当たりが良いために腐敗が早いからだ。“仲間を置いて行きたくはないでしょう?”と屋根に積ませた。
イレーヌ妃達は馬衣を外した。
リタの馬の後ろに俺が乗り、イレーヌ妃の馬の後ろにウィルが乗った。
ウィルが深刻な顔をしていた。
渓谷を抜けて次の小さな町に到着した頃にはとっくに日が暮れていた。
駐留の兵士にバロス城へ連絡に行かせて、俺達は血を洗い流し傷の手当をした。
「テオドール様、馬車の中の6人のうち、2人が息を引き取っていました。あとの者は処置中です。軽傷者はリタ殿が手当をしてくださいました。
彼女は縫合までできたのですね」
部下の報告に気が重くなる。俺が判断を間違えて、危険を予想して回避したがった2人を巻き添えにしてしまったのだ。
そして7人の死者を出してしまった。まだ増えるかもしれない。
食後、ナディア王太子殿下は宿部屋に向かった。
イレーヌ妃達にいろいろ聞きたかったが、疲れたから休ませて欲しいと言われて彼女達も宿部屋に案内させた。
「ウィリアム王太子殿下、申し訳ございません」
彼の前に跪き頭を下げた。
「テオのせいではない」
「いえ…実は昨夜、イレーヌ妃殿下とリタ殿から迂回路を使うように言われたのですが大袈裟に感じて今日の道を使ったのです。
妃殿下達は2人だけでも迂回路へ行くと仰っておりましたが、不敬にも王太子殿下の妻ならば別行動など許されないといった旨の言葉で引き留めました。
結果、襲われてしまいました。妃殿下とリタ殿がいなければもっと犠牲者が出ていたことでしょう」
「聞いたよ。イレーヌの馬に乗せてもらいながら、井戸のことも聞いた。
襲撃を前提に矢を通さない馬衣を馬に装着したそうだ」
「そんな物が?」
「椅子に座れ。話し辛い」
「失礼します」
「イレーヌ達の見解では単なる賊ではない。
ゾルディアの兵士が賊に扮して襲ってきたと見ているようだ。
あの場所は馬車が容易に引き返せない場所だ。そこで我らを襲撃したのは奴らの予定通り。
手前の町で井戸を潰したのは、逃走を許した時に我々が水を飲まずに倒れるのを狙ったのだろう。
川の水が濁っていたから井戸は急遽追加したものではないかとみているようだ」
「ゾルディア王国のですか」
「リタが刺青を確認した。ゾルディアのものらしい」
「一体 彼女達は何者ですか」
「イレーヌの母親の母国は何処か覚えているか」
イレーヌ妃の母君の母国…そんな記載はあったか?
「いえ」
「ブクリエだ」
「ブクリエ!?」
「ブクリエの王女が嫁いで来る時に何人かブクリエから連れて来ていた。その一人がリタだ。
リタは生粋のブクリエ人で王女を守る親衛隊だ。
その王女がルフレーで側妃となり、イレーヌを産んだ。親衛隊と一緒に娘をブクリエ式に鍛え上げた。
そして私との婚姻の時にイレーヌにリタを付けた。
白い結婚となってしまった後、父上から叱責を受けた。せっかくブクリエの血を引くイレーヌを手に入れたのに血を繋げられないなんてと嘆かれた。父上からイレーヌの父親であるルフレーの国王に何度か求婚をして、その度に断られていたとは知らなかったし、ブクリエのことも詳細を知らなかった。イレーヌの血筋のことも。
今やイレーヌはブクリエ国王の姪。彼女が重症を負ったり死んだとしたらゾルディアはどうなるのだろうか。ブクリエ国王がイレーヌをどう思っているか分からないが、無関心なら放置、そうでなければブクリエが他国を滅ぼすために戦争を起こす歴史的瞬間をこの目で見ることになるだろうな」
ブクリエ…例えて言うならブクリエの平民は他国で言うベテラン兵、平民の子供も新人兵、ブクリエの兵士達は他国でいう精鋭、ブクリエの精鋭は無敵だと言われている。
リタはブクリエの精鋭。そのリタ達に育てられたイレーヌ妃。
“よくある手です”
様々な戦術が頭に入っているのだな。
“後はバロス家としてご判断ください”
バロス辺境伯は使いものにならないと見限られたのだろう。
迎えに来た援軍と一緒にバロス城へ戻り、父上に報告した。
ヒヒーン!
「敵襲だ!矢を放て!」
あちらこちらの岩陰からゾロゾロと賊が出てきた。
違和感を感じながら賊を斬り倒していく。
「うわっ!」
「くうっ!」
ヒュン ヒュンと背後から矢が飛び、次々と賊の目や額を射抜いていく。
「女だ!女を射抜け!」
まさかイレーヌ妃!?
身体を貫いた賊を盾にして後方を振り返ると、素早く次の矢を手に取り放っていく。百発百中の凄腕だ。
リタは向かってくる賊を斬り、イレーヌ妃の身体に向かって飛んで来る矢を剣で落とす。
そして何故か2人の馬に矢が当たっても刺さらなかった。
「リタ、弓持ちは倒したから、ナディア様達を守って!」
「嫌です!」
「お願い!」
リタは渋々主人の側を離れて馬車を襲う賊の首や目を狙って斬り付けていく。賊は剣を落として目を押さえたり、大量の出血に耐えられず次々と倒れていく。
イレーヌ妃は御者台に乗り馬車屋根の上に乗ると、屋根の上から剣を突き刺していた賊の背後から変わった形のナイフで喉を掻き切った。
また自身の馬に乗り、リタと賊を仕留めていく。
一体何者だ!?
最後の1人を倒したところで被害の確認をした。
半分近くの馬を失った。
まだ歩けるが、どこまでもつかわからない馬も数頭。馬車の馬も一頭入れ替えねばならなかった。
「イレーヌ!大丈夫か!」
「怪我しているじゃない!」
「大した傷はありません。これは返り血です」
「馬車に乗って」
「王太子殿下、王太子妃殿下。後ろには下がれませんので前に進みます。馬車に重症者を乗せなければなりません。中と御者台の他に屋根にも括り付けます。馬が足りませんので軽傷者と二人乗りです。とにかくここを抜けないといけません。ご協力をお願いいたします」
リタはウィル達に説明し、怪我の具合を確認して馬車内に酷い重症者6名、御者台に御者と1人の重症者と王太子妃、屋根の上に死者5人を乗せた。本来なら後で引き上げに人を寄越すのだが、陽当たりが良いために腐敗が早いからだ。“仲間を置いて行きたくはないでしょう?”と屋根に積ませた。
イレーヌ妃達は馬衣を外した。
リタの馬の後ろに俺が乗り、イレーヌ妃の馬の後ろにウィルが乗った。
ウィルが深刻な顔をしていた。
渓谷を抜けて次の小さな町に到着した頃にはとっくに日が暮れていた。
駐留の兵士にバロス城へ連絡に行かせて、俺達は血を洗い流し傷の手当をした。
「テオドール様、馬車の中の6人のうち、2人が息を引き取っていました。あとの者は処置中です。軽傷者はリタ殿が手当をしてくださいました。
彼女は縫合までできたのですね」
部下の報告に気が重くなる。俺が判断を間違えて、危険を予想して回避したがった2人を巻き添えにしてしまったのだ。
そして7人の死者を出してしまった。まだ増えるかもしれない。
食後、ナディア王太子殿下は宿部屋に向かった。
イレーヌ妃達にいろいろ聞きたかったが、疲れたから休ませて欲しいと言われて彼女達も宿部屋に案内させた。
「ウィリアム王太子殿下、申し訳ございません」
彼の前に跪き頭を下げた。
「テオのせいではない」
「いえ…実は昨夜、イレーヌ妃殿下とリタ殿から迂回路を使うように言われたのですが大袈裟に感じて今日の道を使ったのです。
妃殿下達は2人だけでも迂回路へ行くと仰っておりましたが、不敬にも王太子殿下の妻ならば別行動など許されないといった旨の言葉で引き留めました。
結果、襲われてしまいました。妃殿下とリタ殿がいなければもっと犠牲者が出ていたことでしょう」
「聞いたよ。イレーヌの馬に乗せてもらいながら、井戸のことも聞いた。
襲撃を前提に矢を通さない馬衣を馬に装着したそうだ」
「そんな物が?」
「椅子に座れ。話し辛い」
「失礼します」
「イレーヌ達の見解では単なる賊ではない。
ゾルディアの兵士が賊に扮して襲ってきたと見ているようだ。
あの場所は馬車が容易に引き返せない場所だ。そこで我らを襲撃したのは奴らの予定通り。
手前の町で井戸を潰したのは、逃走を許した時に我々が水を飲まずに倒れるのを狙ったのだろう。
川の水が濁っていたから井戸は急遽追加したものではないかとみているようだ」
「ゾルディア王国のですか」
「リタが刺青を確認した。ゾルディアのものらしい」
「一体 彼女達は何者ですか」
「イレーヌの母親の母国は何処か覚えているか」
イレーヌ妃の母君の母国…そんな記載はあったか?
「いえ」
「ブクリエだ」
「ブクリエ!?」
「ブクリエの王女が嫁いで来る時に何人かブクリエから連れて来ていた。その一人がリタだ。
リタは生粋のブクリエ人で王女を守る親衛隊だ。
その王女がルフレーで側妃となり、イレーヌを産んだ。親衛隊と一緒に娘をブクリエ式に鍛え上げた。
そして私との婚姻の時にイレーヌにリタを付けた。
白い結婚となってしまった後、父上から叱責を受けた。せっかくブクリエの血を引くイレーヌを手に入れたのに血を繋げられないなんてと嘆かれた。父上からイレーヌの父親であるルフレーの国王に何度か求婚をして、その度に断られていたとは知らなかったし、ブクリエのことも詳細を知らなかった。イレーヌの血筋のことも。
今やイレーヌはブクリエ国王の姪。彼女が重症を負ったり死んだとしたらゾルディアはどうなるのだろうか。ブクリエ国王がイレーヌをどう思っているか分からないが、無関心なら放置、そうでなければブクリエが他国を滅ぼすために戦争を起こす歴史的瞬間をこの目で見ることになるだろうな」
ブクリエ…例えて言うならブクリエの平民は他国で言うベテラン兵、平民の子供も新人兵、ブクリエの兵士達は他国でいう精鋭、ブクリエの精鋭は無敵だと言われている。
リタはブクリエの精鋭。そのリタ達に育てられたイレーヌ妃。
“よくある手です”
様々な戦術が頭に入っているのだな。
“後はバロス家としてご判断ください”
バロス辺境伯は使いものにならないと見限られたのだろう。
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