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十五話 メシア?
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救世主こと晴明に救出してもらった俺は、今何故か白玉と一緒に正座をさせられていた。
夕飯まで時間があるため、後二時間は正座を強いられるだろう。
正座で座ることがないから既に足が棒のようだ。横をみると晴明に吸収した力を吸い出され動きを封じられて元の幼いに戻った白玉がぷるぷると足を抑え、震えながら正座をしていた。
「うぅ……」
今にも泣きだしそうな顔に思わずきゅんとする。先程の女王様みたいというかドSのそうな姿は見る影もない。
天使なショタとドSってギャップがありすぎる。
思考に浸るも足のつらさは良くなるどころか悪化している。すでに足の感覚がなく麻痺している。
足をほぐしても暫くは身動きできないだろう。
そもそもだ。
「は、晴明。何で俺まで正座なの! 俺明らかに被害者じゃん!」
抗議するも、晴明の鋭い眼差しで見つめられて思わず怯んでしまう。
「雅斗、お前は危機感が無さすぎる。普段から無防備なうえに……このチビ狐なら何とかなると油断していただろ」
晴明の指摘にぐうの音も出ない。
いくら玉藻の前の子どもとは言っても力がそんなにないからと、そして妖怪として各上の俺には到底敵う事は出来ないと高をくくっていた。
その油断がこれだ。弁明の余地もないため、俯きながら臍を噛む。
俺の無言を答えと悟った晴明は溜息を吐くと、俺の頭を優しく撫ぜた。
「まぁ雅斗ほどの大妖怪なら仕方ないのかもしれないが、もっと警戒心を持て。またこんなことが起きたら俺も嫌だし主神様に顔向けできなくなる」
「ごめんなさい……」
主様を出された完全に俺は折れるしかない。それに実際このことを知られたら、俺を溺愛している主様の事だ、晴明や白玉に雷が落ちるかもしれない。物理的にも。
神妙に謝りしょんぼりとしている俺を見て晴明は苦笑すると、もう正座をしなくても良いと言われた。白玉が羨ましそうな眼差しで見てくるが、足が麻痺してしまって崩すことすらままならない俺にはどうすることもできない。
どうしようかと考えあぐねいていると、見かねた晴明は俺のひょいと横に抱き上げた。
「わっ」
急に持ち上げられた驚きもあるが、足が解放されたことで止まっていた血の流れが一気に流れて何とも言えないしびれが走り身動きが取れない。
俺を椅子に座らせると、何を思ったのか俺の足を強く握った。
「ひゃんっ」
足をしびれている人に対してそんなことをするなんて、晴明は救世主なんかじゃない。悪魔だ。お蔭で変な声を出してしまって恥ずかしい。
しかしその手は止まらず足全体を揉まれていく。
「やっ、んっ、ふぅっ」
その度に変な声が漏れてしまう。俺の様子を楽しんでいる晴明を制止させようと口を開く。
「やめろ晴明! なんでこんなことするの! この鬼畜!」
「血の血行を良くしているだけだろ。マッサージだ。……というのは建前で、雅斗にお仕置きをしたら結構面白かったっていうだけなんだけどな」
「おい、本音が駄々漏れだぞ」
今まで恨めしそうに俺を見ていた白玉は同情の眼差しで見てくる。
「白玉、後でお仕置きね」
「何ででしか?!」
思わぬ飛び火に白玉は焦りを滲ませた。
でもな、俺を差し置いて式神である白玉に何もないとかなんか許せないよね。
怪しい笑みを浮かべる俺に白玉は顔を真っ青にして震えた。
先ほどの豹変との差に笑いがこみ上げる。笑いを抑える俺を睨み付けてくるがショタな姿では可愛いだけだ。
「そう言えば晴明、どうしてこんなに早くきたんだ?」
「……虫の知らせだ」
何故だか目を逸らして言う晴明に俺は首を傾げた。白玉は何か分かったのか「あざとい奴でし」と半目で晴明を見ていた。
陰陽師としての勘が優れているということだろうかと自己完結し、俺は再びお菓子を食べることにした。
そんな俺の食事事情に呆れたような顔をした晴明はいつの間にか手に持っていたスーパーの袋から野菜やカレールーなどを取り出していく。
そういえばこの学園内にスーパーあったんだっけ、と1000年前を思い浮かべるも記憶はあやふやだ。あったのは覚えてるけど。
それにしてもいつの間に晴明は主婦化したんだ?
悶々と考えている間に晴明は台所に立ち調理を始めた。いい匂いする頃には、雅幸と業平が俺の部屋に訪れた。
白玉? 当然正座中ですが何か。限界値を突破しただろう白玉の表情が真っ青になってプルプルと震えている姿を見た雅幸と業平が吹き出して笑ったのは言うまでもない。
夕飯まで時間があるため、後二時間は正座を強いられるだろう。
正座で座ることがないから既に足が棒のようだ。横をみると晴明に吸収した力を吸い出され動きを封じられて元の幼いに戻った白玉がぷるぷると足を抑え、震えながら正座をしていた。
「うぅ……」
今にも泣きだしそうな顔に思わずきゅんとする。先程の女王様みたいというかドSのそうな姿は見る影もない。
天使なショタとドSってギャップがありすぎる。
思考に浸るも足のつらさは良くなるどころか悪化している。すでに足の感覚がなく麻痺している。
足をほぐしても暫くは身動きできないだろう。
そもそもだ。
「は、晴明。何で俺まで正座なの! 俺明らかに被害者じゃん!」
抗議するも、晴明の鋭い眼差しで見つめられて思わず怯んでしまう。
「雅斗、お前は危機感が無さすぎる。普段から無防備なうえに……このチビ狐なら何とかなると油断していただろ」
晴明の指摘にぐうの音も出ない。
いくら玉藻の前の子どもとは言っても力がそんなにないからと、そして妖怪として各上の俺には到底敵う事は出来ないと高をくくっていた。
その油断がこれだ。弁明の余地もないため、俯きながら臍を噛む。
俺の無言を答えと悟った晴明は溜息を吐くと、俺の頭を優しく撫ぜた。
「まぁ雅斗ほどの大妖怪なら仕方ないのかもしれないが、もっと警戒心を持て。またこんなことが起きたら俺も嫌だし主神様に顔向けできなくなる」
「ごめんなさい……」
主様を出された完全に俺は折れるしかない。それに実際このことを知られたら、俺を溺愛している主様の事だ、晴明や白玉に雷が落ちるかもしれない。物理的にも。
神妙に謝りしょんぼりとしている俺を見て晴明は苦笑すると、もう正座をしなくても良いと言われた。白玉が羨ましそうな眼差しで見てくるが、足が麻痺してしまって崩すことすらままならない俺にはどうすることもできない。
どうしようかと考えあぐねいていると、見かねた晴明は俺のひょいと横に抱き上げた。
「わっ」
急に持ち上げられた驚きもあるが、足が解放されたことで止まっていた血の流れが一気に流れて何とも言えないしびれが走り身動きが取れない。
俺を椅子に座らせると、何を思ったのか俺の足を強く握った。
「ひゃんっ」
足をしびれている人に対してそんなことをするなんて、晴明は救世主なんかじゃない。悪魔だ。お蔭で変な声を出してしまって恥ずかしい。
しかしその手は止まらず足全体を揉まれていく。
「やっ、んっ、ふぅっ」
その度に変な声が漏れてしまう。俺の様子を楽しんでいる晴明を制止させようと口を開く。
「やめろ晴明! なんでこんなことするの! この鬼畜!」
「血の血行を良くしているだけだろ。マッサージだ。……というのは建前で、雅斗にお仕置きをしたら結構面白かったっていうだけなんだけどな」
「おい、本音が駄々漏れだぞ」
今まで恨めしそうに俺を見ていた白玉は同情の眼差しで見てくる。
「白玉、後でお仕置きね」
「何ででしか?!」
思わぬ飛び火に白玉は焦りを滲ませた。
でもな、俺を差し置いて式神である白玉に何もないとかなんか許せないよね。
怪しい笑みを浮かべる俺に白玉は顔を真っ青にして震えた。
先ほどの豹変との差に笑いがこみ上げる。笑いを抑える俺を睨み付けてくるがショタな姿では可愛いだけだ。
「そう言えば晴明、どうしてこんなに早くきたんだ?」
「……虫の知らせだ」
何故だか目を逸らして言う晴明に俺は首を傾げた。白玉は何か分かったのか「あざとい奴でし」と半目で晴明を見ていた。
陰陽師としての勘が優れているということだろうかと自己完結し、俺は再びお菓子を食べることにした。
そんな俺の食事事情に呆れたような顔をした晴明はいつの間にか手に持っていたスーパーの袋から野菜やカレールーなどを取り出していく。
そういえばこの学園内にスーパーあったんだっけ、と1000年前を思い浮かべるも記憶はあやふやだ。あったのは覚えてるけど。
それにしてもいつの間に晴明は主婦化したんだ?
悶々と考えている間に晴明は台所に立ち調理を始めた。いい匂いする頃には、雅幸と業平が俺の部屋に訪れた。
白玉? 当然正座中ですが何か。限界値を突破しただろう白玉の表情が真っ青になってプルプルと震えている姿を見た雅幸と業平が吹き出して笑ったのは言うまでもない。
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