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第三妃を迎えたくなかったウィリアム
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【 王太子 ウィリアムの視点 】
3ヶ月前。
「ルフレーの王女ですか」
「そうだ。こちらに来てから婚姻契約の内容を決める。3ヶ月後に第三妃として迎えるのでそのつもりで。婚姻の儀は当人達だけで署名して終わりにするそうだ。失礼のない様にするのだぞ」
陛下から告げられたのは他国の王女を娶ることだった。
側近のオーバンに王女のことを調べさせた。
「ルフレー国王は正妃と側妃一人を娶っております。
正妃は王子二人と王女一人。側妃は王女一人を産んでおります。
その側妃の娘がイレーヌ王女で現在21歳。正妃の子達に疎まれている様です。
留学先で卒業なさいましたが、あまり公の場に顔を出さず、ほぼ引きこもっておいででした。
2ヶ月前に異母妹王女が国内の公爵家に嫁いだことで、イレーヌ王女は国外に嫁ぎ先を探していたご様子。それをいち早く察知して国王陛下がウィリアム王太子殿下の妃にと申し入れをなさいました。
こちらが王女の姿絵です」
「婚約者はいたのか?恋人とか」
「いえ。今まで婚約者はおりませんでした。恋人もおられないはずです」
「分かった」
この容姿ではな。
絵姿を見ると全く美しくなかった。
メイドは何やってるんだ?
目が隠れそうな長さの前髪、そこから少し覗き見る太い眉毛、目は半目なのか、これで精一杯なのか。
そしてそばかす。
胸も無さそうだし、くびれも見当たらない。
俺の正妃は隣国の第一王女で正妃の娘。
幼少の時に定められた政略結婚だった。
19歳で婚姻したが3年経ってもナディアは孕まなかった。
そこで第二妃に富豪の侯爵家の次女を据えた。
ペネロープは直ぐに孕み、王子を2人産んだ。
5歳の王子と2歳の王子。
ひとまず世継ぎ問題は解決したと思っていたのに。
29歳になってまた娶ることになるとは。
3ヶ月後。
気乗りしないが、王女の乗った馬車を出迎えた。
出てきた女にガッカリした。本当に絵姿のままだった。
瞳がメガネと前髪で分からなかった。
地に足を着けた途端に王女は倒れた。
医師曰く“疲れたのでしょう”
良いところなど無いじゃないか!
この女を娶り抱いて子を成さなくてはならないなんて…腹が立って仕方がなかった。
そこで半刻して王女の通された客間に押し入った。
結果 3人の護衛騎士が私の専属から解任された。
私のせいだ。
王女が父上と宰相に向かって説明した私の暴言に我ながら驚いた。
「彼女の母は側妃とはいえ王女だ。彼女自身も王女だ。軽んじられる謂れは無い。
イレーヌ王女は何一つ悪くないだろう。
何故女性を虐げるような男に成り下がったのだ」
「……」
「イレーヌ王女が成人する前から、婚姻の申込みをしていたのだが、4度目にして条件付きで受け入れてもらえたのに台無しにしおって」
「彼女にそれほどの価値があったのですか?」
「もうさっきの条件で消し飛んでしまった。
こんなことなら歳下ではあるがクロードに娶らせるのだった。
お前は礼儀作法の講義を受け直せ。退がっていい」
すっかり父上の怒りを買ってしまった。
私が悪いのは分かっている。だが、そんなに望んだ相手だったのなら事前に説明してくだされば、私だって……。
晩餐に現れたイレーヌは自ら末席を選んだ。
ナディアは関心なしといった感じで、ペネロープは品定めをするように観察をしていた。
「婚姻の儀はいつが良いか?最初の約束では3ヶ月後ということだったが」
「神父様の前で署名するだけですので直ぐでも構いませんわ」
「分かった。西南の宮は不自由はないか?一番小さな宮だが」
「十分ですわ、陛下に感謝を申し上げます」
「欲しいものや要望は私宛にあげてくれ」
「仰る通りにいたします」
淡々と父上と話を進めるイレーヌに弟のクロードが話しかけた。
「イレーヌ様、今度僕のお茶会に招待しても良いですか?」
「私をですか?」
「はい。僕はルフレー王国やイレーヌ様の留学生活について知りたいのです」
「分かりましたわ」
3ヶ月前。
「ルフレーの王女ですか」
「そうだ。こちらに来てから婚姻契約の内容を決める。3ヶ月後に第三妃として迎えるのでそのつもりで。婚姻の儀は当人達だけで署名して終わりにするそうだ。失礼のない様にするのだぞ」
陛下から告げられたのは他国の王女を娶ることだった。
側近のオーバンに王女のことを調べさせた。
「ルフレー国王は正妃と側妃一人を娶っております。
正妃は王子二人と王女一人。側妃は王女一人を産んでおります。
その側妃の娘がイレーヌ王女で現在21歳。正妃の子達に疎まれている様です。
留学先で卒業なさいましたが、あまり公の場に顔を出さず、ほぼ引きこもっておいででした。
2ヶ月前に異母妹王女が国内の公爵家に嫁いだことで、イレーヌ王女は国外に嫁ぎ先を探していたご様子。それをいち早く察知して国王陛下がウィリアム王太子殿下の妃にと申し入れをなさいました。
こちらが王女の姿絵です」
「婚約者はいたのか?恋人とか」
「いえ。今まで婚約者はおりませんでした。恋人もおられないはずです」
「分かった」
この容姿ではな。
絵姿を見ると全く美しくなかった。
メイドは何やってるんだ?
目が隠れそうな長さの前髪、そこから少し覗き見る太い眉毛、目は半目なのか、これで精一杯なのか。
そしてそばかす。
胸も無さそうだし、くびれも見当たらない。
俺の正妃は隣国の第一王女で正妃の娘。
幼少の時に定められた政略結婚だった。
19歳で婚姻したが3年経ってもナディアは孕まなかった。
そこで第二妃に富豪の侯爵家の次女を据えた。
ペネロープは直ぐに孕み、王子を2人産んだ。
5歳の王子と2歳の王子。
ひとまず世継ぎ問題は解決したと思っていたのに。
29歳になってまた娶ることになるとは。
3ヶ月後。
気乗りしないが、王女の乗った馬車を出迎えた。
出てきた女にガッカリした。本当に絵姿のままだった。
瞳がメガネと前髪で分からなかった。
地に足を着けた途端に王女は倒れた。
医師曰く“疲れたのでしょう”
良いところなど無いじゃないか!
この女を娶り抱いて子を成さなくてはならないなんて…腹が立って仕方がなかった。
そこで半刻して王女の通された客間に押し入った。
結果 3人の護衛騎士が私の専属から解任された。
私のせいだ。
王女が父上と宰相に向かって説明した私の暴言に我ながら驚いた。
「彼女の母は側妃とはいえ王女だ。彼女自身も王女だ。軽んじられる謂れは無い。
イレーヌ王女は何一つ悪くないだろう。
何故女性を虐げるような男に成り下がったのだ」
「……」
「イレーヌ王女が成人する前から、婚姻の申込みをしていたのだが、4度目にして条件付きで受け入れてもらえたのに台無しにしおって」
「彼女にそれほどの価値があったのですか?」
「もうさっきの条件で消し飛んでしまった。
こんなことなら歳下ではあるがクロードに娶らせるのだった。
お前は礼儀作法の講義を受け直せ。退がっていい」
すっかり父上の怒りを買ってしまった。
私が悪いのは分かっている。だが、そんなに望んだ相手だったのなら事前に説明してくだされば、私だって……。
晩餐に現れたイレーヌは自ら末席を選んだ。
ナディアは関心なしといった感じで、ペネロープは品定めをするように観察をしていた。
「婚姻の儀はいつが良いか?最初の約束では3ヶ月後ということだったが」
「神父様の前で署名するだけですので直ぐでも構いませんわ」
「分かった。西南の宮は不自由はないか?一番小さな宮だが」
「十分ですわ、陛下に感謝を申し上げます」
「欲しいものや要望は私宛にあげてくれ」
「仰る通りにいたします」
淡々と父上と話を進めるイレーヌに弟のクロードが話しかけた。
「イレーヌ様、今度僕のお茶会に招待しても良いですか?」
「私をですか?」
「はい。僕はルフレー王国やイレーヌ様の留学生活について知りたいのです」
「分かりましたわ」
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