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バロス辺境領
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「ウィリアム王太子殿下」
「テオ、久しぶりだな」
「ご無沙汰しております」
体格が良く 頬に傷のある男は一行を見つけると 馬から降りて、馬車から降りたウィリアム様に片膝を付け挨拶をした。
その後、続いて降りたナディア様に挨拶をした後、立ち上がりチラッと私の方を見た。
「王太子殿下、新しいお妃様は馬車酔いですか?
ご挨拶した後に、あっちにいる女騎士を紹介してください。新人ですか?めちゃくちゃ可愛いじゃないですか。
あれ?第三妃を勉強のために連れてくるって…」
馬車内を覗き込み、“居ない”と振り返ると、ウィリアム様が馬から降りた私の側に立った。
「テオ。彼女がイレーヌだ」
「はい?」
「馬車よりこっちがいいと言ってな」
質の良いシンプルな乗馬服に近い衣装の上に外套を纏いフードを被っていた。今回は顔に化粧で醜くはしていなかった。フードを取ると美しい髪を一つに束ねたイレーヌの姿に男は目が離せなかった。
「ようこそバロス領へ。
私はテオドール・バロスと申します。
イレーヌ妃殿下にお会いできて光栄に存じます」
「初めまして、バロス卿。いろいろと教えてくださるとありがたいですわ」
「テオとお呼びください。王太子殿下とは学園も一緒で仲良くしていただきました」
「まあ、ご学友なんて素敵ですわ。彼女は私の大事なリタです。何かと私のために動きますがご容赦ください」
「イレーヌ様の侍女リタと申します」
テオドールはリタが腰に装備している剣を見た。
「リタ殿は剣も扱うようですね、護衛を兼ねているとなれば警備上のことも必要に応じてお伝えしましょう」
「感謝いたします」
そのまま町で食事をとることにした。イレーヌ達と護衛騎士達、辺境軍の騎士達となれば貸切にしても席が足らず、他の店からも椅子を借り料理を頼んだ。イレーヌが皆で食べたいと言ったからだ。
「イレーヌ、これも食べなさい」
「ありがとうございます」
「ウィリアム様、そちらの料理をイレーヌに取り分けてあげてください」
「このくらいでいいか?」
「ありがとうございます」
ウィリアムとナディアの間にはイレーヌが座り、2人が甲斐甲斐しくイレーヌの世話を焼いていた。
ウィリアムは自分の隣で食事をするイレーヌに気を取られ、自身は適当に食事を口に運び、ナディアは愛娘の世話をするように料理をイレーヌの皿の上に乗せる。
「……すごいな。お妃様2人を連れてくると書いてある手紙を読んだときは書き間違いかと思ったが、ウィルよりお妃様同志の方が仲が良いじゃないか」
ウィリアムに“気持ち悪いから学友のときのように砕けた話し方でいいぞ”と言われたテオドールは遠慮なくそうした。
「ま、まあな。ナディアは素晴らしい妻だからイレーヌもよく懐いているよ」
あら珍しいと言いたげな目でナディアはウィリアムを見た。
「…イレーヌが可愛いので。
あら、こちらの肉料理も美味しいわ、イレーヌ、食べなさい。ゆっくりでいいのよ。騎士達のペースに合わせていたら喉を詰まらせてしまうわ」
「美味しいです」
「良かったわ」
女神のように心から微笑みながらイレーヌの世話をするナディアにテオドールは以前のナディアを思い出す。
ナディアに対し冷たい王太子妃といった印象しかなかった。微笑んで挨拶や会話をするが全く温かみを感じない人という印象だった。
「ウィル。俺、お妃様同士のバトルに手を焼くかと思っていたのだが、すごいな。どんな秘訣があるんだ?」
「私こそ聞きたいよ。この2人の間に入る方法を。
私など目もくれず2人で過ごして一緒に寝たりしてるんだぞ」
「まあ、俺が王太子妃殿下でもイレーヌ妃殿下を可愛がることに時間を割くだろうし、俺がイレーヌ妃殿下だとしても王太子妃殿下に懐くだろうな」
「……奥方は息災か」
「ああ、相変わらずだよ」
「子供は?」
「カイロスは諦めた。あれは完全な文官タイプだ。何度か子供の練習用の模造剣を握らせたのだが、全く駄目で嫌がる。本ばかり抱えてるよ。
娘は母親と令嬢ごっこだな。2人とも妻の血を色濃く継いでしまったようだ」
「そうか」
「今回は辺境を見て回る感じでいいのか?」
「そうだな。ナディアとは町をまわり他の場所はイレーヌを連れて騎馬で行こうと思う」
「あら、私を除け者になさるの?」
「だが、」
「ちゃんと馬に乗れるように乗馬服を持ってきていますわ。弓もあります」
「ずっとだぞ?」
「構いませんわ」
「ということだ、テオ頼むな」
「素晴らしい妻を2人も娶れて幸せ者だな」
「自分でもそう思うよ」
「ペネロープ妃殿下は?」
「子もいるし、あいつはテオの奥方と同じタイプだから足手纏いだ」
「あ~、そうだったな。
食べ終わったら出発しよう」
食事を終えた後 リタが地図を広げた。
「イレーヌ様、次の町で宿泊となると思います。おそらくここを通ってマディスンの町に入ります。翌日は日陰があまりない場所を通るはずです。念の為にこの町で給水をしましょう」
「リタ殿はバロスに来たことがあるのか?」
「いいえ、バロス様」
「地図もいろいろと書き込まれているな」
「イレーヌ様をお守りするための当然のことです。目的地までの最善の経路と何かあったときの迂回路、その他必要なことは調べて頭に入れます。
いざという時に、この地図をもとにイレーヌ様が独りで逃げることが出来るように用意しております」
「そうか。
だが、給水ならマディスンでいいのでは?」
「町に寄れない事態になった場合や水が汚染された場合、マディスンから先の道は水不足の状態となります。長い時間 給水できる場所がございません。
そんな中で襲撃に遭い隠れなくてはならない、もしくは徒歩になってしまった場合は最悪です。
マディスンでも給水しますが、こちらでも給水させていただきます」
「分かった、時間を取ろう」
私とリタは手持ちサイズの水筒とは別に大きな水筒に新しい水を入れて馬に積んだ。ビス卿も水筒の水を入れ替えた。
ウィリアム率いる一行とテオドール率いるバロス軍が合流して移動するとかなり目を引くものとなる。
すれ違う領民の子供はテオドール達に向かって手を振ると、笑顔で手をふり返していた。
「こういうの いいわね、リタ」
「はい、イレーヌ様」
5時間後、マディスンの町に到着すると人があまりいなかった。
宿に寄ると宿の主人が出てきた。
「バロス様、ご予約をいただいておりますが 問題が生じまして」
「どうした」
「今朝ほど 井戸の崩落で飲み水が確保できません。離れた川は昨日 上流で天気が崩れたせいで濁水となっております。復旧の目処、川が落ち着く見込みが立ちませんので、宿としての機能が保てません。今ある大甕の水は命綱です。馬にも水を飲ませなくてはなりません」
「分かった、寝るために部屋は使わせてもらえるのか」
「はい。完全な素泊まりで、水はお一人コップ一杯となってしまいます」
「分かった。
ウィリアム、申し訳ないが不便をかけてしまう」
「仕方ない。ベッドで眠れるだけマシだ。ナディア、イレーヌ、そういう訳だから」
「分かりましたわ」
ナディアとウィリアムが部屋へ向かう中、イレーヌとリタはビスを連れて井戸を見に行った。
「どう?リタ」
「これは報告した方が良さそうですね」
「ビス卿、バロス様を連れて来てもらえる?」
「ですがお二人の側を離れるわけには」
「大丈夫よ、見える場所にバロスの兵がいるもの」
「では、彼に言伝ます」
「テオ、久しぶりだな」
「ご無沙汰しております」
体格が良く 頬に傷のある男は一行を見つけると 馬から降りて、馬車から降りたウィリアム様に片膝を付け挨拶をした。
その後、続いて降りたナディア様に挨拶をした後、立ち上がりチラッと私の方を見た。
「王太子殿下、新しいお妃様は馬車酔いですか?
ご挨拶した後に、あっちにいる女騎士を紹介してください。新人ですか?めちゃくちゃ可愛いじゃないですか。
あれ?第三妃を勉強のために連れてくるって…」
馬車内を覗き込み、“居ない”と振り返ると、ウィリアム様が馬から降りた私の側に立った。
「テオ。彼女がイレーヌだ」
「はい?」
「馬車よりこっちがいいと言ってな」
質の良いシンプルな乗馬服に近い衣装の上に外套を纏いフードを被っていた。今回は顔に化粧で醜くはしていなかった。フードを取ると美しい髪を一つに束ねたイレーヌの姿に男は目が離せなかった。
「ようこそバロス領へ。
私はテオドール・バロスと申します。
イレーヌ妃殿下にお会いできて光栄に存じます」
「初めまして、バロス卿。いろいろと教えてくださるとありがたいですわ」
「テオとお呼びください。王太子殿下とは学園も一緒で仲良くしていただきました」
「まあ、ご学友なんて素敵ですわ。彼女は私の大事なリタです。何かと私のために動きますがご容赦ください」
「イレーヌ様の侍女リタと申します」
テオドールはリタが腰に装備している剣を見た。
「リタ殿は剣も扱うようですね、護衛を兼ねているとなれば警備上のことも必要に応じてお伝えしましょう」
「感謝いたします」
そのまま町で食事をとることにした。イレーヌ達と護衛騎士達、辺境軍の騎士達となれば貸切にしても席が足らず、他の店からも椅子を借り料理を頼んだ。イレーヌが皆で食べたいと言ったからだ。
「イレーヌ、これも食べなさい」
「ありがとうございます」
「ウィリアム様、そちらの料理をイレーヌに取り分けてあげてください」
「このくらいでいいか?」
「ありがとうございます」
ウィリアムとナディアの間にはイレーヌが座り、2人が甲斐甲斐しくイレーヌの世話を焼いていた。
ウィリアムは自分の隣で食事をするイレーヌに気を取られ、自身は適当に食事を口に運び、ナディアは愛娘の世話をするように料理をイレーヌの皿の上に乗せる。
「……すごいな。お妃様2人を連れてくると書いてある手紙を読んだときは書き間違いかと思ったが、ウィルよりお妃様同志の方が仲が良いじゃないか」
ウィリアムに“気持ち悪いから学友のときのように砕けた話し方でいいぞ”と言われたテオドールは遠慮なくそうした。
「ま、まあな。ナディアは素晴らしい妻だからイレーヌもよく懐いているよ」
あら珍しいと言いたげな目でナディアはウィリアムを見た。
「…イレーヌが可愛いので。
あら、こちらの肉料理も美味しいわ、イレーヌ、食べなさい。ゆっくりでいいのよ。騎士達のペースに合わせていたら喉を詰まらせてしまうわ」
「美味しいです」
「良かったわ」
女神のように心から微笑みながらイレーヌの世話をするナディアにテオドールは以前のナディアを思い出す。
ナディアに対し冷たい王太子妃といった印象しかなかった。微笑んで挨拶や会話をするが全く温かみを感じない人という印象だった。
「ウィル。俺、お妃様同士のバトルに手を焼くかと思っていたのだが、すごいな。どんな秘訣があるんだ?」
「私こそ聞きたいよ。この2人の間に入る方法を。
私など目もくれず2人で過ごして一緒に寝たりしてるんだぞ」
「まあ、俺が王太子妃殿下でもイレーヌ妃殿下を可愛がることに時間を割くだろうし、俺がイレーヌ妃殿下だとしても王太子妃殿下に懐くだろうな」
「……奥方は息災か」
「ああ、相変わらずだよ」
「子供は?」
「カイロスは諦めた。あれは完全な文官タイプだ。何度か子供の練習用の模造剣を握らせたのだが、全く駄目で嫌がる。本ばかり抱えてるよ。
娘は母親と令嬢ごっこだな。2人とも妻の血を色濃く継いでしまったようだ」
「そうか」
「今回は辺境を見て回る感じでいいのか?」
「そうだな。ナディアとは町をまわり他の場所はイレーヌを連れて騎馬で行こうと思う」
「あら、私を除け者になさるの?」
「だが、」
「ちゃんと馬に乗れるように乗馬服を持ってきていますわ。弓もあります」
「ずっとだぞ?」
「構いませんわ」
「ということだ、テオ頼むな」
「素晴らしい妻を2人も娶れて幸せ者だな」
「自分でもそう思うよ」
「ペネロープ妃殿下は?」
「子もいるし、あいつはテオの奥方と同じタイプだから足手纏いだ」
「あ~、そうだったな。
食べ終わったら出発しよう」
食事を終えた後 リタが地図を広げた。
「イレーヌ様、次の町で宿泊となると思います。おそらくここを通ってマディスンの町に入ります。翌日は日陰があまりない場所を通るはずです。念の為にこの町で給水をしましょう」
「リタ殿はバロスに来たことがあるのか?」
「いいえ、バロス様」
「地図もいろいろと書き込まれているな」
「イレーヌ様をお守りするための当然のことです。目的地までの最善の経路と何かあったときの迂回路、その他必要なことは調べて頭に入れます。
いざという時に、この地図をもとにイレーヌ様が独りで逃げることが出来るように用意しております」
「そうか。
だが、給水ならマディスンでいいのでは?」
「町に寄れない事態になった場合や水が汚染された場合、マディスンから先の道は水不足の状態となります。長い時間 給水できる場所がございません。
そんな中で襲撃に遭い隠れなくてはならない、もしくは徒歩になってしまった場合は最悪です。
マディスンでも給水しますが、こちらでも給水させていただきます」
「分かった、時間を取ろう」
私とリタは手持ちサイズの水筒とは別に大きな水筒に新しい水を入れて馬に積んだ。ビス卿も水筒の水を入れ替えた。
ウィリアム率いる一行とテオドール率いるバロス軍が合流して移動するとかなり目を引くものとなる。
すれ違う領民の子供はテオドール達に向かって手を振ると、笑顔で手をふり返していた。
「こういうの いいわね、リタ」
「はい、イレーヌ様」
5時間後、マディスンの町に到着すると人があまりいなかった。
宿に寄ると宿の主人が出てきた。
「バロス様、ご予約をいただいておりますが 問題が生じまして」
「どうした」
「今朝ほど 井戸の崩落で飲み水が確保できません。離れた川は昨日 上流で天気が崩れたせいで濁水となっております。復旧の目処、川が落ち着く見込みが立ちませんので、宿としての機能が保てません。今ある大甕の水は命綱です。馬にも水を飲ませなくてはなりません」
「分かった、寝るために部屋は使わせてもらえるのか」
「はい。完全な素泊まりで、水はお一人コップ一杯となってしまいます」
「分かった。
ウィリアム、申し訳ないが不便をかけてしまう」
「仕方ない。ベッドで眠れるだけマシだ。ナディア、イレーヌ、そういう訳だから」
「分かりましたわ」
ナディアとウィリアムが部屋へ向かう中、イレーヌとリタはビスを連れて井戸を見に行った。
「どう?リタ」
「これは報告した方が良さそうですね」
「ビス卿、バロス様を連れて来てもらえる?」
「ですがお二人の側を離れるわけには」
「大丈夫よ、見える場所にバロスの兵がいるもの」
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