9 / 32
私、閨係ですよね?
しおりを挟む
おかしい気がするのは私だけ?
「アリサ様。こちらからお好きなものをお好きなだけお選びください」
「あの。閨のお仕事に宝飾品が必要ですか?」
「カイン王子殿下の閨係には必要でございます」
「そ、そうですか。ですがもう解雇かもしれないので、次の閨係の方のために取っておかれた方が、」
「誰がアリサ様にそのような無礼な事を?」
ぶ、無礼!?
「あ、いえ、私が勝手に。初夜以降お務めが無いのでそう思っただけです」
「アリサ様。それは違いますわ。
初夜後の検診でお医者様が少し傷があると仰っていたではありませんか」
少しだし、ありがちなことだから、気にせずに私の体をお使いになるのだと思っていたのだけど。
「そうでしょうか」
「この件に関しまして、私の命を賭けて間違いございません。
カイン王子殿下はアリサ様を大切にしたいのです。
それに毎夜一緒の寝所で就寝なさっておいでではありませんか。他の令嬢に変えるなんてことは微塵もございません。
こちらはいかがですか?」
「殿下の瞳の色と同じ色なんて。
この色は婚約者様が身に付ける色ですわ」
「アリサ様は殿下の心身を癒すのがお役目です。こちらの色を身に付けてくだされば、殿下もお喜びになることでしょう」
お役目…なるほど。
まあ、婚約者様と私が会うわけではないし、婚約者様と婚姻をした後の閨事の予行練習だから、私に優しくしてくださるのよね。
「分かりましたわ」
指輪はカイン様に傷を付けかねないし、ブレスレットもネックレスも引っかかりそう。イヤリングは……カイン様が舐めるから邪魔ね。
小さな石の付いた髪ピンを選んだ。
「こちらで」
「アリサ様。殿下が悲しみます」
「ですが私は閨係です。邪魔になってしまいます」
「アリサ様。邪魔だと思ったら殿下が外します。
それも殿方の楽しみなのですよ」
知らなかった。
「そうなのですね。ではこちらのネックレスを」
「いくつかお求めくださいませ」
「一つで充分ですわ」
「第二王子であるカイン王子殿下に甲斐性無しという別名を付けるおつもりですか?」
「…一緒に選んでくださいますか」
「喜んで」
こんな調子でワンピースやドレスや靴や帽子、何故か外套まで沢山買ってしまった。
外出は禁止でしょう? 目の前の庭で着ろって?
「ナイトドレスや下着類はカイン王子殿下がお選びになるそうです」
…それはまぁいいか。
「アリサ様、カイン王子殿下に、アリサ様の色の何かを贈り物になさってはいかがでしょう」
「私は閨係で婚約者ではありません。そんなことはできませんわ。婚約者様に失礼です」
「アリサ様。殿下の心身を癒すために、」
「これは駄目です」
「殿下の笑顔を見たくはありませんか?」
「笑顔になりませんよ。冷たい目でみられますわ」
「では、私と賭けをしましょう。殿下が笑顔にならなければ私ができる範囲でアリサ様の個人的なお願いを一つ叶えます」
彼女は侍女長が選んだ私の専属侍女コニー。
何故コニーはこんなに食い下がるのかしら。
でも閨係を卒業したら手助けしてもらえるわね。
「では、私が負けたときの願いを言いますね。
閨係の雇用期間が終わったら、独立したいのです。
実家と縁を切りたいから協力してください」
「かしこまりました」
「もし私が負けたら?」
「今後は私の提案を聞き入れてくださると嬉しいです」
「分かりましたわ。では選びましょう」
「アリサ様。こちらからお好きなものをお好きなだけお選びください」
「あの。閨のお仕事に宝飾品が必要ですか?」
「カイン王子殿下の閨係には必要でございます」
「そ、そうですか。ですがもう解雇かもしれないので、次の閨係の方のために取っておかれた方が、」
「誰がアリサ様にそのような無礼な事を?」
ぶ、無礼!?
「あ、いえ、私が勝手に。初夜以降お務めが無いのでそう思っただけです」
「アリサ様。それは違いますわ。
初夜後の検診でお医者様が少し傷があると仰っていたではありませんか」
少しだし、ありがちなことだから、気にせずに私の体をお使いになるのだと思っていたのだけど。
「そうでしょうか」
「この件に関しまして、私の命を賭けて間違いございません。
カイン王子殿下はアリサ様を大切にしたいのです。
それに毎夜一緒の寝所で就寝なさっておいでではありませんか。他の令嬢に変えるなんてことは微塵もございません。
こちらはいかがですか?」
「殿下の瞳の色と同じ色なんて。
この色は婚約者様が身に付ける色ですわ」
「アリサ様は殿下の心身を癒すのがお役目です。こちらの色を身に付けてくだされば、殿下もお喜びになることでしょう」
お役目…なるほど。
まあ、婚約者様と私が会うわけではないし、婚約者様と婚姻をした後の閨事の予行練習だから、私に優しくしてくださるのよね。
「分かりましたわ」
指輪はカイン様に傷を付けかねないし、ブレスレットもネックレスも引っかかりそう。イヤリングは……カイン様が舐めるから邪魔ね。
小さな石の付いた髪ピンを選んだ。
「こちらで」
「アリサ様。殿下が悲しみます」
「ですが私は閨係です。邪魔になってしまいます」
「アリサ様。邪魔だと思ったら殿下が外します。
それも殿方の楽しみなのですよ」
知らなかった。
「そうなのですね。ではこちらのネックレスを」
「いくつかお求めくださいませ」
「一つで充分ですわ」
「第二王子であるカイン王子殿下に甲斐性無しという別名を付けるおつもりですか?」
「…一緒に選んでくださいますか」
「喜んで」
こんな調子でワンピースやドレスや靴や帽子、何故か外套まで沢山買ってしまった。
外出は禁止でしょう? 目の前の庭で着ろって?
「ナイトドレスや下着類はカイン王子殿下がお選びになるそうです」
…それはまぁいいか。
「アリサ様、カイン王子殿下に、アリサ様の色の何かを贈り物になさってはいかがでしょう」
「私は閨係で婚約者ではありません。そんなことはできませんわ。婚約者様に失礼です」
「アリサ様。殿下の心身を癒すために、」
「これは駄目です」
「殿下の笑顔を見たくはありませんか?」
「笑顔になりませんよ。冷たい目でみられますわ」
「では、私と賭けをしましょう。殿下が笑顔にならなければ私ができる範囲でアリサ様の個人的なお願いを一つ叶えます」
彼女は侍女長が選んだ私の専属侍女コニー。
何故コニーはこんなに食い下がるのかしら。
でも閨係を卒業したら手助けしてもらえるわね。
「では、私が負けたときの願いを言いますね。
閨係の雇用期間が終わったら、独立したいのです。
実家と縁を切りたいから協力してください」
「かしこまりました」
「もし私が負けたら?」
「今後は私の提案を聞き入れてくださると嬉しいです」
「分かりましたわ。では選びましょう」
226
お気に入りに追加
807
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫
紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。
スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。
そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。
捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。
悪役令嬢の残した毒が回る時
水月 潮
恋愛
その日、一人の公爵令嬢が処刑された。
処刑されたのはエレオノール・ブロワ公爵令嬢。
彼女はシモン王太子殿下の婚約者だ。
エレオノールの処刑後、様々なものが動き出す。
※設定は緩いです。物語として見て下さい
※ストーリー上、処刑が出てくるので苦手な方は閲覧注意
(血飛沫や身体切断などの残虐な描写は一切なしです)
※ストーリーの矛盾点が発生するかもしれませんが、多めに見て下さい
*HOTランキング4位(2021.9.13)
読んで下さった方ありがとうございます(*´ ˘ `*)♡
あなたは旦那様にふさわしくないなんて側室ですらない幼馴染の女性にけなされたので、私は離婚して自分の幼馴染と結婚しようと思います
ヘロディア
恋愛
故郷に愛している男がいるのに、無理やり高貴な貴族に嫁がされた主人公。しかし、そこでの夫には、幼馴染を名乗る女が毎晩のようにやって来て、貴族の夫婦のすべき営みを平然とやってのけていた。
挙句の果てには、その女に「旦那様にふさわしくないし、邪魔」と辛辣な態度を取られ、主人公は故郷の男のもとへ向かう決意を固めたが…
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる