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ナディアの誕生日
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ナディア王太子妃の誕生祝いのパーティ
ナディア様はウィリアム王太子殿下に、
ペネロープはクロード殿下に、
私は国王陛下にエスコートしていただいた。
ノアム殿下は……
「ノアム殿下、今夜パーティが終わりましたら我が屋敷へいらしてください。
手厚いおもてなしをいたしますので」
「ノアム殿下がエルドラドにいらっしゃって、こうしてパートナーになっていただけるなんて夢のようですわ。是非今夜は、」
「予定がありますので」
「どのような?」
「姉上と過ごしたいのです」
「では、明日の昼までにお戻りになれば、」
祝辞が終わり、少しの間の歓談の時間のはずが、ノアム殿下はお誘いに困っているようだ。
「気になるのか?」
王太子殿下が後ろから近付き話しかけた。
「このような場で凄いなと思いまして」
「まあ、そうはない機会だからな。
あの侯爵夫妻とは歓迎会でイレーヌも話しただろう。妻の方はエスペランスで一番の権力を持つ公爵家の出身だ。ノアム殿下がエスコートしているのはイメルダ嬢と言って侯爵家の次女だ。
婚約者がいたような気がするが、エスペランサの王弟の妃になれるのであれば、直ぐに乗り換えるだろう。滞在期間が短いから既成事実で繋げたいのだろうな」
「第二妃にですか」
「彼の妃は流産を繰り返していて、まだ一人も産んでいない。今妊娠しているようだが、どうなるか分からないし、妊娠の維持が出来ない体なのかもしれない。
となると、もう一人以上娶らねばならない。
もし奇跡的に産んだとしても女児の可能性もあるし、男児だとしても、もう一人男児を望まれるだろう」
「チャンスという訳ですね」
「そうだな」
「可哀想ですわ」
「ノアム殿下が?」
「お妃様のことです」
ダンスの時間が始まり、私は陛下と踊った。
「ウィリアムとは仲直りしたのか?」
「約束を守ってもらった対価をお渡ししているだけですわ」
「約束の内容を教えてもらってもいいかな」
教えたら、陛下は笑っていた。
「あのナディアがそんなに怒ったのか」
「ウィリアム様と約束をしていて助かりましたわ」
「ククッ」
「“イレーヌ!こっちに来なさい!”って何度も言われました。ウィリアム様が立ちはだかり、宥めてくださったのです。本当に怖かったのですから」
「賊よりナディアの方が怖いか」
「それ、言っては駄目ですからね」
「私も怒られるかな? ハハッ」
次はウィリアム王太子殿下と踊ることになった。
「ナディアのやつ怖かったな」
「まさかあんなに叱られるとは」
「それほどイレーヌが大事だと言うことだ。
自分の色を身に付けさせて…ナディアが男でなくて良かったな」
「ナディア様が男で一途でしたら是非お嫁に行きたいです」
「まさか、ナディアに手を出されていないだろうな」
「何言っているのですか」
「今度弓を教えてくれないか」
「私がウィリアム様にですか?」
「頼むよ」
「ちゃんと言うことを聞いてくださいね。偉そうな生徒は嫌ですよ」
「分かってる。ちゃんと跪くよ」
「それは結構です」
「ナディアのアレは紐か?本気で繋ぐつもりだな」
「あれはそういう飾りなのです」
「そ、そうか」
「ふふっ」
「今度ナディアがそっちに泊まる時、私も混ぜてくれないか」
「はい?」
「だって楽しそうだし」
「いや~」
「まさか男だから仲間外れにするのか!?」
「そうじゃなくて、」
「家族のナディアがいいなら、私も家族なのだからいいだろう。それぞれの国の王族が集まって話をして過ごすなど素晴らしいとは思わないのか?」
「ま、まあ、素晴らしいですね」
「よし、決まりだ。
その日は王都内の異国の菓子を取り寄せて3人で味見をしないか?そうだな。目隠しして、メイドに食べさせてもらって どこの国の菓子か当てるゲームでもしよう」
「いいですよ。負けたらどうしますか」
「一番駄目だった者が2人の前で歌を歌うのはどうだ。歌劇風に」
「うっ…恥ずかしい」
「なんだ。負ける気か」
「ふ~ん。後で無かったことにしたって駄目ですからね」
ダンスが終わるとノアム殿下、クロード殿下からダンスに誘われ、休もうと思っていたところにクラヴィノ侯爵がダンスを誘いに来た。
「先日はありがとうございました。護衛隊長も快方に向かっております」
「良かったですわ」
「息子も妃殿下に会いたくて来たがっておりました」
「私も会いたかったですわ」
「……だいぶ王太子殿下と打ち解けたようですね」
「どうでしょう。会話というものが少し出来るようになった程度です。それよりもナディア様が恐ろしくお怒りで、彼を盾にしましたの」
「ああ。王太子妃殿下とは仲がよろしかったのですね。心配の反動でしょうか」
「“こっちに来なさい!”って何度も言われて、ずっと彼が間に立って仲裁していました。一見すると王太子殿下を取り合う修羅場みたいですけどね」
「王太子妃殿下とイレーヌ妃殿下が 王太子殿下を押し付け…譲り合う微笑ましい場面にも見えますね」
「ふふふっ」
「こんな素敵な女性がお嫁さんに来てくれることがどれだけ幸運か分からないなんて信じられません」
「口説いていらっしゃるの?」
「許されるのならそうしたいです」
「祖国の仲の悪い異母妹が国内に嫁ぐか国外に嫁ぐか様子を見ていましたの。やっと国内に決定して、私は国外を選びましたわ。その時にこちらの国王陛下から打診をいただいて受けましたの。別に王家に拘っていたわけではありませんから、クラヴィノ侯爵家が申し込んでくだされは謹んでお受けしたと思います」
「ものすごく悔しいな。他国の王女様が嫁ぎ先を探しているなんて、ただの侯爵家に話が入ってくる頃には手遅れですから」
「クラヴィノ侯爵に良き出会いがありますよう祈っております」
「ありがとうございます」
侯爵とのダンスの後は、ナディア様の側にいた。
ナディア様はウィリアム王太子殿下に、
ペネロープはクロード殿下に、
私は国王陛下にエスコートしていただいた。
ノアム殿下は……
「ノアム殿下、今夜パーティが終わりましたら我が屋敷へいらしてください。
手厚いおもてなしをいたしますので」
「ノアム殿下がエルドラドにいらっしゃって、こうしてパートナーになっていただけるなんて夢のようですわ。是非今夜は、」
「予定がありますので」
「どのような?」
「姉上と過ごしたいのです」
「では、明日の昼までにお戻りになれば、」
祝辞が終わり、少しの間の歓談の時間のはずが、ノアム殿下はお誘いに困っているようだ。
「気になるのか?」
王太子殿下が後ろから近付き話しかけた。
「このような場で凄いなと思いまして」
「まあ、そうはない機会だからな。
あの侯爵夫妻とは歓迎会でイレーヌも話しただろう。妻の方はエスペランスで一番の権力を持つ公爵家の出身だ。ノアム殿下がエスコートしているのはイメルダ嬢と言って侯爵家の次女だ。
婚約者がいたような気がするが、エスペランサの王弟の妃になれるのであれば、直ぐに乗り換えるだろう。滞在期間が短いから既成事実で繋げたいのだろうな」
「第二妃にですか」
「彼の妃は流産を繰り返していて、まだ一人も産んでいない。今妊娠しているようだが、どうなるか分からないし、妊娠の維持が出来ない体なのかもしれない。
となると、もう一人以上娶らねばならない。
もし奇跡的に産んだとしても女児の可能性もあるし、男児だとしても、もう一人男児を望まれるだろう」
「チャンスという訳ですね」
「そうだな」
「可哀想ですわ」
「ノアム殿下が?」
「お妃様のことです」
ダンスの時間が始まり、私は陛下と踊った。
「ウィリアムとは仲直りしたのか?」
「約束を守ってもらった対価をお渡ししているだけですわ」
「約束の内容を教えてもらってもいいかな」
教えたら、陛下は笑っていた。
「あのナディアがそんなに怒ったのか」
「ウィリアム様と約束をしていて助かりましたわ」
「ククッ」
「“イレーヌ!こっちに来なさい!”って何度も言われました。ウィリアム様が立ちはだかり、宥めてくださったのです。本当に怖かったのですから」
「賊よりナディアの方が怖いか」
「それ、言っては駄目ですからね」
「私も怒られるかな? ハハッ」
次はウィリアム王太子殿下と踊ることになった。
「ナディアのやつ怖かったな」
「まさかあんなに叱られるとは」
「それほどイレーヌが大事だと言うことだ。
自分の色を身に付けさせて…ナディアが男でなくて良かったな」
「ナディア様が男で一途でしたら是非お嫁に行きたいです」
「まさか、ナディアに手を出されていないだろうな」
「何言っているのですか」
「今度弓を教えてくれないか」
「私がウィリアム様にですか?」
「頼むよ」
「ちゃんと言うことを聞いてくださいね。偉そうな生徒は嫌ですよ」
「分かってる。ちゃんと跪くよ」
「それは結構です」
「ナディアのアレは紐か?本気で繋ぐつもりだな」
「あれはそういう飾りなのです」
「そ、そうか」
「ふふっ」
「今度ナディアがそっちに泊まる時、私も混ぜてくれないか」
「はい?」
「だって楽しそうだし」
「いや~」
「まさか男だから仲間外れにするのか!?」
「そうじゃなくて、」
「家族のナディアがいいなら、私も家族なのだからいいだろう。それぞれの国の王族が集まって話をして過ごすなど素晴らしいとは思わないのか?」
「ま、まあ、素晴らしいですね」
「よし、決まりだ。
その日は王都内の異国の菓子を取り寄せて3人で味見をしないか?そうだな。目隠しして、メイドに食べさせてもらって どこの国の菓子か当てるゲームでもしよう」
「いいですよ。負けたらどうしますか」
「一番駄目だった者が2人の前で歌を歌うのはどうだ。歌劇風に」
「うっ…恥ずかしい」
「なんだ。負ける気か」
「ふ~ん。後で無かったことにしたって駄目ですからね」
ダンスが終わるとノアム殿下、クロード殿下からダンスに誘われ、休もうと思っていたところにクラヴィノ侯爵がダンスを誘いに来た。
「先日はありがとうございました。護衛隊長も快方に向かっております」
「良かったですわ」
「息子も妃殿下に会いたくて来たがっておりました」
「私も会いたかったですわ」
「……だいぶ王太子殿下と打ち解けたようですね」
「どうでしょう。会話というものが少し出来るようになった程度です。それよりもナディア様が恐ろしくお怒りで、彼を盾にしましたの」
「ああ。王太子妃殿下とは仲がよろしかったのですね。心配の反動でしょうか」
「“こっちに来なさい!”って何度も言われて、ずっと彼が間に立って仲裁していました。一見すると王太子殿下を取り合う修羅場みたいですけどね」
「王太子妃殿下とイレーヌ妃殿下が 王太子殿下を押し付け…譲り合う微笑ましい場面にも見えますね」
「ふふふっ」
「こんな素敵な女性がお嫁さんに来てくれることがどれだけ幸運か分からないなんて信じられません」
「口説いていらっしゃるの?」
「許されるのならそうしたいです」
「祖国の仲の悪い異母妹が国内に嫁ぐか国外に嫁ぐか様子を見ていましたの。やっと国内に決定して、私は国外を選びましたわ。その時にこちらの国王陛下から打診をいただいて受けましたの。別に王家に拘っていたわけではありませんから、クラヴィノ侯爵家が申し込んでくだされは謹んでお受けしたと思います」
「ものすごく悔しいな。他国の王女様が嫁ぎ先を探しているなんて、ただの侯爵家に話が入ってくる頃には手遅れですから」
「クラヴィノ侯爵に良き出会いがありますよう祈っております」
「ありがとうございます」
侯爵とのダンスの後は、ナディア様の側にいた。
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